アトラスの転校生9

 

キーンコーン・・・

 

「よし、じゃあ終了だ。筆記用具をおいて後ろから答案用紙を前にまわせ」

 

・・・・・・・・・。

 

やばい・・・やばすぎる・・・。

 

何がやばいって、今までテストを受けてきた中で一番出来が悪い。

 

夏休みの間、吸血鬼退治やらシオンの手伝い、ならびに家族サービス(無論秋葉を中心に・・・)に徹してたからなぁ。

 

勉強に当てる時間なんか皆無に等しかった。

 

勉強自体はこれから取り戻せばなんとでもなるからいいんだが、問題はこのテストの結果に対する秋葉の説教というか・・・。

 

そう・・・。

 

 

 

『遠野志貴は、試験全般の結果を遠野秋葉に見せなければならない』

 

 

 

すでにこれは義務化されている。

 

有馬の家にいたときも、試験の結果は啓子さんに見せていたが、まさか秋葉に見せろと言われるとは思いもしなかった。

 

始まりは、遠野の屋敷に戻ってから受けた中間試験の結果からである。

 

基本的に俺が帰宅する時間には秋葉は屋敷にはいない。

 

学校が隣の県にあるのもあるが、大抵習い事関連で帰宅するのが遅くなる。

 

その秋葉がすでに帰宅していた・・・その時はなんか用事があって早めに帰宅したんだろうとしか思っていなかったのが、その用事がまさか俺にあるとは思いもしなかった。

 

ただ、その時の結果は良好だったので何も言われずに済んだのだが、一度成績が下がったことがあり、その時の秋葉怒りようは結構怖いものがあった。

 

「いいですか、兄さん。兄さんは遠野家の長男なんです。その長男がこのような成績でいいはずがありません。このようなことが続くようなら私にも考えがありますから」

 

とまぁ、こんなことを言われ・・・挙句の果てには。

 

「だいたい兄さんは、あの変態吸血鬼と遊びすぎなんです。そんな時間があるのなら、勉学に励んでください」

 

どうやら、俺の帰りが遅い=アルクェイドと一緒にいる という図式が出来上がっている秋葉には何も言っても無駄であり、遠野志貴が日常生活を円満に過ごすための材料の1つとして、成績維持という項目が出来上がってしまった。

 

それが今回の試験の結果はとんでもなく不出来であり、これからの日常生活に非常に支障をきたすことになる。

 

・・・とりあえず、帰るとするか。

 

シオンとアルクェイドは・・・どうせクラスのやつらに取り囲まれているだろうしいいか。

 

鞄持って適当に挨拶をかわしながら下校を開始する。

 

靴を履き替え・・・正門を通ろうとしたとき・・・。

 

「ちょっと志貴、何で1人で帰ろうとしてるのよ」

 

いきなり、アルクェイドに声をかけられる。

 

「えっと・・・何でここに?」

 

気づけばさっきまでクラスメイトに取り囲まれていたはずの、アルクェイドとシオンが立っていた。

 

「何でじゃないわよ、志貴ったらさっさと1人で帰っちゃうんだもん。後追いかけてきたに決まっているでしょ」

 

シオンはともかく、アルクェイドはいたくご立腹のようだ。

 

「いや、それはクラスのやつらと話していたから邪魔しちゃ悪いかなと思っただけなんだけど」

 

「そんなことどうでもいいの。私は志貴と一緒にいたいからこの学校に来たのにそれを放っておいて先に帰ることを言っているの」

 

相変わらず、自分本位をお姫様である。

 

あそこで俺がアルクェイドとシオンに声をかけて、一緒に帰っていたならどうなるかというものを考えていないようだ。

 

シオンと一緒に歩いているときでさえ、睨まれているのにアルクェイドまで加わってしまったらどうなるかわかったものではない。

 

「志貴、あなたの考えていることはよくわかりますが、それを危惧するなら一刻も早くここを移動するべきではないですか」

 

む・・・確かにそうだ。

 

「そうだね、帰るかな・・・じゃあ、アルクェイド・・・また明日」

 

「何言ってんの? 私も志貴のところいくんだよ」

 

・・・えっと。

 

「志貴、私が言ったことですが何かまずかったでしょうか」

 

そっかシオンが・・・まぁ、別にいいかな。

 

「じゃあ、行こうか」

 

「ちょっと志貴!! 貴方最近シオンに甘いんじゃないの?」

 

「ちょっと待て、何でアルクェイドが怒るんだ?」

 

しかもシオンに甘いとかよくわからないことを言い出すし。

 

「だって、今シオンが言ったから納得したでしょ。どうせ私が一人で言っても絶対に駄目って言うじゃない」

 

