突然、授業の終わりと同時に飛び出した勝人を追って、体育館裏に来た。

 確かにあれは勝人だった…普通ならこの惨劇に叫びたくなるだろう。だがその前に怒りがこみ上げてきた。
「お前なんだな……」
 夕日の染まらない場所なのに、真っ赤に染まったその場所にひときわ目立つ青い体毛…
 かつて親友と呼んだ存在が、今獣に変身しようとして…そこにもう一人の犠牲者を作ろうとしていた。
 背中まで伸びた髪の毛、いや背中から生えてるんじゃないかと思う青い体毛、そして俺が何よりも驚いたのが、勝人の皮膚に豹とかジャガーのような斑点がついてる。
 あれは、勝人じゃない…何人も人を殺した化け物だ!
「あの時の、獣人も…あの殺人事件も…こいつ等を殺したのも…」
 奴は俺の質問を否定するように、少年を離して…両手を振った。そうやって俺を油断させて、両手を自由にし…俺に獲物を変えたのか。
「ち、違う!確かにお前に襲い掛かったのは俺だ…だけど、俺は誰も殺しちゃいない!」
「だまれ!何も聞きたくない!」
「嘘じゃねぇ!信じてくれ、一成!」
 俺は心で泣き叫んだ…信じていた、今まで親友と思っていた存在に裏切られた。もう信じていた者はいない…
「お前とは戦いたくなかった……だが、人を殺しちまったお前を…許すわけには行かない」
 今俺の中に、フレイムガゾーンと戦った時と同じ『怒りの炎』が生まれた。勝人が、あいつがこれ以上罪を重ねる前に…
「せめて俺が楽にしてやる…」
…腕にはめてるブレスを掲げた。勝人…
「炎装!」
 ブレスから出た『怒りの炎』が俺を炎の鳥人…灼熱特捜ファルコレッダーへと変えた。エナジーシューターを抜き放ち、獣と化そうとしている、勝人に銃口を向ける。
「お前も変身しろ!俺と戦え…でないと…やりにくい…」
 銃口を向けたとき俺は…激しい悲しみが怒りを追い越して溢れてきた。怒りが悲しみに…なった…、だから怒ってないととても、勝人と戦いにくいじゃないか。
「解ったぜ…一成…」
 さっきまであった、勝人としての感情が消え…凍て付く氷のような殺気が放たれた。それから、半獣化していた勝人の体がさらに獣が進行していった。
『ぐぅぅ…イッセェェ!!』
 勝人が俺の目の前で獣へと姿を変えていく…勝人、お前も悲しいんだろうな…お互い、隠し事を持つと辛いな…獣人と貸す勝人の目から涙のような物が見え、その涙も青い獣人からでる凍て付く気に凍りついた。
「まさとぉぉぉーーー!!」
 凍て付く氷のような気と…灼熱の怒りと悲しみの炎が…激突する。


超人伝説活劇
スーパーヒーロー IN THE アース
第三話『いざ行かん、獣神忍者の里』


 少年…有馬は、勝人に殺されそうになった時から思っていた…激突しようとしている、炎の鳥人と氷の豹を目の前にして、一つに思考が働いていた。
「この先輩達も僕を虐めるんだ……、ふふ…だったら…」
『……こいつ等も殺すか…マスター』
『絶対の死を目の前にして…一層『闇』を深めた…良かろう、行くぞ兄弟』
 うわ言のように、有馬は一つの言葉を口にした…その言葉は、彼の中の闇を呼び覚ますキーだった。
「殺して、殺して…こいつらを殺して!!」
『おお…承知した』
『お前の望み…我等が敵え…』
『我等兄弟にその闇を!』
 有馬の叫びと共に、それは闇の置くから赤き惨劇の場所へと、這い出てきた。


