平成12年度後期期末試験問題
財務会計 桜井教官

 

I.次の各文のうち、会計ビックバンが完了した後の新しい日本の会計基準からみて、正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。解答は答案用紙に、「(1)× (2)○ (3)○…」のように書くこと。採点は減点法で行い、たとえば正しく解答できたものが7個で間違ったものが3個のとき、[(7個−3個)×2点=8点]とするので、自信がないものは答えない方がよい結果になることがある。[2点×10個=20点]

(1)連結財務諸表に配当可能利益がなくても、個別財務諸表に配当可能利益がありさえすれば、現金配当を実施しても違法にはならない。

(2)連結決算に含めるべき子会社は、その会社の議決権付き発行済株式の50%を越えて当社が株式を保有している会社である。

(3)証券取引法の適用を受ける企業は、研究開発のための支出額を繰延資産として貸借対照表に計上することはできない。

(4)建設会社は長期請負工事の収益を工場進行基準で計上しなければならず、また割賦販売会社は売上収益を回収基準で計上しなければならない。

(5)贈与などにより無償で取得した有形固定資産は、支出額がゼロであるから、貸借対照表に計上する取得原価もゼロとして取り扱われる。

(6)先物やオプションの取引を時価評価すると、財テクへの熱中のあまり本業がおろそかにされるおそれがあるから、これらのデリバティブは決済されるまで取得原価で評価する。

(7)系列強化の目的で相互に保有している持ち合い株式でも、時価があがるものは決算日に時価評価し、帳簿価額との差額を損益計算書に評価損益として計上する。

(8)連結キャッシュ・フロー計算書を作成・公表した企業は、個別財務諸表としてのキャッシュ・フロー計算書を公表する必要はない。

(9)連結貸借対照表において、関連会社株式は取得原価で評価するのが原則であるが、時価または実質価額が著しく下落した場合は評価減を行わなければならない。

10)製造業を営む企業が製品や仕掛品の評価額を決定するために認められた原価計算の方法は、実際原価計算と標準原価計算である。

 

II.次の文章A~Cの空欄にあてはまる数字を答えなさい。解答は答案用紙に(ア)1,234 (イ)567 (ウ)8,901・・・のように書くこと。[各2点×16個=32点]

A.2000年8月中における、ある商品の受け払いが次のように行われたとき、8月中の売上原価は、総平均法のもとでは(ア)万円、移動平均法では(イ)万円、先入先出法では(ウ)万円、月別の後入先出法では(エ)万円である。

  受け払い  8月 1日  前月繰越 10個  単価80万円

        8月10日   売上   5個  

        8月20日   仕入  15個  単価100万円

        8月30日   売上  10個

B.売上収益の計上時点を決定する基準には、生産基準・販売基準、回収基準の3通りがある。製造の生産・販売・代金回収という営業循環を遂行するのに5年を要する企業が、次に資料として示すとおり、第1〜3期に合計1,000万円の製造原価を投入して生産を行い、完成した製品を第3期に1,600万円で顧客に引き渡し、その代金を第3〜5期にわたって回収するとき、3通りの収益計上基準を適用した場合に、第3期の損益計算書に計上されるべき売上収益と、それに対応する売上原価は下に示したようになる。

  資料  会計期間    製造原価            代金回収

       第1期  150万円(15%)

       第2期  550万円(55%)

       第3期  300万円(30%)         800万円(50%)

       第4期                   600万円(37.5%)

       第5期                    200万円(12.5%)

        計   1000万円                1600万円

 

        生産基準     販売基準     回収基準

  売上収益  (オ)万円    (キ)万円    (ケ)万円

  売上原価  (カ)万円    (ク)万円    (コ)万円

 

C.次のようなP社とS社の当期末の貸借対照表を基礎として、連結貸借対照表を作成する。ただし社はS社の発行済株式の80%を当期末に取得した。また当期末のS社の諸資産に含まれる土地の時価は帳簿価額を200だけ上回るため、全面時価評価法で評価しなおす。

  S社の貸借対照表

諸資産 1,800

諸負債  1,100

資本金   400

剰余金   300

 

P社の貸借対照表

諸資産  4,200

S社株式  800

諸負債 2,000

資本金 1,800

剰余金 1,200

 

  連結貸借対照表

諸資産    (サ)

連結調整勘定 (シ)

諸負債    (ス)

少数株主持分 (セ)

