『仮面ライダー』
 第二部
 第十五章              記憶の欠片

 村雨がヤマアラシロイドと会い数日が経った。その間バダンの目立った動きは無く立花やライダー達は彼等の情報を収集し捜査をしているだけであった。
 村雨も動いてはいなかった。ヤマアラシロイドと会った事を伊藤博士には伝えたがそれで終わりであった。
 この数日彼は毎日外で出ていた。バイクで近所を回り日が暮れると家に戻り休む。それの繰り返しであった。
 彼は屋敷に戻るといつも考えた。自分の姉と記憶のことを。
「博士は何も言おうとしないな」
 シャワーを浴びベッドに入って考える。そしてあのヤマアラシロイドの言葉を思い出した。
「一体どういうつもりなんだ」
 だがそれはわからない。ただの脅しかも知れない。
 しかしそうでないことは彼が一番よくわかっていた。必ず何かしてくるだろうと確信していた。
「何をしてくるつもりだ」
 ふと窓の方を見た。青がかった澄んだ黒の空に黄金色の月が浮かんでいた。
 月は何も語らない。だが黙って村雨の部屋を、そして夜の世界を照らしていた。

 翌日も彼はバイクで外に出ていた。何処へ行くかは気の向くままである。
 道を走る。丁度横須賀の方へ向かっていた。
 横須賀は港町である。かって日本海軍の軍港があり今は海上自衛隊及びアメリカ海軍の港がある。防衛大学もあり独特の雰囲気が漂う街である。
 その街を彼は歩いていた。そして商店街を見回っていた。
「色々とあるな」
 彼は店を一つ一つ見回りながら言った。そしてふと眼鏡屋に入った。
「何かいいものはないか」
 目に問題があるわけではない。改造手術の為人のそれとは比べ物にならないものになっている。ただ道を行く若者がかけているサングラスに興味を持っただけであった。
「サングラスはないか」
 店員に尋ねた。気のいい若い男の店員は喜んで数品出してきた。
「どれが宜しいですか?」
 店員は尋ねた。村雨はそれ等のサングラスを見た。
「そうだな」
 ふと赤いサングラスを手に取ろうとする。そこで後ろから声がした。
「それは止めておいた方がいいな」
 後ろを振り向く。そこにはあの男がいた。
「御前は・・・・・・」
 あの時一人で現われた男だ。
「久し振りだな」
 三影は村雨に対しニヤリ、と不敵に笑って言った。
「サングラスには五月蝿くてな。赤いのは駄目だ」
 彼は前に出て村雨に対して言った。
「ではどれがいいのだ」
「それは決まっている」
 そう言うと自分のかけているサングラスを指し示した。
「これだ。黒、それもレイバンだ」
 かってマッカーサーがかけていたものと同じだ。
「おい、レイバンはあるか」
 店員に尋ねた。
「はい、こちらに」
 店員はそれを差し出してきた。村雨はそれを買った。
「どうだ」
 店を出てレイバンをかける村雨に対して尋ねた。
「悪くないな」
 村雨は素っ気無く答えた。
「そうか、ならいい」
 三影はそれを聞いて満足そうに笑った。
「ところでここに何をしに来ている」
 村雨はサングラスを外すと三影に対して問うた。
「聞きたいか」
 彼は再びニヤリ、と笑った。
「まあいい。どのみち話すつもりだったしな」
 二人はアメリカ軍のベースの前を右に曲がった。そしてそこから歩き人気の無い海岸まで行った。
「ここならいいな」
 三影は村雨のほうを振り向いて言った。
「闘うつもりか?」
 村雨は彼を見据えて言った。
「闘いか。それもいいな」
 彼はニヤリ、と笑って言った。
「・・・・・・・・・」
 村雨は構えを取った。全身に緊張が走る。
「安心しろ。今は御前と闘うつもりは無い」
 彼は不敵な笑みを浮かべたまま言った。
「それよりも御前に尋ねたい事がある。今日はその為に来た」
「俺に・・・・・・!?」
 村雨はその言葉にキョトンとした。
「そうだ。俺の事を憶えているか」
 彼は口元から笑みを消して尋ねてきた。
「いや、思い出してか、と聞いた方がいいな」
 そう言うと彼はサングラスを取り外した。
「この右目のことだがな」
 彼はその機械の目を見せて言った。
「その眼は・・・・・・」
 感情の無い銀色の眼。その眼が村雨を見ていた。
「思い出しているか、そうでないのか。どちらだ?」
 彼は尋ねてきた。
「それは・・・・・・・・・」
 村雨は答えられなかった。脳裏に何も浮かんで来ないのだ。
「そうか。まだ思い出してはいないのか」
 彼は舌打ち気味にそう言うと再びサングラスをかけた。