ジャ!
『シャァァァーー!!』
「何!?」
 突然後ろにもう一つの殺気を感じ、俺はとっさに後ろに飛ぶと…そこを、刃のついた式杖を振るう、別の存在が居た。
『しゃ!』
『がう!』
 勝人の方にも、後ろから不意打ちを受けるが、勝人は持ち前の俊敏さでその式杖を避ける。
 気配を全く感じなかった、油断をした…今まで俺の見た事のない敵、爬虫類の頭をして、左右対称につく鞭…エジプトの壁画にあるような、服装をした。
 今まで出会ったことの無い敵……蛇の片方はマムシ見たいな顔つきをして、向こうの勝人とやりあってるのは、沖縄に居るハブのような顔をしている。
 今まで見たことの無い敵、昨日戦ったフレイムガゾーンとは違う、人間と言うより生物に近い感じ。
「こいつ!」
 こいつ等…もしかして、ルシファーって奴か!?
 マムシは俺に式杖と腕の鞭を使って攻撃を仕掛けてきている、明らかに俺の首を狙ってきている。俺はイフリートグラブを発現させて…それを払うが…マムシはそれでも俺に攻撃を仕掛けてくる。
「…あの腰に揺れてるの…まさか」
 仕掛けてくる奴の腰に二つの何かがぶら下がって力なく揺れている。
「あれはまさか」
 人の首!?もしかしてあれは、あの死体の首か!?だとしたら、俺はとんでもない思い違いを…
バシィ!
 式杖を避けたのも束の間俺に、マムシの鞭が襲う。そうか、勝人は…犯人じゃない、こいつ等が真犯人だったんだ…なのに俺は…
バキ!
 俺はマムシの鞭の攻撃の直撃を食らって、後ろへ後退する…
 とんだ誤解だった……

『邪魔…するなぁぁーー!!』
 勝人は、爪を振った衝撃波でハブを吹き飛ばし…追い討ちを書けるように飛び掛る。
『しゃぁぁーー!』
 ハブは勝人の体を貫こうと式杖を勝人の腹に突き立てる、このままだと串刺しだ。
「やらせるか!!」
バキュン!
 俺は、エナジーシューターを狙いを定めて打ち、ハブの式杖を弾き飛ばし式杖は勝人の腹を掠めるだけで反れて、勝人はそれを見計らって爪で猛攻を仕掛けた。
『ぐわおぉぉぉーーー!!』
ザシャァァーーー!!
 勝人の腕はハブの頭を叩き潰し、その場で血祭りに上げた。

『し!しゃぁ!』
 マムシがハブが倒された事に気がつき、勝人に攻撃を仕掛けようとするが…俺は奴の肩を掴むと…
「お前の相手は俺だよ…」
スチャ
『シャ…』
ズダダダダダ!
 振り向き様に向けられたエナジーシューターの銃口から、その体に火玉炸裂炎を至近距離から放つ。
『しゃぁぁぁーーー!!』
 至近距離で火玉炸裂円を受けたマムシは燃え上がり、その場に火達磨となって倒れこんだ。

