ある夏の日(四部)

 

 

 

 

「あさ〜♪♪あさだよ〜♪♪あさごはん食べて学校いくよ〜♪♪」

 

・・・ん、朝!?

 

「あさ〜♪♪あさだよ〜♪♪あさごはん食べて学校いくよ〜♪♪」

 

「今は夏休みだぞ」

 

と、馬鹿なことをいって目覚まし時計を止める。

 

時間は7時20分、準備して出かけるには少し早いかな。

 

といっても準備するものなんてほとんど無いんだがな。

 

とりあえず、顔洗うか。

 

・・・ん、居間から声が、随分賑やかだな。

 

ひょっとしてもう誰か来てるのか?

 

顔を洗う前に居間に行ってみる、すると、

 

「あっ、祐一さんおはようございます」

 

・・・佐祐理さんだった、ということは舞ももう来てるのか。

 

「おはよう佐祐理さん。随分早いね、俺なんか今さっき目が醒めたのに」

 

「すいません、ちょっと早すぎましたか?」

 

「いや、かまわないよ。名雪とあゆももう起きてるし」

 

「はい、今みんなで朝ごはん食べてるんですよ」

 

テーブルには舞とあゆと名雪がご飯を食べていた。

 

「あっ、祐一、おはよう」

 

「祐一君、おはよう」

 

「・・・このたこさんウインナー・・・かなり嫌いじゃない」

 

「あぁ、おはよう。舞、お前には朝の挨拶というものがないのか」

 

「あははー、駄目ですよ舞。朝はちゃんと挨拶しないと」

 

「・・・・・・おはよう」

 

「もう準備はいいのか?」

 

「うん、舞さんと佐祐理さんにも手伝ってもらったからすぐ出来たよ。後はお母さんが来てから荷物のせるだけ」

 

「そっか、ありがと佐祐理さん、舞」

 

「そんなことないですよ、ご一緒させていただくのだからこのくらい当然です」

 

「ところで二人とも何時ぐらいに来たんだ?」

 

「そうですね、七時ちょっと前くらいですね」

 

「そっ、そんなに早く」

 

「えぇ、舞がせかすもので。舞なんか今日が待ち遠しくてなかなか寝付けなかったみたいですよ」

 

・・・小学生の遠足じゃあるまいし。

 

「それで今日は五時くらいに起こされちゃいました」

 

その瞬間舞が佐祐理さんにチョップを入れる。

 

「あははー、他にもいろいろあるんですけど舞が照れちゃうんでやめときますねー」

 

・・・まだあるのか。

 

「でもお前、寝てなくて大丈夫なのか?海行って寝るなよ」

 

「・・・大丈夫、昨日は一日寝ていたから」

 

・・・なるほど。

 

「祐一も朝ごはん食べるよね?」

 

「あぁ、食べる。今顔洗ってくるから」

 

と、洗面所に行く。

 

顔洗って、歯を磨いて、寝癖を直す・・・でも海入るんだから髪の毛をわざわざセットすることもないな、いいや適当で。

 

さて、朝飯でも食うか。

 

ピンポーン

 

ん、誰か来たみたいだな。

 

「はい」

 

玄関を開けると、栞と香里がいた・・・それからおまけがもう一人。

 

「よっおはよう、栞、香里・・・んでもって北川」

 

「おはようございます」

 

「おはよう」

 

「・・・っく、お前一人でいい思いしようたってそうはいかないからな」

 

「お前、そんな荷物持たされて息切れして、強がりいってもむなしいだけだぞ」

 

大方荷物持ちでもさせられたのだろう、北川は両手にたくさんの荷物を持っていた。

 

・・・他の二人がほとんど手ぶらなのは言うまでもない。

 

「だいたいお前、何で俺を誘わないんだよ」

 

「あー、そうだな。多分みんな誘っていくって決めた時にみんなの中に北川という名前はふくまれてなかったからだろうな」

 

