平成15年度後期期末試験問題
経済原論I
足立(英之)教官



I. 下記の各文章における謝りの個所を指定して訂正し、その理由を簡単に説明しなさい。その際、図や式を用いてもよい。(30点)

(1) 米作技術の進歩によって農業の生産性が高まると、農家の収入は増える。
(2) ビールの需要の価格弾力性は小さく、供給の価格弾力性は大きいので、税の負担は消費者よりも生産者の方により多くかかる。
(3) 価格に対する上限規制は需要不足を生み出し、下限規制は供給不足を生み出す。
(4) 供給の価格弾力性が小さいほど、課税による死荷重は大きい。
(5) 企業の生産費は固定費用と可変費用からなるが、固定費用が低下すると、完全競争企業は所与の価格のもとでの供給を増やす。
(6) 日本が米の輸入を自由化すると、生産者余剰は増加し、消費者余剰は減少し、総余剰は増加する。

II. 次の質問に簡潔に答えなさい。(30点)
(1) みかんが豊作であった年にみかん農家の収入は減少した。なぜか。
(2) 完全競争市場の生産物の供給曲線は限界費用曲線で表されることを示しなさい。
(3) 需要法則とはなにか。需要法則に対する例外とはどのような場合に生じるか。無差別曲線を用いて示しなさい。
(4) 映画館や競技場の入場料金は、通常、一般の大人料金よりも学生料金の方が低く設定されている。このような料金設定には経済的合理性があるか。
(5) 利子率の上昇が貯蓄の減少をもたらすのはどのような場合か。
(6) ピグー税とはなにか。汚染から環境を保護する方法として、経済学者は規制よりもピグー税が望ましいと考える。なぜか。

III. 次の計算問題を解きなさい。(40点)
(1) ピザの需要関数が QD=20-2p 、供給曲線が QS=P-1 で与えられるとする。ここで、 QD は需要量、 QS は供給量、 P は価格である。
 1. 均衡でのピザの数量と価格を求めなさい。
 2. 均衡でのピザの需要の弾力性と供給の弾力性を求めなさい。
 3. ピザ1個につき3円の税金をかけると、均衡での価格と数量はどのように
   なるか。

(2) 独占市場において需要関数がQD=220-2p で与えられ、独占企業の費用関数がC=10QS で与えられたとする。ここで、QD は需要量、 QS は供給量、 P は価格、 C は総費用である。
 1. この独占市場で決まる価格と数量を求めなさい。
 2. この独占企業の利潤を求めなさい。
 3. 独占による死荷重はいくらか。

(3) 完全競争企業を考える。その企業の短期の生産関数が Y=2N1/2K1/2 で与えられたとする。ただし、Y は産出量、N は労働雇用量、 K は資本ストック(一定)である。次の設問に答えなさい。
 1. この企業の労働需要関数を求め、労働需要曲線を描きなさい。
 2. 資本ストック K の増加は、労働需要曲線をどちらにシフトさせるか。