あび卯論 第五回 「自民党を叱る」 色々と難しい問題がありますのであまり政治のことについては触れたくないのですが、 書かねばならぬと思ひ立つたことがあつたので述べさせていただきます。 私は以前に書いたやうに今の教育基本法は改正すべきだと思つてをります。 自民党は改正に意欲的でありますが、連立を組んでゐる公明党は意欲的ではありません。 仮に公明党が教育基本法を改正することに意欲的だとしても それは自民党の改正案とはまつたく異なつたものになるでせう。 また、憲法改正問題についても自民党と公明党はほとんど違つた意見を持つてゐます。 細かいことを云へば自民党内では意見が一致してゐない部分があります。 これは昔からさうで自民党とは良くも悪くも左右の幅がある程度あるといふことです。 一方、公明党は党内の意見がほぼ一致してゐます。 いづれにせよ自民党と公明党の政策理念はこの二つをみただけでも対立してゐます。 平たく言へば意見が全く合つてゐない。 それでは何故、自民党は公明党と連立を組んでいるか。 答へは、政権政党として居座りたいからです。 いえ、それ自体は何も悪いことではありません。 どの政党でも政権に就きたいことはあたり前ですし、 各々の政策理念を達成するためには政権に就かなければなりません。 ところが、自民党は公明党の組織票を頼りに政権をほしいままにしてゐます。 それだけで情けないと思ふのですが、百歩譲つてそれも戦略の内ならば良しとしませう。 しかし、私が今回「自民党を叱る」と題した所以は以下のことです。 自民党は政策理念のために政権に就いてるのではなく政権に就きたいから就いているやうに思へる。 どうして、政策理念のために政権につくものが自己の政策理念と異なつた政党と連立をくむのでせうか。 つまり、政権が欲しいがために自己の政策理念を曲げて、公明党の政策理念の方に擦り寄ってゐます。 これでは、本末転倒もいいところだと思ひます。 自民党は何の爲に政権についてゐるのか。甚だ疑問です。 もちろん、公明党の方が自民党の政策理念に合はせてゐる部分はあると思ひます。 例へば、自衛隊のイラク派遣なんかさうでせう。 が、こんな政策ばかり自民党に合はせてどうするのか。 イラク問題はもつと複雑な問題ですのでここではこれ以上触れませんが、 合はせなくてよい政策だけ合はせても意味がありません。 そして、冒頭で述べた教育基本法改正問題では自民党と公明党は意見が対立している。 私は国家における最も重要な課題は国防でも経済でもなく教育をどうするか、だと思つてをります。 ですから、今度の教育基本法改正問題だけでも自民党は自己の理念を捨てず、 しつかりやつていただきたいと思つてゐました。 が、現在の動向をみてみるとどうも自民党は公明党に気を使つてばかりに見えます。 憲法9条の問題はまだ本腰でやつてゐないので大きな対立が報道されてゐませんが、 本腰を入れて議論すれば真つ向から対立するはずです。 あるいは、そのやうな対立を避けるために本腰を入れて議論しないやうにも見えます。 そもそも、公明党の政策理念だけを聞きますと社民党とかなり近いものがあると思います。 ですから、本来、公明党が連立を組むのなら社民党と組むべきです。 さうすれば、政策理念が一致できて良いかと思ひます。 もちろん、公明党と社民党とは犬猿の仲ですのでそんなことは夢物語であります。 繰り返し申し上げますが、自民党は自己の政策理念を曲げてまで 公明党の組織票を目的に連立を組むことは本末転倒であります。 公明党と連立を組まなければ政権の座につけないといふのなら 一刻も早く民主党にでも政権を明渡すことが賢明です。 国民の大半もむしろそれを望んでゐるでせう。 以上、自民党はこのやうな憎まれ口を叩かれないやうな政党になつていただきたいと思ひます。 とはいへ、どの政党にしても憎まれ口を叩かれないやうな党は 過去も現在も存在しませんし、今後も出現する事は無いでせう。