俺の前に、人気の無い廃墟となった不気味な建物がある。
ここに美村奈美が居る事は、解っていた。さっきまでの痛みは無い…何故かは解らない、子供の頃感じた痛みはすっかり消えていた。
廃墟はいかにもいかにも何かが出てきそうな感じだった。古めかしく錆びた白い扉、一部を破損したガラス。植物のつるが、壁を伝い…建物の壁を抉って生えたような一本の木、この建物はいつ頃からここにあったんだろう?
 解らない、ただここなら人も寄り付かない……何かを隠すにはうってつけかもしれない。

 一人で大丈夫か?警察…井上に連絡するか?いや、ここまで来てどうなる事じゃない。でも亮二の事件であの銃はもう使い物にならなくなった、『剣』がまた手から出せれば…



鍵爪
 第十三話 『遊技(ゲーム)』


 入り口らしい入り口はこの、白い扉くらいしかなかった…周りを一周してみたが、裏口らしい扉はかなり錆びてる為か、鍵がかかっている為かで、ぜんぜん開こうとしない。
 入るとしたら、この扉くらいしかない、出口もここしかないと言う事だ…俺は意を決して、白い扉の押してみる。
ギィ…
 金属が擦れる音がして、扉が開いていく、中は既に荒らされた後で…月明かりさえも入らないくらい暗い、それでなくても今日の月はあんなに細いんだ…月を見てフレキを思い出した。
 いくらフレキでも、自分の体が危険な状態の時に俺を助けに来るはずが無い……覚悟決めるしかないか。
 まるで自分が自殺するような言い方だ……俺が死ぬ、もう、何度も死んでるのに…

廃墟内
中は暗かった、闇に眼を慣らしても…見えにくいくらい、そしてこの刺激臭は一体なんだ?鼻を突き刺すような、何かが腐ったようなそんな匂い…
暗闇の中に何が……
どこかに明かりとかそういうのはないか?手探りで探したって何も解らない、俺がいま何処に居るのかさえ解らない。何が居るのかさえ……今、後ろを狙われたら確実に死ねる。

 俺は手探りで、暗い闇を歩いてようやく部屋らしい場所に辿り着いた。眼が段々闇に慣れてきても、まだ何があるのか解らない。
『グー…グー…』
 何だろう、この耳障りな音…何かが眠っていて、それがいびきをかいているのか?何にしてもここには何かが居る…何か、とても嫌な…何かが…
天井を見たら紐がつる下がっててあって、その先には蛍光灯らしき電灯があった。俺はつくかどうかは解らないが、その紐を引っ張った。
カチッ!
電灯が付いて俺は暗闇に慣れていた眼がくらんだ。
「!!」
 眼が段々光に追いついて、俺は目を開けると…想像を絶する光景に息を呑んだ。
「こ、これは?!」
部屋の壁際に並ぶ巨大な五つの檻、何かを閉じ込めておく為の檻…何かを制御する檻、天井まで鉄格子で囲まれている。
 元は犬の保健所かなんかだったのか?この建物は……
「こいつ等…」
五つの檻には一つずつ、何かが閉じ込められていた。人狼じゃない、獣の姿をしているが、そいつ等は明らかに夫々、別々の獣の形をした化け物。平たく言えば人とある種の動物を掛け合わせたような、そう…亮二のように、虎のような奴と同化したような奴。

 向って手前のは、口から突き出た長い牙と同じく長い鼻を持つ象のような巨漢の奴。
その隣の檻には、毛の無い爬虫類のような鱗を持っているワニの如くギザギザした牙が並んだ巨大な口を持つ奴。
 三番目の檻には、両生類のようなぬるぬるした肌を持っている蛙のような奴。
そして四番目の檻には、起きたらこの折を破壊してしまうんじゃないかと思うくらいの力を持ってると思う、ゴリラのような巨大な腕を持った奴。

どれもこれも、檻を破壊して出てきそうな奴等ばかりだが……突然の光にも気付かず、寝息を立てて眠っている。
「一体、何なんだよ…こいつ等…」
 これも、フレキの敵の仕業なのか?

しかし最後の一番奥の檻には、電灯の明かりが半分しか届かなくて半分は闇に閉ざされていてよく解らない…。奥にはまだ、こんな獣が寝息を立てて寝ているのか?俺は、慎重に他の檻で寝ている獣達を起さないように奥へと進んで行った。
 何でだろう、こんな部屋早くで出た方がいい、いつ獣達が起きて俺を襲ってくるやも知れないのに、奥に居るやつが妙に気になる……どんな奴で、どんな形の獣?
 そんな期待感が俺を部屋の奥へと引き込んでいった。

