アトラスの転校生4

 

「・・・・・・・・・」

 

ここで、2人の話を聞いていても仕方ない、俺も・・・。

 

「志貴、もうご飯が食べ終わったのなら立ち聞きなどせずにこっちにきたらどうですか?」

 

シオンから先に声をかけてきた。

 

「別に立ち聞きしていたつもりはないんだけど」

 

そう言いながら、ソファに座る。

 

秋葉はというと・・・。

 

「・・・に、兄さん、いつからそこに」

 

うん、とても驚いているようだ。

 

秋葉の位置からは俺の立っている姿は見えないし、話に夢中になっていたとあれば気づかないは当たり前かもしれない。

 

「あぁ、ついさっきかな。もう少し詳しく言うと秋葉が『そう、わかったわ・・・』って言ったあたりかな」

 

「・・・な」

 

さらに驚いている・・・秋葉の狼狽した姿は滅多に見られることはないので、お兄ちゃんとしては結構嬉しかったりする。

 

「いいでしょう、この際だから兄さんにもはっきり言っておく必要があるようですね」

 

・・・・・・・・・。

 

いつもの秋葉に戻っていた・・・相変わらず変わり身の早いことで・・・。

 

「はっきり言っておくって・・・先に言っておくけど、シエル先輩とかとあまり付き合うなっていう話なら却下だからな」

 

それでなくても・・・昨日シオンが先輩怒らせて今日会うのが気まずいっていうのに・・・

 

「ですが、兄さん・・・」

 

「秋葉、待ってください」

 

秋葉が発言しようとしたところを、シオンが止める。

 

「志貴・・・これは私も同じ意見です。代行者とはあまり関わらないほうがいいと思います」

 

意外・・・でもないか、シオンは先輩に追われている身だし。

 

「シオンは先輩に追われているからだろ。俺は大丈夫だし、シオンのことについても先輩には手出しさせないから平気だって」

 

「そういうことではありません。志貴が代行者を制してくれるのは嬉しい・・・。ただ、それとこれとは話が別です、だいたい、志貴は不思議に思ったことはないのですか? もともと彼女はロアを追ってこの地にやってきた、そして彼の転生先は遠野家であることから、遠野志貴が通っているあの学校にもぐりこんだ・・・ですが、もう彼は滅びました。彼女がここにとどまる理由はありません。ですが、彼女はここに残っている・・・」

 

確かに、シオンの言うとおりだと思う、でも先輩が帰らないのって単に・・・。

 

「アルクェイドがここにいるからじゃないかな、多分・・・」

 

「そうですね、それもあります。しかし、真祖を監視するだけならば学校に紛れ込む必要はない」

 

・・・う、そう言われてしまうと俺も返答のしようがないのだが。

 

多分、このことをシエル先輩に聞いたら・・・。

 

『知りたいですか? 遠野君?』

 

にっこり笑っている先輩が目に浮かぶ・・・とても聞けるものじゃないだろう。

 

「ともかく、シエル先輩も有彦も俺の大事な友人なんだ。俺の言いたいことはそれだけ。それよりも時間いいのか?

 

強引に話を終わらせる。

 

「え・・・あ、そうですね、それでは私は行ってきます」

 

残っていた紅茶を飲み干して立ち上がる。

 

「待ってください秋葉。私も行きます。今日は事務室に用があるので」

 

シオンも同様に立ち上がる。

 

・・・そうだな、俺も一緒に行くかな。

 

「秋葉・・・俺も行くよ。門のところまで一緒に行こう」

 

「・・・・・・・・・」

 

何か固まっている・・・変なこと言ったかな。

 

「秋葉?」

 

「え・・・はい、では行きましょうか」

 

「あぁ・・・って、でも大丈夫か?体の具合良くないなら・・・」

 

「いえ、大丈夫ですから」

 

全く大丈夫そうに見えない、遠野家の血によるものだろう、時々秋葉は突発的に頭痛を伴ったり、発熱したりする。

 

「いや、大丈夫ってことはないだろ。そんなに顔が赤いんだから」

 

そういいながら、秋葉のおでこに手をあてる・・・。

 

「あ・・・」

 

「ほら、やっぱり熱っぽいじゃないか。やっぱり今日は・・・」

 

「だ・・・大丈夫ですから」

 

そういいながら、一人でさっさと玄関に方に行ってしまった。

 

そう言うと、さっさと玄関まで行ってしまった・・・何なんだ一体。

 

とりあえず、風邪薬だけでも、琥珀さん・・・はまだ意識が戻っているかわからないから、翡翠だな。

 

「えっと・・・」

 

「志貴、風邪薬の必要はありません」

 

シオンのほうを見ると何だか呆れた顔をしていた。

 

「なんでだよ、シオン・・・もし学校で悪化したら大変だろう」

 

「志貴、私が先ほど廊下で話したことを覚えていますか」

 

廊下で・・・確かシオンに鈍いとか言われたことありますかと聞かれたときだな。

 

「あぁ、覚えているよ、それが何か関係あるの?」

 

「いえ、私の忠告を全く理解していなかったようなので少し呆れていたところです」

 

「呆れていたって、妹の心配するのが呆れることなのか? シオン、それはちょっとひどいと思うぞ」

 

流石に今のは少し頭にきたので少し怒気を含ませて反論してみる。

 

