<キャラクターデータ>
名前:涼鈴<すず>
性別:女
年齢:10歳
アーキタイプ:少女/半妖/白拍子
業コスト:30+50+10=90
能力コスト:0
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体力:3
敏捷:8
感覚:7
知力:3
心力:9
共感:8
天下:2
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活 力:12
軽 傷:□□□
重 傷:□□
致命傷:□
死 亡:□
霊 力:24
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<運動>中級
<回避>中級
<観察>中級
<意志力>中級
<芸事>中級
<白兵戦闘>初級
<事情通>初級
<話術>初級
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因縁:<秘密:半妖であること>中級
妖であることを知られたら、みんな去っていってしまう。
かつて経験した苦い思い出、二度と味わいたくない。
だから、半妖であることは知られてはならない。
因縁:<感情:無法者への憎悪>初級
漂白の民にとって天敵ともいえる無法者、
力無い者を打ちのめす無法の者たちを許せない。
自らの身を守るために、そして母さまがいなければ自分もそうだった
だろう力無い子供たちを守るために、私は彼らを許さない。
因縁:<目的:両親を捜す>初級
かつて生死不明となった両親を捜す。
その手がかりがある限りどこまでも...
両親が死んだなんて認めない、あんなに強い人たちだったのだから。
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所持品
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特徴的装備
楽器と衣装
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妖術(コスト:45)
再生:3(9)
死んでも9回蘇る、とまではいかないが。
生体武器(爪):9(9)
熊をも倒すらしい。
変身:7(21)
狸と狐と猫股には使えるらしい。
憑依:4(20)
幻術:4(16)
化けるのも化かすのも。
<弱点:苦手(犬)>上級(−30)
犬から受けるダメージは4倍になる。
見るのもイヤ!そのための意志力です。
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<キャラクター設定>
父さまの名前を聞いた。妖におそわれた村の人が話していた、
妖を退治した法師の名前。生きているの?
希望をもって訪れた村には、もう居なったけれど、きっと近くにいる。
父さまを見つけて母さまのことを聞かないと。
あの日の記憶の断片が僅かな望みを残す。
それが思慕の情であれ、憎悪の念であれ、
すべてを失ったわけではないのだから。
紅い輝きの中になお紅く染まり、地に伏した母の姿...
母に厳しい目を向け、金剛杵を構える父の姿...
恐怖に満ちた目を自分に向ける人々の姿...
父は本当に生きているのか?母は本当に死んだのか?
母を倒したのは父なのか?もしそうなら自分はどうするのか?
今はただ、父の手がかりを追い求めるだけ。
今この手にはなにも残されていない。
それでも、いつか取り戻せるのだと信じて...
涼鈴<すず>設定ショートストーリー?妙に前後が細かくて面倒くさいぞ
ごく普通、とは言い難い家族だったのは間違いない。
父・母・娘の三人家族である、見た目だけなら普通と言えなくもないが。
父親は退魔僧、妖物をうち払う陰陽術と霊魂を鎮める法術を修めた僧侶だった。
修法を修めて程なく法師が必ずと言っていいほどたどり着く壁にぶつかる。
すべての生き物は等しく同じ命である、と教えられるというのに寺では精進料理である。
なぜ植物は食べて良く、動物は殺してはならないのか?
思考を留まるところを知らなかった、すべての妖を倒すのは正しいのか?妖は必ず邪悪なのか?
