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私立遠野高等学校(課外授業)

 

 

・・・・・・暑い。

 

体が汗ばんでいるのがよくわかる。

 

俺の体でよく起こる頭痛や立ちくらみなどとは違う。

 

あれはあくまで内面からくるもの・・・。

 

これは外からくるもの・・・外部要因というやつだ。

 

ということは要因は俺ではないということを証明している。

 

実は要因などはあまり関係ないのだが・・・とにかく、この暑く寝苦しいのをどうにかしたい・・・。

 

だが・・・第六感というやつであろうか、ここで目を開けてはいけない気がした。

 

寝苦しいが、このまま目を瞑っていれば再び眠ることも可能であろう。

 

でも、こういうことは事を早めに確定して処理しておかないと後々大変なことになることも頭のどこかでわかっている。

 

このまま放っておけば・・・そう、この一日をまるまる潰してしまう、そんな気がした・・・。

 

目を開けて、事を確認する・・・俺の目に映ったものは・・・。

 

「す〜・・・す〜・・・」

 

視野全体に気持ちよく眠っているアルクェイドの顔があった・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

理解不能である。

 

アルクェイドは右隣に寝ていた。

 

俺は身体を右の横に倒して寝ていたからアルクェイドの寝顔が来るといのだけは理解できた。

 

何故アルクェイドが俺の隣で寝ているのか・・・というの当然なのだが疑問はそれだけにあらず。

 

もう1つの確認をとろうと体を左に倒す・・・。

 

「す〜・・・す〜・・・」

 

今度は秋葉の寝顔が視野全体にある・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

理解不能である。

 

朝五時には起きる秋葉が何故まだ寝ているのか・・・。

 

同時に普段あまり見ることの出来ない秋葉の寝顔を見ることが出来たのが嬉しかったりする・・・。

 

少しの間こうしていてもいいかな・・・と言う考えが浮かんでしまう。

 

「・・・・・・・・・」

 

駄目だ駄目だ・・・。

 

事はまだこれだけじゃないんだ・・・。

 

お腹のあたりに何か重みがある・・・。

 

少しだけ・・・上体を起こして確認してみる、何をしているのかではなく、誰がいるかの確認である。

 

・・・シエル先輩と琥珀さんが俺のお腹の部分を枕がわりにして寝ていた。

 

遠慮がちに琥珀さんの隣に翡翠の姿もある・・・。

 

・・・これで暑く寝苦しかったのは理解できた。

 

次にこの状態を何とかしなければ・・・。

 

こうしていたいという本能をありったけの理性で抑えこむ・・・。

 

上体を完全に起こし、俺のお腹を枕がわりにしているシエル先輩と琥珀さんの頭をそっと移動して立ち上がる。

 

「おい、起きろ!!」

 

と大声を出して起こす。

 

1人を除いてみんな起きだす。

 

「兄さんおはようございます」

 

秋葉は、普段と同じように爽やかに朝の挨拶をしてくれる。

 

「あぁ・・・おはよう」

 

どんな時でも自分の姿勢を崩さない態度は素晴らしいと思うが、時々は周りの状況を把握して行動をして欲しいと思う。

 

本人はいいかもしれないが、こっちとしては調子を狂わされてしまう・・・。

 

「おはようございます、志貴さん。すみません、寝坊してしまって・・・すぐに朝ごはんの支度をしますね」

 

「あぁいいですよ、別に。カレーがまだ残っていますから・・・。ご飯は昨日の内にタイマーでセットしておいたし、そんな慌てて準備しなくても大丈夫ですよ。それより聞きたいことがあるんですけど・・・」

 

「はい、何でしょうか」

 

「これは琥珀さんにってわけじゃなくて皆に聞きたいんですけど・・・昨日は誰が勝ったんですか?」

 

「あぁ・・・それはですね、結局勝負はつかなかったんですよ」

 

「そうなんですか?」

 

俺はてっきりあのまま琥珀さんと翡翠ペアが2連勝で終わるものと思っていたのだがどうやら違ったらしい。

 

「はい、私もあのまますぐ勝てるかなって思ったんですけどね。皆さん必死で2連勝を阻止してきますから・・・完全にマークされちゃいました」

 

「なるほど・・・」

 

実質3対1だったわけか。

 

「で、次勝った人がいたら今度はその人をマークしますから・・・勝負がなかなかつかなくて・・・」

 

