平成14年度後期期末試験問題 I.次の各問に答えなさい。(各1点×3個×5問=15点)
1.
日本の上場企業の会計実務に関しては、3つの法律が規制を加えたり実質的な影響を及ぼしている。それらの法律の名前を答えなさい。
2.
21世紀の企業経営においては知的財産権が重要であると言われている。無形固定資産として貸借対照表に資産計上できる知的財産権の代表的な項目名(**権)を3つ挙げなさい。
3.
貸借対照表の負債の部に計上できる引当金のうち、代表的な項目を3つ挙げなさい。
4.
連結損益計算書には、個別損益計算書には決して登場することのない項目が3つある。それらの項目名を答えなさい。
5.
貸借対照表に計上される有形固定資産の中には、減価償却を必要としない項目がある。それらの項目名を3つ挙げなさい。
II.
次の文章の空欄( ア )〜( ノ )にあてはまる数字を答えなさい。(各2点×25個=50点)
1.
利益計算の考え方は、現金主義会計から発生主義会計へ進化してきた。たとえば企業が当期に400万円の現金を支払って仕入れた商品のうち、250万円を売価300万円で得意先に掛け売りした場合、2つの方法の利益は次のように計算されるが、計算結果は明らかに発生主義会計の方が合理的である。
2.
売上収益の計上時点を決定する基準には、生産基準・販売基準・回収基準の3通りがある。製品の生産・販売・代金回収と言う営業循環を遂行するのに5年を要する企業が、次に資料として示す通り、第1〜3期に合計1,000万円の製造原価を投入して生産を行い、完成した製品を第3期に1,600万円で顧客に引き渡し、その代金を3〜5期にわたって回収するとき、3通りの収益計上基準を適用した場合に、第3期の損益計算書に計上されるべき売上収益と、それに対応する売上原価は下に示したようになる。
3.
ある機械装置の取得原価が1,000万円、残存価値が100万円、耐用年数が5年(5√0.1=0.631)のとき、第1年度の減価償却費は、定額法の場合が(ス)万円、定率法の場合が(セ)万円、級数法の場合が(ソ)万円である。
4.
2003年1月中における、ある商品の受け払いが次のように行われたとき、1月中の売上原価は、総平均法のもとでは(タ)万円、移動平均法では(チ)万円、先入先出法では(ツ)万円、月別の後入先出法では(テ)万円である。
5.
次のようなP社とS社の当期末の貸借対照表を基礎として、連結貸借対照表を作成する。ただしP社はS社の発行済株式の60%を当期末に取得した。またP社の諸資産の中にはS社に対する売掛金が400だけ含まれている。
III.
次の1.〜15.の各文のうち、現行の会計基準から見て「誤っているもの」を5個だけ選んで番号を示し、どこがどのように誤っているかを説明しなさい。(4点×5個=20点)
1.
連結財務諸表に配当可能利益がなくても、個別財務諸表に配当可能利益がありさえすれば、現金配当を実施しても違法にはならない。
2.
製造業を営む企業が製品や仕掛品の評価額を決定するために認められた原価計算の方法として、実際原価計算と標準原価計算がある。
3.
額面100万円の普通社債を98万円で割引発行した場合でも、貸借対照表に負債として計上する額は100万円である。
4.
増資のための株式を1株あたり5万円で発行した企業でも、これによって調達した資金額の少なくとも半分を貸借対照表で資本金として取り扱えばよく、残りは資本準備金の1項目とすることができる。
5.
電鉄会社による定期乗車券の売り上げ収入のうち、決算日現在でまだ期日が経過していない期間に対応する金額は、前受金として貸借対照表の負債に計上する。
6.
在庫管理の目的で、先に仕入れたものから先に払い出している商品についても、売上原価の計算に際して後入先出法を適用することが許容されている。
7.
転換社債の権利行使が行われると、発行企業の社債が減少して資本金が増加するが、新株引受権付社債(新株予約権付社債ともいう)の権利行使が行われた場合には、社債が存在し続けると同時に資本金も増加する。
8.
証券取引法の適用を受ける企業は、研究開発のための支出額を繰延資産として貸借対照表に計上することはできない。
9.
紙幣と硬貨のほかにも、貸借対照表に現金として資産計上される項目が存在する。
10.
値動きを利用して売買差益を得る目的で保有する上場会社の株式は、例外なく時価で評価し、評価差額を利益計算に含めなければならない。
11.
株式会社は、損益計算書に計上した税引後の当期純利益の額を超えて、その期の現金配当を行うことができない。
12.
過去に自社が発行した株式を市場で買い戻した場合、その株式も資産価値を有するから、貸借対照表に資産として計上する。
13.
会社が納付すべき法人税の金額は、損益計算書の税引前当期純利益の額に、法的の税率30.0%を乗じて算定する。
14.
貸借対照表における流動項目と固定項目の分類はもっぱら、その項目が決算日の翌日から起算して1年以内に換金または弁済されるか否によって決まる。
15.
連結貸借対照表において、関連会社株式は取得原価で評価するのが原則であるが、時価または実質価額が著しく下落した場合は評価減を行わなければならない。
IV.
次の各問の金額または数値を、計算過程を示して答えなさい。(3点×5個=15点)
1.
当期末の貸借対照表の資本の部が次の状態である企業が、定時株主総会の承認を得て、金銭による配当金または役員賞与として分配することができる金額の上限はいくらか。 資本金40万円、資本準備金4億円、利益準備金2億円、
任意積立金6億円、未処分利益16億円(このうち当期純利益は11億円)
2.
X社に対し、「1カ月に200万円以上の取引を行えば、超過額の2%に相当する代金を免除する」との条件を提示していたところ、今月のX社への販売高が300万円となった。またY社に対し、「10日以内に代金を支払うときは2%を割り引く」という条件で、商品を100万円で掛売りしていたところ、Y社が割引条件に従って現金を支払った。損益計算書に売上高として計上される金額は、両社分を合わせていくらか。
3.
系列企業Z社との間での持ち合い株式は、期中に400万円を支払って購入したものであるが、期末の時価が500万円に上昇した。貸借対照表に資本直入される金額はいくらか。ただし実効税率を42%として税効果会計を適用する。
4.
Q社は、資産合計320万円、負債合計170万円のT社を、200万円の小切手を振り出して買収した。このM&Aにより、その時点のQ社の貸借対照表の資産の金額はいくら増加するか。 5. U氏とV氏は株式会社の形態でベンチャー企業を設立するために500万円ずつ出し合って、1株あたり発行価額が5万円の株式を100株ずつ引き受けた。この企業の貸借対照表に計上される資本金の金額はいくらか。ただしこの企業では、資本金に組み入れる金額を、商法で認められる最低の金額とし、残額は資本準備金とする方針を採用している。 |