第十七章         早過ぎた名将
 九五年、この年は神戸の市民にとって決して忘れることのできない年である。
 阪神大震災。一月一七日早朝に襲ったこの震災で多くの人の命が失われた。
 政府の対策は遅れに遅れた。不幸だったのはこの時の内閣が村山内閣であったということだ。
 社会党は長い間非武装中立論を唱えてきた。憲法第九条を守っていれば平和は守れる、だから自衛隊は不要だと主張してきた。つまり国防を放棄していたのだ。
 これは世界に例を見ない主張であった。今までこの様な主張をした政治家、政党は存在しない。何故か、政治家の主張ではないからだ。宗教家の主張である。
 彼等は空念仏を唱えていただけであった。政治は何一つわかっていなかった。それが証明されたのがこの震災の時であったのだ。
 政府の対応は遅れた。危機意識の欠如が致命的であった。自衛隊は動かさなかった。各国からの援助の申し出も全て断った。その結果多くの人が死んだのだ。
『馬脚を現わす』
 この時の社会党に相応しい言葉であった。彼等はその実態を見事にまで見せてくれた。それを他の政党の責任に転嫁したり、関西人を中傷したりする者が今でもいる。愚劣極まるとしか言い様がない。
 街には火事場泥棒まで出て来た。そうした事態にマスコミは優雅な報道を続けた。
「まるで温泉街のようです」
 とある人権派ニュースキャスターのコメントだ。彼は取り巻きの体力づくりが趣味だという若いアナウンサー共々背広で震災地に降り立ち煙草をふかしながら言った。
 よく神戸市民のリンチに遭わなかったものだと不思議にすら思える。だが神戸市民はそうした苦難を乗り越えようと立ち上がった。兵庫が地元の某政治家がカラオケではしゃいでいる間彼等は被災地から再び立ち上がったのだ。
 これは神戸を地元とするオリックス=ブルーウェーブも同じであった。
「頑張ろう KOBE」
 彼等はそれを合言葉にした。そして震災の傷跡の中再び起き上がった神戸市民の前にその雄姿を見せようと誓った。
「絶対に勝つ!」
「神戸市民の為に!」
 彼等の目の色は違っていた。そしてペナントに立ち向かって行った。
「俺達も頑張ろう」
 それを見た神戸市民は思った。被災地で救援活動に当たる自衛官達もそれは同じだった。彼等はオリックスの選手達に励まされたのであった。
 オリックスにはこの時一人の天才がいた。イチローである。
 彼は打撃だけではなかった。その守備も肩も足も超一流であった。将に非の打ち所のない存在であった。
 こうした選手はそうそういない。阪急時代から外野手には恵まれていたオリックスでもだ。
 例えば安打製造器張本勲にしろ打撃の神様と謳われた川上哲治にしろその守備はお粗末なものであった。特に張本は三千本安打の実績がありながら今だにコーチの声すらない。テレビの稚拙で人格を疑うコメントを聞いていればそれは大いに頷けるものである。
 イチローは彼等とは全く違っていた。何時でもオリックスの柱となる存在であった。
 彼を中心としてチームは勝利を収めていった。主砲ニールに守備の達人馬場敏史、本西厚博、バランスのとれた田口壮等がいた。投手陣は阪神から移籍してきた野田浩司、メジャーでも活躍した長谷川滋利、不惑ながらこのシーズンノーヒットノーランを達成した佐藤義則、ストッパーには剛速球を誇るルーキー平井正史がいた。バランスのとれた戦力であった。
 そして率いるは知将仰木彬、近鉄の監督時代奇策で鳴らした男である。
 オリックスはそのまま独走するかに思われた。多くの人の心が彼等を後押ししていた。だがそこに立ちはだかるチームもあった。
 ロッテであった。千葉ロッテマリーンズ。万年Bクラスだったこのチームに太平洋を渡って一人の男がやって来たのだ。
 ボビー=バレンタイン。彼はメジャーの風をこのチームに運んで来たのだ。
「私が監督を務めるチームでは一つのことを最優先させる」
 彼はまず選手達に会うと言った。
「また勝つとかそんな決まり文句だろ」
 選手達はそう思っていた。彼等は何処か諦めきったムードを持っていた。だがバレンタインは違っていた。
「怪我人は絶対に出さない。これは絶対に守る」
 それを聞いた選手達は自分の耳を疑った。
「この人は違う」
 彼等はその時わかった。
