essay.gif ちょっと真面目なコラム


忘れ物の言い訳

 

これまでの十年間ほど、いろいろと言い訳ばかりをして、本当に心から取り組みたいと思っていることに何も手が付けられていないことは明らかな事実である。自分のことでありながら、このように突き放してものを言う妙な癖も、すっかり自分の中に定着してしまった。

これまで自分のやりたいことに忠実に生きてきた中学高校時代の友人の多くは、すでに各方面でそれなりの成果を出し、夢の実現を果すか、あるいはとても充実した毎日を送っているようだ。なんだかそこはかとなく羨ましい。

振り返って我が身を見れば、本意ではないサラリーマンがすっかり板につき、毎日へいこら頭を下げる日々が続いている。それでもまだ自分の夢の実現の可能性があると本気で信じられる年齢のうちは、特に大きな不安も不満もなく過ごしていたが、年齢を加え、夢の実現の可能性が日々すり切れていくことを実感する齢に達するに至って、これまで自分は何をしてきたのだろうと言う思いが頭の中の大勢を占め、このごろは焦燥の思いとなって心を募らせるのだ。はたから見れば安定した堅実な人生(実はそれほど安定した人生を送ってきたわけではないのだが)を送ってきたように見えるかもしれない。しかし、ここに来て心は千々に乱れる思いがするのである。

ここで日々自分に言い訳しながら過ごしている総ての人に宣言しよう。その道の先に人生の満足はない。自分のやりたいことに向かって生きていかなければ、後から必ず道を変更する日がやってくる。併せて、既にそういう生き方をして随分時間が経ってしまったと思っている人にも言おう。やりたいことはやろう。今からでは遅いことなどない。言い訳をやめて、すぐに始めよう。時間がないのも、家に自分の場所がないのも、みんな言い訳にすぎない。言い訳するより解決しよう。できないと諦めるよりも、どうしたらできるか考えよう。不満も不安も、自分次第。最後に笑えれば、それで良いと思うのだ。

この文章の締めくくりに、一つ秘密を告白しよう。言い訳をやめた私は、これから以下の少しだけ大それたことに、本気で取り組むつもりであることを。

1.音楽を作り、小説を作る。

2.クルマに乗って、写真を撮る。

3.上記のアウトプットを公に発表し、大小問わず賞を取る。そしてそれを継続する。

この文章を読んで何かを感じた人は、是非一緒に「忘れ物」を取りに行こう。言い訳をやめたあなたは、きっと私の同志なのだから。

mail.gif10th,April,2002 by Osamu Yamanaka


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