そいつは光から逃げるように、膝を抱えて闇の中に座っていた。起きているのか、寝ているのかさえ、解らない半開きの目見る限りでは、獣の姿をしていない…闇の中でそれの表情が動いて気付いた。
「美村!!」
 俺は、大声が出そうになって口を押さえた、獣達は…良かった、起きてない。最後の檻に居たのは、正真正銘、夏休み前に行方が解らなくなった美村奈美であった。あの時のように虚ろで悲しそうな顔をしている。俺が来た事に気付いてるのかさえ解らない。
「……」
「美村…解らないか、美村、お前を助けに来たぞ」
無反応、美村は俺のほうも見ずに俯いている、早く、光に気付いて獣達が起きるかもしれない。嫌な予感がする、早く美村を助け出さないと。
 どうにか、この檻に入れれば…
「いま開けてあげるからな、待ってろ」
 鍵と言う物が無いなら、探せば出てくるはず。俺は息を潜めながら、部屋の周りを歩きながら檻の鍵を探し始める。
「鍵…鍵はどこだ?」
 焦りからか?俺は、誰にぶつける物じゃなく苛立っていた。早く、助け出さなきゃ美村が無事じゃない、音を立てたら獣達が起きる、早く逃げなきゃフレキの敵がやってくるんじゃないか?etr…
 色々な、疑問から生まれて最終的な疑問に行き着いた。
 何故…俺が美村を助けなければならない?
ドクン
 どうせ生きて帰ったって、この状態じゃ病院へ行くしか道はないじゃないか…
ドクン・ドクン
生きてるか死んでるかさえ解らなかったんだ、今更帰ったところでいい事は無いじゃないか…
ドクン・ドクン・ドクン
 助けた所で、美村奈美の両親が『無事』じゃない事なんてわかりきってることだ…
ドクン・ドクン・ドクン・ドクン
 そもそも、もうこいつに帰る家なんて無いじゃないか?
ドクン・ドクン・ドクン・ドクン・ドクン
 何故、俺を呼んだ?何故…俺に助けを求めた?…
ドクン・ドクン・ドクン・ドクン・ドクン・ドクン
 そうか…解ったよ、お前は…

『俺に殺されたかったんだな』

ジャキーン!!!
 まずは、獣人の雑魚を片付けるとしよう…居るとどうも、落ち着かないんでな。『剣』を出して、南京錠を斬って檻の中に入る。それからゆっくりと、美村奈美を解体すればいい。
 一番目…象はうざったい鼻と牙を斬ってやると狂ったようにのた打ち回る、喉をかき斬って絶命した。喉と言わず首が落ちてたが…
 二番目…ワニ口の奴は起きる前に上顎と下顎を分けてやった、これでもっとでかい獲物でも食えるだろう?ああ、もうだめか…
 三番目…蛙は象の悲鳴で起きて、さっきからゲコゲコと五月蝿かった。ようやくその喉を拳で貫いて頭から一刀両断にしてやった。
 四番目…ゴリラみたいな奴は反撃しようとして、俺は腕をもぎ取って、口に剣を突き刺してやると魚のように体をぴくぴくさせて死にやがった。

 さぁ、最後だ…俺は顔についた獣達の返り血を手の甲でふき取ってから、美村の居る檻の南京錠を斬る。
「美村…」
俺は檻を開けて中に入る。だけど美村は無表情で何も反応もない。
「…あれだけの、惨状を見せてやったのに、お前は表情一つ変えんか……」
 正直、獣達を切り刻んだ快感はあったが、こんなに無反応じゃ、そんな気も滅入ってしまうじゃないか。
「……」
 でも、俺はこいつをようやく殺せる事に、興奮を抑えられない…『剣』の刃が血を吸って真紅の色に変わっている。
はぁ、はぁ、はぁ
殺したい…早くその美しい体をこの剣で切り刻んで…お前の血を吸いたい。
殺したい…殺したい…殺したい…
 剣を逆手に持ち替えて、切っ先を美村の喉下に向ける。ここを斬れば血がどぱって出る…その瞬間がいいんだよ…
「……あさ…くら…くん…」
 美村の目がようやく俺に気付いたらしくこっちに向いた。
「美村…気が付いたか」
「…助けに、来てくれたんだ…」
美村が嬉しそうに笑ってくれる…
「そうだ、俺はお前を助けに来た……」
 剣の切っ先を、美村に向けて振り上げる。一気に貫こうとした…死ね、美村…そして、お前は救われるんだ。
ドカ!
「がっ!」
頭に鈍い感覚が走る、後ろから頭を誰かに殴られた。剣が腕から離れて消滅する。