 敵を倒し終わると、俺は再び勝人と向き合った。
『グルルルル…』
獣人と化した勝人は俺を襲うのかと、身構えたが…
『グ…ああ、あああ!!』
段々と元の人間の姿へと戻って行って、息を切らして膝をついた。
「勝人!!」
 俺も変身を解いて、勝人に走り寄ろうとする…
「近づくんじゃねぇ!」
 そう、一喝されて俺は動けなくなった…さっきの戦いで俺は勝人がこの惨劇を作り出したのかと思い、本気で勝人と戦おうとした。その事は取り返しのつかない事だ…
『怒りの炎』それだけだと俺はやがて自分の炎に焼き尽される…フレイムガゾーンが言ったのは本当だった、怒りの炎だけじゃ大切な物まで、焼き尽してしまうかもしれないから……
 弁解できない事はわかっていた。
「いや、謝らなくてもかまわねぇ、奴等の出現で誤解は解けたと思うけど…俺はこの通り獣人だ、何時変身してお前を襲うか解らねぇ…」
「…勝人、俺は…」
「一成、お前が自分の体が不死身な事を隠していたと同じように、俺も…隠していた事があるんだ…俺の先祖って、『獣神忍者』って言う忍者の残党なんだ。その忍者って、普通の忍者とは違って、さっき見たように…獣への変化能力を持っていて野生のままの戦い型」
 獣神忍者…密林に潜む獣の如く、獲物に忍び寄り…闇の中で獲物を狩る。人を獣にする、異形の流派…それが、勝人の先祖。
忍者と獣、似合いすぎて…何処か相違する組み合わせ…。今の勝人を呼称するには、申し分も無い者だ…
「俺はその中でも頭首核である、『豹』…豹は、『氷』とも読み…豹の眼に睨み付けた獲物の動きさえも凍らせ、仕留める」
 氷か…以前に勝人と戦ったとき、凍て付く氷の気配を持っていたし、確かに氷を使って俺の炎を相殺した事もあったな。
ズゥゥーーン
「うぐ!?」
 再び、変身衝動が勝人を襲い、その身体に豹の斑点が現われ、牙が口に現われ…苦しそうに勝人は身を震わせた。
「み、見たか、俺は…もう、獣を制御する事が出来なくなっている、豹は一番強くそして気高く…制御の難しいほど、気まぐれな性格の獣…もう、先生から貰った薬も、効かなく……ぐあ…」
「勝人!!」
「寄るんじゃねえ!」
 勝人は手をかざして、近づこうとした…俺を制止する。その手は青い斑点と爪が…制御できない力、制御できない獣…俺の不死身の体も制御できない。
「制御できない力を持つのは俺も同じだ…」
「……不死身の身体…」
 同じじゃないか…俺と勝人は同じだ…獣も不死身の身体も制御できない力…
「制御できない力を持つ者の気持ちは…解ってるつもりだ、不死身の身体も、制御は出来ない…」
「逃げろ…一成」
「いや、逃げないよ…お前に現実から逃げるなと教えられたばかりだからな…お前がやりたいなら、俺を殺せ…だけど、俺はどんな攻撃を受けても死なない…だから、気が済むまで殺したっていい……俺は逃げない、お前と言う現実から!」
「……イ…セイ…」
 勝人の身体が再び、獣の形に戻り…俺に牙と爪を向こうとしていた。そう言えば、お前が言わなかったら、俺はあのフレイムガゾーンと戦う決意をしなかったな。
「感謝するぜ…」
ボォ!
 手に炎を宿し、勝人に近づく…俺の体は自然と、炎の鳥人へと変身していた。今の俺に怒りの炎はない…
「…悲しみの炎で、お前を討つ」
 炎の塊をイフリートグラブに変えて俺は、ありったけの悲しみを勝人の体に叩き付けた。

ズバーーーン!!

 一瞬、何が起きたのか解らなかったが…勝人に叩き付けた、悲しみの炎は豹と化していた勝人の体に吸い込まれていった。
「……」
「え?…一成?お前」
 気がついてみれば、俺の目の前には、勝人が腰を抜かして座っていた。

「お前の心を束縛していた氷を、『悲しみの炎』が溶かしてくれた…」
「悲しみの炎?俺は…一成」
「…誤らないでくれ、俺達同じじゃないか…これで、お互い隠し事してたんだし…それに、誤解しててお前に罪をなすりつけようとした俺も悪い。お互い、おあいこだ…」
 人間と戻った勝人を見て何時しか、悲しみは消え…嬉しさがあった…俺に言えるのはこれだけだ…どう返答が帰ってこようと俺は、後悔したくない。俺は手を差し伸べた…
「一成…おまえ、男にしてくのもったいねぇよ」
「……その台詞、キモいぜ、勝人」
 そう言って俺達はまた、何時ものように笑いあった。

