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半年ぶりの・・・

設定・名雪エンドから、少し経ったできごとです。

   ・祐一と名雪は恋人同士です。

 

 

 

「はぁ・・・」

 

最近祐一の様子がおかしい。

 

学校終わってもすぐ下校しちゃうし、部活休みの時に一緒に商店街に行こうって言っても断われちゃう。

 

それに、日曜とかも朝早く出かけて夜遅くに帰ってくる、それでろくに話しもしないで寝ちゃうし。

 

私たち恋人同士なのに、なんか困ったことがあるなら相談してくれてもいいのにな。

 

「どうしたの、名雪」

 

「香里・・・ううん、なんでもないよ。どうして?」

 

「なんか1人で考え事してるみたいだったから。何か困ってることがあるなら相談に乗るわよ」

 

「・・・そうだよね。相談くらいするよね。友達でも困ったことがあったら、相談するんだもん。ましてや・・・」

 

「相沢君と何かあったの」

 

「・・・何も、何もないんだよ!!香里も知ってるでしょう、最近祐一がすぐに帰っちゃうの。それで私聞いてみたんだよ、なんか困ってるのって。そしたら、何もないからって、大丈夫だからって、何も言ってくれないんだよ。どうして?私たち恋人同士なのに」

 

「なるほどね、だいたいわかったわ。相沢君は絶対何か隠してる。でも、名雪には教えてくれない、それが悲しいのね」

 

「うん。私、嫌な子だよね」

 

「そんなことないと思うわよ。だって、好きな男の子のことなら、気になって当然でしょう?ましてや、付き合ってるんですもの、当然よ」

 

「そ、そうかな」

 

「まぁ、そんなに心配ならあたしが相沢君に聞いて見てあげるけど」

 

「ほんとに?でも、香里に悪いよ」

 

「いいから、いいから。任せておきなさいって」

二日後

「どう、香里。何かわかった」

 

「・・・え、えぇ大丈夫。何もなかったから心配しないで」

 

「祐一と同じ事言ってるぅ。ちゃんと教えてよぉ」

 

「そうねぇ、強いて言うなら、時間が解決してくれるわよ」

 

「え、どういうこと?」

 

「言葉通りよ」

 

「それじゃ、わからないよ」

 

「今日が木曜だから、三日以内には解決してるわよ」

 

「三日以内に何かあるの」

 

「はい、これでこの話しはお終い。今日名雪は部活ないんでしょ、百花屋で何か食べてきましょうか」

 

「なんか、ごまかしてるよぉ」

 

「イチゴサンデー奢ってあげるわよ」

 

「行くー♪♪」

 

なんかのせられちゃったけど、まぁいいか。

 

香里が奢ってくれるなんて珍しいし、香里は三日以内には解決するって言ってたし。

 

香里とちょっと真面目な話しをしてる時は、嘘言ったことないし。

 

あれから、二日経った土曜日の夜、今まで何もなかった。

 

明日が三日、ほんとに三日以内なのかなぁ。

 

「名雪―、ちょっといいか」

 

「ん?何?」

 

「明日の日曜なんだけどさ、暇か?」

 

「うん、部活もないし、大丈夫だよ」

 

「そっか、じゃあ明日一緒に出かけないか?」

 

「わぁ、うれしいなぁ、デートだよね」

 

「う・・・まぁ似たようなもんかな。で、時間なんだけど、十時ごろでいいかな」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「ほんとか?怪しいなぁ」

 

「大丈夫。じゃあ私もう寝るね。おやすみなさい、祐一」

 

嬉しいなぁ、香里の言ったこと当たったよ。でも、どこに連れてってくれるのかな、特に行き先は言ってなかったけど。

 

そんなことどうでもいっか、久しぶりの祐一とのデートだもんね。うふふ、楽しみー。

ジリジリジリジリジリジリピポピポピポピポピポピポピポピポリーンリーンリーンリーンリーンリーンリーンピピピピピピピピピピピピピピピピピピ・・・

 

ドンドンドン・・・

 

「おい、名雪起きろ!!今日出かけるんだろ。大丈夫とか言ってといて、全然起大丈夫じゃないじゃないか」

 

ドンドンドンドン・・・

 

ん、・・・声・・・祐一の、出かける?・・・!!