なるほど・・・そういうことか。

 

「シオンにはちゃんとした目的があるけど、お前にはないだろ」

 

「失礼ね、目的ぐらいちゃんとあるわよ。志貴と遊ぶことでしょ・・・妹からかうことでしょ・・・」

 

ろくな目的がない。

 

まぁ、いいか・・・アルクェイドらしいといえばらしいことだし。

 

「それよりも、私も1つ志貴に聞きたいことがあるんだけど」

 

「なんだ?」

 

「テスト終わったとき、すっごい悩んだ顔してたんだけど何かあったの?」

 

「あ・・・まぁ」

 

「志貴が何かしでかして妹に怒られている顔によく似ていたけど何なのかなぁ?」

 

う・・・悔しいけどあたっている。

 

「テストの出来が予想以上に悪かったのでしょう。申し訳ありません、志貴。責任は私にあります」

 

「いや、シオンが謝ることなんてないぞ。俺が勝手にシオンに付き合っているだけなんだし」

 

「そうよ、要するに志貴がテストできなかったから悪いんでしょ」

 

確かにそうだが、お前に言われるとすごい腹立たしいんだが。

 

「確かにそうだとしても、直接的な原因は私にあります。幸い、私には時間に余裕が出来ました。ですからそのお礼といってはなんですが私が志貴の勉学を教えます」

 

・・・え?

 

「いや、ちょっと待て。そんなことしなくていいって。シオンは自分の目的を果たせばいいから」

 

「それでは、このまま秋葉に怒りを甘んじて受けるのですか」

 

それは・・・確かに覚悟していたけど、改めてそのことを言われるとやはり怖い。

 

「とりあえず、考えさせてくれ」

 

「なんか面白そうね、私も志貴の勉強みてあげるよ」

 

「勉強みてあげるよって、お前人に勉強とか教えられるのか?」

 

到底人に勉強教えるなんて見えないけど。

 

「む〜、失礼ね。言っておくけど、志貴なんかよりずっと出来るんだからね。さっきのテストだってわからないことなかったんだから」

 

「何?」

 

「言ったでしょ。この時代のことは知識として頭の中に入っているって」

 

「そりゃそうだけど、こんなことまで必要なのか?」

 

絶対に死徒を倒すのに必要のない事柄だと思うけど。

 

「どちらにしたって駄目だ」

 

「え〜、何でよ」

 

「志貴、納得のいく説明をお願いします」

 

「納得っていってもなぁ。まず、第一にシオンとアルクェイドに迷惑がかかるだろ。その次にはっきり言うと一人で勉強したほうが捗る」

 

「何っていうのかな。今まで他の人と一緒に勉強するってことなかったし、それに・・・」

 

・・・勉強なんて暇つぶし以外のなにものでもなかったから。

 

極力学校に残って復習をし、朝早く学校に行ってよ予習をするのが日課だったから。

 

「それに・・・なんですか」

 

「いや、なんでもない。とにかくいいよ。勉強は1人でやるから」

 

「志貴・・・それは、あんまりです。志貴は今までずっと1人だった私に・・・1人でいる寂しさを教えてくれた人ではないですか」

 

「・・・シオン?」

 

「志貴が困っていて、助けになりたいと思うことはそんなにいけないことなのですか?」

 

「私もシオンに同意かな。1人じゃ出来なかったことも2人なら出来ることは私も志貴に教えてもらったし」

 

「・・・アルクェイド」

 

・・・・・・・・・。

 

「わかった、わかったから。じゃあ、迷惑かけるかもしれないけど、よろしく」

 

「わかりました。ではすぐにでも屋敷に戻るとしましょう」

 

「そうだね、琥珀の淹れてくれる紅茶美味しいし」

 

二人はスタスタと歩いていってしまう。

 

「あ・・・ちょっと待て」

 

もしかして俺、はめられた?

 

とりあえず、おいていかれる前に2人に追いつくとしよう。

 

・・・・・・・・・。

 

「志貴遅いよ〜」

 

「悪い、今玄関開けるから・・・!?」

 

なんだ? 寒気がしたけど。

 

ガチャ・・・。

 

「おかえりなさい兄さん」

 

目の前に秋葉が立っていた。

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

あとがき

なんかもう、何を言っても言い訳がましいので、特に弁明はしないです。ただもう書ききれればそれでいいやと・・・。今度書くのは短編にしよう、そうしよう。あっ、そういえば最後いっつもシエル先輩のこと書くのですが、今回は出番もなかったですし、いいや。では、また次のSSでお会いしましょう。

 

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