エピローグ


 陽介は、一度極東支部に戻りたいと言う事で神 敬介が天槍を乗せて来た大型トラックに便乗してもらう事にした。
 言って見るなら、自分の機体と本部に帰ると言う事だろう。
 帰って今回の事件の報告書を書くのを結城と手伝うことにしたらしい。それが諜報部に入って第一の仕事だって事だと…結城は言っていたが……
 なぜか、陽介は天槍のコックピットに乗って…天槍の今日戦闘データをノートパソコンにセーブして入る所だ。
「ふう、こんな物か……ふぁ…結局、今日も学校休みか…」
 セーブが終わると、陽介はコックピットでしばしの眠りにつくことにした。
 今は7月…夏休みが始まれば、本格的な活動ができる……それまでは…普通の少年でいるのも…悪くはないだろう。


SUP極東支部:格納庫

「…よう…け……陽介…」
「ん……んん…」
 誰かが体を揺らして、陽介を起そうとしていた。
 まだ眠気が残る陽介は起きて見ると……陽介の目の前に舞の顔があった。
「やっと起きた……」
「……舞さん…」
 寝ぼけ眼を擦りながら体制を起そうとするが、舞はその体制からピクリとも動かない。陽介は顔が近づいて、キスも出来そうなくらい舞と近づいた。
「舞さん……俺におはようのキスでもしてくれるんですか?」
「……!!」
ポカッ
「いで…」
 舞は顔を完熟トマトのように赤く染めて、陽介にチョップをいれてから体制を戻した。陽介は微笑みながら…起きあがるとそこは、かなり広い空間で…戦闘機がずらりと並んでいる場所だった。
「そうだ、俺…天槍のコックピットで寝ていたんだ……」
 この光景を見ても微動だにせずに回りを見渡す。どうやら眠っている間に格納庫にそのまま運ばれたらしい……
「我ながら、鈍くさい……それより、舞さんどうしてここに…」
「陽介を迎えに来て欲しいと……結城博士から電話があった」
「結城さんが?ふぅ、余計な事を……でもありがたい」
 心の中で陽介は来てくれた舞と…連絡を入れた結城に感謝した。
「佐祐理も一緒に来た……」
「佐祐理さんと?」
「今…研究室で結城博士と待っている」
 舞の言葉に陽介は頷くと、コックピットからひょいっと飛び降りて…舞と共に佐祐理の待つ研究室へと向かった。

研究室
 研究室の自動ドアが開き、陽介と舞は中で『狩人』のメンテをしている結城と佐祐理に近づいた。
「佐祐理さん、ただいま」
「あ、陽介さぁん」
 陽介に気がついた佐祐理はパタパタと走り寄って嬉しそうに抱き付いた。
「あはは〜っ、おかえりなさいですっ陽介さん」
「ぐっ…ぐるじいです、佐祐理さん」
「あっ、すいませんです……陽介さん、向こうで激戦があったって言うじゃありませんか…大丈夫ですか〜?どこかお怪我とかしませんでしたか?」
 佐祐理は今度は心配そうに陽介に聞いてくる、陽介は…こめかみに手を当てながら…
「頭にこぶが出来た程度ですよ……心配掛けてすいません」
「いえ、良いんです〜二人とも無事に帰ってきてくれれば」
「……二人?」
 陽介は佐祐理の言葉に頭にハテナマークを浮かべる。
「陽介さんに恋香ちゃんです〜二人とも無事に帰ってきてくれて良かった」
「……そうか…」
 陽介は心の中にいる恋香に送るように言った。恋香……お前、全然嫌われてないよ…
「舞も心配だったよね〜」
「……二人とも家族だから、帰ってきてくれて嬉しい」
「……ありがとうございます…恋香もきっとそう言ってますよ」
 少し目頭が熱くなった陽介は、額に手を当てて照れ臭そうに…言った。
「はは、君達は本当に仲がいいんだな……」
 陽介達の後ろから、白衣を着た結城丈二が声をかけてきた。
「結城さん…報告書のほうは」
「君が寝ている間にみんな書いたよ……それで、今佐祐理君と君の『狩人』をメンテしていた所だ」
 ガラスの向こうには、陽介の強化服である『狩人』が置かれていた。
「今回の戦闘では破損も少なく整備も行き届いて、君の実力を改めて知る事ができたよ…戦闘データも取れたし……これを参考にまたいい強化服ができそうだよ」
「あれ、次期主力候補はこの『狩人』を出すんじゃ……」
「ここまで、性能が良すぎると反則で負けになるのがオチだからね……」
 確かに、この『狩人』を陽介ほど使いこなせる人間もいるかどうかも解らない。まさに陽介専用の戦闘強化服には違いない。
「あ、そうそう…諜報部が君達を歓迎すると言っている…この廊下を右に曲って、E地区の第4作戦室が君達の部室となっているから行った方がいい」
「そう言えば、俺達は諜報部に配備されるって事になってましたね……手続きとかはすんだんですか?」
「すでに許可も取ったし、上もそのつもりだと言っていた……そうだ、いつでも君達を歓迎できる準備をしていたのだからな」
 結城の言葉の後、陽介は後ろの佐祐理達に目線を合わせる…二人とも、こくりと頷く。その瞳に強い意思と希望を感じながら…
 陽介は目を閉じ思念の中にいるだろう恋香に最後に問い掛けた。
『改めて聞くが、お前はどうする……恋香』
『聞くまでもないよ…陽介なら答えは知っているはずだよ』
「ふっ、そう言う事だ……」
「はえ?陽介さん、どうしたんですか〜」
 目を閉じて、独り言を呟いた陽介に佐祐理も舞もきょとんとしている。
「いえ……こっちの話し…それでは、顔出ししましょうか」
「はい〜っ!レッツゴーです」
「はちみつくまさん」
 そう言う事で、陽介達は研究室を後にして諜報部の司令室に向かう事にした。