まだ人間の部分があるからか…この程度の痛みで…お…俺が…

 俺の眼は、その時点で閉じてしまっていた。









コチ・コチ・コチ・コチ…
 眼が開く…頭に異様な痛みを感じ俺は、飛び起きるように気が付いた。
俺は…、どうして…美村を助けようとして鍵を探していてそれから?どうしたんだろう…全く思い出せない。
 それじゃあ、ここは…どこだ?さっきまで、俺がいた檻の外が目の前にある。え?ここは…
手足が動かないと思って、俺は手と足を見てみた。美村のように鎖につながれられている。そう言えば美村は?俺は美村を助けようとして、それで…どうした…
美村を助けようと思って、それで……俺は…
そばに美村の顔があった。
タオルかハンカチか解らないが俺の出血している所をふいていた。
「美村……か…?」
 その顔には先ほどのような、感情の無い顔ではない明らかに俺の身を案じた顔だった。それにしても、なんて冷たい手なんだ…美村の手は…
「大丈夫?」
「俺はいいんだそれより、美村…どうして…」
「ごめんなさい、浅倉君、まだ…力が足りない」
 美村は少し泣きそうな顔で俯きながら俺の手を取った…冷たい、生気のない手。
 これは…
「美村…おまえ、まさか?」
「早すぎた…私のせい…浅倉君はまだ……『獣』を倒せないのに、呼んでしまった」
「どう言うことだ…」
「『獣』…あれは、殺しを食事と同じように楽しむ『獣』でしかない…」
「獣ってあの人狼や…そこに居る…う!?」
 俺は美村の隣にいると思われる獣達のほうへ首をやった、が眼に飛び込んできたのは戦慄の光景だった。

 血…血…血…血………

 美村の隣から向こうの檻で寝ていたと思われる、獣達は全て原型を止める事もなくバラバラに解体されていた。
「こ、こいつは…う!?」
 余りもの光景に胃液が逆流してくる…美村は、吐き出された胃液を拭きながら首を横に振った。
「覚えてない?あの子達は……浅倉君が殺した。でも早すぎた…浅倉君は『剣』を自分の意思で使える程の覚醒には至っていない……」
 俺が、鍵を子供の頃手やったと同じように、手から剣を生やして斬ってから、そのまま奴等をばらばらに解体したのか?じゃあ、俺は…また亮二の時のように…
「あの子達は、あいつが自分の能力で作り上げた死徒を自分が動かしやすいようにした者、使用不可になったら、また新しい駒を作り出すだけ…。もしかしたら浅倉君が、覚醒前の段階で、あいつは…浅倉君を…あの子達と同じように利用して…」
「ど、どう言うことだ?じゃあ、なぜ美村を!?」
「…私は…浅倉君を呼び出すための餌……私達は『繋がってる』から、あいつはそれを利用して浅倉君をここまで呼び寄せた…でも、早すぎた…浅倉君がもうちょっと待ってくれたら、浅倉君はあれを止められた。あれは今度は浅倉君を利用するよ……」
「おい、一寸待て…あれって…あれって一体…」
「あれは、常に第三者の立場から浅倉君を見て…第三者の立場から浅倉君の近くに居て…第三者の立場から、貴方に協力して…そして……貴方の近くに居る…」

コツ、コツ、コツ、
部屋の向こうから、足音が聞こえてきた、こちらの部屋に近づいてくる…それは、ひたひたと獲物に近づく狩りをする『獣』のように…
逃げられない、俺も美村も、獲物として捕らえられてしまっている。奴、美村の言う『獣』が近づいてくる。
足音がだんだん強くなって、向こうの暗闇から人影が近づいてきた。電灯の光を浴びてその正体が明らかになった。俺はただ、信じられなかった…
奴はそんな俺を見て、にっと笑う。
闇の中から現れた人物は……俺のよく知る人物だった。そう、奴は常に俺の第三者の立場に居た人…
「……どうして…あんたが……」
俺の周りで起こった最初の事件から、俺はこいつに出会っていた、一度目も、二度目も、そう…奴は…あの事件を担当していた警察の…