「それでは仕方がない。この眼はな、訓練の時に失ったのだ。御前と一緒の訓練の時にな」
「俺と・・・・・・」
「そうだ。あれは御前がバダンにいた時だった」
 彼は煙草を取り出した。そしてそれに火を点けながら言った。
「俺と御前はバダンの幹部候補生だった。そして共に訓練を受けていたのだ」
「バダンの・・・・・・」
 その時脳裏に何かが浮かんで来た。
「あ・・・・・・・・・」
 それを見て村雨は呻いた。
「何か思い出したか?」
「これは・・・・・・・・・」
 それは荒地だった。そこで彼は軍服を着た者達と共に激しい訓練を受けていた。
 爆発が起こり銃弾が飛び交う。それはまるで戦場であった。
 その横に彼がいた。彼もまた軍服であった。
「御前あの時の・・・・・・」
 村雨は三影の顔を見て言った。
「そうだ。俺はあの時御前と共に訓練を受けていた」
 彼は煙草から口を離して言った。
「あの時御前は爆発に巻き込まれた。俺はそれを助けようとしてこの右眼を失ったのだ」
 彼はサングラスの右に手を当てて言った。
「御前は一命をとりとめたが瀕死の重傷で身体の殆どが傷ついていた。バダンはその御前に改造手術を施したのだ」
「そうだったのか。だから俺はゼクロスに・・・・・・」
「そして俺も同時に手術を受けた」
 彼は静かに言った。
「そうか、だから御前の右眼は機械なのか」
「右眼だけではいない。今の俺は全身が機械だ。脳以外はな」
 彼は言葉を続けた。
「今の御前と同じようにな。俺と御前は同じなんだ」
「同じ・・・・・・・・・」
「そうだ、だからこそ聞くんだ。記憶が戻っているのかどうかな」
「・・・・・・・・・聞いてどうする」
「わかっている筈だが」
 彼はニヒルに笑って言った。
「即答しろとは言わない。だが俺と共に来い。そして理想の世界を築くんだ」
「強い者が支配する世界か」
「そうだ、力こそが絶対だ。それこそが正義だ。弱いものはそれだけで悪なのだ。生きている価値すらないものなのだ」
 彼は煙草を消し再びサングラスを取り外して言った。
「同じ者として聞く。バダンに帰る気は無いか?」
「・・・・・・・・・戻ったらどうなる。また兵器になるのではないのか」
「それがどうした?俺達は理想の為になら喜んでこの身体と命を捧げると誓ったのではないのか?」
 彼は人間の形のままの左眼で村雨を見て言った。
「それを思い出せ。それこそが御前が取り戻すべき記憶なのだ」
「俺が取り戻すべき・・・・・・」
 村雨は呟く様に言った。
「そうだ、伊藤博士が何を言っているのかは大体予想がつく。だがそんなものはまやかしに過ぎぬ。御前はバダンでバダンの為に戦う為に生まれたのだからな」
「・・・・・・では俺の姉さんは何なのだ」
 彼は反論するでもなくポツリ、と問う様に言った。
「姉!?ああ、あの女か」
 彼は口の端を歪めて言った。
「知っているのか!?」
 村雨は問うた。
「当然だ。この目で見たのだからな」
 彼は笑みを浮かべ続けている。
「その目で見た・・・・・・。ならば俺の姉さんはどういう人なのだ!?そして今どうしているのだ!?」
 彼は表情は変わらないが語気を少し荒立たせて問うた。
「・・・・・・知ってどうする」
 三影は冷たい声で言った。
「俺の只一人の家族だったという、姉さんの事が俺の記憶の最も大切なものかも知れないんだ」
「・・・・・・そうか」
 彼はそれを聞くとサングラスを再びかけた。
「知っているんだな!?」
「・・・・・・ああ」
 彼は答えた。
「では答えてくれ」
「・・・・・・いいのだな」
 三影は彼に対し念を押す様に言った。
「何!?」
 村雨はそれを聞いて少し驚いた。
「本当に知っていいのだな、と言っているんだ」
 彼は再び念を押す様に言った。
「当然だ」
 村雨は答えた。
「・・・・・・よし、では一つだけ教えてやろう」
 彼は村雨を見て言った。
「・・・・・・死んだ、もうこの世にはいない」
「何っ!?」
 村雨はその言葉に驚愕した。
「聞こえなかったのか。死んだと言ってるんだ」
「死んでいるのか・・・・・・」
「そうだ、残念だがな」
 彼は村雨を冷たい目で見て言った。
「これでいいか」
 彼は立ち去ろうとする。
「次に会う時には返答を帰聞こう」
「待ってくれ」
 村雨は三影を呼び止めた。
「何だ!?」
 三影はそれに反応した。
「聞きたい、俺の姉さんは何処でどうして死んだんだ!?」
 彼は三影に訪ねた。
「・・・・・・それは自分で調べるんだな。伊藤博士にでも聞いて」
 彼はそう言うと踵を返した。
「待てっ、答えろ!」