「陽介さん、何だか少し背が延びました?」
 佐祐理が陽介の隣りに来て、少し背伸びをしながら聞いてきた。
「んん……佐祐理さん…俺の気にしている事ですよそれは……」
 そう言うように、陽介は背が低い事や体格が少し普通の男子より幼い事が結構コンプレックスなのだ。背とか体格の事を言われるのは何よりも嫌いなのだが、言っている相手が恋人の佐祐理であるからには怒るわけにもいかなかった。
「あ、ごめんなさいです…でも始めてあった時は舞と同じくらいの身長でしたけど、舞より背が高くなっている気がするんです……」
「確かに、少し舞さんを見る位置が若干高くなったと思ったら……そうなんですね」
 思い返して見ると、陽介はこれまで強くなる為にトレーニングを欠かさずにやって来た為陽介の体格は少し筋肉質になり…ちょっと男らしくなったのかもしれない。
「育ち盛り……」
「子供みたいに言わないでください舞さん……」
「陽介は、それだけ成長していると言う事…以前までの陽介とは全然違う。男らしくなった……」
「……照れる事言ってくれます…」
 舞のイメージでは、陽介は無鉄砲できかん坊な可愛い弟と言うイメージが定着していたが今、舞の目に映る陽介は…たくましい一人の男に成長していた。
 腹違いとは言え、彼は舞の弟……姉が自分の弟の成長を喜ばないでどうだろうか…
「私でも出来なかった、鉄血無爪をあなたは物にした……それだけでも凄い」
「いえ、技の基本を知らなければ……俺もあの技は使えませんでした。以前はただ前へ前へと進んで行くばっかで…精神を集中させる余裕も無かったくらいですから」
「……陽介はもっと強くなれる…保証もできる」
「ありがとうございます……」
「あ〜、陽介さん照れてます〜」
「照れてなんかいませんよ……」
 陽介は照れ臭そうに頭に手を当て…先に進んで行った。照れた見られるのは男として少し恥ずかしいだろう……だけど、陽介の背に舞は少し期待が持てた。
「(陽介なら…師範を止める事ができるかもしれない……)」
 復讐の為だけに動いて、自らの呪い刀で死に向かいながら、それでも直戦いつづけてる……対魔一神流の師範代をあなたの手で止める事ができるかもしれない。
「舞さん?どうした……」
「…はっ…大丈夫」
「舞ぃ〜早くしないと置いて行きますよ〜」
「二人とも……早い」
 舞ははっとすると、陽介と佐祐理はもう先の方へと行っていた、舞は表情を変えずに陽介達に走りよって行った。

