平成12年度後期期末試験問題
監査 内藤教官

【解答上の注意等】
◇ 解答は「経営学部解答用紙」に記入すること。また、この試験問題(全5頁)は持ち帰ること。
◇ 解答の順序は問わないが、問題番号および設問番号を明記すること。
◇ 解答以外のことを記入した答案はすべて無効とする。
◇ 期末試験の成績については、9月28日(木)から10月6日(金)までの間に限りE-Mailでの履修生本人からの照会を受け付ける。また、模範解答についても同様とする。

I.つぎの空欄((1)〜(50))に入れるべき適切な語句または数字を答えなさい。(50点)

1. 会計監査とは、資金を(1)者が、その資金を(2)者に対して説明を行う(会計責任、説明責任)ための情報の内容が正しいかどうかをチェックすることである。資金提供者は委託した資金が正しく使われているかどうか、その資金元本が失われないかどうか、および資金提供の見返りが見込まれるかどうかなどについて、監査済の情報内容にもとづけば、安心して(3)を行うことができる。
2. このように、会計監査は、資金提供者などの利害関係者の(3)が正しく行われるようにする目的がある。つまり、会計監査は利害関係者の(3)を援助することを通じて、利害関係者を保護するために行われる。企業の利害関係者には、株主、(4)、投資者などが含まれる。ただし、利害関係者の保護とは、その(3)の成否(利益)までも保護するということではない。
3. さらに、会計監査は、利害関係者の(3)を保護するという目的を果たすことによって、一国経済における、稀少資源の有効配分をも確保する役割を担う。資源の有効配分とは、社会の富を増加させる事業活動に資源を集中し、逆に必要性が減少している事業活動から資源を引き上げるということを意味する。
4. 監査と(5)との差異は、いずれも調査とその結果の報告を含むが、前者はさらに批判が含まれるということである。
5. 会計監査は、情報の(6)を保証する役割がある。情報の(6)を保証するということは、会計監査によって、情報の(7)を検証するということと同義である。
6. 企業の事業活動に関する監査には、証券取引法による監査、商法による監査、内部監査人による監査、監査役による監査、環境保全に関する監査などさまざまな種類がある。 証券取引法による監査は、財務諸表の(8)を保証するのに対して、商法による会計監査では、 (9)の適法性を保証する。また商法による監査には、会計監査のほか、(10)監査がある。(11)監査は、監査役(会)によって行われ、取締役の経営の適法性と(12)を検証する。内部監査人による監査は、経営者のために、従業員の(13)や誤謬を防止・摘発する役割がある。
7. 財務諸表に対する監査の必要性は、(ウ)利害の対立、(エ)利害関係者の(14)・遠隔性、および(オ)会計処理の(15)(財務諸表の複雑性)、以上の3つの要因から説明される。
8. 現代の会計監査はイギリスで生成し発展してきた仕組みである。当初の監査は、株主の代表である素人の(16)が、経営者の経営の合法性と(17)とをチェックするもので、(18)の利益のために、会計帳簿と(19)を検証していた。事業内容が複雑・拡大するにつれて、監査を担当していた監査役には専門性が求められるにいたり、勅許会計士が監査役の資格要件となり、1947年に(20)監査が成立する。当時の監査は(21)監査を精査で行うのが中心であったので、貸借対照表が合法であり、(22)な概観を示しているかどうかについて監査意見を表明するものであった。
9. イギリス発祥の会計監査は、(23)における会社の発展とともに移植され、多発する破産あるいは会社の合併や買収に対応するために会計士の役割が増大し、職業会計士が誕生する。この頃の監査は、(24)のための監査であって、帳簿監査、とくに(25)と従業員の不正と誤謬の防止に重点が置かれていた。 その後、恐慌が周期的に発生し、倒産が続出するようになると(1910年頃)、金融きかんのための監査が重視されるようになる。(26)監査の時代である。この時代の監査では、特に、資産の
内容が充実しているかどうか、すなわち、(27)に対する検証に重点が置かれた。企業規模が著しく拡大したため、精査ではなく(28)の方法が採用されたのがこの時期である。
  さらに企業活動が拡大すると、金融機関による短期融資では不十分となり、証券市場を通じた、(29)の増大による資金調達が盛んに行われるようになった。つまり、株券を印刷すればするだけ現金が手に入ったわけである。しかし、(30)年の世界恐慌によって株価が暴落し、一般投資家が大損害を被った。そこで、1933年には有価証券法が、1934年には(31)法が制定され、企業の公表する財務諸表に対する監査が義務づけられた。つまり、企業が株式や社債を公開するときには財務諸表の監査を強制し、(32)制度を拡充したのである。この財務諸表の監査は、企業の収益力に関する情報の検証に重点をおき、(33)の保護を目的とするものである。
10.わが国において財務諸表監査制度が成立したのは、昭和23年に制定された証券取引法の昭和25年改正においてである。翌26年には(34)が開始されたが、その監査対象は、上場会社の会計システムであったため、この監査を特に(35)と呼ぶ。監査対象が順次拡大され、財務諸表に対する監査が実施されるようになったのは昭和32年である。つまり、(36)財務諸表監査の実施である。
 さらに、昭和49年には商法特例法(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律)が制定され、商法の中に(37)制度が導入された。
11.証券取引法の規定によれば、事業会社が有価証券を募集または売出しを行う場合、大蔵大臣宛(38)書を、発行後毎決算期に(39)書を、それぞれ提出しなければならない。(第5条および第24条)。これらの書類のうち財務会計に関する書類のうち財務諸表等については、(40)関係のない公認会計士または監査法人による監査証明が義務付けられている(第193条の2第1項)。
12.監査(41)の方法は、大蔵省令で定める基準および手続にしたがうものとされ(第193条の2第3項)、監査証明省令(財務諸表等の監査証明に関する省令)と監査証明省令取扱通達にしたがって行われる。とくに、省令第3条第2項の規定によれば、監査証明の手続は「一般に(42)と認められる慣行に従って実施された監査」の結果にもとづかなければならない。このことは、企業会計審議会が設定する(43)および監査実施準則・監査報告準則にしたがわなければならないことを意味する。
13.商法にもとづく監査制度には、(44)監査と(45)監査とがある。これらの監査を受ける義務は、会社の区分にしたがって異なる。つまり、つぎの表のように整理される。