……井上晃

「どうです?浅倉さん、僕の推理…見事当たっていたでしょ?」
「う……井上さん…なぜ…何かの冗談でしょ」
俺は驚きを隠せなかった。何故井上がここに居て俺の目の前に居て…井上は俺が拘束されている檻の前まで来て。
「そう、あの時も言ったでしょ?『誘拐犯』は無差別に人を殺す『殺人犯』とは違い、その特定の人物に何かしらの思い入れのある人物、そう…知人、友達、同級生、関係者ですよ…とね、僕はずっと浅倉さんの近くに居た、そうでしょ?だから、君の『誘拐犯』は僕なんですよ…」
「……」
 解らない、と言う事は井上は最初から俺を…捕まえる為に…
「貴方を捕まえる機会は幾らでもありました…そう、信用されてましたからねぇ…」
 そうだ、俺は今まで無防備な姿をこいつに晒してきた…あの時も…あの時も…あの時も
「い…の!う!えぇぇぇーーーー!!!」
「ははは、井上か、確かに俺はあの優しい井上でしたよ。だけど、これは貴方と同時にある人物を欺く為の偽名でしてね…」
「偽名……?」
「浅倉さんの家にフレキって学生がいますね、僕…俺の本名は……ゲリアルト・オーディン…フレキストは俺の双子の兄です…ああ、これ兄貴から教わってるか?」
「!!」
 今更聞くまでも無かった、フレキの敵の名前…そしてフレキとの関係…
だが驚いたのが、井上が…あの、フレキの弟だったなんて。
「お前…フレキの弟……」
「兄貴がフレキなら、俺はゲリとでも呼んでください、そっちの方が良いでしょうからね」
「ゲリ……」
「でも、佐倉の家に貴方を送った時、兄貴に会った時は焦ったなぁ……匂いは誤魔化せても、感覚で感づかれる所だった」
 ゲリは溜息交じりで、俺からはなれて…そばにあった洗面所の水を出して、髪を洗い始めた。
「もう井上晃…を装う必要も無いでしょうね」
 背中の神経がゾクリと寒気を覚えた。振り向いて目が合ったら、殺されてしまいそうなくらいの鋭い寒気…熱を持った、殺気。
 水で、黒く染まった髪の色が落とされていく…それは恐ろしく綺麗なほどの金髪で、頭を振って、水を振り払った。そして眼から、自分の眼を黒く装う為のコンタクトレンズを外し…そいつは振り返った。
「これが、俺の姿です…浅倉さん……」
「……」
「俺が怖い?殺したい?ははは、当然だな!覚醒前の貴方なら刺激が強すぎるだろうな」
 ただ何となくだが、こいつは本当にフレキの弟なのか!?全然フレキとは似ても似つかないくらいの殺気と覇気…それだけでも圧倒されてしまうのに、この絶対的な恐怖の正体は何だ?
 震えが止まらず、歯をがたがたと鳴らす…
「まあ無理もないな、まず、最初に軽く説明しとくことがあります…。浅倉さん?今俺がどのように見えますか?俺が兄貴とは全く違う物だと感じるでしょう…?
 俺は兄貴と同じ、根本的には獣人の『祖』たる『獣祖』ですが…少し違います。数年前、死徒二十七祖の一人『死徒の吸血姫』の元へと赴き…力を授かりました。そう…俺は吸血鬼の力を得る事で、獣人の『獣祖』でもあり吸血鬼の『死徒』となった」
「な、何故そんな事を…」
 獣人が吸血鬼の能力を得る事など…そもそもそんな事があって良いのか!?
「俺達、獣人と言う種は、大変脆い存在でしてね…俺のような強い『魔』を持ってる者でもその寿命はかなり短い…親父が生きていれば、32で死んでしまうほど短命なんですよ。
変身するだけ、細胞が死んでいく…下手をすれば、20半ばで死んでしまう奴らが多いんですよ、俺も以前は…変身した後は、その苦しみに耐えてきました…
 ですが、吸血鬼の力を得れば、『寿命』が無くなる…その替わり吸血衝動と言う別の苦しみを持つのですが…不便な獣人の力よりはよほど使える力だ。
 まあ、普通の獣人がこの力を得ようとしてもそれは儚い夢として、吸血鬼となろうとすると、吸血鬼の力が強い為かそれに敗退してしまう可能性が高い。よく先祖はこんな奴等に喧嘩売ったもんだ。元より売ったのは向こうかもしれないけど…
 ですが、何故かは知らなかったけど、獣人である俺はこうして吸血鬼の『死徒』として蘇った。ちょっとした賭け事ですよ、元より兄貴より『魔』の属性が高い俺だから、もしかしたらって、試してみたんですよ。そしたら、見事成功しました。浅倉さんと同じ天才?だったのかもしれませんね…ふふふ…あ、そうか!ある意味、俺は先祖の越えられなかった壁を簡単に越しちゃったって事かー、あはははは♪」
 一人でわけの解らない話をして、一人で納得している…井上の声と性格は変わらない、人を小ばかにしたようで、どこか俺を買っている、そんな態度。しかしこいつは獣人であり、吸血鬼であるっという事になるのか…
「吸血鬼として俺は『寿命』をなくしたと同時に面白い事ができる様になりましてね、それが…ってもう死んでるか…でも浅倉さん見ましたよね、奈美ちゃんの隣で寝ていた、獣達を…
獣人の祖と言うものは、噛んで生き残った者は、その能力を得て獣化し、獣人の『死徒』となる。本来ならば、祖となった獣人の情報を引き継ぐ形と、つまり『狼』となりますが…俺は、『死徒』にする際に予め記憶しておいた、動物…超越生物等の情報を、流す事で、その『死徒』にその動物の能力と情報を転写した『新種』が完成すると言う寸法です。いい例が日向亮二のような奴等です。
ちなみに、月齢に関係なく変身も可能となり…そいつに噛まれた死者も、同じような体質になるが、死者まで情報が伝達しない為か、『新種』のような動物の能力は備わらずベースとなる狼の人間…人狼なんですがね」
 そうか、だからフレキの疑問に思っていた、満月でなくても動ける人狼や、虎のような亮二の変身した姿…他の生物と掛け合わせた獣人たちができる訳か…
「まあ、作り上げた『新種』を使いやすく薬漬けすれば…混沌の『獣王の巣』より劣りますが、吸血鬼の死者よりは使いやすい奴等になります。まあ元より、いつ混沌に飲まれるか解らない、獣王の巣の真似事などしたかありませんがね、ははは!
