第二話[蘇える悪魔]
「エースねぇ。まっ、なんでもいいや。早く戦おうぜ。」
「待て。ここじゃ戦えない。場所を変えよう。」
「周りの人間の心配か?ずいぶん余裕だな。」
「・・・・・」
エースは黙ってジャックを睨みつけた。
「いいぜ、俺もお前が本気じゃないとおもしろくないからな。この先にスクラップ置き場がある。そこで勝負だ。」
そう言うとジャックは姿を消した。
後を追ってエースも表に出ると、そこには一台のバイクがあった。
「行くぞ、ストーム。」
ブロロロロロ・・・・・
ストームと呼ばれたバイクはエースに返事をするように動き出した。
「今日も調子が良いみたいだな。よし行くぜ!!」
エースはストームに乗ると指定されたスクラップ置き場へと向かった。

都内の一角にあるスクラップ置き場
ここは近くに住んでいる住民からは「文明の墓場」と呼ばれている。
捨てられた大量の電化製品に廃車、それ以外にも様々な廃棄物がここにはある。
まさにここは文明の墓場であった。
捨ててあるゴミを目当てにこの中に入って生きて返った奴はいないという噂まである。
そんな墓場の中にぽつんと廃ビルが建っている。
なんの目的で建てられたのか知るものはだれもいない。
その廃ビルの屋上から墓場を見下ろしている男がいた。
黒い髪に鋭い目つき、右頬についた傷痕が目立つ男だ。
男がしばらく墓場を見ていると、背後から別の男と少女が現れた。
「ロウガ、遊びに来たよ。」
そう言うと、少女はロウガと呼ばれた男に駆け寄った。
「どうだ、ロウガ。何か掴めたか?」
緑の髪に紫色の瞳の男がロウガに尋ねた。
「ネット、一体何の目的でここに来た。」
「情報交換だ。それ以外の目的はない。」
ネットと呼ばれた青年は簡潔にそう答えた。
「俺の方は何も掴めていない。」
「そうか・・・。」
ロウガとネットが話をしていると少女が割り込んできた。
「ねえねえ、ロウガ。小雪ね、あやとりができるようになったんだよ。見ててね。」
小雪はあやとりを始めたが、ロウガは気にも止めていなかった。
「ほら、さかずきが出来た。」
しかし小雪はロウガが見ていないことに気づいて怒り出した。
「もう、しっかり見ててよ。見てくれないと嫌いになっちゃうぞ。」
「そうしてくれ、お前に付きまとわれると俺は迷惑だ。」
「も〜〜、ロウガなんて知らない!!」
「姫はご機嫌斜めだな。」
ネットが小雪をからかっていると、小雪の様子が変わった。
「・・・・誰かここに来る・・・・二人・・・・普通の地球人じゃない・・・・」
「普通の地球人じゃない?どういう事だ、小雪?」
ネットがそう聞くと、
「・・・・改造・・・・人間・・・・」
と言って小雪は倒れた。
ネットは倒れた小雪を受け止めると墓場を見た。
「来た。」
ちょうどストームに乗ったエースが墓場に入って来た所だった。