「これがメジャーなのか」
 そう感じた。そしてそのメジャーの風を運んで来たもう一人の男がいた。
 フリオ=フランコである。メジャーでそのシェアなバッティングで知られた男である。彼は開幕戦何とスーツで千葉マリンスタジアムに現われた。
「え、スーツでですか!?」
 記者もファンもそれを見て驚いた。
「そうだよ。何かおかしいかい」
 彼は平然と答えた。
「いえ、それは」
 球場に何を着ていかなければならない、という規則はない。あるとすれば巨人位である。オーナー達の悪行でダーティーさを世の人々に知られているがそれには頬かむりし、球界の紳士を詐称する為にそうしているのだ。これに騙されるのは相当な愚か者だけであるが。
 フランコはロッカーに入るとナインに言った。
「マリンでの開幕だからスーツを着てきたんだ」
 彼もまたメジャーの風をナインにもたらしたのであった。
「思ったより効果があるな」
 これを見て頷く男がいた。この年から日本ではじめてゼネラルマネージャーに就任した広岡達郎である。彼はそのポーカーフェイスを綻ばせることなく頷いていた。
「これは期待できるな」
 彼はその徹底した管理野球のみがよく語られる。それは彼が知略の持ち主であるということよりも大きい。プライドが高く、常に表情を変えない冷徹なイメージもそうさせている。
 だが彼は実は人材を適材適所に置くことも心得ていた。だからこそヤクルト、西武を優勝させることができたのだ。
 最初それでもロッテは低迷した。だが五月からその快進撃がはじまったのだ。
『バレンタイン旋風』
 マスコミはそう書いた。このロッテの快進撃の中心には間違いなく彼がいた。
 先発投手には無理はさせなかった。予定された投球数を超えると交代させる。そして失敗しても決して怒らなかった。
「積極的に次の塁を狙うんだ、そして打つんだ」
 何事も果敢にすることを勧めた。そして例えば暴走してアウトになってもこう言った。
「ナイストライ、ネクストタイム」
 試合に負けてもそれが積極的ならばよかった。選手達は気持ちよく気分を切り替えて次の試合に挑めるのであった。
 彼と選手達の絆がどんどん強くなっていった。そしてロッテは二位になっていた。
 だがやはりトップには手が届かない。やはりオリックスはこの年には特別なものがあった。
「オリックスに勝たせてやりたい」
 日本中の誰もがそう思った。無駄に大砲ばかり集めながら無様に敗れ優勝戦線から早々と姿を消した球界の盟主なぞ誰も見ていなかった。
 オリックスの選手達は目の色が違っていた。彼等は神戸市民の為に戦っていた。
「あれこそ真の野球だ」
 バレンタインも言った。
「何かの為に必死に戦う、美しいプレイだ」
 彼もまたその姿に心打たれていた。だが勝負の世界は別であった。
 九月、オリックスは遂にマジックを点灯させた。十三日には一になった。
「あと一勝だ」
「そして神戸に優勝旗を」
 オリックスナインは意気込んだ。だが十四日は近鉄に敗れた。
「明日勝てばいい」
 しかしオリックスナインは焦らなかった。
「神戸の人達に胴上げを見せることができるんだからな」
 そして彼等は待った。敵が乗り込んで来るのを。ロッテが神戸にやって来た十五日、戦いの幕が開けようとしていた。
 球場にはオリックスの胴上げを見ようと神戸市民が詰め掛けて来た。誰もが期待に胸を弾ませている。
「この三連戦で決まるな」
 誰もがそう思っていた。オリックスナインもであった。
「神戸で優勝だ」
 彼等はそれだけを考えていた。
「ふむ」
 バレンタインはその様子を冷静に見ていた。
「動きが固くなっているな」
 オリックスナインの動きを一目見て呟いた。
「選手だけじゃない。監督やコーチまで固くなっている」
 仰木も投手コーチとして投手陣を支えている山田久志もだ。バレンタインには手にとるようにわかった。
「これは攻略できるな」
 彼は悟った。そして記者達との話に向かった。
「監督、今日はどうですか?」
 バレンタインは記者達からも評判であった。
「そうだね」
 彼は明るい笑顔で応えた。そして椅子に座りつつ朗らかに報道陣に対し話を続けた。
 そして試合開始の時間がきた。オリックスの先発は野田、ロッテは伊良部秀輝である。