極東支部E地区の第4作戦室

 三人は、諜報部の司令室へと足を運こび、自動ドアを開けると……室内は真っ暗で三人はきょろきょろと暗闇の中を見まわした。
「はえ?真っ暗ですね〜誰もいませんね〜」
 きょとっと暗闇にハテナマークを浮かべる佐祐理に対して、陽介と舞は…
「いや……いる、ねっ舞さん」
「うん…」
「あははーっ、お二人が言うのでしたら安心ですね〜」
 何も躊躇せずに三人は室内へと入って行くと……
パンッ!パンッ!
「うわっ!」
「はえ〜」
「……」
 突然クラッカーを鳴らす音と室内のライトが点灯され、三人は豪快にビックリしてしまう。みると、室内には7人の隊員らしき人物と色々な料理や飲み物に『新隊長歓迎パーティー』と言う看板があった。
「「「ようこそっ!新人さんっ&新隊長!SUP諜報部へっ!!」」」
「えっ?ど…どういうこと?」
 まったく状況が飲みこめていない様子の三人……それに対して、7人の隊員らしき人物は……
「まさか、こんな高校生の子供が…新たしい隊長さんとは驚きだぜ」
「ほら、私の言った通りでしょ〜っ!新隊長まだあどけなくてかわゆいじゃないっ!」
「うんそうよね〜っ、前の隊長さんオジさんだったからね〜」
「あっ…あの……」
 状況がまったく読めない、陽介達は呆然と佇んでいるだけであった。佐祐理なんてはえ〜と驚くばかりで冷静な陽介や舞でさえ唖然としている。
「あれ?もしかしたら、ドクター結城から何も聞いていないの?」
「は…はい、佐祐理達はただ配属されただけだと聞いているですけど……」
 まだ挙動不審に呆然としている陽介の変わりに佐祐理が事情を説明する。
「そうか、って事は君はここの隊長になったって事知らないんだ」
「えっ?俺が隊長?」
「そう、先日…ここの元隊長だった人が定年退職しちってさ、それで新しく入ってくる少佐殿が俺達の新しい隊長になるって、上から知らせがあったんでな。まさか高校生が俺達の隊長だなんて、正直驚いたぜ」
「結城さん達か……」
 多分、この事をわかっていたから、彼らは陽介達をここに配属させたのかもしれない。
「それで、隊長になって俺は何をすればいいんです?」
 陽介の質問に、見るからに活発そうで熱血系の青年が答えた。
「俺達は『ONIWABAN』と言う拠点防衛の影の部隊4名と…セーブクルーの3名で構成されている」
「ヒーロー作戦みたいですね〜」
「まあ、同じような物だけどね……隊長の仕事は、他の皆とたいして変わりは無いけど、特別なのは、定例の会議に出席するだけ」
「そっ、それだけ?」
「あとは、俺達『ONIWABAN』を自分の影として指令を出す事くらいかな……」
「影?」
 そう言うと、今度はお姉様っぽい感じの女性が立ちあがって…
「さっき、歳雄(としお)が言ったと思うけど、私達4人は…諜報部の影の部隊……ここを護衛は勿論、色々な捜査や諜報活動を人知れず進める部隊。その影を動かすのが、あなたのような隊長さんよ…」
「……そうなんですか」
「それに、隊長を守る仕事も私達影の仕事よ」
「ふぇ〜そうなんですか〜、かっこいいですね〜」
 お姉さんの解答に、佐祐理ははえーとものすごく感心している。
「俺に勤まりますかね……」
「勤まってもらわなくては、こちらが困る…」
 陽介が少し不安そうに言っていると、背が高く髪の長い青年が肩をぽんと叩いて答えた。
「君達はあの暗闇で、気配を完全に消したオレ達の存在を、すぐに察知した洞察力の良さ……それで君の実力が本物だと言う事がわかった」
「一輝(かずき)っ!てめぇ、そこまで読んでいやがったのか!」
 そう言うと、さっき歳雄と呼ばれた熱血青年がその長い黒髪の青年に食いかかった。
「ふんっ、オレは上と掛け合って…陣内君達の実力をあらかじめ見ていたからな……」
 一輝は、今日の事件の事を見ていたのかもしれない……
「ったく、そう言う事の調べの上手い奴なんだからな…本当に影みたいだ…」
「ともかく、オレもこれで君を隊長だと認められる、あのままギャラクシアンにやられていれば……そこまでの男だったと諦めていたがな」
「見ていたんですか、今日の事件を……」
 陽介がそう聞くと、一輝は笑ってうんと答えた。
「奴らが町に入らないように、海岸を護衛していたのよ。でも、あなたが倒れた時真っ先に助太刀しようとしていたのは、一輝だったわよ」
「おい、勇美(いさみ)…」
「なんだよ、俺や総司(そうじ)に黙って勇美と一輝だけで行きやがったのかよっ!」
「歳雄〜…知らせがあったのに行かなかった僕らが悪いんだから……仕方ないよ」
 『ONIWABAN』のメンバーの4人はわいわいと騒いでいるのを、陽介達3人は唖然として見ていた。
「賑やかな人達ですね〜」
「はい、諜報部ですから……少し暗めの所かと思ったけど」
「でも……嫌いじゃない」
 どうやら誤解していたかもしれない、自分が少し恥ずかしくなる陽介達…すると『ONIWABAN』のメンバーとセーブメンバーの女の子達が改まって……
「じゃあ、改めて新しい隊長さんに、自己紹介でもしようかっ!」
「ならば、『ONIWABAN』から先に行ったら?」
 セーブメンバーの女の子が言うと、まずはさっきの勇美と言われたお姉さんが前に出て。
「私からいい?私は近藤勇美よ。コードネームは『紫影』、趣味は変装で、戦隊特有の7変化が得意よっ、よろしくねっ3人とも」
 勇美はそう言うと、陽介達に順順に握手をして行った。
「よしっ、次は俺だっ!俺は、土方歳雄だっ一応、『ONIWABAN』のリーダーみたいなもんだっ!コードネームは『赤影』わかんねえ事があったら何でも聞いてよ……」
 歳雄はそう言うと、キザっぽくバラを1厘佐祐理と舞に交互に手渡した…そして……
「君達かわいいね、彼氏とかいる?」
 なぜか佐祐理にナンパをしてきた、佐祐理ははえーと困ったような微笑みをすると、後ろから勇美が…
「歳雄、悪いけど…佐祐理ちゃんにはもう彼氏がいるのよ」
「何っ!マジかっ!!」
「新しい隊長さんがそうよ」
「マジですか、隊長……」