「どのくらいまでやっていたんですか?」

 

「夜が明けるくらいですから・・・だいだい4時くらいですね」

 

おいおい・・・。

 

「で、アルクェイドさんがしびれを切らして、疲れたと言ってそのまま強引に志貴さんの隣に寝てしまったんですよ」

 

「はぁ、その後の展開はだいたい予想がつきますからもういいです」

 

やっと、謎が解決した・・・。

 

「全く、このアーパー吸血鬼はルールも何もあったもんじゃありません」

 

シエル先輩がやれやれと言った感じで呟く。

 

あ・・・でも1つ気になることが・・・。

 

「じゃあ、皆ほとんど寝てないんじゃ・・・」

 

「えぇ、そうですね。でも大丈夫ですよ、私を含め翡翠や琥珀はこんなのは慣れていますから」

 

「そうなのか?」

 

というかお前らそんなに夜更かしをしてるのか・・・。

 

「えぇ、いつも夜出かけてなかなか帰ってこない兄さんを待っていますから」

 

「は・・・ははは」

 

それを言われると何も反論できなくなるな・・・。

 

「私も仕事柄慣れています・・・朝起きれないのはまだそこで寝ているアーパー吸血鬼だけです」

 

「そりゃ、アルクェイドは吸血鬼だから・・・」

 

朝苦手なのは当然だろう。

 

「とりあえず、アルクェイドは放っておいて布団上げて朝ごはん食べちゃおうか」

 

「そうですね・・・」

 

アルクェイドが寝ている布団だけを残し後は片付ける・・・。

 

「じゃあ、朝ごはん食べようか・・・昨日の残りのカレーだけど」

 

「「「・・・そうですね」」」

 

流石に昨日あれだけ食べた後で朝またカレーだからな・・・俺を含め、秋葉、翡翠、琥珀さんはちょっと遠慮したいというのが本音と言える。

 

でも折角作ったからな・・・最後まで食べないと。

 

「幸せですねぇ・・・」

 

シエル先輩・・・この人がいる限り食べ切れなくて捨てるということはなさそうだけど。

 

カレーを温めなおして簡単なサラダを作る・・・。

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

・・・あれ、昨日より美味しく感じるのは気のせいか。

 

「昨日より美味しいですね」

 

「あれ、秋葉もそう感じるのか」

 

「はい、カレーは寝かせると美味しくなると聞いていましたが本当ですね」

 

「そうみたいだな」

 

そのまま食事は続く・・・。

 

「「「「「ごちそうさまでした」」」」」

 

すごい・・・昨日あれだけたくさん作ったカレーがなくなってしまった。

 

八割方シエル先輩が食べたんだけど・・・。

 

しかし、よくあんなに食べれるな・・・男の俺より遥かに食べてるし。

 

シエル先輩の食生活っていつもあんな感じなんだろうか、お弁当も凄くでかいし。

 

・・・・・・・・。

 

一瞬失礼なことを考えてしまった、だが顔にも口にも出すわけにはいかない。

 

「じゃあ、後片付けをして・・・今日は兄さんが先生をやってくれるんですよね」

 

「あぁ・・・そうだな」

 

「何をやってくれるんですか?」

 

「それは・・・秘密だな。後制服とか着なくていいから、私服でいいよ。というか、むしろその方がいい」

 

「どうしてですか?学校ですよ?」

 

琥珀さんが不思議そうに聞いてくる・・・何故この人は征服にこだわるんだろう。

 

「外に出ようかなって思っていますから。制服着て外出したら授業さぼっていると思われちゃいますよ」

 

今は夏休みだから補導されるとかはないが、あくまで学校という設定にこだわるのならそうした方がいいだろう。

 

「ふふ・・・そうですね」

 

琥珀さんは納得してくれた・・・。

 

今言った理由の他にも、普段めったに見ることの出来ない翡翠や琥珀さんの私服姿を是非見たいというのもあるんだが、これは言わない方がいいだろう。

 

「じゃあ着替えて出かけようか・・・あっ、でもシエル先輩どうしましょうか。一度家に戻らないといけないですよね。どこかで待ち合わせしましょうか」

 

「いいえ、大丈夫ですよ。持ってきてもらいましたから」

 

「いつの間に・・・」

 

