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そして、出会いの中へ

 

 

 

「えぇーっ!!海外!!」

 

「そう」

 

期末テストも無事終わり、のんびり暮れの予定と新年の予定を立てようと思っていた矢先に、お袋から言われた言葉は・・・転勤、しかも海外。

 

「んなの、親父1人にいかせりゃいいじゃないか」

 

「日本なら単身赴任も可能だけど、海外だとそうもいかないでしょ」

 

「そんなまた急な。俺来年受験生だよ・・・あっまてよ、ってことは1人暮らしってことに」

 

「そんなわけないでしょ、あんた1人置いてったらどんな生活になるか目に見えているもの」

 

「少しは息子を信用してくれよ」

 

「駄目だって言ってるでしょ。だから父さん達と行くか、秋子の所に行くか決めなさい」

 

「え・・・と・・・秋子・・・さんって・・・まさか!?」

 

「そうよ、小学校の頃毎年遊びにいっていたじゃない。あそこなら前にいってたところだし安心でしょ」

 

・・・確かにこれからの大学受験の事を考えると日本に残った方が無難といえば無難だろう。

 

しかし、あの街へは正直行きたくはなかった。

 

いや、戻りたくなかったと言うべきか。

 

はっきりとはわからないが、あの街は嫌い・・・いや嫌いになったんだ。

 

「あっちには同い年の名雪ちゃんもいるし、何かと安心だから。仲良かったんでしょう?」

 

そうか、向こうには名雪がいたんだっけ。

 

最後に会ってからどれだけ経つんだろう。

 

もう何年も連絡なんか取り合ってないよな。

 

何回か手紙が届くことあれ返信することは一回もなかった。

 

今まで仲の良かったイトコから手紙がくれば返信の手紙くらい返すくらい当たり前のことなのに。

 

何故俺は手紙の一つも返さなかったのだろう。

 

あの街が嫌いになったことと何か関係があるんだろうか。

 

・・・わからない。

 

最後にあの街へ行った年、名雪と最後に会った年のところだけの記憶をナイフで綺麗に切り取られてしまったように忘れてしまっている。

 

「・・・一、・・・祐一、ねぇ聞こえてるの?」

 

「・・・あぁ、何」

 

「何じゃないでしょ、さっきからきいてるのに。とにかく一緒に行くかそれとも秋子の所へ行くか決めときなさいね?」

 

というか、俺に選択肢は二つしかないのか。

 

海外か、名雪の所へか・・・

 

「・・・・・・あぁ」

 

このかすれた声が今の俺に出せる精一杯の答えだった。

・                          

「名雪、前も言ったと思うけど、祐一さんが正式に家にくることになったから」

 

電話の受話器を置いたお母さんが私にそういった。

 

「ほんとに?ほんとに祐一、家に住むの?」

 

「えぇ、姉さんが三学期から祐一さんをよろしくお願いしますって」

 

・・・そっか、祐一と学校・・・祐一と学校に行けるんだ。

 

「なんだか嬉しそうね名雪」

 

「そうかな、うん、そうかもしれない」

 

だって、これは私がずっと夢見ていたことだから・・・

 

冬休み、毎年祐一が遊びに来てくれた。

 

その時間が楽しければ楽しいほど、別れの時が辛く・・・悲しかった。

 

「お母さん、祐一はずっとここに入れないの?私、祐一と一緒に学校に行きたい。一緒に登校したい、勉強したいよ」

 

そう言ってお母さんを困らせたこともあった。

 

そんな事は無理だってわかっていたのに。

 

それでも私は祐一といたかった。

 

でも、七年前の冬休みを最後に祐一はこの街へこなくなった。

 

最後の冬休み、私は振られてしまった。

 

私の思いは止まったまま、七年前と同じで今でも祐一のことが好きだ。

 

例え祐一が私のことをイトコとしてしか見てくれなくても、祐一と一緒の学校に行けるだけで、私は・・・

 