「・・・・・・そこまで教える程俺はお人よしじゃない」
 彼はそう言ってその場を立ち去った。後には呆然とする村雨だけが残された。

 伊藤博士はこの時城南大学にいた。海堂博士や志度博士と共にライダーの身体やマシンについての研究を行なっていた。
 その時彼の携帯に電話が入った。
「おや良君からか」
 彼は海堂博士の研究室から出ると携帯に出た。
「良君、どうしたんだい?」
 彼は村雨に尋ねた。
「博士、聞きたい事がある」
 彼は言った。
「今自宅に戻ったところだ。俺の姉さんについて聞きたい」
「・・・・・・わかった」
 博士は答えた。何があったのか大体察しはついた。すぐに大学を後にして村雨の家へ向かった。
 屋敷に着いた。中に入る。村雨はそこにいた。
「・・・・・・何かあったようだね」
 博士は村雨の様子を見て言った。
「今日横須賀へ行って来た」
 彼は抑揚の無い声で言った。
「そしてそこで何かがあったというのだね」
 博士は彼の顔を見ながら尋ねた。
「ああ。三影に会った」
「そうか、彼にか」
 博士はその名を聞いて言った。
「彼は君に何を言ったんだ?」
「まず俺に自分の右目を見せた。この目は俺を助けた時に失くしたものだと」
「そうだ。訓練の時にな」
「それも聞いた。俺はバダンの幹部候補生だったと聞いた」
「そうだ。君は記憶と感情を消されバダンで訓練を受けていたのだ。兵器となるべくな」
「それもだ。そしてあの男は俺にバダンに戻れと誘った」
「それでどうしたのだね!?」
 博士はそんな彼を見ながら尋ねた。
「俺がバダンへの忠誠を誓ったのを思い出せと言われた。だが俺はそれも知らない。答えようがなかった」
「そうか、あの男その事までも・・・・・・」
 博士はそれを聞いて顔を暗くさせた。
「俺は本当にそんな事をしたのか?」
「・・・・・・・・・そうだ」
 博士は顔を俯けて答えた。
「君は記憶と感情を消された後その誓いをさせられたのだ。そしてバダンに所属させられたのだ」
「あの軍服を着てか」
 彼はふとあの軍服を思い出した。
「そうだ。だがそれは君が本来の心を持っていない状態でだ。気にすることはない」
「そうか。では俺はこれまで通りここで記憶を取り戻していけばいいのだな」
「そうだ。それが君の今為すべきことなんだ」
「そうか。ならいい」
 村雨はその言葉に頷いた。
「では力こそ正義というのも気にしなくていいのか」
「あの男、まだそんな事を言っているのか・・・・・・」
 博士はそれを聞くと顔を顰めた。
「そうだ、あの男は自らの権力欲や選民思想を性悪論や力への信仰で理論武装しているに過ぎないのだ。あの男は自分が思っているような偉大な人物ではないのだ」
 彼は忌々しげに言った。
「どんなに自分が素晴らしいと思っていても所詮は何かにすがりそれをたてに他の者を見下しているに過ぎないのだ。それがわからない、いやわかろうともしない愚か者なのだ。あの男の実態はそうした薄っぺらなものでしかないのだ」
「薄っぺらなのものか」
 村雨はそれを聞いてその言葉を口に出した。
「そうだ、あの男の考えはそんなものだ。君もすぐにわかる。あの男の愚かさ、根拠の無さが。君はあのようにはならないでくれ、いや君の運命はそうした者を倒すものなのだ」
「そうか。それもいずれわかるのか」
「そうだ、その時ライダーの事を考えるんだ。あの男と彼等の違いを」
「・・・・・・わかった」
 村雨はその言葉に答えた。博士はそれを見て表情をほんの少しだけ明るくさせた。
「だがもう一つ聞きたい事がある」
 村雨は博士を見たまま言った。
「あの男は俺の姉さんについて言った」
「・・・・・・・・・」
 博士はそれを聞くと顔をさらに暗くさせた。
「あの男は姉さんをもう死んだと言った。それは本当なのか?」
「・・・・・・・・・」
 博士はそれに答えようとしない。顔を再び俯けてしまった。
「どうしたのだ、知らないのか?」
 村雨はそんな彼に対し問うた。
「・・・・・・知っている」
 博士は振絞る様な声で言った。
「そうか。なら教えてくれないか」
「・・・・・・あの男からは聞いていないのか?」
「?何も。死んだとだけしか聞いていないが」
「そうか。あの男が何を考えているのかまではわからないが」
 博士は暗い顔のまま言った。
「済まない。私にも今は言う事が出来ない」
 博士は村雨から視線を逸らして言った。
「何故だ!?」
 村雨はそんな彼に対して問うた。
「・・・・・・・・・それも何れわかることだとだけしか言えない」