資本金    (ソ)

連結剰余金  (タ)

 

III.次の文章D〜Fの空欄に当てはまる会計用語を、それぞれの選択肢群を参考にして、(チ)xxx(ツ)xxx(テ)xxx・・・のように答えなさい。選択肢の中に正しいものがなければ、選択肢以外から適切な会計用語を考えて答えること。ただし選択肢の中に適切なものがある場合には、必ず選択肢の中から答えなければならないものとする。[2点×15個=30点]

 

D.複式簿記では、まず帳簿記録の対象となる取引を識別し、これを(チ)に記入して取引発生順のデータベースとしたうえで、影響を受けた項目別のデータベースへ組み替えるために(ツ)へ転記する。次に(ツ)の各勘定の金額を合計して(テ)を作成することにより、ここまでの手続きの正否を検証する。そのうえで各勘定の残高が決算時点での経済的事実を正しく反映するように(ト)を加えて財務諸表を完成するが、これには(ナ)を利用するのが便利である。

[選択肢]決算整理、現金出納帳、在庫帳、試算表、付属明細表、利益操作

 

E.企業が有する固定資産は、貸借対照表で有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産に3分類される。有形固定資産には、(ニ)や機械装置のように使用に伴い価値が低下する減価償却資産と、使用しても価値が低下しない土地、および工事中の未使用資産を表す(ヌ)が含まれる。他方、無形固定資産には(ネ)をはじめとする法律上の権利、および他企業を高額で買収・合併したことから生じる(ノ)がある。

[選択肢]売上債権、合併差益、工場負担金、建物、特許権、半成工事

 

F.株式会社の貸借対照表の資本の部は、(ハ)・資本準備金・(ヒ)・その他の剰余金に分類される。たとえば会社が額面5万円の株式を120万円で発行したとき、少なくとも60万円は(ハ)に組み入れなければならないが、残りの60万円は(フ)として資本準備金に含めることができる。また会社は金額配当や(ヘ)の支払として年次の利益処分を行うとき、それら社外流出額の10分の1以上を(ヒ)として、その累計額が(ハ)の4分の1に達するまで積み立てなければならない。これらを除く「その他の剰余金」だけが会社の利益処分の財源となるが、これには(ホ)および損益計算書から引き継がれる(マ)が含まれる。

[選択肢]合併差益、寄附金、出資費、任意積立金、配当準備金、法人税、未処分利益

 

IV.次の各問の金額または数値を、計算課程を示して答えなさい。[3点×6個=18点]

(1)当期の期首に、額面100万円、償還までの残存期間3年の国債を、97万円で取得し、満期まで保有する予定である。この国債を償却原価法(金利は定額法で計算)で評価するとき、当期末の貸借対照表にこの国債は、いくらで資産計上されるか。

(2)当社は8,400円(5%の消費税込み)を支払って仕入れた商品を販売して10,500円(5%の消費税込み)を現金で受け取った。この取引について当社が消費者に代わって国に納める消費税の額はいくらか。

(3)ある企業が社債(額面1,000万円、期間1年、額面に対する利率は年4%で満期時に利子が支払われる)を発行して資金調達しようとしているのに対し、市場がこの企業の安全性を考慮に入れて年7%の実質的な金利を要求するとき、この社債に関して生じる社債発行差金はいくらか。1万円未満の端数を四捨五入して答えなさい。

(4)ある商品の期末在庫を売価還元法で評価するために、実地棚卸で期末在庫の値札合計を計算したところ30,000円であった。これと同じ商品の期首在庫の貸借対照表計上額が20,000円、当期仕入高が70,000円、当期売上高が90,000円であるとき、この商品在庫はいくらで期末貸借対照表に計上されるか。

(5)日本企業の所得に課される税金には、法人税(課税所得に対して税率30%)、住民税(法人税の額の17.3%)、事業税(課税所得に対して税率9.6%)の3種類がある。[納税義務額÷税引前当期純利金]として実効税率を計算するとき、日本の実効税率は何%か。

(6) 2000年4月1日に採用された新入社員が35年間勤続して、退職時に1,750万円の退職金を受け取ると予想されるとき、この退職金のうち当期(2000年4月1日~2001年3月31日)に生じる人件費として理解すべき勤務費用の金額はいくらか(1円未満四捨五入)。ただし割引現在価値計算に用いる利子率を年3%とする。

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