経営学基礎論(坂下)・過去問(1998年度・1998年9月11日実施)

〈問題1〉 次の文章の空欄を、適切な経営学用語または人名で埋めなさい。解答は解答用紙に、(1)…*****といったフォーマットで書きなさい。(配点:1問2点)

(I)企業が新規分野に多角化していく場合には、既存の経営資源との間の何らかの関連性に着目し、そうした関連性をコスト削減やリスク削減の視点から利用しながら多角化を進めていくことがよく行われる。こうした多角化は( 1 )とよばれる。そして、コスト削減やリスク削減のために考慮される、何らかの経営資源上の関連性を( 2 )という。それは、共通の経営資源を多元的に利用することから得られる、コスト削減またはリスク削減上の相乗的効果である。

 他方、企業は、( 1 )を追求するだけでなく、まったく別の多角化を追求することもあり得る。この種の多角化は、技術上も市場上も何の関連性もない異質分野への多角化であり、( 3 )とよばれている。( 3 )の最も重要な特色は、それを展開する際には、前もって全社的な戦略的事業マップ、ないしビジョンが必要とされることが多いという点である。こうした場合の戦略的事業マップ、ないしビジョンは企業の( 3 )の行動を終始ガイドしていく重要な機能を果たすものであり、それをとくに( 4 )という。

(II)自社企業の個々の事業を具体的、かつ緻密にどう定義するのかという問題は、マーケティング学者の( 5 )によって、( 6 )という名称で呼ばれた。( 5 )によれば、( 6 )は技術、顧客、( 7 )といった3次元で考えていくのがよいということになる。

 これまで多くの企業の行動を見ていると、競争戦略にはいくつかの基本的なタイプがあるということに気がつく。ある企業は典型的な価格競争の戦略をとり、マーケット・シェアを一層拡大しようとしているし、また別の企業は価格競争を意識的に回避して、製品の差別化に活路を見いだそうとしている。前者を( 8 )戦略といい、後者を( 9 )という。こうした2つの競争戦略は、いずれも複数の顧客ニーズのどれかについて、競争者よりも相対的に優位なニーズ充足の方法を確立しようとする点に、その本質を見ることができる。しかし、顧客のニーズはむしろ潜在的なものであり、当の顧客本人でさえ自分のニーズに気づいてはいない、ということがあり得る。こうした場合に、企業の側が選択できる効果的な競争戦略は( 10 )である。

(III)これまで、組織構造論の展開に貢献した代表的な組織論は2つあった。1つは組織の機械観であり、もう1つは組織の( 11 )観である。前者は組織を、無生命のしかし注意深く設計された精密機械のアナロジーとして理解する立場である。こうした立場をとった学派は2つあり、1つは古典的管理論、もう1つは( 12 )である。( 12 )を展開したのは、( 13 )とその後継者であり、彼らは組織を「合理性を貫徹する規則の体系」とみなしたのである。

こういった機械観に対して、組織の( 11 )は組織を、いわば環境の中でその変化に適応しながら生存しようとする生物として理解する組織観である。人間関係論は、1920年代後半から1930年代前半にかけて行われた有名な( 14 )実験に端を発している。この実験では生産性の規定要因を探るためのいくつかの実験が行われたが、そうした諸実験を通じて、生産性の本質的な規定要因は職場の人間関係であることが推定された。

他方、近代組織論は( 15 )によって創始された。そして、H.A.サイモンがそれを飛躍的に発展させ、その後、J.G.マーチとサイモンの共著、『オーガニゼーションズ』によって一応の完成をみるに至った。

初期の組織構造論は、どんな状況下、条件下でも普遍的に有効であるような組織化の原則が唯一存在するという考えにたっていた。しかし、1960年代に入ると、経営学者たちは、「どんな組織構造が最高の業績をもたらすかは、その組織がおかれた状況ごとに相違してくるのではないか」と考えはじめた。つまり、組織のおかれた状況が異なれば、有効な組織構造も異なってくるのではないか、という発想である。こうした枠組みの理論を、( 16 )という。たとえば、( 17 )の研究は( 16 )の典型である。彼らは、イギリスのエレクトロニクス企業の事例研究から、組織構造には「有機的組織」と「機械的組織」と彼らがよぶ対照的な二類型があり、しかもそれぞれの組織は相互に異なった対照的な環境のなかでともに高業績をあげていることを発見した。

(IV)( 18 )とは、新規事業を創造するために企業内にきわめて独立性の高い「社内起業家的集団」をつくり、その自主的な新事業創造の活動を本社が全面的にバックアップしていく組織である。この組織のリーダーには研究開発の権限だけでなく、生産、マーケティング、財務、人事、にわたる大幅な権限が付与される。

経営史家の( 19 )は、その歴史的研究によって、企業が市場のニーズに対応して単一製品から複数製品を製造するにつれて、集権的な職能性組織から分権的な( 20 )組織を採用するようになる傾向があることを発見した。( 20 )組織は個々の事業ごとに部門化を行ったものであり、それぞれの事業部は、独自の市場ニーズに対して独立して製品ないしサービスをフィードバックできるよう、生産、営業などのライン職能を自己の事業部内に内包していなければならない。この性質を( 21 )という。

(V)ピーターズ&ウォーターマンのベストセラーである( 22 )という著書は、企業の組織文化の重要性を指摘するのに貢献した。

組織文化は、リーダーの言動が象徴している「意味」が、組織内の成員によって共有されていくことによって創造され、伝承されていく。こうした考え方は、( 23 )とよばれている。それは、いわば新しい組織観である。( 23 )によれば、組織は共有された「意味」の体系であり、それは( 24 )を媒体として表現され、伝達される。( 24 )とは具体的には、組織内で意図的に使用される言語や神話、伝説、それにリーダーのシンボリックな行動などである。

( 23 )の視点からいえば、組織文化はリーダーのシンボリックな行動を通じて創造され、また伝承される。このように、組織文化をシンボリックに創造し、伝承していくリーダーは、とくに( 25 )とよばれている。

〈問題2〉 次の3問の中から1問を選んで、解答用紙に論述しなさい。(配点:50点)

  1. 市場の発展段階を「誕生期」「成長期」「成熟期」「衰退期」に分ければ、それぞれの段階ごとに主要企業は、独自の競争戦略を採っていることが分かります。こうした点について論述しなさい。その場合、それぞれの段階ごとに、企業や競争戦略の具体例をあげて論述しなさい。
  2. 日本国と国民の関係を考えたとき、日本国は組織といえるでしょうか。また、戦時中の大日本帝国についてはどうでしょうか(大日本帝国は組織だといえるでしょうか)。こういった点について、C.I.バーナードの近代組織論を根拠に、あなた自身の考えを述べなさい。
  3. 多角化した事業を経営するのに、職能性組織は不向きだといわれています。なぜそうなのでしょうか。いくつかの経営学用語を用いて、論理的に説明しなさい。

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