 博士は言った。
「またか。どうやら何か重要な秘密があるようだな」
 村雨はそれを見て言った。
「・・・・・・そうだ。君がそれを知った時が怖いのだ」
「怖い!?」
 村雨はその言葉に突っ込んだ。
「そうだ。何度も言ったが君が憎悪の心に捉われるのが。それにより狂うのが」
 彼はこの時自分が何を言ったのか悟ってはいなかった。何が起こったのかを言ってしまったのだ。
 だが村雨はそれに今の時点では気付かなかった。記憶を持たない彼にはわからなかったのだ。
「・・・・・・また憎悪か」
 彼はその言葉を聞くと言った。
「憎しみは俺も知っている。だが何故それにこだわる!?人ならば誰もが持っている嫌悪の一つではないのか」
「・・・・・・そう考えているのならそうでいて欲しい。何時までもな」
 博士は忌むような声で言葉を出した。
「どのライダーも乗り越えられた。それは記憶と感情が充分にあったからだ。しかし今の君では・・・・・・」
「それに支配だれる、というわけか」
「・・・・・・・・・」
「それに支配された時俺はどうなるのだ?まさか兵器に戻るのか!?」
「いや、それはない」
「それでは問題無いのではないのか」
「・・・・・・兵器などより怖ろしい、『鬼』になってしまうのだ」
「『鬼』!?」
 村雨はそれを聞いて声をあげた。
「鬼というのは童話なんかに出て来るあれか?人を襲い悪事を働く」
「・・・・・・違う、私が言うのは憎しみのままに拳を振るう心を失くした戦士のことなのだ」
 博士は俯きながらも遠くに何かを見つめる目で言った。
「そうなった時、君は正義の戦士ではなくなる。君はライダーでなくなるのだ」
「しかしどのライダー達も憎悪に心を捉われていたのではなかったのか?」
 村雨は問うた。
「そうだ。そういう意味でも君と彼等は同じなのだ」
 博士はそう言うと顔を上げた。そして遠くを見る。
「彼等もそれを乗り越える為に苦しんだ。苦しみ抜いた。・・・・・・その苦しみはおそらく私にはその百分の一もわかってはいないだろうがな」
 彼はそう言うと哀しい目をした。
「君にはあの苦しみを経験して欲しくはないのだ。あまりにも孤独で辛い苦しみなのだから」
「・・・・・・そうか。それは俺の事を思ってのことなのか」
「そうだ。君は焦ってはいけない。少しずつ記憶を取り戻してくれ。そして機が来たならば全てを話そう。君の姉さんの事を」
「わかった」
 村雨は頷いた。そして二人は屋敷を後にした。博士が食事に誘ったのだ。

 三影は湘南で村雨との話を終えると基地に戻った。
 無言で指令室に向かう。そこにはヤマアラシロイドがいた。
「何処に行っていたのです!?」
 彼は顔を顰めて詰問した。
「ゼクロスと会ってきた」
 彼は言い逃れも嘘も言わなかった。
「どういうつもりですか!?」
 それを聞いたヤマアラシロイドは彼を睨んだ。目の光が赤くなる。
「・・・・・・別に。戦ったわけでもない。ただ単にかっての知り合いだということを教えただけだ」
「姉の事もですか!?」
 その言葉を聞いた三影は視線を上げて彼を見た。
「知っていたのか」
「当然です。今回の作戦は私が総括しているのですからね」
「そうか。そして俺もその下にいる」
「その通りです。ならば何故勝手な行動を・・・・・・」
「待機、か。だが別に作戦行動に支障がなければ構わないだろう。俺とてじっとしているだけでは身体がなまる」
「クッ・・・・・・」
 ヤマアラシロイドはその言葉に歯軋りした。
「まあ俺はこれからは自分の部屋でゆっくりさせてもらう。後は御前が好きにすればいい」
 そう言うと踵を返した。
「お待ちなさい」
 ヤマアラシロイドは彼を呼び止めた。
「何だ?」
 三影は振り向いた。
「記憶の事を言ったのですか!?」
 彼は三影を睨み付けて問うた。
「少しだけな」
 彼は答えた。
「俺のこととあいつの姉が死んだことだけだ。安心しろ、記憶を戻してはいない」
「それは何より」
 彼はそれを聞いて口の両端を吊り上げて笑った。
「あれは私の切り札ですからね。そうおいそれと使ってもらっては困ります」
「切り札か。また何か企んでいるようだな」
「企んでいる!?それは言葉が悪い」
 彼は三影の言葉に対してうそぶいた。
「策です。作戦を成功させる為のね」
「そうか」
 彼はそれを聞くと再び踵を返した。
「見ていなさい、私のやり方を」
 ヤマアラシロイドは三影の背に対して言葉をかけた。
「そうさせてもらうか」
 彼はそれに対し振り向かず答えた。