 なんだか泣きそうな顔で歳雄は陽介に詰め寄ってきた。どんどんと顔が近づくにつれて陽介の体がそれていく。陽介はなんだか申し訳なさそうに…
「はっ、はい…俺と佐祐理さんは付き合ってますです」
「陽介さん……ぽっ」
 陽介がそう言うと、佐祐理は照れてはえーとなり…歳雄ははぁとため息をついて…上体を元に戻して…
「そうならそうと、最初に行ってくれよ……水臭いぜ隊長」
「あっ、ああ……」
「ついでと言っちゃ何だけど、舞ちゃんとはどういう関係?」
 歳雄は今度は舞の事について陽介に質問してきた。陽介は……
「舞さんは、俺の腹違いの姉さんですよ……でも、あまりに慣れ慣れしいと…」
「…うんうん……」
「刺されます……」
「…え゛?」
 陽介の冷徹な答えに、歳雄の表情が凍りついた。
「あっ、まあ…そうなのね……そうだよな、時間をかけて慣れればいいかっ!」
「はいっ、皆さんに舞のいい所をいっぱい知って欲しいので、よろしくお願いしますね」
 歳雄は少し顔を青ざめながらもそう言うと、佐祐理があははーと言って答えた。
 そして、今度はさっきの黒髪の青年が前に出て……
「ったく、すまないな……この馬鹿が失礼な事を聞いて…」
「馬鹿ってどー言うこったっ!馬鹿ってっ!」
 ぶーぶー叫ぶ歳雄を無視して、黒髪の青年は……
「俺は…斉藤一輝だ、コードネームは『黒影』……主に、諜報活動と狙撃が得意…陣内君、君とはし馬が合いそうだ…よろしく」
「こちらこそ……斉藤って…もしかしたら」
「ああ、君の学校に俺の弟が行っているはずだ……世話になっているな」
「そんな……」
 陽介は心の中で、(斉藤ってあまり目立たない奴だけどな……)と呟いたのは言うまでも無い。そして最後に少し気弱そうな青年が前に出て…
「僕は沖田総司です、コードネームは『青影』でネットを使った他組織情報の情報収集やハッキングが得意なんだ、よろしくね」
「総司は、ギャラクシアン以外の第3勢力、新たに出現した戦隊やスーパーヒーローの情報収集や…町の都市伝説とか色々な噂話の裏をこのパソコンで読みこんでんだ…ハッキングの腕も一級品っ!でも、パソコンオタクとかそんな風に思うなよっ!」
 歳雄が総司の首に腕を回してぐいぐいと締めながら総司を紹介する。
「(絶対歳雄さんが一番そう思っているかも)」
 と3人の頭にそう思い浮かんで仕方が無い……
「総司は私達の連絡版みたいなものよ、その他にも総司はこの極東支部のメインコンピューターの整備士でもあるんだから」
「あそこまで複雑な配列を速読できるのは、総司くらいだからな……」
「いや…それ…ほど…で……も、歳っ!ギブギブギブっ!」
 総司は苦しそうに首に巻かれてある歳雄の腕をバンバンと叩いた。
「よし、とにかく『ONIWABAN』の自己紹介はここまでだっ!次はセーブメンバーの紹介をしてくれいっ!」
「お前が仕切るな……お前が」
「てか、総司ぐったりしているわよ……」
「ぶくぶくぶく……(瀕死)」
 陽介は改めてこの『ONIWABAN』と言う部隊が面白い人たちだと言う事を実感した…
 そして、次はセーブメンバーの紹介となった。極東支部には各部署に必ず3人のセーブメンバーがいて任務記録をセーブしてくれる役割があり、そのデータは全てメインコンピューターに記録されるのだ。セーブの際にはSUPの特別メモリーカード(計15ブロック)の3ブロックを使う事となっている。(スーパーヒーロー作戦より)
「はいっ、土方さんから紹介がありました…セーブメンバーの篠崎愛理(しのざきあいり)です、よろしく」
 冷静そうで優秀そうな人の次に内気でさっきからおどおどしていた子が前に出て。
「同じく…中条美奈(ちゅうじょうみな)と言います、よろしくお願いします〜」
「美奈ちゃんは恥ずかしがり屋なんです、あっ、あたしは速水安里(はやみあさと)っ!あなた達の学校の卒業生よ。って佐祐理ちゃんや舞ちゃんとは同い年のはずだけど…」
 活発そうな人からの話だとどうやら、全員佐祐理達と同期らしい…
「それじゃ、全員の紹介が終わった所で……今度は隊長さん達に自己紹介でもしてみようか?」
「そうですね〜、まずは佐祐理から。えっと倉田佐祐理ですっ!一応階級は一等中尉でコードネームは『プリンセス』ですっ」
「佐祐理ちゃんに合ってるね〜、そのコードネーム」
「ありがとうございます、土方さん…佐祐理は隊長を補佐するオペレーターやメカニックを務めます」
「さすがは隊長の彼女ね〜歳雄、もう諦めなさい」
「はい…勇美はお厳しいですね〜」
「あはは〜っ!」
 勇美の一言で歳雄はがっくしと肩を落とし佐祐理はあはは〜といつもの様に笑った。佐祐理はもうすでに、彼らと解け込んでいるいるようだ……
「川澄 舞……佐祐理と同じ中尉のはず…陽介のサポートをする。よろしく」
「舞さんか、君とは何だか気が会いそうだ……これからもよろしく」
「……斎藤一輝で合ってる?」
「まあな…」
「その名前、覚えておく……」
「サンキュー…」
 そう言って、一輝は微笑んだ…舞も戦士として一輝とは意気投合したらしい。後ろで歳雄がぶーぶー言っているがあまり気にしないでおこう。
「あはは〜っ、よかったね〜舞、お友達ができて」
「うん…そうですね。よし最後は俺だな」
 そして、最後に陽介が前に出て……
「陣内陽介だ、コードネーム『狩人』…三等少佐でここの新しい隊長になる事になった…と言っても俺も佐祐理さん、舞さんもここに入ってまだ日も浅いし俺には学校もあるから、来る日が限られていると思うけど、出された任務は100%遂行するつもりです…」
「おうっ、どうやら肝も座っているようで安心したぜっ!!わかんない事があった教えてやるからな」
「まあ、この馬鹿は可愛いければ、男も女もお構いなしだからな……そこは気を付けろよ」
「一輝っ!てめぇっ、余計な事言って隊長困らせんなっ!」
 実際陽介も一輝の一言で少し背筋に寒い物を感じてしまったらしい。そんなこんなで、自己紹介が終了して…新人の歓迎パーティーとしゃれ込んだ。だがここでも陽介は女性陣にもってもてだった……