ですが、こいつ等は…薬漬けする前、つまり吸血鬼の死者と違って、元が獣人である俺は死徒達とリンクしない、あいつ等は悪まで勝手に人を襲い…勝手に肉を貪る、獣です。
俺が作り出す『新種』も形は違えど獣人の『死徒』…この街に来て最初に『新種』にした二匹は、捕まえる前に俺の手を離れて…獣の本能に従い、俺が事を起す前に…勝手に事件を起した。浅倉さんが最初に遭遇した人狼による事件も俺にとってはまったく予想外な出来事だったということだな」
 それじゃあ、あの最初に起きた事件も…ゲリ自信じゃなくて…亮二が、いや違う。そもそも、こいつが亮二を『虎』に変えたから…俺は、亮二を殺して…
「まあ、元凶が俺だって事は否定しません。しかも獣人の死徒は、自分が人へと戻る為、俺の心臓を狙う。
井上を名乗る理由その2…奴等から俺は身を隠す必要があった、何故かって?この街に来て早々、死徒に逃げられた俺だ、もし…今のままだと、奴等との攻防は避けられない。無駄に力は使いたくは無かったし、なにより…奴等に見つかると言う事は、兄貴や…貴方にも悟られやすく、都合が悪いからです。ですから俺は警察の『井上』と言う人物となって、法律で固められた治安組織の視点から、調子付いた奴等を始末する為…今まで調査をしていたのです。まさか、警察が獣人や吸血鬼を追うなんて、奴等も想像はできませんよ」
 警察の利点はそれだけじゃない、俺や浅倉に最も近づきやすい組織だからだ……警察内部から潜入されたら、こっちもひとたまりも無い。
「そして、貴方は少し勘違いをしているしているようだが、俺は二度も…貴方を助けている。
 最初は、佐倉宮子が日向亮二に誘拐された時…貴方が死者に噛まれて…その爪で死者を惨殺した後、貴方を正気に戻して病院に連れて行った…
 二度目、同じく日向亮二が、佐倉宮子を誘拐した後…あの教会で堂々と、食事を行った時、地下で貴方が意識を失っていたのには驚きましたよ」
「…え!?」
 俺は今まで、あれは皆フレキが助けていた物だと思った…でも違ったのか?俺は二度もこいつに無防備ないや、もっと…もっと…俺はこいつに何時でも捕まえられる機会を与えていたんだ。
「く…ぐぅ」
 完全に騙されていた…こいつの罠に、ずっとはまっていたんだ俺は…
それでフレキも騙し、自分が作った死徒でさえ騙し、警察…周囲の人々を欺き、俺を騙し…
「お前の目的はなんだ……」
シャキン!
ゲリはそこに立てかけてあった日本刀を持って、俺に切っ先を向けた。
「奈美ちゃんに聞いただろ、俺の目的は貴方と兄貴を仲間に迎える事だ……貴方の『剣』があれば、我等の宿敵『白翼公』や天敵である教会の殺し屋なんて恐れる事は無い…ですが…味方につければ、これと無い切り札となり、敵に回せば最も厄介な敵となる……今の内から、貴方を我々の仲間に加えようと言う訳だ…兄貴は、もしかしたら俺と同じような現象が起きないとも限らないからね……」
「吸血鬼の仲間になれって言うのか…?」
 それを聞くとさっきまで俺を見下していたゲリの態度が少し変わったような気がした。
「俺としては、貴方の力がどんな物かもっと知りたい…、そう貴方と…戦いたい…しかし、俺は吸血鬼の力を得たあの日から姫様に命を預けたのさ…姫様の命は絶対だと思ってる」
「……」
 何故だか解らないが、ゲリがそこまで忠誠を誓う、姫様と言う者が気になった。獣人は吸血鬼を憎む存在でありながら、逆に『愛』さえも感じずに居られない。
「しかし、死徒の奴等のお陰でせっかくの予定がパー…もう急がないと姫様が怒っちまうし、貴方を仲間にしない限りじゃ『浅倉』を完璧に潰す事はできないからな…」
 おい、今なんていったんだ…こいつ!?浅倉を潰す?
「俺がここに来た目的その2…姫様は、あなたを仲間にした後『浅倉』を潰して来いと俺に言った。
『浅倉』は元々、姫様のような古い死徒がこの地に渡来して、繁栄した一家…。祖となった死徒が滅びた後…今の代まで、数々の魔術機関や『法王庁』にまで、その勢力を伸ばして来た。おそらくは『白翼公』とも繋がりがある可能性もあり、極東の地で『蛇』が転生先候補の一つとしても上げられる。そして貴方の存在、いずれ…その強大な力が、敵の手に渡るやもしれない。
既に何者かによって貴方のお父上は消去され…今、浅倉家を統率している、『浅倉智弘』も絶やせば、貴方が敵に渡る可能性も消えるし…仮に貴方自信が居なくてもその『力』さえあれば、十分脅威となる…
 しかし、浅倉を完全に滅ぼす為に『浅倉』の力を必要とする…なんて皮肉で矛盾な話だろうか?」
 叔父さんを殺すため、俺はゲリの仲間となれって言うのか…俺は…
「俺に、自分の生まれた浅倉家を…殺せというのか?」
 手から生える『剣』で…俺は、叔父さんを…殺せって言うのか!?
「あなたは知らない……何故、貴方と言う存在が今まで生かされてきたか?そして、兄貴…フレキスト・オーディンが、今の時期になって貴方に近づいてきたのか…貴方は、周りの誰もから騙されてるのにも全く気付かない」
 俺が生かされてる?フレキが今何故来たのか?俺はゲリにも騙されて…同時に浅倉からも騙されていると言う事か!?
 俺は…俺は…いや、騙されるな。これもゲリの罠だ…こいつも俺の力が欲しくて狙ってきたような物だ、何に騙されてようと、そんなの関係ない。
「俺は、もう騙されない!」
俺は奴に殴りかかろうとしたがだめだった。体が動かない。
「あなたは騙され続けて、周りから嘘で今まで平穏を送ってきたような物だ、現に…浅倉智樹が死んだのは、事故じゃない…何者かによって殺されたからだ。
…浅倉の内部から殺されたんじゃないか?……もう不必要だと思った誰かが…」
「だまれ!聞きたくない!」
 俺が、叔父さんや屋敷の人たちや、浅倉の人間達によって作られた平穏を送ってきたなんてそんなの嘘に決まってる!