「だが油断するなよ。策は一つでも漏れがあるならばそこから崩れ落ちる」
「それはご心配なく。私に限ってはね」
 ヤマアラシロイドはその禍々しい笑みをったえたまま言った。
「ではそうさせてもらうか」
 三影はそう言うと指令室を後にした。ヤマアラシロイドはそれを赤い眼で見送っていた。

「大分感情のほうは豊かになっているな」
 食事から帰り屋敷に入った伊藤博士は村雨に対して言った。
「そうか?」
 村雨はまだ実感がないようである。
「うん。君が心を取り戻しはじめた時と比べるとな」
 博士はそんな彼に対して笑顔で答えた。
「思えばあの時ライダー達の攻撃を受けたのが全ての始まりか。本当にわからないものだな」 
 彼は感慨深そうに言った。
「実はね、私はその直前まで絶望していたんだ」
「絶望!?」
「そうだ、世界がこのままバダンにより滅ぼされてしまうのではないかとね」
「滅ぼされるのか」
「そうだ、滅ぼされるのだ」
 博士は強い口調で言った。
「彼等が世界を征服したらその全てが彼等のものになる。彼等は自分達に従わない者や好ましくない者を次々に粛清していくだろう。それは暗黒の世界なのだ」
「暗黒の・・・・・・」
「あの男が言った力が支配する世界とはそれなのだ。バダンとそれに従う者達だけが生きる世界なのだ」
 博士は三影の事を脳裏に浮かべながら村雨に対して言った。
「そうなっては何もかもが滅びるのだ。街も人も自然もな」
「街も人も・・・・・・」
 それを聞いて村雨は朝に見た街を歩く人達を思い出した。
「そうだ、その全てが破壊されるだろう。そしてその後にバダンの者達がその野心を築くのだ」
「野心か。それにより築かれるものは何だ」
「地獄だ」
 博士は簡潔に、だが忌々しげに言った。
「ショッカーからそうだった。力ある者だけが生き、そうでない者は力ある者の糧となる。それはまさに地獄だ」
「地獄なのか」
「そうだ、それは人の世ではない。悪夢の世界だ。わかるだろう、君が何故戦わなくてはならないかを」
「ああ」
 村雨はその言葉に頷いた。
「やれやれ、我等の同志にその様な戯言を吹き込まれては困りますな」
 不意に声がした。
「その声はっ」
 村雨はその声の主を覚えていた。屋敷の中を見回す。
 窓のところだった。黒いシルエットが浮かんでいる。
「貴様は」
 その影は答えようとしない。指でもってガラスを切った。
 ガラスは下に落ちた。音を立てて割れる。
「暫くぶりですね、ゼクロス」
 彼は窓のところに立っていた。村雨と博士を見下ろして微笑んでいる。
「貴様、一体何をしに来た」
 博士は彼を見て言った。
「決まっていますよ、彼を迎えに来たのです」
 下に飛び降りて来た。片膝を着き着地し立ち上がると博士の方を見て言った。
「バダンの理想世界を築く為にね」
 そう言うと口の両端を吊り上げた。その口が耳まで裂ける。
「言うなっ、この世に破滅をもたらそうとする輩が!」
 博士は彼に対して叫んだ。しかし彼は一向に怯まない。
「所詮貴方はその程度なのです。人に留まっていればそれでいいというね」
 彼は皮肉を言った。
「貴様等の様に心まで人でなくなる位なら今のままの方がどれだけマシか・・・・・・」
 博士は歯を噛み締めて言った。
「聞き分けの無い方だ。しかしそれはいい」
 彼はそう言うと左手を下へ向けて振った。すると博士の足下に一本の槍が突き刺さった。
「グッ・・・・・・」
 それはトゲであった。ヤマアラシの背にあるトゲの巨大なものだ。
「私は貴方には何の興味も無いのですからね。いずれ弱き者として無様に死んでいく運命なのだし」
 そう言うとゼクロスへ顔を向けた。
「私が用があるのは貴方なのですし」
 ニヤリ、と笑った。
「前にお話したことへの返答を聞きに来ました。どう為されます?」
「・・・・・・・・・」
 ゼクロスはヤマアラシロイドを見た。表情は無表情のままである。
「イエスかノーか。勿論どう答えればいいかはご存知ですね」
「・・・・・・ああ」
 村雨は無表情のまま答えた。
「ならば話が早い。バダンへ戻りますか」
「・・・・・・ノーだ」
 村雨は静かに言った。
「今何と!?」
 ヤマアラシロイドはその言葉に対して眉をピクリ、と上げた。
「聞こえなかったか。ノー、と言ったのだ」
 村雨は再び言った。
「俺は今まで人を見てきてわかった。人は確かに問題も多くあるがそれ以上に素晴らしいものを持っている。俺が今持っていないものを持っている。俺はそれを守りたい」
「・・・・・・・・・」
