ちょっと真面目なコラム


孫は優しい?

 最近どうも体調が優れない。気分のせいか、気のせいだろうと思っていたのだが、ここに来てとうとう立ちくらみをするようになり、これは変だぞと思い出した。しかし、別に病気になっているわけでもなさそうだし、熱も平熱、風邪でもない。いろいろ考えた結果の結論が、ひょっとして、ここのところの粗食のせいで、体の栄養のバランスが崩れ、軽い栄養失調にかかっているのではないかと思うに至った。

 この解決方法は簡単で、栄養のバランスのとれた食事を意識的にしばらく食べ続ければあっという間に解消する。しかし、毎日ふつうに食事をする中で栄養のバランスをとることは、案外難しい。一口に栄養バランスのよい食事をと言うが、そのためには個々の食べ物に何の栄養素が含まれているのかを大雑把にしろ把握しておかなければならない。そして、それを1日にどれくらいとるのが良いのかも知らなければならない。う〜ん、考えただけでも面倒である。何かいい手はない物か?

 

 先日、好きなサッカー情報を見るべくテレビを眺めていたら、プロ野球のジャイアンツの桑田真澄投手が自主トレ中継で出演していて、「食」について面白いことを言っていた。昔から野球に関する様々なことを研究し、良いと思ったことをどんどん自分の練習や生活の中で実行していることで有名な桑田だが、そんな彼の食の基本は、「孫は優しい」だと言うのだ。「孫は優しい」?なんのこっちゃ?と思ったのだが、これは1日に摂取することにしている食物の頭文字を並べた物で、「マゴワヤサシイ」と仮名にして見る。「マ」は豆類、「ゴ」はゴマ類、「ワ」はワカメで海草類、「ヤ」は野菜類、「サ」は魚類、「シ」は椎茸でキノコ類、「イ」は芋類を表す。この7品目を毎日食べることを心がけることで、体作りの栄養面はバッチリだと言うのだ。

 流石桑田と言うべきか、見るからに栄養をバランスよく摂取できること請け合いの食物類が、「マゴワヤサシイ」の中に見事に集められている。これはいいことを聞いたと思った。いちいちこの食物には何の栄養素が含まれているから体に良いなんて覚えてなんかいられないが、「マゴワヤサシイ」ならすぐ覚えられる。

 

 ふと、この一月ほどの間に食べた物を思い出してみると、私は「マゴワヤサシイ」を1ヶ月かけてもまだ全て食べていないことに気がついた。海草類、野菜類、キノコ類はかろうじて食べた記憶があるが、後は・・・・。これでは栄養のバランスも崩れるだろう。立ちくらみもするわけだ。せっかく良いことを聞いたのだから、即日実行しようと思ったのだが、あいにく今日はもうすでに昼飯まで食べ終わってしまった。仕方がない、明日から心を入れ替えて「マゴワヤサシイ」食事をしようと思う。

12nd,November,1998 by Osamu Yamanaka


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