一回読みきりボンドの妄想SS
千鶴の小道
第1回 幸せ
日曜日だと言うのに一日仕事だった今日、
家に帰り居間で寛いでいる時その電話は鳴った。
「もしもし、ボンドです(仮称)」
「あ、おれ俺、耕一」
「おう、久しぶりだな」
「うん、そうだよな」
「で、お前が電話をかけてきたと言うことは、今日千鶴さんが来たんだろ〜」
「ははは、ご名答!」
そう、耕一は千鶴さんが来たときに限って俺のところに電話をかけてくる。
俺は寂しい独り者なのに、とは言うものの俺も楽しみにしてないことも無い。
「で今回は何だ」
「まあ、焦るなよ(フフフ)」
「このやろ〜電話を切るぞ!」
「まあそう怒るなって、今話すから」
と、今回もあいつのお惚気を聞くはめになってしまった。
まあ今回は俺にもちょいとした考えがあるんだ。
今日の夕方、俺は買い物に行ったんだ。
もちろん夕ご飯を買いにいったんだ。
空は、赤く染まっていて、その間に雲がちらほらと赤く染まって漂っていた。
寂しいそうな話しみたいだって、いやいや俺の隣には一人の女性が歩いていたんだ。
そう、それは千鶴さんさ。
お得意様周りとかで金曜日にこちらに着いて、月曜日の昼までにあちらに戻れば良いらしい。
千鶴さんは言わないものの安達さんの計らいであることは明白だよな。
「千鶴さん、重たくない?」
「重たくないですよ」
千鶴さんと歩く夕方。
まだまだ寒い日が続いているが今日はなんだか暖かく感じてしまうんだよな。
好きな人が傍にいるだけでこんな感じになるのかな。
「今日は耕一さんのためにおいしいものを作りますからね」
「楽しみにしています」
「ふふふ」
「ところで今日は何を作ってくれるの」
「ハンバーグです、それにレンコンのサラダですよ」
ちなみに、あの事件以来重荷が外れたせいか、
千鶴さんは料理も家事も徐々にだけど上手くなっていっている。
もちろん、あかりちゃんの存在が大きいのかもしれない。
「クシュン」
「千鶴さんこれを着れば」
「耕一さんは寒くないですか」
「俺のことは良いからさ」
俺は羽織っていたダウンジャケットを千鶴さんに着せた。
「ヘックション」
「耕一さん、風邪を引きますよ。このマフラーを」
ピ、ピンクのマフラーか、ちょいと恥ずかしいが千鶴さんは俺の首に巻いてしまった。
「耕一さん、可愛いですよ」
笑いながら俺の首に巻いてくれる。
「はい、暖かいでしょ」
「ま、まあね」
「ふふふ」
「ははは」
テレながら答えると、俺達は思わず笑ってしまった。
それにしても、千鶴さんは大企業の会長であるのに、ホント庶民的だよな。
綺麗だし。
こうして、俺達はスーパーから肩を寄せ合って帰ってきた。
今日は、千鶴さんと二人っきりの夜。
思わず、顔がにやけてしまう。
「耕一さん、どうかしましたか」
ニヤニヤしている俺に、怪訝そうな千鶴さん。
「え、なんでも無いよ、ただ」
「ただ?」
「ちょっと幸せだなっと」
「…私もですよ…」
冬の日の夕方。
だけどなんか暖かい帰り道。
「で、落ちは何だ」
「落ちなんか無いよ、なんか幸せって感じだろ」
「お前なあ」
思わずため息が出てしまった。
「ところで、千鶴さん今いるんじゃないのか」
「風呂に入っているよ、その間に寂しい一人者の
お前に幸せを分けてあげようかとおもって」
「ったくなんて奴だ」
「まあまあ、千鶴さん上がったみたいだから切るな」
「おうまたな、今度酒でもゆっくり飲もうな、耕一のおごりでな」
「ははは、そうだな、じゃまた」
これが耕一の話しさ。
まさか、あいつもホームページで公開するとは夢にも思わないだろう。
ちょいとした考えとはこのことさ。
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