 ヤマアラシロイドは動かない。黙してその話を聞いている。
「俺はその為に戦う。そして貴様等がそれを脅かそうとするのなら俺は貴様等と戦う」
「・・・・・・・・・そうですか」
 話を聞き終えるとヤマアラシロイドは静かに俯いた。
「ならば再改造が必要ですね。二度と感情というつまらないものが戻って来ないような」
 その目が赤くなった。髪が逆立ち銀色のトゲとなる。顔が獣のものになるその全身が黒と緑に覆われる。
「このヤマアラシロイドがそれを奪って差し上げましょう。そして貴方を我等の兵器に戻してあげます」
 怪人となった。それは禍々しいトゲの男であった。
「ムウ・・・・・・」
 村雨はそれを見て身構えた。その周りを戦闘員達が取り囲む。
「クソッ、何時の間に・・・・・・」
 博士はそれを見て呻いた。
「博士は放っておきなさい」
 ヤマアラシロイドは戦闘員達に命令した。
「かねてからの作戦通りいきますよ、いいですね」
 戦闘員達はそれに頷いた。そして槍やロープを手に村雨を取り囲んだ。
「さて、ゼクロス」
 ヤマアラシロイドは背中から一本のトゲを引き抜いた。
「これから貴方にいいものを差し上げます」
 そう言うとトゲをかざした。それは鋭い槍に変化した。
「何だ、それは」
 村雨は身構えながら問うた。
「貴方が望んでいたものですよ」
 そう言うとニイイ、と笑った。牙の如き歯が見える。
「遠慮なく受け取って下さい」
 博士はその言葉を聞いてハッとした。
「ま、まさか・・・・・・」
 顔が急激に蒼ざめていく。
「おや、どうなされました」
 ヤマアラシロイドはその博士を見て笑った。
「まさか貴様・・・・・・」
 声が震えていた。
「そのまさかですよ」
 彼は口を耳まで裂けさせて笑いつつ言った。
「止めろ!彼を何だと思っている!」
 博士は彼を睨み付けて叫んだ。
「同志ですよ」
 ヤマアラシロイドは馬鹿にしたような声で言った。
「心の無い、ね」
 それが全てであった。彼等にとって村雨は所詮そうでしかないのだ。
「やはり貴様等は・・・・・・」
 博士は激しい怒りと憎悪の目を向ける。だがヤマアラシロイドはそれには動じない。
「少し騒音がしますね」
 そう言うと戦闘員の二三人に目配せをした。
「音を小さくして下さい」
 戦闘員達はその言葉に従った。すぐに博士を取り押さえた。
「離せ、離すんだ!」
 博士は必死に振り解こうとする。だが出来なかった。
「暫く大人しくしていて下さい」
 ヤマアラシロイドはその場に不似合いな程落ち着いた声で言った。
「そしてこれから起こる奇跡の観客になって下さい」
 彼は目を細めて言った。笑っている。だがその目には残忍な光が輝いていた。
 戦闘員達が一斉にロープを放った。村雨を捉えようとする。
「ムッ」
 村雨はそれに対し上に跳んだ。そして何なくかわした。
「無駄ですよ」
 ヤマアラシロイドはそれを見上げて言った。そこに数本のロープが襲い掛かる。
 それが村雨を捉えた。彼は為す術もなく捉えられた。
 そして地に落ちる。彼はがんじがらめに縛られた。
「それでは始めますか」
 ヤマアラシロイドは槍を右手にかかげながら村雨の方へ歩み寄って来た。
「奇跡を起こしましょう」
 彼はそう言うと槍を大きく上げた。
「博士ならご存知ですね。人間の脳というのは多くの謎があると」
 彼は村雨に顔を向けたまま言った。
「それがどうした」
 博士は忌々しげに言った。
「その機能の殆どが使われていない。それでいて人間の動きの中で最も重要な役割を果たしているのです」
 彼は無機質な声で語った。
「ですがバダンは違う」 
 彼はそこで言葉に笑みを含ませた。
「その機能を完全に引き出す術を知っているのです」
 彼はそう言うと顔も笑わせた。
「それが貴様等の優位性を示しているとでもいうつもりか」
 村雨はヤマアラシロイドを見ながら言った。
「まさか。それはバダンの力のほんの一部に過ぎませんよ」
 ヤマアラシロイドの声には嘲笑も含まれていた。
「ですが今はそれを使います。貴方をバダンに戻す為に」
 そう言うと槍を村雨の頭に向けた。
「まさか・・・・・・」
 博士はそれを見て全てを悟った。
「止めろ、彼は頭脳は人間のままなんだ!」 
 彼は叫んだ。
「わかってますよ」
 ヤマアラシロイドはそれを聞きながら哂った。
「だからこそするのです」
 彼はそう言うと槍をゆっくりと動かし始めた。
「さあ、いいですか」
 彼は村雨を見下ろして言った。
「今から貴方の望みを叶えて差し上げましょう」
