あび卯論 第一回 「CCさくらを観て」

私は今年の4月より『カードキャプターさくら』を観始めることにいたしました。
実を言ふと、数年前にも何度か見たことはありました。きつかけは簡単です。
巷で随分話題になつてゐるからどんなものか観てみやう。といふ、至つて明快な理由でありました。
ちやうど、名作だから一度チェックはしておかうといふ心理と同じです。
最終回前後を数度観たといふこともありその時は別段思ひ入れもなく、
「なるほどかういふ作品か。」くらゐの感想を抱いただけでありました。
もちろん、駄作だとは思はなかった。ただ心して観なかつた。
云ひかへれば、心して観ることが出来なかつたのでさういふ感想をいだいたのかもしれません。
何故、心して観ることが出来なかつたのかと問はれると、
まづ、先に述べたやうに途中からであつた。それも最終回近くでした。
次に、かういふ作品は小中校の女の子が観るものだといふ先入観があつたからでせう。

そして、今回『カードキャプターさくら』(以下、「CCさくら」と略記す)を観始めたきっかけもまた
以前とまつたく同じ理由からでした。が、以前と違ふ点は少々楽しみにしてゐたのです。
それは、第1話から観れるといふことが大きかつた。
私は元来、変に完璧主義なところがありまして、ドラマでも何でも第1話からきちんと観ないと気がすまない。
途中からだつたり、1話でも見忘れてしまふとどうも具合が悪い。
実際、さういふ考へをお持ちの方は多いのではないかと察します。

さて、御託は此の辺にいたしまして、本題に入りませう。
結論から先に申しますと「さくらが可愛い」の一言に尽きます。
いえ、むしろ、現状での感想と言つた方がいいかもしれません。
私はまだ通してCCさくらを観たわけではありませんので、一部を観て全体を評価する事は僭越です。
ですから、「さくらが可愛い」などといふ月並みな結論しか申せないことには目をつむつていただきたい。
が、これだけは云へる。良作であると。
誤解を恐れずに申しますがさくらは魅力を持つてをります。
所謂ロリコンでもなく、妹萌えでもない私がさう思ふのですから間違ひありません。
かう書くと「なんだお前は一般人を気取るのか」とお叱りを受けさうなので述べておきますが、
私は、ロリコンや妹萌えどころかそれ以上に違ふ分野で変態であります。
そのことは管理人(編集長)であるロンド氏をはじめ多くの方が知つてをりますし、弁解はいたしません。
また、ロリコンや妹萌え、或いはその他の個人の嗜好について私は特に偏見を持つてをりません。
ただ、白状いたしますと、CCさくらはロリコンや妹萌えの人に人気があるのだらう。
と、勘ぐつてをりました。ですが、CCさくらはロリコンの一言でかたづく問題ではありません。

私が、この4月からCCさくらを観始めて、まづ初めに抱いた感想は「少女漫画だな」といふものでありました。
あたりまへといへばあたりまへの事ですが、じじつ、さう感じた。
今日まで少女漫画が原作のアニメを殆ど観た覚へがありませんでしたので少なからず違和感はあつた。
しかし、それはたいした問題ではありませんでした。
私がそれ以上に強く感じたところは、様々な要素が含まれてゐるといふことでした。
言葉を濁さず書くと、ロリ、妹、レズ、ホモ、生徒と教師 等。の要素であります。
これは、侮れない。CLAMPマジックとはこのことでせうか。
少しづつ、CCさくらの人気の秘密がわかつてきたやうな気がいたしました。
とはいへ、最大の魅力は主人公である木之本桜でありませう。
気付くとさくらを可愛いと感じる自分がゐた。
これは変に邪悪な感情から引き起こされたものではなく、
親が自身の子を愛でる感情のそれと似てゐます。
私の場合、声フェチでありますから丹下桜の声にやられたのかもしれない。
一番の原因はさうであるとしてもそれだけではない。
さくらのキャラは不思議な魅力を放つてゐる。
彼女の顔立ち、声、仕草、性格、どれをとつてもよく出来てをります。
ここで私がさくらの魅力を丹念に語つても野暮になるだけです。もっとも、魅力を語り尽くす自身もない。
ですから、ここが可愛いとは一々申し上げません。それに、ご覧になつた方が一番良くご存知でせう。

よく、CCさくらと云ふと人はロリコンだの何だのとレッテルを貼りたがる。
が、CCさくらは巷に溢れる安い萌えアニメなどとは違ふ。
萌えをテーマにしてゐるわけではなく、非常にクオリティの高い作品でありあます。
CCさくらにハマる人の要素としてロリコンをはじめその他の嗜好態度は必要としない。
アニメをまつたく観ない方以外なら十分ハマりうる作品です。
しかし、NHKも官営の割に良い仕事をしてくれたものです。
むしろ、アニメは官営の方が質が良くなるのかもしれません。
このことについての議論は他に譲るとしてここでは質の高さを強調しておきたい。
やはり、名作と云はれる作品にはそれなりの理由があるといふことを今回実感しました。
もし、ご覧になつたことの無い方がをられるならば是非一度視聴することをお勧めします。
一見しただけではさうではないかもしれないが、
つづけてご覧になつてゐると自然にさくらに魅了されてゐるやもしれません。
CCさくらとはさういふ作品です。

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