「やっぱり伊良部できよったわ」
 一塁側を埋めるオリックスファンは彼の姿を認めて言った。
「また今日もえらい球投げよるで」
 伊良部といえば剛速球である。一五八キロを記録したこともある剛球が最大の武器だ。
「そうそう簡単に勝たせてくれる気はないみたいやな」
 神戸市民は彼の姿を見て溜息混じりに言った。
 その日の伊良部は特に凄かった。八回までオリックス打線を僅か三安打に抑える。頼みのイチローも八回にようやくヒットで出塁するのがやっとだった。しかも後続は全く期待できない状況であった。彼の剛速球の前に為す術もなく三振の山を築いていく。全く打てる気がしなかった。
「あかんわこら」
 神戸市民は溜息を出した。
「見てるこっちが感心する投球や」
 その通りであった。将にエースであった。
 ロッテは四回に林博康のソロアーチが出た。今日の伊良部にはそれで充分であった。
「ナイスピッチング」
 バレンタインは八回まで無得点、十三奪三振に抑えた伊良部を讃えた。伊良部はそれを微笑みで受けた。
「有り難うございます」
 九回になるとバレンタインは伊良部を降板させた。調子は落ちていない。
「投球数を超えた」
 だから降板させたのだ。伊良部もそれは納得した。
 まずは成本年秀、そして河本育之、このリレーでオリックスを何なく抑えた。このシーズンのロッテを象徴するのはこの中継ぎ、リリーフ陣であった。
 近代野球において中継ぎ、リリーフの重要性は言うまでもない。ロッテはそれを忠実に守ったのだ。
 オリックスは敗れた。結局伊良部を筆頭とするロッテ投手陣に抑えられた形となった。だが実際はそれよりも複雑で深刻な問題を抱えていた。
「悔しいな」
 一塁側スタンドを埋め尽くす神戸市民を見てナインは呻く様に呟いた。
「折角来てくれたのに」
 彼等は何としても地元で胴上げを達成したかったのだ。
 震災に遭いながらも応援に来てくれた人達、ナインは彼等に深く感謝していた。
 だからこそ胴上げを見せたい、だがそれは今日も適わなかったのだ。
「明日こそは」
 そう決意して球場を後にする。だがその心は日増しに焦りを増していた。

 翌日の第二戦、オリックスの先発は長谷川である。やはり必勝態勢だ。それに対してロッテは昨日の伊良部とは正反対のピッチャーを先発のマウンドに送り込んでいた。
 小宮山悟である。多彩な変化球と頭脳的な投球で知られる。特にコントロールは抜群で『ミスター=コントロール』とも仇名されていた。
「嫌な奴が出て来たわ」
 神戸市民は予想していたこととはいえ彼の顔を見て思わずこう言った。
「打ちたいところやが難しいやろな」
 小宮山はとにかく頭が切れる。理詰めで投球を組み立てバッターの心理を読み取る。まるでコンピューターの様な男である。
 独特のサングラスを着けた。そして小宮山のピッチングがはじまった。
 まずはイチローである。だが小宮山は怖れてはいなかった。
「イチローならこれだ」
 ストレートとシュートを巧みに使い揺さぶる。そして最後は外角のボールを引っ掛けさせる。こうしてオリックスの切り札を何なく打ち取った。
「イチローは普通のバッターとは違う」
 彼もそう考えていた。
「ストライクゾーンが他のバッターよりもずっと広い」
 しかしそこが付け込むところであった。
 それを利用して引っ掛けさせる。三振の極端に少ないバッターだが、こうして打たせてとればいい。イチローのそのミートの巧さとストライクゾーンの広さを逆に利用したのだ。
「オリックス打線は相手をしやすい」
 小宮山はそう考えていた。
「足も絡めてこないし、全体で崩そうともしてこない。あくまで一人一人との戦いだ」
 そうなれば彼の得意とするところであった。こうしてオリックス打線は小宮山に各個撃破されていった。
 ロッテ打線は彼の好投に応える。二回、四回、七回に小刻みに得点を重ねていく。長谷川も好投するが打線が沈黙していた。かろうじて五回に高橋賢のソロアーチで一矢報いるのがやっとだった。
 そして八回からはまた中継ぎ陣を投入する。そしてこの日もオリックス打線を抑えたのである。
「今日もか」
 オリックスナインは思わず溜息をついた。
「あと少しなのに」
 プレッシャーがその両肩に覆い被さってきた。
「勝てない、あと一勝なのに」