彼は妖に接する機会が多いがゆえに、妖もすべてが邪悪ではないことを知った。
無論、その行動原理は理解に難く、存在そのものが危険であることも熟知していたはずである。
そして、妖を滅ぼす専門家ともいうべき彼が選んだ伴侶は、その妖だったのだ。
母親は猫の変化、いわゆる猫股、と呼ばれる存在だった。
彼女はかつて復讐に生きたが、目的を遂げ、生きる意志を失っていたところを彼に拾われた。
彼が教えてくれた楽の音はとても楽しく、彼と共に生きるのは得難い喜びであった。
人としての姿は楽を奏で、歌い、踊り、日々の糧を得る白拍子。
妖としての姿は人ほどの大きさを持つ猫で、その尻尾は二股に分かれていた。
そして娘、十にも満たぬこの少女は当然のことながら妖の血を引いていた。
生まれたときの姿、つまり本来の姿は人とも猫股ともつかぬものだった。
大まかに人の姿ではあるが、耳は猫のものであり、人にはないはずの二股の尻尾が生えていたのだ。
母親と同じく変身能力を持つ以上あまり関係のないことではあったが、まあ普通ではない。
とはいえ、普通でなければ不幸、などということはない。
むしろ、涼鈴<すず>と名付けられたこの少女は、戦乱の世にあっては十分にすぎるほど、
幸せだったといえる。
常に楽しげで微笑みを絶やさぬ母は、いつも喜びに満ちた曲を奏でてくれる。
優しい瞳で見つめる父は、その体験談を冗談を交え機知に富んだ表現で語ってくれる。
その演奏と講談は家族が暮らし、蓄えを持てるほどの収入をもたらす出来なのだ。
両親の笑顔と共に生きてゆける子供がこの世界にどれほどいるのか。
この少女が数少ない幸福を享受する者の一人であったことは間違いない。
あの日、家族を失うまでは...
しばし時を遡り、第三者の視点からその日を見る。
親子がしばらく身を寄せていた旅芸人の一座は、興行先である名主の家に呼ばれていた。
地方に在るのをよいことに圧制を敷いているのは疑うべくもないほどの豪華な屋敷だったが、
特に珍しいことでもないし、道々の者である一座には関係のないこと。
いや、金離れさえよければかえって歓迎すべきことだろう。
一座が一通り芸を披露し終わると、大いに喜んだ名主に、
「明日、村人にも見せてやりたい。今日は我が家に止まっていってくれ。」
と請われ、久方ぶりの屋根を拒めるはずもなく離れを借りることになった。
異変が起きたのは丑の刻の頃、無論、正しい時を知るすべは無いが。
普通の農家ならば4つは軽く納められるであろう建物、離れは紅い色に包まれていた。
紅く染まった部屋の中には3組の寝具が敷かれており、その1つに少女が眠っていた。
やがて障子戸をあけて入ってきた老人が、少女を揺り起こした。
「あ、おはよう。とーさま」
少女が寝ぼけまなこを擦りながらつぶやくと、
「何を寝ぼけておるんじゃ。」
老人は苦笑いを浮かべ一言つぶやいたが、すぐに表情を引き締めて続けた。
「屋敷が燃えておる。お主の父と母は残っている人を助けに屋敷へ向かったんじゃ。」
老人は一息おくと、真剣な表情でさらに続けた。
「此処におっては危険じゃ。涼鈴は儂と一緒に安全なところに行くんじゃ。」
「あ、うん、ちょっと待ってね。荷物もっていくから。」
両親に絶対の信頼を置く少女は不安など微塵も見せずゆっくりと起きあがると
まだ半分目をつむったまま答え、支度を整えると老人とともに外へと急いだ。
涼鈴が老人とともに屋敷の外まで出ると、一座の面々はすでに避難を終え、
飛び出してきた屋敷の使用人達と消火活動をしていた。しかし、内部から出火したらしく、
戸板を引き剥がしたり桶の水を撒いたりという程度では焼け石に水、と言った有様だった。
どこからともなく声が聞こえる。
「こりゃあ、もう駄目だ。手のつけようがない。」
消火をあきらめたのか誰も動こうとせずただ炎を見つめ立ち尽くすだけだった。
涼鈴はふと辺りを見回し、父母の姿がない事に気づいた。
「ねえ、父さまと母さまは?」
そばにいた背の高い軽業師の若者に声を掛ける。
「うん?涼鈴か。ちょっと待てよ...」
若者は辺りを見回し、そして血相を変える。
「...おい、大変だ。あの二人、まだ戻ってきてないぞ。」
その声を聞いたとき、涼鈴はすでに駆け出していた。
燃えさかる炎の中へ...
入り口の土間を駆け上がり、いくつもの部屋を通り抜け、
涼鈴は一座が芸を披露した広間で二人を見つけた。
十間ほど向こうの、二人が居る場所が、やけに遠く感じられた。
舞い散る火の粉の中、とても現実とは、思えない光景だった。
紅い輝きの中になお紅く染まり、地に伏した母の姿...
「天命...ということか。すまん、許せとは言わんよ。」
すでに動かぬ母に厳しい目を向け、呟きつつ金剛杵を構える父の姿...