「本屋で偶然栞ちゃんに会わなかったら俺はここにいなかったんだぞ」

 

「いいじゃないか、今ここにいるんだから」

 

「そういう問題じゃない」

 

「分かったって、次から誘うから」

 

「本当か?絶対だぞ」

 

そんなに香里と行きたいなら自分から誘えばいいのになぁ。

 

「三人とも朝ご飯食べてきたのか?昨日の残りもんでよかったらあるけど。昨日の夕飯結構余っちゃって」

 

「あっ、私達は食べてきましたから」

 

「残り物だろ?お前の食い残しなんていらん」

 

「そうか、残念だな。昨日の夕飯は名雪が腕によりをかけて作ったごちそうだったんだが」

 

「・・・ごめんなさい、食べたいです」

 

「いや、無理しなくていいそ。舞と佐祐理さんも食べてるし、俺もこれから食べるつもりだから」

 

「だから悪かったって」

 

「分かった分かった。とりあえず3人とも上がってくれ」

 

「「「おじゃまします」」」

 

後は・・・真琴と天野と秋子さんか。

 

まぁ秋子さんは大丈夫だろうが、問題はあの二人だな。

 

多分真琴が荷物たくさん持ってくだの何だの言って天野も断りきれなくなって遅くなってるってとこだな。

 

まぁそのうち来るだろ、飯でも食って待つとするか。

 

居間に戻ってテーブルにつこうとすると・・・なんか俺の座る席なくなってないか!?

 

「おい、北川。ここは俺の席だ、どいてもらおうか」

 

「ふひひゃふごもごご」

 

「汚いな、食いながらしゃべるなっつの。いいからどけよ、飯食えないだろうが」

 

「駄目だよ祐一、お客さんにそんなこと言っちゃ。私もう食べ終わったからここ座っていいよ」

 

「そうか、悪いな」

 

ふぅ、やっと落ち着いて飯が食えるな。

 

ピンポーン

 

・・・またか、多分天野と真琴だろう。

 

「祐一いいよ、私が出るから」

 

「いや、俺が出る。どのみち真琴が来たんじゃ落ち着いて飯食えないしな」

 

「うん、わかったよ」

 

「じゃあ、名雪。悪いけどこれタッパーに詰めてくれないか?車の中で食べたいから」

 

「うん」

 

ピンポン ピンポン ピンポーン!!

 

「あぁ、もううっせーなぁ」

 

ガチャ

 

ゴン

 

・・・ん、何かにあたったな。

 

「あうー、痛い」

 

真琴がおでこを押さえてうずくまっていた。

 

「おまえなぁ、なんで扉の真ん前に立ってるんだよ。開けたらぶつかるに決まってるじゃないか」

 

「うぅ、祐一がすぐ出ないのがいけないんでしょ」

 

「・・・はぁ、とりあえず二人ともおはよう」

 

いつまでも相手をしてられないので話しを流す。

 

「おはようございます、相沢さん」

 

「話しをそらさないでよ」

 

「・・・朝の挨拶は?」

 

「あうー、分かったわよぉ。おはよう、これでいいんでしょ」

 

「あぁ」

 

こういう所は変に律儀なんだよな、これが真琴のいい所でもあるけど。

 

「それにしちゃあ随分と遅かったな。二人の荷物を見る限り理由はわかるけど」

 

「すいません、もっと早く来るつもりだったんですけどちょっと準備に時間がかかってしまいまして」

 

「いやいいよ、どうせ真琴がどれもこれも持っていくって言い出したんだろうし」

 

「なによー、祐一には貸してあげないんだからね」

 

「あぁいいよ、それよりお前それ帰りも持って帰るんだぞ」

 

今になって、小学校の遠足で最後に先生から、『家に帰るまでが遠足ですからね』という意味が自分なりにわかった気がする・・・。

 

「あうー、美汐―どうしよう」

 

「・・・どうしましょうか」

 

といいつつも天野は俺のほうを見る、あの目は助けてくれという意思表示だな。

 

「ったく、前日に電話でもしてくれりゃ俺の方で用意したのに」

 

「大丈夫よ真琴、帰りは車で送ってあげるから」

 

・・・いつのまにか秋子さんが俺の後ろに・・・何故だ?俺が起きた時にはいなかったはずだぞ。

 

「「おはようございます」」

 

天野と真琴がペコリと頭を下げて挨拶する。

 

この二人は秋子さんが元々家にいるものだと思ってるから驚きはしない、当たり前だが。

 

「あ・・・の・・・秋子さんいつ帰ってきたんですか?俺が起きた時にはいなかった気がするんですけど」

 

「今ですよ、他のみなさんはもう来てるようですね」

 

・・・今ですよってじゃあどうやって家に?

 

「えーっと、今帰ってこられたんですよね?」

 

「えぇ、そうですよ」

 

「では、どうやって家に入ったんですか?」

 

「それは・・・秘密です」

 

多分追及してはいけないんだろうな。

 

「秋子さんは休まれなくていいんですか?」

 

「えぇ、向こうで充分休みましたから、それでは準備して行きましょうか」

 

「わかりました、じゃあみんなを呼んできますね。すぐに出るから天野と真琴はそこで待っていてくれ」

 

「わかりました」

 

「うん」

 

・・・居間にいきみんなに声をかける。

 

「みんな、秋子さんと天野・真琴組が到着したから準備して外に出てくれ」

 

ん、何かテーブルに突っ伏してる奴がいる・・・見間違うわけもない、北川だ。

 

「あ〜い〜ざ〜わ〜・・・」

 

「あぁ、何だよ変な声出して」

 

「食い過ぎて・・・動けん・・・俺の荷物を・・・」

 

俺はその次の言葉を遮り、

 

「馬鹿、こんな時こそ男手が必要なんだぞ。しかもこんな時こそ他の子の荷物をさりげなくもってるやることでポイントアップにも繋がると思うんだが」

 

「ふっふっふ、じゃあ行こうか」

 

さっきまでウンウンうなっていたのに急に動き出しやがった・・・やはり仮病か、しかし相変わらず単純なやつだ。

 

「あぁ、あゆ。荷物は少なくしとけよ、真琴もたくさん遊ぶものもってきてるから何かが足らないってことはないと思うから」

 

「えぇ、ボクも持っていきたいよぉ」

 

・・・お前は子供か。

 

「だって、持っていったって邪魔になるだけだぞ」

 

「えっと、じゃあこれだけ・・・」

 

よりによって浮き輪かよ。

 

「あぁ、あゆさんその浮き輪かわいいですね。でも私のも負けないです、ほらっ」

 

・・・雪だるまが絵柄の浮き輪!?

 

「栞、そんなの何処で買ってきたんだ、というよりお前ら二人は泳げないのか?」

 

「うん、泳げないよ」

 

「はい、泳げません」

 

そんな威張っていう事じゃないのに。

 

「でも、海に入らなくても出来ることはたくさんありますから」

 

「例えば?」

 

「砂で絵を描きます、祐一さんモデルになって下さいね。私も上手くなったんですから」

 

「やけに自信たっぷりだな、その根拠は?」

 

「はい、美術部の先輩方が、『もう教えることはない』っておっしゃっていましたから」

 

それは・・・見放されたと解釈するべきじゃないのか。

 

モデルか・・・つまりあの時から進歩してないと・・・。

 

「いや、モデルは遠慮しとく。それよりもあゆ、栞、海行ったら泳ぎ方教えてやる」

 

「本当?」

 

「本当ですか?」

 

「あぁ、多分真琴も泳げなさそうだしな、まとめて教えてやる。泳げると何かと楽しいぞ、海だし潜れば魚とかも見れるかもしれないしな」

 

「本当に、魚見れるの?」

 

「あぁ」

 

「おさかなさん?」

 