 槍が村雨の頭に突き刺さった。
「痛くはありませんよ。痛覚が無い部分ですからね」
 槍はゆっくりと入っていく。
「そして次第に甦っていきます」
 槍は脳に達した。
「記憶が」
 彼はそう言うとゾッとする化け物のような笑みを浮かべた。
 村雨の脳の中を槍が侵していく。彼はそれを妙な気分で受けていた。
「あ・・・・・・・・・」
 脳裏に何かが浮かんできた。
 それは幼い日の自分の姿であった。この屋敷で両親や姉と遊ぶ自分。
 ある日両親が事故でこの世を去った。葬儀の後姉が自分に言った。黒く長い髪の美しい姉であった。
「これからは二人で生きていきましょう」
 彼女はまだ小さい村雨を見下ろして言った。
「私が貴方を守っていくからね」
 彼女は微笑んで言った。
「ううん、それは違うよ」
 幼い村雨は姉に対して言った。
「僕が姉さんを守ってあげるんだ」
 姉はそれを聞くと微笑んだ。それからは二人で生きてきた。
 両親の残した遺産がある為生活には困らなかった。それは大きな救いであった。
 姉は大学を出て新聞記者となった。彼はブラジルの大学に留学した。
 彼はそこでパイロットの技術を身に着けた。それは後々大いに役に立った。
 ブラジルに取材に来た姉をセスナに乗せた。彼女は南米に現われるという未確認飛行物体についての取材に来たのだ。
「UFO!?そんなもの幾らでも見られるよ」
 村雨は彼女に対して言った。航空自衛隊のパイロット達の間でもこうした未確認飛行物体の目撃例は案外多い。特にこのブラジルはUFOの目撃例が極めて多い事でも知られている。
「それが尋常じゃないのよ。ここ最近特に多いし」
 彼女は真剣な表情で言った。
「そうかなあ。そうは思えないけれど」
 彼もパイロットの端くれである。そうした話はよく聞く。
「まあ折角久し振りに会ったし。僕も協力させてもらうよ」
「有り難う。持つべきものは出来のいい弟ね」
 彼女は微笑んで言った。
「ははは、お世辞はいらないよ。シェラスコを奢ってくれるだけでね」
 彼は冗談で返した。そして二人はセスナに乗り込んだ。
「場所は?」
 彼は上空にあがると尋ねた。
「ギアナ高地の辺りで。あそこが特に多いっていうから」
「ギアナ高地、か」
 ギアナ高地は標高二千メートルを越す極めて高い高原である。その為秘境とも呼ばれ独自の進化を遂げた動物や植物もいる。シャーロック=ホームズで知られるイギリスの作家コナン=ドイルが『ロスト=ワールド』という作品の舞台にしたことでも有名である。
「あそこは雲が多いしねえ。セスナじゃ厳しいなあ」
「少し行ってくれるだけでいいの。他にも怪しい場所はあるし今回はさわりだけでも」
「それならいいけれど。今度はもっとでかいので行くか」
 彼はそう言うとセスナをギアナ高地へ向けた。
 ギアナ高地は厚い靄に覆われていた。最早何も見えない。
「これは駄目だな」
 村雨はセスナを操りながら言った。
「姉さん、この中を飛ぶのは自殺行為だ。引き返そう」
 彼は隣にいる姉に対し言った。
「そうね。仕方ないわ」
 二人の乗るセスナは引き返そうとした。その時だった。
「あらっ!?」
 しずかが何かに気付いたのだ。
「良、あそこに何か見えなかった?」
 彼女は靄の中のある部分を指差して言った。
「何処!?」
 彼は尋ねた。
「あっちよ」
 彼女は左の方を指し示した。
「僕には何も見えなかったけれどなあ」
「私の気のせいかしら」
 彼女は首を傾げて言った。
「きっとそうだよ」
 村雨はそんな姉に微笑んで言った。
(そうだ、あの時だった)
 村雨の脳裏に記憶が甦ってきた。
「フフフ、徐々に思い出してきたようですね」
 ヤマアラシロイドは槍を握りながら言った。
「脳のある部分を刺激すれば記憶など簡単に戻ります。それもすぐにね」
 彼はそう言うとニヤリ、と笑った。
「それは貴方もご存知の筈ですがねえ」
 そう言って伊藤博士の方へ顔を向けた。
「・・・・・・だがそれにより彼が受ける心の傷を考えたことがあるのか」
「心の傷、ですか」
 彼は嘲笑するように笑った。
「そのような脆弱なものバダンには不要ですね」
 彼は言葉を続けた。
「それこそ脆弱な人間の象徴なのですから」
「黙れっ、化け物が」
 博士はそんな彼に対し怒声を浴びせた。
「おや、その様な事を言われて宜しいのですか?」
 ヤマアラシロイドはそんな彼に対して言った。
「私の手がほんの一ミリでも狂えば彼は死んでしまうというのに」
「クッ・・・・・・」
 博士はその恫喝の前に沈黙してしまった。
