あび卯論 第4回 「異端声優のパイオニア宮村優子」 二回続けてカタイこと書いてしまつたので、今回はこんな感じです。 今でこそアイドル声優は多様化していろいろなキャラの声優がゐるが、ひと昔前まではさうではありませんでした。 私見だが1998年ごろまでアイドル声優とは80年代アイドルを彷彿とさせるやうな清純系でありました。 所謂、それまでの正統派と呼ばれる一般アイドルのそれです。 一般アイドルは90年代に入つてからは多様化し 以前から見れば異端と言はれるやうなアイドルも多く出現してゐました。 一方、アイドル声優は90年代に入つても以前のやうなアイドルの定義をくづさなかつた。 悪く言へば古いアイドルの形態であり、良く言へば伝統を守つてゐました。 例へば、アイドル声優は決して下ネタなど言わなかつたし、ふられてもそれに反応することはありませんでした。 私もアイドル声優とはさういふものだと思つてゐたしじじつさうでありました。 現在でも國府田マリ子などその典型だと思ひます。 以前、伊集院光とイベントで一緒になつた時、伊集院が國府田マリ子に下ネタをふりつづけましたが、 無視されてしまひ、キレた伊集院が半ケツで國府田マリ子を追い掛け回す。 といふ、ほほえましいエピソードがあるくらゐです。 以後、國府田ファンは伊集院のリスナーを敵視するやうになつたといふ。 私は伊集院のヘビーリスナーだから、國府田ファンに逢はないようにしないと。 くはばらくはばら。 さて、この常識を覆してくれたのは誰か。 宮村優子であります。みやむーです。「あんたバカァ!?」と言はれてみたい。(?) 1999年だつたと思ふひますが、当時私はラヂヲをよく聴いてゐて「宮村優子の直球で行こう」といふ番組に出逢つた。 宮村優子に興味を持つたきつかけはこれですが、 始めは若者風のしやべりをするちよつと変はつた人、といふくらゐの感覚でありました。 衝撃を受けたのはアニラジグランプリ23号の「宮村優子の直球で行こう」座談会の記事だつた。 その中で、直球ファミリーである岩田光央が宮村優子に対して言ふ 岩田「最近ウソつきなヤツらが多いんだよ。(中略)みんなセックスに興味あるし考えてるくせに。 それをオブラートで包んで汚いみたいに、『私はそんなこと言えません』って、 『バーカ、ふざけんなよ。お前だってセックスしてんじゃねぇか。この野郎』みたいな。」 この発言だけでも、十分衝撃的かも知れませんが岩田光央をご存知の方ならちつとも驚かないだらうし、 男性声優なのでよしとしよう。(いいのか!?) それに対する宮村優子の返答が以下です。 宮村「『顔にかけるぞ。』ぐらい言ってやれって(笑)」 えぇ!? 顔にかけるって何を!? 岩田発言に対して引くどころかさらに煽つてゐる。降参であります。 私は宮村優子に無条件降伏せざるを得なかつた。 以後、私は宮村優子といふ泥沼にずぶずぶとハマつていくことになりました。 宮村優子のその他の衝撃発言に関して挙げますと、 「そんなナスビは入らないわ。」「(岩田光央に対して)包茎野郎!」 「一発やらせろ!」「岩田さんもナプキン付ければいいぢゃん」 などなど、これ以上は怒られさうなので辞めておきます。 そもそも、宮村優子はデビュー当時から企画モノ声優などと呼ばれたりして 異端的扱いをされることが多くありましたが本領発揮は98年頃からかと思ひます。 仕舞ひには「汚れ声優」とまで言はれるやうになる宮村優子であるが、私にはそれが非常に魅力に感じました。 今までのアイドル声優に無いものが彼女にあつたからでせう。 宮村優子以後、愛河里花子、高橋美香子、など汚れ声優が数々生まれますが 異端声優の先駆けはやはり宮村優子であつたと思ひます。 細かいことを言へば宮村優子以前にも下ネタトークをする女性声優は居ました。 例へば、緒方恵美がさうでせう。ただ、緒方恵美は「アニキ」といふニックネームがあつたくらゐで 元来、男性的な魅力を持つてゐました。 さう考へると女性的なアイドルとしての異端児の先駆けはやはり宮村優子になりませうか。 因みに、この二人エヴァンゲリオンではアスカとシンジであります。 少し興味深い。 現在、声優界から宮村優子は消えてしまひましたが、 彼女のやうな声優は多くゐます。 別に宮村優子のおかげではありません。時代の流れだと思ひます。 宮村優子はただ、その礎になつただけです。言はば記念碑的存在とでも云ひませうか。 近年、新人のアイドル声優が多く輩出され名前の知らない人が増えました。 そして、アイドル声優は以前のやうに画一的でなく多様性に富むようになりました。 これは良い事ですが、飽和状態だけは避けて欲しひ事をこひ願ひたいものです。 (ロンデ「あれ?きみきみのことには触れないの?」あび「あ、それはまた別の機会に(汗。」)