Palmでモバイルミニ書斎 電車の中でこの文章を書いている。横長の座席の一番端に座り、膝の上にユニクロの鞄を水平に置き、その上でPalm Portable Keyboardを広げて、Keyboardのスロットに差し込んだPalmVxの画面とにらめっこをしている格好だ。通勤の時間帯なので電車は結構混雑していて、車内の吊革という吊革には、一つに一人づつまんべんなく人がぶら下がっている。座っているにもかかわらず電車の揺れは結構激しい。
少し前まで、日立PERSONAというWindows CE機を持ち歩いていて、例えば電車の中などモバイル環境で文章を書くような場合には、それを使うことが多かった。Palmも、その頃には既にスケジューラ&電話帳として使っていたから、毎日2台のモバイル機器を持ち歩いていた。PERSONAを持ち歩くことをやめ、文章を書くのにもPalmを使いたいと思ったのは、せっかくコンパクトにできているモバイル機器なのに、2台も持ち歩くのでは、そのメリットを自ら打ち消してしまっていると感じていたからだ。どちらか一台と言うことになれば、スーツの胸ポケットに入れて持ち歩け、既にスケジュール帳としてなくてはならないツールとなっていたPalmを選ぶ以外に選択の余地はなかった。しかし、そうは言ってもPERSONAの文章作成機としての使い勝手は優秀で、これをPalmで置き換えるのはなかなか難しいと思っていた。
Palmテキストエディタ化計画のブレークスルーは、ATOK PocketのPalm版が付属した、Palm Portable Keyboard日本版が発売されたことだった。このキーボードは折り畳み式で、畳むとPalm本体とほぼ同じくらいコンパクトであるにも関わらず、広げるとフルサイズのPC用キーボードとほぼ同サイズのキーボードに早変わりするという優れものだ。また、日本語Palm特有の使い方に適合したKeyboard Driverと、Palm版ATOKの恩恵も非常に大きく、これらによってPalmで日本語の文章を制作する環境は、飛躍的に進化した。更に、Palmで長文を扱う際に必須となるDoc形式のファイルを扱える優れたDocエディタが相次いで登場してきたことも、Palmで不便を感じずに文章を書けるようになった大きな要因だ。ここ最近の愛用Docエディタは、PenDocument Reader(略称PenDoc)と言うソフトで、最初から日本語による文章作成を想定して作られているらしく、他のソフトと比較して、使い勝手は良好だ。こうして、Palm側の環境が整い、試しにいくつか文章を書いてみて、今は完全にPalmで文章を書くに至ったのである。
今も、相変わらず電車の中である。駅に停まる度に人が乗り降りするが、車内の混雑は相変わらずだ。私は、鞄を膝の上に置き、Palm Portable Keyboardを広げ、Palm Vxの画面を見つめている。混雑する車内をよそに、私の膝の上のモバイル書斎では、快調に作業が進んでいる。この駄文が、その証である。もうすぐ目的地の駅に着く。今朝の通勤のひとときを費やしたこのファイルが、気楽に持ち歩けるモバイルミニ書斎を求める人のお役に立てば、幸いである。
24th,April,2002 by Osamu Yamanaka