放送禁止歌 〜唄っているのは誰?規制するのは誰?〜


 “放送禁止歌”という呼称は恐らく誰もが一度は耳にしたことがあると思います。

 テレビやラジオなどマスメディアの電波には乗せられない曲、そこから想い起こすのは猥褻な歌であったり、差別用語を使っていたり、特定の組織や個人を誹謗中傷しているといったイメージかも知れません。


 かつてフォークソングが時代の花形だった1960〜1970年代には体制を批判したり、揶揄したりする数々のプロテストソングが生まれ、“放送禁止歌”の烙印を押され、いつの間にか闇へと消えて行きました。

 高倉 健が唄う『網走番外地』、なぎらけんいちの『悲惨な戦い』、高田 渡の『自衛隊に入ろう』、フォーククルセーダーズの名曲『イムジン河』などが様々な理由から“放送禁止歌”の烙印を押され、闇へと葬り去られてきました。
 ちょっと驚くかも知れませんが、実はピンクレディーや北島三郎の持ち歌にも“放送禁止歌”は存在していたと言います。


 調べてみると、昭和40年代に規制された曲が今だに規制の対象になっているという事実に気づきました。

しかし、不思議なことに“放送禁止歌”を検証しようとしても規制している主体がなかなか見つからないというのです。規制をしているのは一体誰なのでしょうか・・・?





 南北に分断された朝鮮半島への政治的配慮から昭和43年発売中止となり、「幻の名曲」と呼ばれたザ・フォーククルセダーズの 「イムジン河」 について取り上げてみました。

 朝鮮半島を南北にわける軍事境界線にそって流れ、黄海(朝鮮では西海)に注ぐ臨津江(リムジン川、イムジン川)。その川の流れに託して南北分断の悲しみを歌った歌が<リムジン川>です。

 <リムジン川>は北朝鮮=朝鮮民主主義人民共和国で1960年代に作られたもので、作詞はパク・セヨン(朴世永)、作曲はコ・ジョンハン(高宗漢)です。

 作詞者パク・セヨンは解放前からのプロレタリア文学運動にも加わった詩人で『山つばめ』などの詩集で知られています。
京畿道出身のパクは解放後、北朝鮮に移り多くの詩を発表していますが、最も知られているのは北朝鮮の国歌『愛国歌』を作詞したことでありましょう。

 また1960年代の日本でよく歌われた<ピョンヤンは心のふるさと>の作詞者でもあります。

 この<リムジン川>は在日朝鮮人のあいだで1960年代に歌われていたものを、作家 松山猛が詩をつけ、当時のフォークソンググループ<ザ・フォーク・クルセダーズ>が歌ったものです。

 1968年になって<ザ・フォーク・クルセダーズ>はシングルレコード「イムジン河」をリリースすることになりましたが、発売の直前になって発売元の東芝は突如中止を発表したのでありました。

 そのいきさつは次のようなものであったとされています。


 「原詩に忠実でないと朝鮮総連から抗議をうけたというのがその理由であった。
しかし、実は総連側の抗議内容は、<イムジン河>の原詩は、北側にとっては重要な人が作ったものなので、発表する場合は、朝鮮民主主義人民共和国の何某が作った歌と、はっきり明記すること、というものだったのだ。

 国交のない共産圏の国の正式名称を併記することを東芝は親会社の手前、躊躇したのである。」
(黒沢進 CD「ザ・フォーク・クルセダーズ ハレンチ+1」解説 1995)


 しかしこの解説だけでは、「朝鮮総連から抗議をうけた」ことや、東芝(レコード)がなぜ「親会社の手前、躊躇した」のかは理解しがたい。

 当時このレコードの発売に際しては、作詞・作曲者不明とされていたが、明らかに北朝鮮の詩人と音楽家によるものであり、この点に対して朝鮮総連はそれを明記するよう要求したのであったし、北朝鮮の歌が日本で広がることを好ましく思わなかった韓国大使館が東芝に圧力をかけ、発売中止に至ったとの話があります。

 つまりここで言う「親会社の手前、躊躇した」とは、韓国に進出していた東芝が韓国との経済的関係を優先し、北朝鮮の歌のレコードの発売を中止したとのことなのでありましょう。

 <ザ・フォーク・クルセダーズ>のシングルレコード「イムジン河」が、当時世に出ていたならば日本の人々、とりわけ若い人々のあいだにこの歌が確実に広がっていたことでしょう。

 しかし、上に述べたようなこともあり、放送などでも禁止曲(放送局には内規があり、戦時中の軍歌・政治的色彩がこい歌・男女のあいだをうたった一部の歌・商品名などが歌詞に含まれている歌などは放送されないことがある。)となってしまったのであります。

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