これからもずっと

 

 

 

 

ちょっとお茶でも飲もうかなと居間に行ったら、名雪が何かを見ていた。

 

「名雪―、何見てるんだ?」

 

「あ、祐一。昔のアルバムだよ」

 

「ふーん」

 

と、俺も名雪と一緒に見ることにした。

 

「なんだこれ、俺が結構写ってるやつだな」

 

「うん、このアルバムは祐一が来てた頃撮ったやつを集めたアルバムだから大概祐一は写ってるよ」

 

「これは?」

 

「これは私のお誕生日会の時の写真だよ。クリスマスと近かったからクリスマスパーティーと一緒にやったこともあったよね」

 

「これは?」

 

「これはお正月のだよ。大晦日は祐一絶対に初日の出見るんだって言ってたよね。私はその前に寝ちゃってたけど」

 

「あぁそうだな、結局除夜の鐘が限度で俺も寝てたな。秋子さんが寝た俺を運んでくれたんだっけ」

 

う、そういえばこの時って名雪と一緒の布団で寝てた気が・・・

 

「あっ」

 

くっ、やっぱりというか、案の定俺と名雪が一緒に寝てる写真が出てきた。

 

「そいうえばこの年のお正月、祐一がお酒飲んじゃって大変だったんだよね」

 

「そうなのか、覚えてないな」

 

「ふふっ、当たり前だよー祐一酔っ払ってたんだもん」

 

「よく覚えてるな、こんな昔のこと」

 

「覚えてるよ、祐一との思い出は全部・・・覚えてるよ」

 

「名雪・・・」

 

俺は、結構忘れていたんだな。

 

「そういえば、この時私少し男の子に苛められていたんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「うん、よくわからないけど男の子がいろいろとちょっかいかけてきたのは覚えてるよ」

 

「それは・・・」

 

思わず次の言葉を飲み込んだ。

 

「それは・・・何?」

 

「いや、何でもない」

 

「??」

 

お前がかわいいから構って欲しくてからかってたんだ・・・何て口が裂けても言えん。

 

「でも、祐一守ってくれたんだよ」

 

「何がだ」

 

「ほら、この写真」

 

と、名雪はそう言って次の写真を見せてくれた。

 

そこには何やら喧嘩をした後の俺の姿があった。

 

「何で俺が傷だらけなんだ」

 

「これね、私が男の子達に苛められた時に祐一が守ってくれたんだよ」

 

「そういえば・・・そんなこともあったような気がするな」

 

確か・・・この時結構恥ずかしいことを口走ってた気がするな。

 

「私嬉しかったよ、祐一が助けてくれたとき」

 

「まぁ昔のことだからな」

 

「祐一は・・・今も守ってくれるのかな、助けてくれるのかな・・・私が一人にならないように、側にいてくれるのかな?」

 

「名雪・・・俺は・・・」

 

そんな名雪がとても愛らしく見えた。

 

「今までも、そしてこれからも・・・ってあれ?」

 

「くー」

 

寝ちゃってるよ、自分から振ってきたくせに肝心な時は寝ちまうんだもんな。

 

仕方ないか、名雪には時間的につらい時間だからな。

 

まぁ次の機会ってことで・・・さて、

 

「じゃあ秋子さん、名雪を寝かせてきますね」

 

「えぇ、紅茶煎れときますね」

 

「えぇ、お願いします」

 

・・・やっぱりいたか、気配は感じられなかったが絶対にいると思ったよ。

 

ある意味名雪が寝てくれて助かったみたいだ。

 

とりあえず、名雪を運ばないとな・・・。

 

「寝かせてきましたよ」

 

「ご苦労様です」

 

といって、紅茶とお菓子をだしてくれる。

 

「いただきます」

 

「熱いから気をつけてね」

 

まぁもともとお茶を飲みにきてたんだよな。

 

「あのアルバムは名雪が自分で編集したんですよ」

 

「そうなんですか」

 

「えぇ、祐一さんが来てる間の思い出を形にしたかったんでしょうね」

 

まぁ一つに集めていた方が見やすいからな。

 

「だから、私も祐一さんが来てた時は一生懸命写真を撮りました」

 

「でも、あれはないでしょう」

 

「一緒に寝てる写真ですか。良く撮れてるでしょう」

 

「良くは撮れてますけど」

 

「名雪は祐一さんが帰ってしまったあとはやはり寂しそうでしたよ」

 

「・・・・・・」

 

「いつも通り振舞ってるようには見えるんですけどね。やはり血が繋がってるんでしょうか。私には分かってしまいましたよ」

 

「祐一さんは名雪のことをどう思っていますか?」

 

「俺・・・ですか・・・そうですね、将来的にはどうなるか分からないですけど、名雪とはずっと一緒にいたいと思っています」

 

「それはイトコとしてかしら」

 

「いいえ、確かに最初はそうでした。でも今は一人の女の子として名雪のことを好きです。時には喧嘩をすることもあるでしょうけど、名雪とはずっと同じ道を歩んでいきたいと思っています・・・」

 

「今は親が海外に行っていますけど、帰ってきてもこの家に居たいなって思っています。少しでも名雪の側にいたいから・・・駄目ですか?」

 

「了承」

 

「ありがとうございます」

 

「私も立派な息子が出来て嬉しいわ。姉さんに感謝しないといけませんね」

 

俺にはお袋と貴方が姉妹だということがかなり不思議なんですが。

 

「とりあえずは、名雪と同じ大学にいけるように頑張らないといけませんから」

 

「頑張ってくださいね。勉強なら少しは見れると思いますから」

 

「ははっ、お願いしますね。それじゃ、俺はもう寝ます」

 

冗談じゃない所が凄いな。

 

「お休みなさい」

 

「はい、お休みなさい」

 

さて、寝るか・・・ん・・・名雪。

 

「お前寝たんじゃないのか?」

 

「起きちゃった、目覚ましよりも人の話し声の方が起きちゃうもんだね、それに夜だし声も響くから」

 

「それで・・・聞き耳を立てていたと・・・」

 

「私嬉しかったよ・・・祐一がそんな風に見ててくれたなんて」

 

「それなりに、意志表示はしていたつもりなんだけどな」

 

「私もだよ、でも祐一全然気付いてくれなくて」

 

「お互いが気付かなかったわけか」

 

「うん、気付いてもらいたいのに相手のことは気付かない、不思議だね」

 

「まぁお互いに分かったんだからいいんじゃないか」

 

「うん、そうだね・・・ねぇ祐一」

 

「何だ」

 

「明日休みだし・・・その・・・一緒に寝てもいいかな」

 

「・・・今日だけな」

 

「うん♪♪」

 

俺は名雪となら一緒の道を歩んでいけそうだな、これからもずっと・・・

 

 

 

 

FIN

 

 

 

 

あとがき

突発的に思いついて書いたものです。部屋の掃除してて中学、高校のと卒業アルバムがでてきまして、せっかくだからアルバムはアルバムで揃えておこうかなと思った時にたまたま思いつきました。設定も何も考えていなくてただ書きたいと思っただけなので文章は短いし、ところどころ分かりにくいところあったかもしれませんが(構成五分、製作時間一時間半ですからね)・・・最後まで読んでいただきありがとうございます。でも、自分では結構気に入っていたりもします、あまり悩まずに書いた割には満足行く出来に仕上がったので。相変わらず名雪ですね、他のヒロインも書こうとは思っているのですが、なかなか思いつきませんね。とりあえず、書けるように精進しなければ。

 

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