ハウスドルフ次元 (Housdroff-Besicovitch dimension)
n次元ユークリッド空間の部分集合をUとします。そのときUの径を

で定義します。あるδ>0に対して0<|Ui|≦δを満足するような加算個の集合{Ui}を使って、集合Fを覆いつくす操作を考えてみましょう。F⊂ ∪iUiであるようなとき、{Ui}はFのδ-包であると呼びます。ある数s>0について,以下のようなFの測度を定義してみましょう。

すなわち、最大でもδの大きさの径の集合を個数の上限なしに使って、それらの径をs乗しながら足し上げた値の下界です。このとき、集合Fのハウスドルフ(--ベシコビッチ)測度は、δ→0の極限

として与えられます。
例えばFとして線分を考えると、s<1のときHsは無限大に、s>1ではHsは0になることが容易に示せます。集合Fのハウスドルフ次元DH(F)とはハウスドルフ測度が0と無限大のちょうど境界になるようなsの値であって、与えられた集合について唯一定まります。

このように定義されたハウスドルフ次元はいくつかの性質を持つことが示せます:
T F∈Rnであるような開集合では Hs=n.
U Rnで定義された微分可能なm次元部分多様体では Hs=m.
V E⊂Fならば Hs(E)≦Hs(F).
W fをRnの滑らかな変換(並進,回転,拡大,アフィン変換等) とすると,Hs(f(E))=Hs(F).
点のハウスドルフ次元は0、曲線は1、曲面は2、立体では3となり、これらは我々の直感ともよく一致します。つまり通常の線や面のハウスドルフ次元は、そのトポロジカルな次元に等しい。これに対して、
「ハウスドルフ次元がトポロジー次元よりも大きいような点集合」が通常よく採用されるフラクタルの数学的な定義です。フラクタル集合のハウスドルフ次元は非整数値(実数値)を取り得ます。
さらに、ハウスドルフ次元には以下のような性質があることが知られています。
T フラクタル集合の射影
n次元空間中のフラクタル集合Fを、k次元の(超)平面に射影するとき、もしDH(F)≦kならば、射影のフラクタル次元は、殆どの場合、Fの次元に等しい。もし DH(F)>kならば,射影集合の次元は殆どの場合kである。
U フラクタル集合の直積
集合EとFの直積のハウスドルフ次元については

が成り立ち、多くの場合は等号が成立します。
V フラクタルな共通集合
二つのフラクタル集合EとFを与え、Fの合同変換(移動や回転)をσ(F)と表記します。このとき、 σを様々に変えながら、Rn$内でのEとσ(F)の``交差''部分を調べると、交差部分のフラクタル次元は、殆どのσについて

を満足します。
その定義から点集合Fのスケールをλ倍に変換した際に、それに対応するハウスドルフ測度はλs倍にスケールされます。すなわち、λF={λx:x∈F}に対して

が恒等的に成立します。ハウスドルフ測度は集合の「拡張された体積」でありますから、上式を

のように変形すると、ハウスドルフ次元は空間スケールの変化率λに対する体積変化率の対数比に関係した量であることが直感されます。
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