 

そうだ、今日は祐一とデートだったんだ・・・あぁ寝過ごしちゃったよー、急いで支度しなきゃ。

 

「名雪、起きろー!!」

 

「起きたよ、祐一。すぐ支度するから」

 

「ったく、しょうがない奴だな。下で待ってるから早くこいよ」

 

「うん、わかったよ。それと祐一」

 

「ん、何だ?」

 

「おはようございます」

 

「あぁ、おはよう。とにかく急げよ」

 

「うんっ」



 

「おまたせー、準備できたよ」

 

「よし、じゃいくか」

 

「でも私、まだ朝ごはん食べてない」

 

「それは名雪が悪い、俺はちゃんと八時には起きて食べたぞ。我慢しろ」

 

「うー、お腹ぺこぺこ」

 

「ったく、しょうがないなー。じゃあ待っててやるから、とっとと食べて来い」

 

「うん」

 

「ほんとは食べない方がいいんだがなー」

 

「ん?何か言った、祐一?」

 

「何でもないよ、いいから早く食って来い」

 

「う、うん」

 

「お母さん、おはよう」

 

「あら、おはよう。名雪がこんなに早く起きるなんて珍しいわね、今日は日曜よ」

 

「うー、お母さんひどいこと言ってるぅ、私そんなに寝てないもん。それに今日は祐一と出掛けるの」

 

「デートかしら?」

 

「うんっ♪♪祐一が誘ってくれたんだよー」

 

「そう、良かったわね名雪」

 

ぬりぬり・・・いつものように、トーストにイチゴジャムをぬって食べる。

 

朝ごはんを食べてると、祐一がソファでぶつぶつ独り言を言っていた。

 

「・・・となると、少しコースを変えなきゃ駄目かなー、ったく名雪のやつはー。せっかくの予定が・・・ぶつぶつ」

 

なんか、私のことでぶつぶつ言ってるみたい。しょうがいないよね、私が寝坊したのが悪いんだし、これ以上祐一待たすわけにも行かないから早く食べちゃわないと・・・はぐはぐ・・・。

 

「ごちそうさまでした。祐一、お待たせー」

 

「おしっ、じゃあ行くか」

 

「うんっ」

 

「いってきます、お母さん」

 

「いってきます」

 

「いってらっしゃい、気をつけてね」

 

「「うん(はい)」」

 

「ねぇ、祐一どこに連れてってくれるの?」

 

「そうだなぁ、とりあえずはウィンドウショッピングだな」

 

「商店街?」

 

「あぁ。でも名雪はまだ行ったことないかも知れないな、ちょっと歩くからな」

 

「そうなの?でも、そんなとこ祐一はよく知ってたね」

 

「ん?まぁ・・・な」

 

 

 

「ほら、着いたぞ、ここら辺はあまり来ないんじゃないか?通りから一本外れてるところだからな、いわゆる穴場だな」

 

「うん、そうだね。ここら辺は学校の帰り道ともちょっと離れてるから寄り道も出来ないし。ほとんど来ないかな。でも、どうして祐一はここら辺は詳しいの?」

 

「う・・・そ、それはだなぁ・・・・・・あぁどうでもいいだろ、そんなこと。さっ、いろいろ見ていくか」

 

「なんか、ごまかしてる。うーん、でもいっか、うん、いこ祐一」

 

そして、私達はお店を見て回っていった。

 

あまり来ない所だけにお店は私にとって新鮮だった。

 

いろいろ見て回るうちに一つのお店が私の目についた。

 

「ん、どうした、名雪」

 

「ぬいぐるみ屋さん、ねぇ中に入って見ていってもいいかな?」

 

「あぁ、かまわないぞ」

 

お店の中は、ぬいぐるみでいっぱいだった。

 

その中でも一際目をひいたのは、私の背よりちょっと小さいぐらいの大きな白い猫さんのぬいぐるみだった。

 

「わぁ、祐一、あの猫さんのぬいぐるみ、かわいいねぇ」

 

「あぁ、そうだな」

 

買えるかなと思って値札を見てみる・・・無理だった。

 

「なんだ、コレが欲しいのか?」

 

「うん、でも私のお小遣いじゃとても無理だね」

 

「ん、ちょっと待ってろ」

 

祐一はそう言って、カウンターに行き店員さんと何やら話している。

 

そしたら2人の店員さんが来て手際よくぬいぐるみを綺麗につつんでしまった。

 

「ほら、名雪」

 

「えっ・・・えっ・・・あ、あのっ、祐一?」

 

「欲しかったんだろ」

 

「うん、そうだけど・・・でもっ、こ、こんな高いもの」

 

「そうだな、そろそろちゃんと説明してやらなきゃな。とりあえず落ち着ける場所に移動するか」

 

私は釈然としないまま、祐一に連れられて、百花屋にやってきた。

 

「ご注文は?」

 

私がいつものようにイチゴサンデーを頼もうとすると、

 

「えっと、ジャンボミックスイチゴパフェデラックスを一つ」

 

「はい、ジャンボミックスイチゴパフェデラックスをお一つ、以上でよろしいでしょうか?」

 

「はい」

 

「祐一っ!?」

 

「いいから、いいから」

 

しばらくすると、バケツみたいな入れ物の中にたくさんのパフェが、そしてその上にはイチゴがたくさんあった。

 

「わぁっ、すごいっ、イチゴがいっぱい」

 

しばらく、そのパフェに私は見とれてしまっていた。

 

「食べないのか?」

 

「ううん、食べるよ、いただきます」

 

「おいしいっ♪♪」

 

私が、食べていると、ふと祐一の顔が目に入った。

 

