ちょっと真面目なコラム


VOJA 「Gospel Night」ライブ雑感

 

 7月1日、亀淵友香 & The Voice Of Japanのライブを初めて見てきました。場所は松戸・森のホール21と言う、1500人程のホールです。ステージに現れたVOJAは、亀淵友香を中心に16人のVocalチームと、ピアノとパーカッションというシンプルな編成です。Vocalチームは女性12名に男性4名という構成で、女性陣はソプラノ4名、メゾ4名、アルト4名と言う構成のようでした。途中、亀淵友香を除く女性11名による曲や、更に絞り込んで女性7名(多分この7名がVOJAの中核メンバーなのでしょう)による曲もありました。ホールに集まった観客層は非常にバラエティに富んでいて、よく言えば世代を問わず老若男女が集まって大盛況、悪く言えば市民イベントに物見遊山で集まった人々という感じで、音楽のコンサートの客、ましてやライブステージを見に来た観客と言う感じではありませんでした(このわけはコンサートの最後に知ることになります)。

 そんななか、いきなり始まった1曲目「Thank you」で、観客は目の前で行われている恐ろしく質の高いVocalパフォーマンスに圧倒されます。間髪入れずに2曲目「People Get Ready」、3曲目「Liberty」とたたみかけられ、普段はあまり音楽など熱心に聴くこともないであろう老若男女がVOJAの世界に引き込まれていきます。曲の間に亀淵友香氏のちょっととぼけた味のある、しかし如何にもプロフェッショナルな、観客を掴みコントロールするMCを挟みながら、ステージは進行していきます。途中で亀淵氏が引っ込んでVOJAメンバーだけの曲があったり、亀淵氏の圧倒的な力量を知ら示すソロがあったり、なかなかバラエティに富んだ内容のステージです。とにかく比類無いVocalパフォーマンスの力だけで観客は完全にVOJAの世界に引き込まれてしまい、ほとんどの人が一回も聴いたことがないであろう音楽の世界を飽きることなく楽しんでいるようです。最後に、地元の人を中心として編成されたのであろう200人の大ゴスペル・コーラス隊がステージに上がり、3曲ほどを演奏してコンサートは終わりました。観客に老若男女が数多く集まっていたのは、今日の出演者の関係者が多かったからでなのでしょう。

 初めて見たVOJAのライブの私の印象は「VOJAとは、プロフェッショナルな技を見せる素人集団」と言うものです。兎に角Vocalパフォーマンスは素晴らしいの一言です。また、亀淵氏を除くプレイヤー達の、初々しさを随所に感じさせる本当に心からステージを楽しんでいる姿も素晴らしいものでした。「I will follow him」でソロをとったソプラノの女性シンガーの初々しさと確かな技術は、見ていても微笑ましく、大拍手を浴びていました。また、誰も聞いたことがないであろうゴスペル曲をグループで見事な技術で歌い上げ、見るもの全てに等しく感動を与えることができる希有なグループであることも再確認できました。特に中核メンバーと思われる女性シンガー7人の力量は素晴らしく、随所でソロをとったり、2-3人でのハーモニーを聴かせたりして曲全体を引き締め、また気合いの入ったステージングで盛り上げたりしていました。なかでもソプラノの「フクダ・ジュンコ」氏の声と、VOJAのリーダーとして紹介されていたメゾの女性シンガーのハイテンションなパフォーマンス、男性リーダーとして紹介されていた「ホリ」氏のステージングの実力などは素晴らしいものだと思います。

 

 VOJAは、本当に素晴らしいグループではあるのですが、残念なことも幾つかあります。その最たるものが、これだけ素晴らしいグループなのに今ひとつ世間の音楽ファンからリスペクトされていないと言う事実でしょう。これは多分にマネージメント及びグループ全体のプロデュースの問題かと思われます。ヒット曲がないと言う事情もあるかも知れませんが、それ以上にオリジナルで「いい楽曲」がない(あるいは少ない)ことが最大の問題かも知れません。

 またステージのすばらしさとは裏腹に、CDのできの悪さも残念です。VOJAはこれまでに3枚のアルバムを発表してきていますが、どれも出来映えは今ひとつです。唯一、亀淵友香氏が自ら音楽をプロデュースした「Growing Sprits」だけはVocal部分に限って大分ましになりましたが、演奏は今ひとつです。それ以外の2枚に至っては、Vocalさえも少年少女合唱団の作品のようになってしまっていて非常に残念なできです。