「……そうだ、貴方の周りにも、俺のように貴方を騙して…罠に落としいれようとしてる人が居るんだ」
 よせ、俺の頭には言ってくるな…叔父さんが…浅倉の人間がそんな事をするはずが無い!
「その力が発現したから、自分は生かされているんじゃないのか?力が無かったら、そもそも、生かされてなかったんじゃないのか?」
 そんな、俺は手から『剣』を生やす事で、今まで浅倉に生かされ続けたというのか?
「現に貴方は浅倉に何度も騙されている……自分が吸血鬼だと言う事や、兄貴の事…。それに兄貴はまだ貴方の知らない事を隠している…疑問に思わないのか?そして貴方は兄貴の事をどのくらい知ってる?フレキが、味方か敵かと思った事はないか?」
 ダメだ…フレキに限ってそんな事…信じられない!フレキが俺を騙しているなんて信じられない!フレキは…あいつは!?そんなんじゃない!
 でも…フレキは……獣人…吸血鬼を憎む種族、種が違う…俺は…フレキの事をドコまで知ってて…

ドクン・ドクン・ドクン・ドクン
親父を殺したのは、浅倉…
 俺を生きてるのは、力のおかげ?
  そもそも、フレキが現われたのは何故?
ドクン・ドクン・ドクン・ドクン

俺は…何に騙されているんだ?

 真実は…ドコに?

「……さあ、疑問を解きに行きましょう…浅倉邸へ…」
 金色の髪をした青年が檻の鍵を開けて…俺に手を差し伸べる…
「だ、ダメ!浅倉君!!聞き入れちゃダメ!」
「……」

 ああ、そうだ…聞かなきゃ、叔父さんに…本当の事を全部、洗いざらい…言わないのなら…『吐かせよう』…四肢を『剣』でぶった切ってから……

「ダメ!獣の誘いに乗っちゃだめぇぇーーー!!」
「……」

 そうだ…フレキにも真実を聞こう…親父は…母さんは何故死んだのか?フレキなら知ってるはず…

俺の『剣』があれば…
「あ、」
「浅倉君!ダメだよ、その誘いに乗ったら、罠だよ!」
「奈美ちゃん……もう、君の役目は終わったよ。うざいから消えて」
ザシュ!
「あ!」
 美村が肩を、ゲリの日本刀に斬られて血をはいた……そんな事より俺は、聞かなきゃならないんだ。叔父さんに…屋敷の皆に…浅倉の全員に…そして、フレキに…