エースはストームを止めて降りると、周りを見渡した。
「どこだジャック!姿を見せろ!」
ジャックは姿を見せずに話し掛けてきた。
(ククク、やっと来たな、待ちくたびれたぜ。)
「まず聞きたいことがある、銀行を襲ったのはジョーカーか?」
(はぁ!?銀行だと?・・・・ああ、あれね、いいや、あれは俺たちじゃないぜ。って言うより、そのジョーカーっていう古臭い名前やめてもらえる?今はネオジョーカーって言うんだよ。)
「何!ネオジョーカーだと!?」
(そうさ、ジョーカーは壊滅後、ネオジョーカーとして再興されたんだよ。もちろん、我らが首領の手によって。)
首領。その言葉にエースはショックを受けた。
3年前、ジョーカーの首領は自分のこの手で倒したはずだった。
そいつがまだ生きている。
「そんなはずあるか!!首領はあの時俺がこの手で!!」
(はぁ?寝ぼけんじゃねーよ、俺がここにいるのが何よりの証拠だろ。)
確かにジャックの言う通りだった。
奴がいるのが何よりの証拠。
「・・・・だったら・・・・」
エースは拳を握った。
「だったら!!お前を倒して、首領の居場所を聞き出す!!」
(へっ!そんな事、出来るわけねーだろ!!)
突然エースの頭上からロットがエース目掛けて伸びてきた。
「くっ」
ギリギリでかわせた。
が、次は背後からの攻撃がエースを襲う。
ドス!!
「ぐっ」
この攻撃はかわしきれず、背中を直撃した。
「くそっ、卑怯だぞ!!姿を見せろ!!」
(卑怯で結構だ!俺はこういうやり方が好きでね。ジワジワ痛めつけながら殺してやる。)
今度は正面からの攻撃が。
ドス!!ドス!!ドス!!
エースに次々と攻撃が命中する。
反撃することもできず防戦一方となる。
「はぁ、はぁ、はぁ、くっ!」
また一撃、また一撃と攻撃を受ける。
「く・・・・そっ・・・・」
バタッ!!
エースはついに倒れてしまう。
(へっ!死んだか。)
倒れたエースの前にジャックが現れる。
「なんだよ、ぜんぜん強くないじゃん。っていうか、俺が強すぎ?」
1歩、1歩とエースに近づく。
「じゃ、あばよ、仮面ライダー。」
ジャックがエースの頭めがけ、ロットを突き刺そうとしたその時、
「チャージ!!」
突然エースが叫んだ。
するとエースの右腕が赤く輝いた。
「何!!」
一瞬のことでジャックの反応が遅れた。
「くらえ!!エースナックル!!!!!!!!!」
バコォォォォォォン
エースの渾身の一撃はジャックの胸部を直撃した。
「ぐああああああああっっっ!!」
ジャックは吹き飛ばされ、廃車の山に突っ込んだ。
「はぁ、はぁ、チャージ!!」
今度は右足が光輝く。
スタッ
エースは空高くジャンプする。
ドガシャァァァァァン
廃車の山の中からジャックが出てきた。
「くそぉぉぉぉぉ。」
反撃に出ようとするがダメージが大きく反応が追いつかない。
「俺が負けるはずがね――――!!」
「これで終わりだ!!エース!!シューーーート!!!!」
これで終わり。
エースも、ジャックですらそう思った。
その時、
ゾクッ
「「!!」」
すさまじい殺気が襲った。
ドコォォォォォォォン
エースシュートが命中した。
煙が晴れると、そこには護の姿しかなかった。
「ジャックは逃げたか、くそ、一瞬、気を取られたせいで直撃しなかったか。」
護は周りを見渡した。
「さっきのは、一体。」
護はその場を去ろうとするが、
ズキッ
「くっ、ちょっとダメージ受けすぎ・・・た・・・・か・・な・・・」
護はその場で意識を失った。

「戦闘終了・・・データ収集終了・・・・」
戦いを静観していた者。
殺気を放った人物。
「・・・・改造人間・・・・仮面ライダー・・・・ネオジョーカー・・・・」
あの蜘蛛怪人だった。
「面白い星だ、ここは。」

「ま・・・・・ん・・・・・・」
「ま・・・る・・さ・・ん」
誰かが何か言ってる・・・・
ここはどこだ・・・・
俺、死んだのかな・・・・
眠い・・・・
このまま寝てたい・・・・
そう思っていると、
「護!!起きろ!!!」
「うわ!!」
慌てて起きると、
ガンッ
明日香と頭がぶつかった。
「いてっ」
「いたたた、なにするんだこのバカ!!」
明日香がでこを押さえながら怒鳴った。
「良かったー、目を覚ましたよ。」
蔵之介が床に座り込んでいる。どうやら腰が抜けたらしい。
「うっ、うっ、護さ〜ん」
茜ちゃんはもう泣きっぱなしだ。
「まったく、人に注意しろとか言っておいて、自分が注意しろ。」
明日香も泣いているが、うれし泣きか、でこが痛いのか・・・・
「ここは・・・俺の部屋?」
「うん、君をここまで連れてきてくれた人がいるんだ。」
「えっ?誰が?」
「さっきまでいたけど・・・・あれ?」
蔵之介が部屋を見るがいないらしい。
「あの男ならさっき帰った。急用とかで。」
明日香が答えた。
「お名前は・・・ネット・ウェブフィールドさんって言うんですよ。」
茜ちゃんが泣くのをやっとやめて答えた。
「ネット?変な名前だな。」
「まっ、良かった。じゃ、僕、夕食つくるね。」
「護さん、今日はゆっくり休んでくださいね。」
蔵之介と茜は部屋を出た。
「・・・で?その怪我はどうしたんだ、やはりジョーカーか?」
一人残った明日香が尋ねた。
「ああ、あいつら、ネオジョーカーに再編されたらしい、おまけに首領まで生きてやがった・・・・くそ!!」
「やはり・・・・首領も生きていたか・・・・。」
明日香もショックを隠しきれない。
「まあ、今は傷を早く治せ、それから・・・今度は私も一緒に戦うから無茶はするな。」
明日香は照れながらそう言うと、足早に部屋を出ていった。
「はぁ。」
ため息をつきながら、横になる。
あの時の殺気は一体・・・・・・
そう考えながら、護は眠りに就いた。


つづく

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル