CD Rackからひとつまみ、約半年(以上か・・・)ぶりの更新です。

 今回のテーマは「温故知古」。なんだかどこかで見かけたようなテーマですが、古きを訊ねて古きを知るのもまたいいではないですか(笑)。1970年代から1980年代中盤当たりというのは、Rock Band形態で音楽をクリエイトすることがほぼ完成の域に到達し、熟成のなかから生み出された作品が沢山ある時代です。ギターとドラムスとベースとキーボード、それにコーラスや時にはオーケストラなども使いながら、バンドそれぞれに個性的な音楽を作り上げています。第一回目の今回は、今でも私が好きこのんで聴いている古〜いCDを紹介していきたいと思います。


「温故知古!その1」March 1999

 

 さて、久々の一発目は、重厚なPOPSと言う一風変わったPop Musicで一世を風靡したElectric Light Orchestra

1.「Discovery 」 Electric Light Orchrstra

 1979年発表ですから、なんと20年前のアルバムです。しかし、リーダーのJeff Lynneの手によるファンタジックな音世界は、20年の年月を感じさせないぐらい個性的かつPOPです。

 1970年代初頭にイギリスでデビューしたELOは、その後活動拠点をアメリカに移し、1970年代中盤から1980年代初期にかけて、主にアメリカのヒットチャートを中心に大活躍しました。ビルボード誌などの音楽雑誌が彼らを紹介するときの常套句に、「1970年代を通じて、もっとも多くのTop40 Hitを放ったバンド」と言うのがあります。実際に、彼らが70年代に放ったTop40ヒットは約20曲にも及び、同じ時期に活躍した並みいる有名バンドを凌いでおり、ギネス・ブックにも記載されています。しかし、その割にあまり有名でない(と言うか、地味な印象な)のは、日本では、これと言った大ヒット曲がないことに起因しているようです。ELOについて、詳しいプロフィールは下記URLを参照ください。

http://www.momo.it.okayama-u.ac.jp/~rohi/Music/ELO/whatiselo.html

 「Discovery」は、バンドが最高に乗っていた時期に制作されたアルバムで、全曲がポップでキャッチーな良質なポップミュージック・アルバムに仕上がっています。1999年の今聞いても、重厚に積み重ねられた音世界で構築されていながら圧倒的にPopな、こんな音楽は他にありません。

 そういえば数年前に、Puffyの「アジアの純真」がヒットしたとき、ELOを知る音楽ファンは、「プロデューサーの奥田民雄はELOのファンなんじゃないか?」と訝ったものでしたが、後に奥田民雄自身が、自分にとってELOはFavoriteの一つであり、「アジアの純真」のアレンジは意識的にELO風にしたことをインタビューに答えて話しています。「アジアの純真」のイントロを聴くと血が騒いでしまう人は、是非ELOも聞いてみてください。

 オーケストラによるクラッシックが好きな人も、Rockへの入門編として一度聴いてみる事をお奨めします。Beatlesや、そのメンバーの作品が好きな人も、一度聞いてみるといいでしょう。あの「Free As A Bird」のプロデューサーは、ELOのリーダーだったJeff Lynneです。

 

 さて、2枚目は、そのBeatlesの元メンバー、Paul McCartneyのソロアルバム!

2.「Tug Of War」 Paul McCartney

 2枚目は、元Beatlesの、と言う形容詞も不要でしょう、Paul McCartneyの「Tug Of War」です。Beatles解散後、元メンバーの中でただ一人1970年代を通じて活動を継続し、かつ大スターとして君臨したPaulが、自身の活動拠点だったBand「Wings」を解散し、John Lennonの殺害事件という痛ましい事件を乗り越えて制作した、1982年発表のアルバムです。Stevie Wonderと共演した「Evony and Ivory」が当時非常に話題になりました。

 これもすでに発表から17年の歳月を経ているのですが、音楽の質は今現在ラジオから流れてくる最新ヒットに全く引けを取りません。何の先入観もなく、1999年の新人アーティストの新作だとして聴いたとしても、多くの人に気に入られるであろうクオリティをもった作品です。Paulは1990年代に入っても現役アーティストとして活動を継続していますが、私は、そのどれよりもこの作品が好きです。「歌」を大切にした音楽が好きな人には、文句なしにお奨めです。

 ちなみにPaulは、昨年公私にわたる最良のパートナーであった妻のLindaを失いました。いままで、どんな状況になっても常に心の底から前向きなエネルギーが溢れていたPaulですが、今回の痛手は相当深いようです。しばらくは、新作の発表はないのではないかと思われます。

P.S.Linda McCartneyのご冥福をお祈りいたします。

 

 お次は、イギリスが生んだ通好みのギターバンド・Dire Staritsの22年前のデビューアルバムです。

3.「Dire Straits」 Dire Straits

 ギター職人Mark Knopfler率いるギターバンドDire Straitsのデビューアルバム。1980年代後半に「Money For Nothing」の大ヒットを飛ばしたバンドとして有名ですが、デビューアルバムには、地味ながらロングセラーになった名曲「Sultans of Swing」が収録されています。Dire Straitsは、デビュー前後の時期にレコード会社からあまり優遇されてはいなかった(要するに「売れない」と判断されていた)ので、このアルバムは彼らを発掘したプロデューサーと一緒に低予算で録音されたものらしく、オーバーダビングも最低限に押さえられており、派手な演出も仕掛けもないシンプルなギターバンドの音を聴くことができます。ギターのサウンドも、派手なエフェクトなどない、シンプルなクリアートーンが基本になっています。しかし、それだからこそバンドの高い演奏技術や曲の良さが際だち、今聴いても古さを感じさせない作品に仕上がっています。

 ギターバンドの作品は数あれど、シンプルな音と個性的な曲と演奏を録音したこの作品ぐらい、永遠に古くならない希有な作品もないと思います。心地よいギターサウンドが聴きたい人に、お奨めです。

 

 最後は、ちょっと毛色を変えて、歌のないインストアルバムを紹介しましょう。

4.「Feels So Good」 Chuck Mangione

 フリューゲルホルンという、トランペットに似た楽器を奏でるChuck Mangioneの、1977年のPopな作品。フリューゲルホルンは、見た目はトランペットに似ているのですが、音色はホルンに近く、とても暖かく柔らかい音がする金管楽器です。Chuck Mangioneは、Jazzミュージシャンとして有名な人なのですが、この作品はとてもPopな作りで統一されており、Jazzに縁のない人でもとても聴きやすい作品になっています。歌は一切入っていないインストゥルメンタル作品ながら、発表当時大ヒットました。

 軽さと落ち着きの両方を兼ね備えた大人のPop Musicとして、洒落た一時を楽しみたい人に超おすすめです。

7th,August,1998 by Osamu Yamanaka


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