 確かにあと一勝だ。だがそれでも勝てないのだ。
 野球は一勝一勝積み重ねていくものである。しかしその一勝を掴むのには血の滲む様な戦いを経て得られるのだ。
 オリックスもこのシーズンそうやって戦ってきた。だが最後の最後でその戦いに負け続けているのだ。
「明日がある」
 誰かが言った。
「明日勝てばいいじゃないか」
「そうだな」
 ナインはその言葉に頷いた。
「明日で胴上げだ、そして神戸の人達に報いるぞ!」
「おお!」
 オリックスナインはそう誓って球場を後にした。だが彼等はこの時も気付いていなかった。自分達が堅くなっていることに。
 バレンタインはそれに気付いていた。だが何も言わなかった。
「勝てるな、明日も」
 彼は微笑んでそう言っただけであった。そしてベンチから姿を消した。
 仰木の表情はそれに対して暗いものだった。
「選手達はよくやってくれとる」
 そう言うだけで精一杯であった。それ以上は言えなかった。
「明日勝つ、それだけや」
 そう言い残して球場から去った。その足取りも重いものであった。
 
 第三戦オリックスはベテラン佐藤を投入してきた。その経験に頼ったのである。それに対してロッテは助っ人左腕ヒルマンである。長身から繰り出す多彩な変化球を武器とする。特にカーブとスクリューがよかった。
 だがヒルマンには弱点があった。その短気さである。この試合でもそれが問題視された。
 まず先頭打者のイチローを迎える。ここでいきなり死球を浴びせてしまう。
「やったか!」
 神戸市民はそれを見て騒然となった。やはりここにはヒルマンの激しい性格が脳裏にあった。ナインも思わず血相を変えた。
 イチローはベンチに下がり治療を受けた。そして無事グラウンドに戻ってきた。
「よかった・・・・・・」
 やはり彼はオリックスの看板であった。その彼に何かあっては話にならなかった。
 これでオリックスナインに火がついた。二回に彼等は反撃に出た。
「やられたらやりかえせや」
 彼等もまた関西の球団である。その独特の闘志は持っていた。かって闘将西本幸雄が阪急時代に植えつけたその心がこの時にもあったのだ。
 まず昨日ホームランを打った高橋がツーベースを放つ。本西もこれに続く。一死一、三塁。ここでかって阪神でスター選手であった岡田彰布が打席に立つ。
「岡田、やったらんかい!」
 阪神優勝の時にはバース、掛布雅之と共にクリーンアップを組んでいた。バックスクリーンへの三連発等驚異的な破壊力を見せつけ優勝に貢献している。
 その岡田が打席に入ったのだ。見ればその表情はいつもと変わらない。
「流石だな。落ち着いているよ」
 バレンタインは彼の顔を見て言った。
「優勝を経験しているだけはある。これは危ないかもな」
 見ればヒルマンはもう頭に血が登っている。それに対して岡田は冷静だ。
「ここは覚悟しておくか」
 バレンタインの予想は当たった。岡田は見事レフト前にタイムリーを放った。まず高橋が還った。
「よっしゃあ!」
「仰木さんの采配がバッチリ決まったわあ!」
 この日仰木は思い切った作戦に出た。ニール、D・Jの助っ人二人をスタメンから外しこの岡田をファーストに置いたのだ。そしてその采配が見事に的中した。
「仰木マジックか」
 バレンタインは彼の采配を見て呟いた。
「素晴らしいものだ。私には思いつかない」
 彼は感心したように頷いていた。だが彼の采配はそれで終わりではなかった。
 次は指名打者福良淳一。やはりベテランだ。
 だが彼は守備がいい。その彼を指名打者に持ってくるとは誰も思わなかった。
「これも仰木さんならではやな」
 神戸市民はそれを見て笑っていた。絶対に何かあると思っていた。
 それは的中した。やはり彼も打った。
 ツーベースだ。これでランナー二人が還った。これで三点を先制した。
 マウンドにいるヒルマンは連打を浴びさらに頭に血が昇っていた。
「これは交代か!?」
 ロッテファンもそう思った。バレンタインがベンチから出て来た。
 だが彼はヒルマンを下げなかった。
「落ち着け」
 彼は微笑んでヒルマンに対して言った。
「ボールはいい。落ち着けば何ということはない」
「監督」
 ヒルマンはバレンタインの言葉に次第に落ち着きを取り戻してきた。
「まだいける、安心していけ」