「じゃあ、祐一さんは1月6日の午後にくる予定だから。駅まで迎えにいってあげてね。」

 

「えっ、お母さん一緒に来てくれないの?」

 

「えぇ、ちょっとその日は仕事がいそがしくてね、でも午前中部活があるんでしょ?その後に迎えに行ってくれればいいから」

 

「う・・・ん、わかったよ」

 

どうしよう、私1人じゃ祐一に会うのは不安だよ。

 

だって、あんな別れ方しちゃったから。

 

七年前のさよならもちゃんといってないのに、どんな顔して祐一に会えばいいんだろう。

 

祐一は覚えてるのかな、あの冬のこと。

俺があの街へ行くと決めた夜から頻繁にあの街へいた頃の夢をみるようになった。

 

勿論、名雪と遊んでいる夢だ。

 

初めてあった頃はお互いギクシャクしていたものだが、段々と数を重ねて会っていくうちに気兼ねなく話せるようになっていった。

 

そういえば、いつからお互いのことを名前だけで呼び合うようになったんだっけ。

 

最初の頃は、なんだか照れくさくて名前だけでなんか呼べなかったよな。

 

しかし、あの街にいた頃では一番記憶に新しいはずの、七年前の冬のことだけはやっぱり思い出すことはなかった。

 

それより前の八年前、九年前とかの出来事なら朧げながらも多少は思い出せるのに。

 

七年前のことだけが全く思い出せなんて、何か変だな。

 

・・・ふぅ、俺がまたそっちにいくことになって、名雪どんな反応してんだろうな。

 

・・・名雪元気にしてるかな。

 

くそっ、お袋があんなこと言うから妙に意識しちまってるじゃないか。

 

「あんた、まだ名雪ちゃんのこと好きなの?」

 

「ぶっ!!いきなり何言い出すんだよ」

 

「だって、あんた毎年帰ってくるたびに言ってたじゃない、僕大きくなったら名雪と結婚するんだって」

 

「そんなの昔のことだろ、今は関係ない。そもそも七年も会ってないんだからお互いに顔だって忘れてるよ」

 

あの頃の名雪は確かにかわいかった。

 

あのまま成長していれば今はとても綺麗な娘になってる・・・と思う。

 

・・・いかんいかん、何を考えてるんだ俺は。

 

あの街にいくのは海外にいくよりも日本にとどまっていた方が今の時期何かと便利だから、ただそれだけだ。

ついに、明日になったら祐一と会える。

 

七年振りの再会。嬉しさ、ドキドキ、不安な心が入り混じってる。

 

はぁ、もう11時だ。

 

こんなに眠れないのはいつ以来だろう。

 

もう寝なきゃ、明日も部活あるし、遅刻するわけいかないし。私部長さんだし。

 

でも、寝ようと思っても次から次へと祐一のことが頭に浮かんでくる。

 

どんな男の子になってるかな。

 

ちゃんと私のこと覚えていてくれるかな。

 

私の名前、ちゃんと言ってくれるかな。

 

・・・さぁ、ほんとにもう寝よう、明日になればわかることだから。

その夜、私は夢を見た。

 

あの七年前の最後の冬、悲しい出来事があって祐一が心を閉ざしてしまった最後の冬休み。

 

もう、祐一がこの街にくることはないと、なんとなくわかっていたから。

 

私は思い切って祐一に何かプレゼントと私の思いを伝えようとしたんだっけ。

 

何を上げていいかわからなくていろいろ悩んだ末、雪ウサギをあげることにしたんだ・・・・・・

 

少しずつ、思いをこめながら雪ウサギを作っていく。

 

はぁ、手が冷たい。でも頑張らないと。

 

あの日以来、泣き続けている祐一に何とか元気になってもらいたい。

 

・・・できた。

 

祐一、受け取ってくれるかな。

 

家に戻ったけれど、祐一は家にはいなかった。

 

とりあえず、祐一が行きそうな所に行って回ってみよう。

 

雪ウサギは手に持ってると冷たいので頭にのせることにした。

 