 そしてパーティーに出された酒が回った陽介は結局寝込んでしまった。
「あら、陽介君おねむ?」
「……そーいえば、これ酒だわっ!歳雄!あたし達は一応未成年なのよっ!」
 さっきまでジュースだと思っていたらしい、未成年諸君はさっきから赤い顔をしていた。美奈なんて、もうぽけーっと明後日の方を向いている。
「そう言えば、私達『ONIWABAN』以外はみんな未成年だったわね、」
「根性座っている奴だと思ったけど、結構酒には弱いな……」
「まっ、それだけ初な少年と言う事だ…新たな隊長は…扱いに気をつけなきゃな」
「それにしても、佐祐理ちゃん達は強いね〜お酒」
 陽介に膝枕をしてやっている佐祐理は、陽介の頬を撫でながら…
「あはは〜っ、佐祐理は強い方ですけど……舞はそんなに強くないんですよね〜」
「……はちみつたぬきさん(赤面)」
 舞なりのオーケーとノーが入り混じっている所を見ると、結構酒が回っているらしい。
「安らかだな……とても、話にあるような悲しい運命を背負っているようには見えないぜ」
「はい…でも、陽介さんは…運命を変えてくれる人ですから。陽介さんのお父さんの意思を継いでいるので……」
「ふーん、まあ俺達は影として彼をサポートするまでだがな……本当に期待しているぜ。隊長……」
 そう言い、陽介の髪の毛を少し撫でてやる歳雄の手を陽介は眠りながらパシっと払った。
「痛っ、だけど少々きつめな所がたまにキズだな……」
「あはは〜っ」
「でも……寝顔が、可愛いっ」
 佐祐理はあはは〜と苦笑してしまう。そして陽介の寝顔にうっとりとしている女性陣だった。
 そう言う事で、結局陽介達は今日はこの極東支部に泊まる事となったのは言うまでも無い。