「何だ、舞。魚が泳いでるの見たことないのか?」

 

「佐祐理といった水族館しかない」

 

「そっか、じゃあ楽しみだな。くれぐれも捕って食べるなよ」

 

ビシッ

 

「分かってるよ、冗談だって。あぁ、それよりも早く準備しないと。秋子さん達待たせたら悪いから」

 

コク

 

よし、俺も準備・・・といっても俺が個人が持っていくのは海パンとあともしものときの着替えくらいだな。

 

みんなで持っていく分はもう準備してあるっていってたからそれを持っていくか。

 

「名雪―、これ持ってちゃっていいのか?」

 

「うん、お願いしていい?」

 

「あぁ」

 

外にはもうみんな出ているな。

 

「えっと秋子さん車はとこに止めたんですか」

 

「玄関の前の道だとちょっと狭いのでそこの脇に止めてありますよ」

 

「そうですか」

 

よし、みんな揃っているな。

 

「じゃあ、秋子さん。一日よろしくお願いします」

 

「よろしくね、お母さん」

 

「「「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」」」

 

「はい、それでは行きましょうか」

 

・・・とりあえず、脇の道には出たのだがもしかして、いや多分確実に、

 

「秋子さん、もしかして知り合いからお借りしてきた車ってこれですか?」

 

「えぇ、そうですよ」

 

これなら、確かにこの大人数でもらくらく乗れるだろう・・・しかしこれは・・・。

 

「秋子さん、今日の行き先は大丈夫ですよね」

 

「はい、海ですよね。すごい穴場の綺麗な海があるんですよ」

 

よかった、山とは勘違いしてないようだけど・・・これはどう見てもキャンピングーカー・・・だよな。

 

他のみんなもあっけにとられてる。

 

「すごいねー」


「美汐―、おっきいねぇ」

 

「すごいです」

 

・・・あゆ、真琴、栞のお子様を除いて。

 

「ふぇー、佐祐理もこんなに大きい車は初めてです」

 

あのお嬢様の佐祐理さんがびっくりしてるんだ、普通の常識があるやつならこれには圧倒されるだろう。

 

・・・とりあえず、夢じゃないよな。

 

ムニィー

 

「うぐぅ、祐一くん。ひ、ひたいよー」

 

あゆのほっぺを引っ張ってみる、痛がってるし夢ではないんだろう。

 

「いや、悪い。夢かなって思って」

 

「うぐぅ、それなら自分のを引っ張ってよ」

 

「じゃあ、みんな乗ってくださいね」

 

なんか、行く前からすごく疲れてるのは俺だけだろうか。

 

行く前でこんなに疲れてるんだ、海に行ったらどうなるんだろう。

 

・・・イカンイカン、こんなことじゃ。

 

これから名雪とのことを真剣に考えてみるとあゆにいったばかりなのにこれじゃあ。

 

でも、これだけ予期しないことがおきると流石に・・・はぁ・・・すごい不安になってきた。

 

とりあえず、これだけは祈っておこう。

 

・・・無事に帰れますように。

 

 

 

 

あとがき

ごめんなさい、これで・・・これで終わりにするっていってあったのに。でも、最後まで書こうとするといつ出せるかわからない、なら小出し小出しでいったほうがいいのでは思いました。これを出した後少し忙しくなりそうですので(2002年11月4日現在 大学四年生)。そう、大学生活の集大成の卒業論文というとてつもないボスキャラが待ち受けていまして、多分HP全体の更新が遅れてしまうのではないかという意識にかられたのでここで出すことにしました。でも、今回三部以上になんのひねりもなく、単なるギャグになっていますね・・・うぅかなり中途半端・・・ヒロイン名雪なのに全然祐一としゃべってないし・・・ごめんなさい、これしかいいようがないです。何かこう小出しで行ってると次でも終わらない予感が・・・すいません予定変更、目標“このSSを書き上げる”に変えます。

 

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