「それに、水臭いぜ一成…お前そんな変身何時できるようになったんだ?」
「昨日、あの人体発火の犯人が俺にくれたんだ」
「まじか……って、一成もだったのか?だけど、あいつ等一体何なんだ、今の敵といい」
「俺にこれをくれた奴が、ルシファーって奴だって、言ってたけど…奴はその中でも強い部類に入ってるって言ってた」
「そうか、ルシファーか…倒したのか?」
「ああ、最後は燃え尽きたけど、正々堂々とした奴だった」
 フレイムガゾーン、このブレスを俺にくれた敵…何者かに操られていただけの存在で、黒幕が居るって事が、それがルシファーの中に居るとしたら…
「あちゃー、だったら前の用も解る…」
 フレイムガゾーンを倒したのも、怒りの感情が炎となって…
 勝人はそれこそ獣並みの回復力で、傷が殆ど消えて…俺の手を取って、立ち上がったが、今はなんとも無いのか?悲しみの炎で、こいつの豹を溶かしてやったけど。
「なあ、なんともないか?豹が溶けて…」
「ああ…いまん所はな、だけど何時『変身衝動』が戻ってくっかわかんねぇ、そんときゃまた、お前の炎で助けてくれよ」
「解った…だが、本当に完璧に制御する事は出来ないのか?」
「わかんねぇ、俺もそうしたいのも山々なんだがな……でも、何とかしなきゃいけないし」
「勝人…そういや、毎日起こるっていってたよな、それを平気にしてたんだから抑える何かが、あったんじゃないのか?」
「この薬だ…孤児院の先生から月に一度仕送りしてくれる、変身を抑える薬さ…何時もはこれで凌いでいたけど……最近じゃもう効かなくなって来てやがる。あ、もう隠す必要ねぇから話すけど、先生は実は俺の叔母ちゃんで、実はあの孤児院、獣神忍者の里だったんだ……」
「な、なにー!?マジかそれ!?」
 はっきり言って驚いた、ってか話せなかったんじゃなくて…話す必要性が無かったから話さなかっただけじゃないのか?
「話しても、あのときゃ俺もお前を普通の人間かと思ってたからな、話す必要ねえだろ?」
「まあ、そうだけど…」
 不死身な体って解るような事件も孤児院ではなかったしな…
「それも含め、すまん…」
「まあいいさ、だったら…先生がなんか知ってんじゃないのか?」
「……考え付かなかった」
「今まで薬、仕送りしてもらっていたのに、その事に全然気づかなかったのかよ?」
 それよりも、俺が今まで獣神忍者の里だって事が、結構驚いてる…うーん二人とも残っていたら、忍者になったんじゃないのか?
「んじゃあ、今度にでも行ってみっか?」
「え?先生に?」
 あ、そう言えば…勝人は先生が苦手だったな。当時の悪戯坊主だった、あいつはよく先生からお説教食らっていたな。
「とにかく、衝動が戻らない内に孤児院にいってみようぜ、多分あの先生の事だ…俺の体の事も解ってたんじゃないかって」
「うーん、そうだな…何だかんだいっても、仕方ないし…先生のお陰で今居るようなもんだし、それよか…さっきの蛇みたいのがルシファー」
「そうじゃないかな、俺もあんま解んないけど…」
 ルシファーってのもあまり、それが何なのか俺もあまり解っていない…さっきの蛇もルシファーと、言う事が解る。それと戦うか、勝人と共に…勝人は自分のものにすれば、俺の助けになってくれる。
「勝人、さっきここで…だれか、いなかったか?」
「え?やべ、あいつ!」
 そうだ、さっき勝人が間違って襲おうとした奴…
「ど、どこに行った?」
 さっきまで、そこに座っていた奴が居ない。
「居ない…どこにも居ないぜ」
「たぶん蛇に襲われて…殺されかけた所を勝人が入ってきて、丁度隠れた所を…」
「俺が誤解したから……あいつ、こんな目にあったのに、俺誤解したから…」
「いや、そうじゃない……あの蛇たち、真っ先に俺達を襲ってきた。可笑しくないか?あいつ等が動物並みの知性なら、殺すなら、弱い奴からって言うだろ?なのに真っ先に殺さなかったのは…」
「あいつに何かあるってことか?」
「探すか?まだ近くに居ると思うぜ…」
「だめだ、この有様で匂いも消えてやがる、完全に見失ったよ」
 周りに散乱してる血と、死臭で勝人の鼻も効かないか…どうする…俺達の戦いも見られて、ルシファーの存在もわかっちまった…
「陣内に似てたような気がするけど…」
「おい、あの陣内は今旅行中だって言うだろ?それにあの制服は2年の色だぜ」
「そうかもな、何にせよ今はあいつを追うより、勝人の体を何とかしないといけないだろ。その方が先だと俺は思うよ」
 その方が確実に早く、ルシファー達やこの学校の奴等にも気取られにくいしな。
 考えていると、勝人が俺の顔をまじまじと覗きこんできた。
「一成、お前ってもしかしてすごく冷静な奴なんだな」
「な、んんん…まぁ、変な敵が現われて、俺等も形は違えど戦う力を持った。こんな情況を冷静に受け止められるわけないって解ってんだけど……」
「……一成、お前」
「ん?」
「マジカッコいいぜ、お前あの赤い戦士になってからすげぇ、変わったんじゃねぇか!?」
「この野朗、人がせっかく話を盛り上げてるのに台無しにするような事言うな!」
 こんな切羽詰った状況でも、俺と勝人はいつも通りの雰囲気に戻って会話をする、まったく明日あの孤児院に行くってのに本当、どんな時でも気楽で良いよな。