続く

設定資料人物紹介

 土方歳雄(ひじかたとしお)23歳
SUP極東支部諜報部所属の影の拠点防衛部隊『ONIWABAN』のメンバーの一人で階級は二等中尉…コードネームは『赤影』。赤いくせのある髪をして、熱い情熱のような猪突猛進系の熱血青年で、仲間の情にも熱い。ただ可愛い物には男女構わずナンパしてしまう癖があるらしい。その為斉藤一樹にはバカの一人称で呼ばれている。

 沖田総司(おきたそうじ)22歳
歳雄と同じ影の拠点防衛部隊『ONIWABAN』のメンバーの一人で階級も二等中尉でコードネームは『青影』。極東支部のメインコンピューターをメンテできるエンジニアの中では1級の腕を持つが本人は速読の要領だと言う。少し気弱な部分もあるがいざとなるとかなり役に立つ存在として活躍している。陽介には色々な情報を伝える便利屋。

 近藤勇実(こんどういさみ)24歳
影の拠点防衛部隊『ONIWABAN』のリーダー的存在で階級は参等大尉でコードネームは『紫影』。メンバーの中では色っぽいお姉さんなのだが、実は変装が得意で背丈が合えば誰だって変装可能の為、極東支部内でも彼女の本当の姿を知らない事から『形無し』の異名も取られている。

 斉藤一樹(さいとうかずき)25歳
影の拠点防衛部隊『ONIWABAN』の最後の一人で階級は一等大尉でコードネームは『黒影』。沈着冷静でクールな性格で少々冷たく感じられるが、けっこう優しい兄貴分の面もある…狙撃が得意でスナイパーをやらせたら、どんな遠くからでも馬のノミを撃ちぬく事だって可能。舞に興味を持っているが、勇実と恋人同士らしい。陽介のクラスにいる斉藤の兄……。


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