平成14年度後期期末試験問題 経済原論I 田中(康秀)教官 注意事項:問題IからIIIまでの選択問題は、指定された数のみについて解答してください。もし指定された数より多く答えた場合は、その問題は零点となりますので注意して下さい。 I. 次の2問のうち、1問を選択して答えなさい。(30点) (1) 競争企業の短期均衡について説明し、市場の短期供給曲線を導出しなさい。また、長期競争均衡はどのような状態において成立するかを述べ、それを独占企業における長期均衡と比較しなさい。 (2) 財の価格変化が財の最適需要量に及ぼす諸効果について説明しなさい。さらに、それを用いて、2つの需要曲線、即ち、マーシャル流需要曲線(Marshallian demand curve)とヒックス流(所得補償)需要曲線(Hicksian demand curve)とを導出し、それらの性質について述べなさい。 II. 次の2問のうち、1問を選択して答えなさい。(20点) (1) 寡占価格の決定に及ぼす諸要因を明らかにし、寡占価格が硬直的(rigid)となる理由について説明しなさい。 (2) 競争市場(即ち、完全競争市場)は効率的な資源配分をもたらすことを、標準的な需要・供給曲線を用いて説明しなさい。 III. 次の(1)から(3)に記述される文章について、その内容は正しいものか、誤っているのか、それとも、どちらとも言えないかを、理由を簡潔に説明することによって答えなさい。ただし、(1)から(3)の3問のうち、2問を選択し、選択した2問についてのみ答えなさい。(30点) (1) 「遺贈(bequest)のない消費の二期間モデルにおいて、現在(第1期)の所得が減少し、将来(第2期)の所得が増加する場合、消費者は現在と将来の最適消費量を変更しない場合がある。」 (2) 「チェンバリンの独占的競争論における長期均衡において、企業は最適規模で生産を行っている。」 (3) 「産業全体の労働需要曲線は個別競争企業の労働需要曲線に比べて、より弾力的な曲線となる。」 IV. 2人の消費者AとBのみからなる純粋交換経済を考える。それぞれの消費者は2財 (x, y) を消費し、それらの消費から得られる効用を最大にするように行動し、効用関数が、それぞれ UA(XA, YA)=XA×YA と UB(XB, YB)=min(XB×YB) で表されるものとする。また、2人の消費者の2財の初期賦存量 E は、 EA=(10, 0) 、 EB=(0, 10)であるとする。このとき、以下の問に答えなさい。(20点) (1) エッジワース・ボックス・ダイアグラム(Edgeworth box diagram)を用いて、パレート最適となるような資源配分の組み合わせを正確に図示しなさい。 (2) いま、財の価格が px=p 、財 y の価格が py=1 であるとすれば、消費者Aによる2財 (x, y) の最適消費量を p を用いて表しなさい。ここで p>0 である。 (3) 同様に、消費者Bによる2財 (x, y) の最適消費量を p を用いて表しなさい。 (4) 財の超過需要関数を導出しなさい。さらに、それを用いて、均衡価格 p* を求めなさい。 以 上 |