その頃、別の場所では…
ガタン!
 家に逃げ帰るように帰って、少年は部屋に駈け込んだ。部屋のドアの向こうからうざったい親の声が注がれるが、そんな物なんて今の少年には耳に入らない。
 身を凍らせるほどの恐怖と…身を焦がす熱い戦慄を同時に体感したらどうやったらこんな恐怖に歪んだ顔になるのだろう……。
「…怖い、怖い怖い怖い怖い…」
 怖い…その言葉を何度繰り返しただろう…何故だ、何故自分があんな化け物に狙われなきゃならないんだ。自分は今まで人生をただ単に普通に過ごしてきただけなのに…神はそれを、こんな残酷な終わらせ方をするのか。
 神がいれば呪いたい……いや、この世の中全部を呪いたい、何も上手く行かない世界なんて消えてなくなればいい……
 それを考えると、またあの声が聞こえてきた。絡みついて離れない、蛇のような声…赤と青の化け物に殺されたはずなのに…なぜ聞こえてくるのか…
『いい恐怖だ…その苦痛にゆがんだ顔…実に心地いい』
「は、はは」
 少年は笑った…笑うしかなかった…もう何も無くなった、考えても仕方ないと思ったからだろう。いつから、俺の体に蛇の毒が回ったのだろう…
『お前には、我々がもっとも好む……『心の闇』が見える。何という深淵なる闇だ…主の闇を我々テーラーの為に使わないか?主の闇は我々に永遠の命と繁栄を…もたらしてくれるに違いない……』
 少年の人生は今まで上手くいく事がなかった…両親には優秀な姉だけをひいきして、成績の悪い自分は、産まれて来なければ良かったと言われ、虐待する始末…彼女にもふられ、ひどいくらいの虐めを受けて…人は自分を必要としていない。自分はこの世の中の厄介者…そう、人類は皆敵だと…そう思える。今なら…
 彼らの申し出は、少年にとってとても嬉しい事だった、初めて自分を必要としてくれる者が現れた、それが例え悪魔であっても。
「あ、ははは……ははは!」
 少年の前に巨大な影が隠す…少年は何も答えない代わりに、手をその巨大な影に向けて伸ばした。その影が…シャーキリキリキリ…と言うガラガラ蛇が尻尾を震わせるような音が鳴る。
『良かろう、我らと来い…少年よ、さすれば…先に滅んだ我が同胞の無念も晴れよう』
 さっき死んだ同胞…それはさっき死んだ、ハブとマムシだろう…あの赤い戦士と青の獣人によって殺された。少年は、仲間を殺されて……憎いと思った、あの二人は自分と同じ制服を着ていた、あの学校の誰かだという事はわかっている。
 憎い…憎い…よくも仲間を…
『また、憎しみが増したな…。いいぞ、素晴らしい!』
「つれ…てって…ぼくを……君達の所に…」
『良かろう!我々の糧となるがいい!!』
「ひゃ、ひゃははははははははぁぁーーーー!!!……」
 笑い声が消え…少年はその影に、頭から飲み込まれていった。部屋には巨大な蛇がはった跡が、残されてその少年は部屋から完全に消えた。

 その夜、少年の家に悲鳴が轟いた。



続く


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