うん、こっちの方が冷たくないよね、さぁ探しに行こう。

 

祐一と遊んだ、公園。

 

祐一と一緒に買い物に行った商店街

 

そして、祐一がこの街に来る日と帰ってしまう日に送り迎えをした、駅前。

 

・・・いた、祐一だ。

 

祐一は駅前のベンチにうつむいて座っていた。

 

私はいてもたってもいられなくなって祐一の側に駆け寄った。

 

思いを伝え、雪ウサギを手渡そうとした時、雪ウサギは私の思いを象徴するかのように無残に潰れてしまっていた。

 

振られてしまったこと、作った雪ウサギを壊されてしまった悲しみよりも、祐一にまた悲しい思いをさせてしまったことが何よりも悲しかった。

 

私はもう一度、ちゃんと会ってさよならしたいから明日またここで会おうね、とだけ言ってその日は別れた。

 

私から言った一方的な口約束。

 

次の日祐一が来ることはなかった。

 

分かっていた、分かっていたはずなのに。

 

もしかしたら来てくれるかもしれないという僅かの希望にすがって、ただ祐一を待ち続けていた・・・・・・。

ジリジリジリジリジリジリピポピポピポピポピポピポピポピポリーンリーンリーンリーンリーンリーンリーンピピピピピピピピピピピピピピピピピピ・・・

 

朝・・・か、なんか嫌な夢見ちゃったな、一番思い出したくない出来事。

 

でもやっと、今日祐一に会えるんだ。

 

さぁ元気出して行こう、ふぁいとっだよ。

 

「ふぅ、やっと着いたな、七年振り・・・か」

 

駅前のベンチに腰を下ろす。

 

名雪はまだきてないみたいだな。

 

結構覚えてないもんなんだ。

 

周りの駅の風景は全然俺の知らないものだった。

 

街並みが変わったのか、いや俺が忘れてしまってるだけか。

 

しっかし、俺はなんでこんな雪の降る街に毎年来てたんだろうな、別にスキーとか好きなわけでもないのに。

 

名雪に会いにきてたとか、ははっ、まさかな。

うー、大遅刻だよー、こんな時に限って顧問の先生用事いいつけるんだもん。

 

祐一待ってるよね、急がなきゃ。

 

部活やった後に・・・続けて走るのは大変だよー。

 

・・・はぁはぁはぁ、やっと着いた。

 

その前に暖かい飲み物でも買ってあげなくちゃ、凍えてるだろうし、遅れたお詫びってわけじゃないけど。

 

祐一は・・・といた、あの思い出のベンチに座ってる。

 

寒そうだな、早く声かけてあげなきゃ。

 

すぐに声を掛けようとして、ふと思いとどまる。

 

どうやって声掛けよう、私の顔見てちゃんとわかってくれるかな。

 

さりげなく、さりげなくだよね。

 

だんだんと祐一のそばに近づいていく。

 

うつむいてる祐一の顔が少しだけ見えた。

 

祐一の顔を見たとたん今まで考えていたこと、不安な気持ちとかが一気にふきとんで、自然と足が動き、自然に言葉が出てきた。

 

「雪、積もってるよ」

 

 

 

そして、時は動き出す、再び雪の街で・・・

 

 

 

 

あとがき

祐一が家に来ることがわかってから、名雪の気持ちはどうなのだろうと思って書いたものです。アフターストーリーは誰でも書けるけど、このようなストーリーが始まる直前で祐一が街を来ることをしって、いろいろ考えることの人物は名雪しかいないんじゃないのかなって思っています。読み返してみると結構ドラマCDの影響を受けているかもと思ったもいます。設定時にはいいとは思うのですけれど、いかんせん全然文章力ないので・・・あぁーくそっ、もっと上手く仕上げる予定だったのに。本編の所とかぶらせるのはあまり好きじゃないのでそういう所を省いたら何か中途半端になってしまいましたね。・・・まだまだだ。

 

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