バリーーーーン!!
天井の展望ガラスが割れる音がして、その音で俺は正気を取り戻した。
「ん、俺は…何を…は!」
 風が俺とゲリの間に割って入ったと思ったら、俺の目の前には見知った青年が居た。
鉄の長い棒を持って、白いワイシャツを着て…眼は人狼を殺した時と同じ、怒りに燃える深紅の瞳と…輝く深い灰色の髪。
「ふ、フレキ!!」
「新月が過ぎて、間もないのに…言いのか?兄貴…来ても…」
突然現われた、フレキに対しても余裕の表情でゲリは構える…
それをフレキは赤い眼でギッと睨みつけて…
「ゲリ……貴様、彼に何てことを…」
フレキの周りに冷気が絶ちこめる。ゲリの周りにも同じような気が立ちこめた。
「もう少しで、彼を俺達の仲間にできる所だったのに……とんだ邪魔だよ、兄貴…」
「……お前、やはり智也さんをアルトルージュに渡そうと…お前は本当に獣人を捨てたか」
 この、切羽詰った一触即発の空気…どちらかが隙を見せたらバラバラにされる、そんな気迫…
「兄貴……俺はすべてが嫌になったのさ。兄貴だってそうだろう!?
先祖の怨みの呪詛は、まだあんたも忘れていないはずだよ。もう縛られるのは沢山だ…だから、俺は姫様にこの力を貰った。脆い体!いずれ尽きる寿命!死と隣り合わせの体!変身のたびに朽ちて行く定めを持つ獣人の体…
吸血鬼に復讐?戦争で大半を消滅させられ、今や俺等二人だけとなった獣人の怨みの呪詛…、生まれた時から頭を割るようにまとわりついて、正直うざいかったんだよ!
だけど親父はいつか吸血鬼への勝利をいつも望んで、あんたを育てていた…純粋な獣人として、いつか吸血鬼どもに…兄貴はこんな事嫌だから……兄貴は親父を殺したんじゃないの?」
ジャキ!
 さっきは見せなかった強い口調で言い放ち、警察で使う拳銃を抜いて兄であるフレキに銃口を向けた。
バン!バン!
「くっ!!」
フレキは鉄の棒を構えて、放たれた銃弾を棒で弾き返しながら、ゲリに真っ直ぐ向っていく。速い、俺は目にも止まらない程の速さ。
「ふ…」
素早くフレキの棒が速さと重力をかけて、ゲリに振りかかる。
ガィン!ギン!ガン!
フレキの攻撃をゲリは日本刀で素早くガードした。一進一退の攻防…。激しく武器をぶつけあう兄弟に手に汗を握る。凄い…これが、戦い…
「あ…あさ…くら…君」
隣で美村の声が聞こえた。俺の横で血にまみれながら倒れている、美村に気付いて抱き起こす。
「大丈夫か!美村!?」
「…へ、平気…それより、早く…逃げよう…」
 多分ゲリにやられたんだろう…腹の所からすっぱり切られて、血が出ている…早く手当てをしないと危険だ。
「これを…」
 美村の手には…手錠の鍵らしきものが握られていた、もしかしてゲリから盗んだのかもしれない。
美村の手から鍵を受け取って、俺を縛り付けていた鎖を解き放ち俺は動けるようになった。動けない美村をおぶって檻から抜け出る。
フレキが、ゲリを部屋の外へと出したのか…檻の前には二人の姿が見えない。その間にもフレキとゲリの兄弟喧嘩は続いているんじゃないか?フレキは…だいじょうぶか?
「浅倉君…早く…出ないと……」
「ああ、解った」
 俺は傷ついた美村を運んで、檻の部屋から脱出した。