決して大きくないはずの呟きがやけに大きく聞こえた。
火のはぜる音とともに何故かはっきりと聞こえたその声に、
「...!!」
涼鈴が何か叫ぼうとしたとき、轟音とともに目の前がふさがれる。
屋根を支える梁がその役目を放棄し、落下してきたのだ。
とっさに落ちてきた梁を叩き切り、舞い上がる煙を払うが視界は晴れず、
続けて落ちてきた屋根板と瓦に打たれてしばらく意識を失った。
どれほどの時がたったか、気が付くと、涼鈴は瓦礫の中にいた。
疲れ果て、涼鈴が避難した人々のもとに帰ったとき、差し込む朝日が長い夜の終わりを告げた。
いつもにぎやかで誰でも暖かく迎えてくれる一座のみんなの顔が驚愕に歪む。
屋敷の使用人たちは恐怖に顔をゆがめ口々に叫ぶ。
「そ、その耳は...」
「あの子、尻尾が、二股の尻尾があるよ!」
「お、おい、あの爪」
「まさか、ば、化け物!!化け物だあ〜!!」
とっさに梁を叩き切った時だろうか、涼鈴は妖としての姿になっていたのだ。
耳や尻尾がまず目を引くが、そこまでは小道具とでも思ったか旅芸人一座はそれほど驚かなかった。
しかし、短く納められているとはいえ日光をはじき輝く鋭い爪が持つ明らかな殺傷力が恐怖を与える。
特に変身に集中せずとも人(もしくは猫)の姿をとることは出来る。
しかし、突然の対応の変化に呆然とした涼鈴は身動きがとれず、恐怖に耐えきれなくなった誰かの
投げた石に痛みを覚えるまで、何かを考えることすら出来なかった。
ようやく思考を取り戻しても、怯え震える人々に囲まれ、その場を逃げ出すことしかできなかった。
その後、涼鈴がどこへ行ったかを知る者はいなかった。
涼鈴は屋敷が見下ろせる小高い丘に一人佇んでいた。
後ろから声が掛かる、
「ふう、やっとついた、年寄りには堪えるのう。ほれ、忘れ物じゃぞ」
山の裏側のなだらかな道を登ってきたのであろう老人が荷物を差し出す。
楽器や衣装、日用雑貨等だった。涼鈴も漂白の民として財産を衣類や装飾品の形で持ち歩いているため
無くなって困るほどの物でもなかったが、わざわざ持ってきてくれたことが、話しかけてくれたことが、
恐怖の瞳に追いやられた涼鈴には涙が出るほどうれしかった。
一息おいてつぶやく、
「ご隠居はあたしが怖くないの?」
「怖いよ、妖はな、じゃが涼鈴は怖くない。」
「あたしも妖だよ?」
「涼鈴は儂の孫みたいなもんじゃ、孫を怖がってどうする。」
「今は涼鈴だけど、いつ妖になるか分からないよ?」
「いや、涼鈴は涼鈴じゃからな。信じとるよ。」
「...でも」
「それに儂はちょいと長生きしすぎた。何時死んでも惜しくないくらいにはな。」
「...。」
「安心せい、儂は見捨てたりせんよ。まあ、あの連中はつき合いきれんと言って行ってしまったがな。」
「ありがとう。それと、ごめんなさい。ご隠居も一人になっちゃったね。」
「いやいや、儂には涼鈴がおる。これから教えねばならんことも沢山在る。退屈はせんじゃろ。」
老人は楽しくて仕方がない、と言わんばかりに笑った。
それから老人が死ぬまでの短い間、涼鈴はいろいろなことを学んだ。
街道の歩き方、楽器の奏で方、文字の読み書き、交渉の仕方など、並の大人以上の事、
そして、この世界を子供一人で歩き回るのは無理だと言うことも。
・・・
屋敷の焼け跡からは何体もの焼死体が見つかったが、すべて判別も出来ないほど黒焦げていたそうだ。
出火の原因は、忍び込んだ夜盗が撹乱のためにつけたものらしい。
しかし、夜盗らしき(武器や道具を所持しているためそれと知れる)死体も見つかったうえに、
妖が現れたなどという話もあり事件の全容は謎のまま、ということだ。