アトラスの転校生10
なんで秋葉がもう家に帰っているんだ?
いつもなら、まだ帰っていないのに・・・まさか、うちの今日の実力試験を知って・・・。
いや、それはありえないか。
今日テストがあるなんて秋葉には言っていないし、普通の中間、期末テストみたいに午前中で終わるわけでもないし。
となると・・・。
・・・そういえば、今朝秋葉熱っぽかったような、それで具合が悪くなって早退してきたんじゃ。
くそ、だから今日休めって言ったのに無理するから。
「秋葉!!」
「何ですか兄さ・・・」
秋葉が言葉を返しおわるまえに、秋葉のおでこと自分のおでこをくっつける・・・。
「あ・・・の、何を・・・」
やっぱり熱い・・というかこれどんどん体温が上がっていってないか!?
「だから、具合悪いなら休めって言ったじゃないか」
「兄さん? さっきから何を・・・」
とにかく、このままじゃまずい、早く寝室に運ばないと・・・。
「シオンは琥珀さんを呼んで薬を用意してもらって、アルクェイドは翡翠と一緒に氷まくらを作ってくれ。俺は秋葉を寝室に運ぶから」
「・・・・・・・・・」
「ごめん、秋葉。ちょっとだけ我慢してくれ。すぐ寝室に運ぶから」
「え・・・ちょっと、兄さん」
そのまま抱きかかえ、秋葉を寝室に連れて行く。
「ねぇ、シオン・・・妹は風邪ひいてるの? とてもそんな感じじゃなかったと思うけど」
「えぇ、志貴の早とちりです。今朝もこのようなことがありました。秋葉がただ照れているだけだと何故気づけないのでしょう」
「志貴だからじゃない。ところでどうするの、 氷まくら作る?私は別に作ってもいいんだけど。楽しそうだし」
「このまま志貴の話に乗るというのも良い選択肢だと思いますが、翡翠と琥珀の手を煩わせてしまうのは心苦しいので止めておきましょう」
「おかえりなさいませ、シオン様・・・アルクェイド様」
「あっ、翡翠だ」
「私もいますよ。おかえりなさい、シオンさん、アルクェイドさん。どうしたんですかその格好?それと志貴さんの姿が見えないようなのですが」
「えへへ、似合う?今日から志貴の学校に通うことにしたんだ〜」
「はい、とっても似合っていますよ。私も着てみたいです」
「志貴は、先ほど秋葉を抱えて秋葉の寝室に行きました。今朝の勘違いがまだ続いているようです。それにしても今日は秋葉が早めに帰宅しているようですが」
「はい、本当はこの後もご予定があるのですが、事情があるようで全てキャンセルなされました。もしかしてアルクェイドさんが制服を着ているのと何か関係があったりしますか?」
「秋葉の真意は正確にはわかりませんが、可能性は高いと思われますね」
「それで、今日アルクェイド様がいらっしゃった用件は何でしょうか?」
「最初は志貴と遊ぶ予定だったんだけど、急遽志貴の勉強を見ることになったの」
「志貴さんのお勉強ですか?でも、志貴さんって成績はいいはずですけど」
「今回は私のせいで、志貴の成績が下がってしまったので」
「志貴さんがシオンさんのお手伝いをしていたことがですか? でも、志貴さんはそういうのは気にしないほうなのでは」
「確かにそうです、志貴にも同じことを言われました。しかし、成績が下がってしまったことは事実なので、恩がえしというわけでもありませんが、志貴の勉強を見ることにしました」
「わかりました。志貴さんもじき居間の方にいらっしゃるでしょうし、紅茶でも淹れて待っていましょう」
「あっ、紅茶は翡翠が淹れてほしい。この前、翡翠が淹れてくれた紅茶・・・すっごい美味しかったし」
「ミルクティーですか、わかりましたすぐお淹れいたします」
「あの・・・兄さん、私は大丈夫ですから」
「何言ってるんだ、そんな赤い顔しているのに、大丈夫なわけないだろう」
「ですから、これは別に風邪をひいているわけでは・・・」
「だって、さっき熱はかったらすごく熱かったじゃないか。無理するなって・・・」
こういう時くらい素直になってくれないと困る。
「とりあえず落ち着いてください」
「・・・・・・・・・」
確かに・・・かなり気が動転していたようだ。
「すまない、何か一人で勝手に慌てていたみたいだ」
「あと、そろそろおろしてほしいのですが」
「立ってて大丈夫なのか?」
「大丈夫も何も兄さんを出迎えるときに、私は立っていたと思いますけど」
「あぁ、そうだったな」
そう言って、秋葉をおろす。
「じゃあ、聞くけど何でさっきは額が熱かったんだ?」
「ここで話すのもなんなので中にはいったらどうです? 私もいくつか聞きたいことがありますし」
「あぁ、わかった」
秋葉が聞きたいことというのは十中八九、アルクェイドのことだろう。
「まず、先ほどから兄さんが騒いでいますけど、私は別に風邪をひいているわけではありません」
「でも、さっきは・・・」
「いきなり、額をくっつけられては・・・その、恥ずかしくて顔も赤くもなり熱くもなります」
プイっと顔をそむけながら答える・・・今でも少し恥ずかしいらしい。
「それに、私は他の方と比べて平熱が高いことは兄さんもご存知かと思いますが」
「あぁ、そうだったな」
・・・ってことは、朝から一人で騒いでいただけなのか。
・・・・・・・・・。
「どうしたんですか兄さん?」
「俺何やっているのかなって。朝から一人で騒いでみんなに迷惑かけて、それで・・・」
「兄さん・・・」
「何だ?」
「私は嬉しかったです。確かに兄さんの勘違いかもしれませんが、兄さんがここまで心配してくれたんですから」
「あのなぁ、大事な妹が風邪ひいたかもしれないってのに、心配しない兄貴はいないよ」
「ふふ、そうですか」
まぁ、こんなに嬉しそうに笑う秋葉を見れたのは良かったことなのかもしれない。
「それで、秋葉。聞きたいことっていうのは?」
「はい、今日兄さんの学校ではテストがあったと思うのですが、結果はどうだったか聞きたいのですが」
・・・あ、何か秋葉の感じが変わった気が。
というか、何で秋葉がテストのことを知っているんだ。
折角何かいい雰囲気になってきたというのに、またしても自分で墓穴を掘ってしまった気がする・・・。
続く
※
おまけ
「なんか、どんどん私の出番がなくなっている気がするのですが?」
「気のせいではなくて、真実ですよ、マスター」
「何故、遠野君のお屋敷に私だけが呼ばれていないのですか?」
「それは、だれもマスターのことを呼んでいないからですよ」
「おまけにしか出てこなく、オチに使われているのは気のせいですか?」
「それも、気のせいではなく、真実ですよ。というか誰も最近マスターの話をしないですねぇ・・・眼中にないっていうか・・・話にしてもしょうがないっていうかって、あわわ、何でまたくだらない改造の準備してるんdせすかぁ・・・」
あとがき
かなり個人的な理由により、ちょいと中途半端による続き・・・それもこれも全て現実世界が悪いと憤りを感じている、今日このごろです。現実世界では人事異動の真っ最中により、精神が壊れかかっています・・・。さて、今回ですがもうちょっと秋葉をしおらしく書くつもりですが、どうやら無理だったようで・・・。
あと、志貴という語り手を失った会話だけの部分、なんか変というかすっごく書きづらいことを悟りました・・・やはり、語り手はとてもとても重要みたいです。では、また次のSSでお会いしましょう。
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