その頃…檻の部屋から出たフレキとゲリの激しい攻防が続いていた。
「逃がすか!」
バン!バン!
ゲリは拳銃を2発発射する。フレキはそれを巧みに避けながら…ゲリに棒を振りかざし、それをゲリは簡単に受け止める。周りの暗さを二人は関係ないように戦う。
「ゲリぃぃぃーーーーー!!」
「追わなくていいのかい?兄貴…外にいる、俺の死徒が、二人を食い殺すぜ…」
「勿論、解っているさ!だから早々にかたを付ける!」
ギン!
 フレキは棒の持ち方を変えて、棒から隠し刀を引き抜いて…思いっきり切りつけた。
バキィィン!!
「ぐぉ!?」
 ゲリの持っていた日本刀が、隠し刀を使った居合い切りで折れ……ゲリの胸を大きく斬った。
ザシャァァ!!
「があ、隠し刃を使った居合いか……それに銀を用いた概念武装の刃…中々やるな?」
「教会の、代行者からお前が吸血鬼の死徒となった事を知ってな、その為に中の刃を替えて置いた」
 胸が裂けて血がぼとぼとと落ちるのを、ゲリは手で押さえながら手首を構える。
「くっ!…はぁぁ!!」
ゲリは手に気を集中するように息を吹きかけると手首が変化した。手首が毛におおわれ爪が伸びた、それは狼の物より巨大で太く…爪も獲物を刈りやすい鉤状に5本並ぶ。
 動物に例えて、その豪腕は…『熊の手』、一撃でコンクリの壁を軽々破壊できるような、巨大な力を解放した。
「シャ!」
ザシュ!
熊の豪腕が振られ、近距離に居たフレキは飛びのくが…全てを避けきれなく、爪が深くフレキの胸をえぐる。
「ぐぅ!?」
「手首に『情報』を流せばこのような器用な事も可能……これで謎は解けたかい?」
「ち、確かに、これなら俺が疑問に思っていたことが納得する。っく…」
 ゲリと同じように、胸を熊の手で斬られたフレキは目眩を起して体がぐら付く。
「…体に負担が掛かってるか、やはり新月後じゃ無理ないか、ははは!脆いねぇ」
「ああ、ここでお前とゲームで遊んでる余裕はない…」
バッ!
フレキはゲリの一撃で破けた、ワイシャツのボタンを外した。腰のベルトに何十にある、円筒状の物体。
「!?爆弾か、自爆する気かよ!兄貴!?」
「寝ぼけたことを言うなよゲリ、今ここで死ぬわけにも行かない。この建物のあらゆる所に爆弾を仕掛けた」
「くっ!!」
フレキは足のバネを使い飛翔してゲリに向かってくる。
「はん!俺の手に態々心臓を貫かれに飛び込んでくるか!?かぁ!」
 ゲリは、拳銃を投げ捨てて…人間のままの左腕を猛禽類の手に変えて、向ってくるフレキの胸を貫こうとした。
「これを待ってたぜ!」
フレキは素早く、猛禽類の爪を避け爆弾のベルトが、爪を裂けて斬れる。爆弾は床に落ちた瞬間、フレキはゲリの頭を殴りゲリが怯んだ所を、さっとジャンプをして入ってきた窓から出て行った。
「く…かぁぁ」
フレキがいなくなった後…ゲリは爆弾のベルトを猛禽類の左手で拾い上げた。
「ふう、逃げたか…兄貴もなかなか頭がいいな」
カチカチと、音がゲリの耳に聞こえてくる。ゲリが念入りに調べると、裏側に腕時計を見つけた。
「時限装置…か…」


……
………

俺は美村を抱えて逃げていた、美村の息が荒い早く病院に連れて行かなきゃ。血がいっぱい流れて…
 血……いや、血を見るな…何故だか知らないけど、血を見ると喉が渇いてくる。
 ここまで俺は、吸血鬼の体になっていくのか?
ザッ
俺は血と喉の渇きを忘れようと、夜の獣道を走った。ゲリはフレキが押さえているにしても、早くここから出ないと思ったら…俺の目の前の何かが立ちはだかる。
「フレキか……!!」
眼を凝らして、闇に眼を慣らすと…そいつの影は、フレキではなかった。
『ぐるるるるる』
 暗くてよく見えなかったが、熊のようなでかい体を持っている。間違いない、ゲリの死徒だ!明らかに俺と美村を獲物と判断しているだろう。
『がぁぁぁ!!』
「!!」
美村を背負って何もできない…俺は間違い無く、殺される…と思った。

ドドーン!!!

後ろでフレキとゲリが戦っていると思う、あの建物が…突然爆発した。爆風がここまで来て俺と美村、そしてゲリの死徒は飛ばされる。
「うああ!」
 俺は美村を話して倒れこむが、死徒はすぐ立ち上がり……俺に段々近づいてきた。
バシュ!!
奴は爪を振り上げようとしたが、ハラから銀色の刃が生える…
『うぐ!』
「大丈夫ですか!智也さん」
死徒が倒れこんで、その後ろには仕込み刀の刃を突き立てるフレキの姿が居た。
「ああ、ありがとう…フレキ」
「…ええ、これも仕事ですから…」
「ゲリは?」
「……」
 フレキは後ろで燃える建物に親指を向ける。炎上する建物…その中にゲリが居るのか…奴は…死んだのか。
俺は、どうしても聞く事があった……ゲリが言った、本当の真実を…俺は知らなくてはならなかった。
「フレキ、家に帰ったら、全てを話させてもらおうか?」
「……はい、すべてを話すつもりです、その前に美村さんを早く佐倉家に運びましょう」
「何!?病院でなくて良いのか?」
「いえ、美村さんを病院に運ぶ必要はありません……彼女は…もう」
 その言葉を聞いて俺は、背中で気絶している美村を見る…何だか不思議と息が整ってきているのが解った…まさか、彼女は…
「……」
考えたくは無かったが……俺は美村を抱えてフレキと家に向かった。

第十四話……『真実』つづく。


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