「そこで静かに御覧になって下さい。観客としてね」
 彼はそう言うと槍を更に深く入れた。
「あっちへ行ってっくれる?」
 しずかは弟に対して言った。
「けれど・・・・・・危ないよ」
 彼はそれに対し反対した。
「この視界じゃ例え前に何があっても見えないし。それに見間違いかもしれないし」
「そうかあ・・・・・・」
 彼女はその言葉を聞いて考え込んだ。
「なら仕方無いわね。今日は引き返しましょう」
「うん。今度は晴れた時にもっとでかいので来ようよ」
 村雨はそう言うとセスナを上昇させた。そして靄の中を抜け帰ろうとした。だがその時だった。
 何か激しい衝撃がセスナを襲った。そして目の前が暗転した。
 全身を何かが激しく打った。それが彼が薄れ行く意識の中で感じた最後のものだった。
「姉さん・・・・・・!」
 咄嗟に彼は叫んだ。だがそれが果たして声になったかは彼にはわからなかった。
 何かが彼を呼んだ。そんな気がした。
「・・・・・・う。良・・・・・・」
 それは姉の声であった。彼はそれを聞いて目を覚ました。
「姉、さん・・・・・・?」
 目を開ける。その前に姉がいた。
「よかった、気が付いたのね」
 彼女は彼の顔を覗きこんで言った。どうやら床か何処かに寝転がっているらしい。
「ここは・・・・・・!?」
 ゆっくりと起き上がる。そして周りを見回した。
 そこは灰色の壁に囲まれた狭い部屋であった。
「牢獄・・・・・・!?」
「どうやらそうみたいね」
 しずかは答えた。
「おかしいな。確か僕達はセスナに乗っていた筈なのに」
「そして急に衝撃を受けて・・・・・・」
 どうやらあの衝撃は現実であったようだ。
「そして今どうしてここにいるんだろう」
 村雨は首を傾げた。
「それは私にも。ただ何か尋常な雰囲気じゃないわね」
「うん」
 二人は顔を顰めて言った。
 暫く二人はその時の状況について話していた。やがて扉が開いた。
「出ろ」
 黒い服に赤いマスクの男が入って来た。そして二人を部屋から出した。
 そして追い立てるように連れて行く。二人は廊下を進んでいった。
「ここは・・・・・・」
 廊下は白い金属のような床であった。壁も床と同じものであった。
 まるで地下に築かれた基地のようである。二人はその中を進んでいった。
 ある扉の前に来た。その黒い服の男がボタンを押すとその扉が左右に開いた。
「入れ」
 中から声がした。男はそれに対し敬礼をすると二人を連れて中に入った。
「只今連れて来ました」
 男は部屋の中央に置かれている椅子に対して敬礼をした。
「うむ、ご苦労であった」 
 椅子には誰もいない。だがその上に影が現われた。
「ムッ!?」
 見れば影は急激に人の形をとった。そしてそれは奇怪な男になった。
 そこにいたのは右が人間、左が機械の異様な男であった。明らかに人ではなかった。
「な、何者だあんたは・・・・・・」
 彼の姿を見て村雨もしずかも肝を失った。村雨はかろうじて震える声で問うた。
「どうやら何も知らぬようだな。ではいい、教えてやろう」
 男はそれを見てニヤリと笑って言った。
「マシーン大元帥。かって古代エジプトを支配した偉大なるファラオの子孫だ」
 彼は二人を見据えながら言った。その威厳に満ちた声から彼がかなりの地位と実力を持つ者であるとわかる。
「マシーン大元帥・・・・・・」
 二人はその名を口に出した。
「まあ覚えておくがいい。これから嫌という程口にし聞く名だ」
 その男、マシーン大元帥は自信に満ちた笑みを浮かべながら言った。
「さて、と村雨しずかとその弟村雨良だったな」
 彼は二人の名を呼んだ。
「何故俺達の名を・・・・・・」
 村雨は名を呼ばれて驚いた。
「御前達の事は調べさせてもらった。いや、聞いたといった方が良いな」
 彼はそう言うと再び笑った。
「脳に直接な」
「脳に・・・・・・」
「それは知らなくとも良い。どの道御前達には関係は無い」
 そう言うと席を立った。椅子が消えた。
「それにしてもこの様なことで最高の人材が手に入るとは」
 マシーン大元帥は村雨を見て笑った。
「村雨良、貴様は選ばれた者だ」
「選ばれた者・・・・・・!?」
 村雨はその言葉を聞き眉を顰めた。マシーン大元帥は彼を見て笑っていた。

記憶の欠片   完



                              2004・2・24

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