祐一は私の食べる様子を優しい顔で見つめていた。

 

「なんか、じっと見つめられると食べにくいよ。それに祐一全然食べてないし、こんなにたくさんあるんだから、祐一も食べなよ」

 

「あぁ、そうだな」

 

と、祐一もスプーンをとり、食べ始めた。

 

しばらく、食べ続けていると、

 

「名雪・・・今までごめんな」

 

不意に祐一がそんなことを口にした。

 

「えっ」

 

「今までやってたこと黙ってて。名雪が俺のこと気遣ってくれてるの知ってたんだが。ちょっと、内緒でやって名雪を驚かそうと思ったんだ」

 

「・・・・・・」

 

「俺、今までずっとバイトしてたんだ。ほら、そろそろ夏休み入るし、今年は俺達受験生だろ。夏休みぐらいから、本格的に勉強始めないといけないし。でも、その夏休みの間に名雪とどっか出かけたいと思ってな。秋子さんに頼んで、ちょっときついんだが短期間で結構割りのいいアルバイトさせてもらってたんだ。それに・・・」

 

「それに、俺がこの街に来たのは一月の始めなんだけど、そのちょっと前名雪の誕生日だったんだよな。なんかあげなきゃなとは思ってたんだがまとまったお金がなくて、こんな時期になっちゃったんだけど、名雪、誕生日おめでとう」

 

半年遅れだけどな、と照れくさそうに付け加えた。

 

「って、どうしたんだ、名雪」

 

「だって、私本当に心配だったんだよ。祐一と帰ろうと思ってもすぐ帰っちゃうし、休みの日は一日中でかけてるし、帰ってきたと思ったらすぐ寝ちゃうし、何かあるのって聞いても何も話してくれないし、私、わ・・・た・・・し・・・」

 

「ほんと、ごめん・・・名雪」

 

でも、今はそれ以上に嬉しい気持ちでいっぱいで、

 

「祐一、ありがとう。これ大事にするね」

 

 「あぁ」

 

「そうだ、祐一、今日は私の誕生日の半年遅れってことでぬいぐるみ買ってくれたり、こんなに大きいパフェごちそうしてくれたりしてるんだよね」

 

「ん、そうだけど」

 

「じゃあ、私の質問に答えてくれるかなぁ?」

 

「名雪には心配かけちまったしな、俺に答えられる質問なら答えてやるぞ」

 

「じゃあ、あのぬいぐるみの場所は何で知ってたの?」

 

「あれか。あれは・・・CD屋行こうと思ったらボォーっと歩いていたせいか、道一本曲がるの間違えちまってな。それで、何となくうろうろしていたらあの場所に行き着いたってこと」

 

「そっか、じゃあ次の質問。あのぬいぐるみ買ってくれたとき、なんか店員さんとか仕事手馴れてたよね。それに、祐一と店員さんやけに話しが通じてあったみたいに見えたんだけど、何で?」

 

「う・・・あ、あれかぁ。あれは・・・いいか名雪怒るなよ、絶対に」

 

「何、なんか私が怒るようなことしたの?祐一?」

 

「ぐぅ・・・まぁいいや。あれはな、一昨日お前の誕生日プレゼント探して歩いてて、ふとあのぬいぐるみ屋のこと思い出してさ。んで、入ってみたらその猫のぬいぐるみがあって、ほら名雪猫好きなのにあんまり触れないだろだから、それなら大丈夫と思ってな」

 

「あ、ありがとう祐一」

 

「それで、店員さんに話して二日後にあれ絶対に買いに来るから、売らないでくれって頼んだんだ。それと、一緒に来る女の子が目につきやすいようにぬいぐるみを中央にしてくれるようにって。名雪なら絶対に欲しがると思って。で、まぁ予想通りだったというわけだ」

 

「・・・うー、なんか、行動読まれてて悔しいよ。でも嬉しいよ、私のことそんなに考えてくれて。じゃあお礼に、はいあーん」

 

「なんだよ、こんな人前で。恥ずかしいからやめろよ」

 

「いいの、今日は私の誕生日なんだから。私も嬉しいから、だから、はいあーん」

 

「分かったよ、ほらあーん」

 

「祐一」

 

「ん、何だ」

 

「大好きだよっ♪♪」

 

                                                 FIN

 

 

 

 

あとがき

なんか、途中で読んでて先の話しが読め読めだぜ、と思う人多数いるかと思いますが・・・まぁ今回はジャンボミックスパフェデラックス(栞編ででてきましたよね)のイチゴバージョンです。これ、イチゴなら名雪1人でも食べきれるかなぁと思ったのと、でっかいぬいぐるみ(舞編ででてきましたよね)の猫バージョンを名雪メインで書きたくなったので。ちなみにあのぬいぐるみは推定二万円ぐらいかな・・・と思ってます(確かそのぐらいのぬいぐるみのやつが同じ値段でうってるのを見て)。なんか、私の書く名雪は涙もろくていけませんね。

 

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