平成15年度前期期末試験問題
国際経済基礎論
中西教官



以下のI〜Vのすべてに答えなさい。

I. 次の専門用語・重要語句について、それぞれ簡単に説明しなさい。(各5点)
(1)労働投入係数
(2)要素集約度
(3)交易条件
(4)限界輸入性向
(5)購買力平価

II. 次の定理・命題の内容を正確に記述しなさい。(各10点)
(1)ストルパー・サムエルソン定理
(2)要素賦存比率命題(狭義のヘクシャー・オリーン定理)

III. 次の表は、ある年における日本の国際収支表を模式的に表したものである(記号△はマイナスを表す)。下の各問に答えなさい。なお、数値がマイナスとなる場合は記号△を付して解答すること。(各5点)

(単位:千億円)
経常収支   106
  貿易・サービス収支 ( イ )
  所得収支 84
  ( ア ) △10
資本収支   ( ウ )
  投資収支 △58
  その他資本収支 △3
外貨準備増減   △49
誤差脱漏   4

(1)( ア )にあてはまる適切な「項目名」を答えなさい。
(2)( イ )にあてはまる適切な「数値」を答えなさい。
(3)( ウ )にあてはまる適切な「数値」を答えなさい。


IV. 外国からの反作用を考慮しない簡単なケインズモデルを考える。所得水準(GDP)をY、消費をC、投資をI、財政支出をG、輸出をX、輸入をMとするとき、以下の各問に答えなさい(各5点)

(1)国民所得の基本方程式を示しなさい。

(2)消費関数をC(Y)≡0.9Y 、輸入関数をM(Y)≡0.1Yと特定化する。さらに、財政支出、投資、輸出は外生的であって、それぞれG=0、I=40、X=60のように与えられているものとする。このとき、均衡所得水準を求めなさい。

(3)上の(2)と同じ状況のとき、均衡所得のもとでの貿易・サービス収支の水準、すなわちX−M(Y)の値を求めなさい。

(4)上の(2)の状況から、輸出が自生的に10兆円増加したものとする。このとき、貿易・サービス収支はどれだけ改善あるいは悪化するか答えなさい(変化する金額と改善・悪化の別を解答すること)。


V. 以下のA、B、Cのうち、いずれか一つに答えなさい。解答欄に選択した問題の番号(A、B、C)を示しておくこと。(20点)

(A)小国・完全な資本移動・物価変動に関する静学的予想を前提とするマンデル・フレミングモデルを考える。変動為替相場制度がとられているときの拡張的金融政策の効果について、途中経過に注意しながら整理して論述しなさい。

(B)ある小国経済が閉鎖経済状態から自由貿易状態へと移行する場合を考える。このとき、この国の生産構造・経済厚生・国内所得分配に生じる変化について整理して論述しなさい。

(C)世界利子率の変化と、ある一国の貯蓄・投資・経常収支それぞれの変化との関係を動学的経常収支アプローチに基づいて論述しなさい。