 マネージメントの問題としては、出演する場所をもう少し考えた方が良いように思います。人数が多いので、多分活動できる時間は普通のバンドなどと比較した場合非常に限られているのではないかと思います。そうであればますます出演する場所を選ぶべきなのではないでしょうか?金銭的にみたら、先日の森のホール21でのコンサートも大して儲かっているとは思えません。どうせ儲からないのであれば、より一層リスペクトされ強固なファン層を作れるような活動をしていった方が、VOJAの近い将来のためには良いのではないかと思います。日本にはアメリカのようなゴスペルの文化はありません。それ故、VOJAのようなバンドは活動しずらいとは思います。しかし比類無きVocalパフォーマンスの魅力を、このまま一部の人だけのモノにしておくのはとてももったいないと思うのです。

 と言うわけで、勝手ながら思うところを提言をさせていただきたいと思います。できれば直接彼らに手紙でも送りたい所なのですが、パンフレットを見てもCDジャケットを見ても連絡先が判らないので、少々大胆ですが、ここに掲載します。

 

提言 

1.楽曲を選びましょう。VOJAのコーラス・アレンジ力と演奏力は素晴らしいと思います。問題はトラディショナルなゴスペル以外に演奏する曲です。例えば無名の若手作家の曲から良いものを選定したり、なじみ深いオールディーズなどから選定した方が、既に名のあるビッグネームに新曲を依頼するよりもVOJAに合った良いオリジナル曲が見つかりそうな気がします。オケのアレンジャーには、ジャズ系の人も起用してみてはいかが?

2.ヒット曲を作りましょう。幸い今はジャパニーズ・ソウルがもてはやされています。ソウル・ミュージックの源流はブルースとゴスペルです。リズムを全面に出した踊れる曲も是非演奏してください。ゴスペルのトラディショナルソングにも、リズミカルな曲は沢山あるはずです。オリジナルで踊れる曲を演奏しても、ゴスペルの音楽性に反することにはならないのでは?

3.CD作りに関しては、Sounds of Blacknessの真似をしてみましょう。オリジナルにこだわるのも良いですが、ゴスペル・コーラスを中核にしたオリジナル作品制作に関して、彼ら以上のCD作りのノウハウは日本には絶対にありません。彼らのノウハウを盗んで、それからオリジナリティを出していっても良いのでは?現状のCD作品ではメンバーの記念碑以上の意味はありません。日本では前人未踏の領域の音楽なのですから、まず先人のノウハウを受け継ぐことも大切だと思います。

4.積極的に野外のJAZZフェスティバルに参加してください。VOJAの音楽を心からリスペクトしてくれるのは、きっと耳の肥えた観衆です。耳の肥えた聴衆の集まるところでパフォーマンスを行い、VOJAの存在感をアピールしましょう。

5.VOJA中核メンバーの名前と個性をもっと全面に出しましょう。現状では亀淵友香氏以外のメンバーの顔が見えません。時には、亀淵友香氏抜きのVOJAで、他の人のレコーディングや複数出演者のフェスティバルなどに参加しても良いのでは?

6.「人はどこから来たのか、どこへ行くのか」「神」など、ゴスペルの宗教的精神をオブラートに包みつつも、もっと表に出していきましょう。精神性は、これから益々人に訴えるものには不可欠になって行くはずです。臆することなくゴスペルの精神性も表現しましょう。

7.VOJAに関する情報が少なすぎます。どこでコンサートをやっているかもわかりません。せめてホームページぐらいは作った方がよいと思います。

 

 もしVOJAの関係者の方がこのホームページを見たら、是非私にご連絡ください。どれほどのことができるか判りませんが、手弁当で力になります。聴くのも歌うのも楽しい本格的なコーラスの楽しさの輪を、もっともっと広げていきましょう!

 

 VOJAの音楽は本物です。日本にこのバンドが存在することを私は心から嬉しく思います。機会があったら、みなさんも是非VOJAのステージを見に行きましょう。きっと感動すること請け合いです。

4th,July,2000 by Osamu Yamanaka


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