  大会社
資本金5億円以上
負債200億円以上
中会社
資本金1億円超
5億円未満
小会社
資本金1億円以下
(44)監査 監査役会が実施 (46) 不要
(45)監査 監査役会が実施
会計監査人も実施
(47)
(48)
監査役が実施
会計監査人による監査は不要


14.監査役による監査は、取締役の受託責任の履行を監視するために行われ、取締役の業務の適法性と(49)のチェックを行う。そのため、(44)監査と(45)監査の両者が原則として要求されている。これに対して、会計監査人による監査は、大会社の会計業務については、高度に複雑化かつ専門化しているため、会計専門家による監査を実施し、株主の利益を保護する目的で行われる。公認会計士または(50)でなければ、会計監査人となることはできない。

II. 次の説明文の誤りや説明の不足を指摘し、正しい語句に替えなさい。解答は【例】にしたがうこと。誤り等がない場合には、「誤りなし」と解答すること。なお、誤り等がある場合には各設問に1箇所である。(20点)

【問題例】(1)雪印乳業の食品汚染問題は、内部統制システムが整備されていれば防止できた可能性 がある。
【解答例】(1)誤り:「整備されていれば」
        正しい語句:「整備され、正しく運用されていれば」

(1) 監査の実施は、財務諸表の正確性に対する監査人の意見を形成するのに十分な監査証拠を入手し、もって監査意見証明の合理的な基礎を形成すべく行われなければならない。
(2) この十分な監査証拠を入手するために実施される業務が、常時実施すべき監査手続である。この監査手続は、監査人が、公正な監査慣行を踏まえて、十分な監査証拠を入手し、財務諸表に対する意見表明の合理的基礎を得るために必要と認めて実施する監査手続である。
(3) 十分な監査証拠という場合の十分性は、監査要因に適合する監査手続が選択適用されることによって達成され、量的に十分な証拠と質的に十分な証拠の入手を意味している。
(4) 財務諸表に対する意見の表明は、1)企業の採用する会計方針が、一般に公正妥当と認められる会計原則・基準に準拠しているかどうか、準拠していないと認められるときは、その旨、その理由およびその事項が財務諸表に与えている影響、2)企業が前年度と同一の会計方針を適用しているかどうか、前年度と同一の会計方針を適用していないと認められるときは、その旨、その変更が正当な理由に基づくものであるかどうか、その理由およびその変更が財務諸表に与えている影響、3)財務諸表の表示方法が、一般に公正妥当と認められる財務諸表の表示方法に関する基準に準拠しているかどうか、準拠していないと認められるときは、その旨および準拠したときにおける表示の内容について行われる。
(5) 財務諸表に対する意見は、上記の3つの点についてすべて問題がなければ自動的に無限定適正意見となる。
(6) 経営者の確認書が入手できない場合、監査を実施することはできない。
(7) 有形固定資産の減価償却方法が前年度の定額法から定率法に変更されているが、対象資産について特に何らの変化も生じていないので、監査報告書には何も記載しなかった。
(8) 主要工場が決算日後3週間目に消失した。このことに関する財務諸表での注記が記載されていないので、意見を差控えた。
(9) 貸倒引当金の設定が、相手方の財政状態を勘案した結果、きわめて不足していると監査人が判断し、積み増しを会社側に指導した。しかし、会社側はこれに応じなかったため、不適正意見を表明した。
(10)製造物責任法の施行にともない、当該企業の主要製品の欠陥に起因すると思われる事故が多発し、損害賠償請求の提訴が行われた。同企業が敗訴する可能性は高い。しかし、その賠償額を合理的に見積もることができない。このような場合、監査人は、かかる事象が財務諸表に正しく注記されているかどうかを監査するとともに、監査報告書において限定付適正意見を表明するか、意見を差控えることになる。さらに、監査人は監査報告書に補足説明事項を記載する必要がある。

III. 次の損益計算書について、その適正性をあなたは監査することが求められている。監査の結果を前提として、あなたは、損益計算書の適正についてどのような結論を下しますか。その根拠とともにあなたの判断内容と判断結果を解答しなさい。(20点)

P/L(損益計算書)(単位:100万円)

売上高 2,500
売上原価 2,200
売上総利益 300

○ 監査結果
1. 売上高は、製品A、B、およびCの売上の合計である。その内訳は、次の通り。
   製品A:1,000、製品B:800、製品C:700
2. 製品Bについて、架空売上200が認められた。
3. 製品AおよびCの売上については適正に処理されていた。
4. 重要性の水準は売上総利益の5%である。
5. あなたは、経営者に対して、架空売上の修正を指導したが、経営者は聞き入れなかった。

IV. 三菱自動車工業株式会社は同社の販売した乗用車やバスなどについてのクレームを自社内部に隠蔽し、リコール処理をしない措置を30年間継続していたと報道されている。これが事実であるとすると、このような問題が生じないようにするためにどのような方策がとられるべきであると考えられるかについて、あなたの意見を述べなさい。(10点)

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