「志貴、秋葉は別に風邪をひいたわけではありません・・・」

 

「・・・え!?」

 

思いがけない言葉にすっとんきょうな言葉をはっしてしまう。

 

「私が言えるのはここまでです。あとは志貴が気づくかということです・・・結果は見えていますが。では玄関でお待ちしています」

 

それだけ言うと、シオンは行ってしまった。

 

・・・・・・・・・。

 

まぁ、秋葉が風邪ひいたわけではないということがわかっただけでもよしとするか。

 

秋葉とシオンが待っている、俺も早く玄関に行こう。

 

玄関に行くと、秋葉とシオンが待っており、そのすぐ側には翡翠が俺の鞄を持って待っていた。

 

「お待たせ、じゃあいこうか」

 

「そうですね」

 

まだ頬の赤い秋葉が答える・・・ほんとに大丈夫なのか!?

 

「志貴さま、今日のお帰りは何時ごろになるでしょうか?」

 

「ん〜、そうだな。ちょっとわからないな。多分夕方ころだと思うけど」

 

今日から授業だし、何事もなければ夕方頃までには帰れると思うんだが・・・何事もなければ・・・。

 

「そうですか、わかりました」

 

「ごめん、あいまいなこと言っちゃって」

 

「いえ、主人の帰りにあわせるのが使用人の義務ですから」

 

・・・いつもの翡翠に戻っている、さっきまで怒っているように見えたのに。

 

「兄さん、早く行きましょう」

 

「え・・・あ、あぁ・・・」

 

今度は秋葉が起こっているっぽいし、さっきまで調子悪そうに見えたのに・・・相変わらずわからない。

 

シオンは・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

呆れた目で俺を見ていた。

 

「じゃあ、いってくるから」

 

「はい、いってらっしゃいませ、志貴さま、秋葉さま、シオンさま」

 

翡翠に挨拶をして屋敷を出る・・・。

 

「兄さんとこうして登校するのは始めてかもしれませんね」

 

調子が悪そうに見えて玄関では怒っているように見えた秋葉が今度はご機嫌である。

 

「一緒っていっても屋敷から門のところまでほんの数十メートルくらいだけどな」

 

「それでも、いいんです。・・・・・・兄さんと一緒に登校できれば・・・

 

「え・・・何?何か言った?」

 

「いいえ、何でもありませんよ」

 

よくわからないが、秋葉の機嫌がいいのなら、それでいいのかもな。

 

「よし、じゃあ俺が早起きできたときは、一緒に出ようか?」

 

「はい、そうしてくださると嬉しいです」

 

「まぁ、いつまで早起きできるかわからないけど・・・」

 

「えぇ、期待しないで待っていますね」

 

「ははっ、そうしてくれると助かる」

 

そんな話をしているうちに、正門のところについてしまう。

 

「では、私はこれで・・・兄さんもシオンも気をつけて」

 

「あぁ、行ってくるよ」

 

ここからは別方向、秋葉は車にのり、俺たちは坂をおりだした・・・。

 

・・・・・・・・。

 

玄関では翡翠と、玄関から門までは秋葉としゃべっていたから気づかなかったが、シオンは終始黙ったままだった・・・というより何かを考え込んでいるようだった。

 

「シオンどうかしたのか?何か考え込んでいるようだけど」

 

「えぇ、あなたの理解不能な行動について考えていました」

 

・・・・・・理解不能な行動って・・・俺、何かしたか?

 

「居間ではあんなにかみ合わなかったのに、今では相手の考えていることをわかっているかのような行動・・・あなたの行動には変化はないというのに・・・何故こんなにも・・・」

 

「あの、シオンわかりやすく説明してくれると助かるんだけど・・・」

 

・・・言ってから気づく、シオンにこういう問いかけをすると。

 

「まだわからないのですか?・・・わかりにくくしているのは貴方だと言っているのです。廊下で忠告したというのにそれを全く理解した様子はなく、居間では秋葉の意思を無視した行動と言動・・・そして、今の行動を全くもって同じ。私の計算を狂わせているのは貴方なのです」

 

がぁ〜っとまくしたてられる・・・こうなったシオンはちょっと手がつけられない。

 

これから五分ほどシオンの説教が続き・・・。

 

「はぁ・・・これがずっと続いてかと思うと、秋葉、翡翠、琥珀に同情せざるを得ませんね」

 

ため息までつけてくれた。

 

「志貴・・・早く歩かないと早めに出た意味がなくなりますよ」

 

説教することで気が晴れたのか、最後は何事もなかったのかのように歩き出した。

 

今日から授業だってのに・・・朝からこんなに疲れるなんて・・・。

 

早起きは三文の得というが・・・今のところ良いことが一つもないのは果たして気のせいだろうか・・・。

 

続く

 

 

 

 

あとがき

何か更新するのに一ヶ月以上かかってしまったわけですが・・・しかも今はFateブームだというのに一人、メルブラネタを書き続けてしまっていますが・・・。SSに関して根本的に性格が天邪鬼ですからブームとは違ったことを常にやることを心情としていますから♪♪ せて、次回はもっと早く書けるようにしたいですね。できればFateのレビューと一緒にという感じで♪♪ では、次回のSSでまたお会いしましょう。

 

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