確かシエル先輩って1人暮らしだよな・・・わざわざ服を持ってきてくれるような知り合いでもいるんだろうか・・・。

 

それに、シエル先輩やアルクェイドが来ることにより監視カメラや防犯システムがどんどん強化されてきているこの屋敷・・・おいそれと入ってこれるはずないんだが。

 

やはりこの人もまだまだ謎が多い・・・。

 

「まぁ・・・それならわざわざ家に帰る必要はないですね。じゃ、俺は自分の部屋で着替えますので」

 

「じゃ、私も着替えてきます」

 

俺と秋葉はそれぞれ自分の部屋に向かう。

 

シエル先輩は何処で着替えていいのか・・・キョロキョロしていたが多分翡翠か琥珀さんがなんとかしてくれるだろう。

 

さて、着替えるか・・・。

 

・・・・・・・・・。

 

着替えが終わる・・・といってもTシャツにジーパンときわめてラフな格好だが。

 

財布を持って・・・机の引き出しにあるナイフをとろうして思いとどまる。

 

使う機会などほとんどないが何となく、手持ち無沙汰なのか・・・いつもポケットに入れておいた七夜の短刀・・・。

 

・・・今日はいいか。

 

もし万が一何かあっとしても・・・今日の面子なら何の心配もいらない。

 

逆に相手の方を気遣う必要があるくらいだ。

 

「さて・・・行くか」

 

普段一緒に街を歩くことのなかった秋葉、翡翠、琥珀さんと何をしようかと考えながら皆が集まっているところに向かう。

 

「あっ・・・志貴さん、来ましたね」

 

「はい、じゃあ行きましょうか・・・ってまだアルクェイドは寝てるのか」

 

アルクェイドはまだ布団ですやすやと寝ている。

 

「置いていけばいいじゃないですか。本来この人はここにはいるはずのない人ですから」

 

秋葉は怖いことをさらっと言う。

 

「置いていけるわけないだろ、どうせ後で文句言われるの俺なんだぞ。それにこの屋敷にアルクェイド1人置いていってもいいのか?」

 

「・・・それもそうですね、では兄さん起こしていただけますか?」

 

「俺が起こすのか?」

 

正直嫌だったが、他の人に起こすのを頼むとなると・・・他のことをしそうで怖い。

 

・・・仕方ない。

 

「おい、アルクェイド起きろ。もう出かけるぞ」

 

「う〜ん・・・」

 

なかなか起きないな。

 

「おいったら」

 

「・・・あはは、駄目だよ志貴。そんなとこばっかり・・・くすぐったいよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

・・・今のは寝言・・・なのか。

 

こいつ一体どんな夢見てるんだ。

 

・・・う、なんか後ろから尋常じゃない殺気が。

 

「兄さん・・・」

 

「遠野君・・・」

 

「志貴さま・・・」

 

「あはは〜駄目ですよ、志貴さん。こういうのは何時何処でばれてしまうかわからないんですから」

 

・・・・・・・・・。

 

「ま・・・待ってくれこれは誤解なんだって」

 

と言っても全然信じてもらえないだろうが。

 

あぁ・・・人の心配なんてするんじゃなかったな。

 

自分の保身のためにやっぱりナイフは必要だったかなと・・・。

 

昨日に引き続きまたも俺は・・・痛い目に合わなくてはならいなのか。

 

後、何回こういう状況に追い込まれなくはならないのか・・・。

 

とりあえず今この状況を何とか乗り切らないと・・・今日という日はまだ始まったばかりなのだから・・・。

 

 

 

 

 

「志貴〜♪♪ す〜・・・す〜・・・」

 

続く

 

 

 

 

あとがき

前回の続きから随分経ってしまいましたね・・・まぁ私もたまには息抜きが必要ということで♪♪ たんにサボっていたというふうにもとれますけど・・・。そして今回のアルクェイドの爆弾発言の展開・・・あるゲームのを参考にしています。たったあれだけでどんなゲームは皆目見当もつかないでしょうけど・・・。私の好きなゲームの1つですね。そして、シエル先輩の服を持ってきたのは予想通りセブンということで。他の人には見えませんから。さて、やっとこさ志貴の授業に入ることが出来そうです・・・思えば長かった、段々と続かなくなってきて、やはり私は長編は駄目駄目ですね。まぁ、ちゃんと締められるようにしなければ。では、また次回のあとがきで・・・。

 

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