「わかりました」
 ヒルマンは彼の言葉で落ち着きを取り戻した。
 これでヒルマンは立ち直った。以後オリックス打線を何なく抑えていく。
「三点に抑えてくれれば上出来だ」
 バレンタインは先発投手に対してそう考えていた。
「打線は四点取ってくれればいい。それで勝てる」
 単純な様だが難しい。だが彼はそれができるように選手達のモチベーションを高めることが上手かった。
 ロッテは諦めてはいなかった。昨年までだったらこれで諦めていただろう。だがこの年のロッテは違っていた。
 オリックスのマウンドには佐藤がいる。四十一歳のベテランだ。武器である独特に落ちる球ヨシボールを駆使してロッテ打線を寄せ付けない。四回に林のソロホームランを浴びただけであった。
「これは打てないな」
 ロッテベンチはそう考えていた。だがその眼は死んではいなかった。
「絶対チャンスは回ってくる」
 そう思っていた。ただオリックスの隙を窺っていた。
「佐藤はええな」
 オリックスベンチでは仰木は黙って彼の投球を見ていた。
「だがそろそろやな」
 試合は終盤に入っていた。七回のオリックスの攻撃だ。
「どう思う」
 彼はここで投手コーチを勤める山田久志に尋ねた。
「佐藤ですか」
 見たところ佐藤の投球は全く問題ない。
「疲れは見えへんか」
「そうですね」
 佐藤は四十一歳である。流石にそれは隠せない。
「続投させるべきやと思います」
 山田は答えた。
「続投か」
 だが仰木はその言葉に顔を曇らせた。
(まずいな)
 山田はその顔を見てすぐにそう思った。
(監督は焦っている。少しでも早く勝ちたいな)
 普段の彼ではなかった。明らかにソワソワしていた。
「平井は大丈夫やろな」
 そしてここで守護神平井の名を出した。
「終盤だしそろそろブルペンで出来上がっているやろ」
「それですが」
 山田はその眉を少し顰めさせた。
「どうした」
 仰木はそれに気付いた。
「もう少し後でもいいのではないですか」
 七回だ。肩が出来上がるにしろもう少し先だ。それに。
(今日の平井は固くなっている)
 彼もまた優勝を意識していたのだ。山田はそれを敏感に察知していた。
「あの、やはりここで平井を出すのは」
「駄目か!?」
 仰木は顔を顰めさせた。
(これだから投手コーチは)
 彼は一瞬心の中でそう思った。彼は現役時代セカンドであった。その為内野手の視点で野球を見る。
 それに対して山田はピッチャー出身だ。彼はマウンドから野球を見る。
 山田はよく言った。
「ピッチャーは繊細なんだ」 
 彼はコーチに就任した時にまず全てのピッチャーにレポートを提出させた。それぞれの野球観やチーム、特に監督やフロントについてどう思っているかまでも。細かく書かせた。
「監督にもフロントにも言わない、俺の胸の中にだけ閉まっておく」
 彼は前もってそう約束した。そしてレポートを書かせたのだ。
「まずは一人一人知っておかなくてはな」
 そこからはじめたのだ。
 やはり多かれ少なかれ不満や不安を持っていた。山田はそれを見てそのピッチャーに合わせた指導やアドバイスをすることにした。
「選手は機械じゃない、生身の人間なんだ」
 そういう観点から考えていた。そしてピッチャーの心理については特に気を使った。
「俺もピッチャーだった」
 山田はまずそこから考えた。そして現役時代の自分を思い出してみた。やはり色々とチームや監督に対して思うところがあった。
「西本さんには色々と教えてもらったな」
 彼は闘将西本幸雄の拳を受けながらエースとして育てられたのだ。それも思い出した。
「今は鉄拳は駄目だが」
 流石にそれは止めた。
「こうして見ると本当に色々な人間がいるものだ。だが一人一人伸ばしていこう」
 そしてピッチャーの側に立って常に彼等を育成した。時には仰木と衝突もした。
「投手コーチは監督と喧嘩するものだ」
 よくそう言われる。これは投手の起用を巡ってのことである。
「監督は毎試合エースを投げさせたいものだ」
 かって近鉄において仰木の下で投手コーチを務めた権藤博はこう言った。
「それを止めさせるのが投手コーチの仕事だ」
 ここには酷使で短い現役時代になった自身の経験もあった。
 権藤は常に仰木と衝突した。彼の奇抜とも言える作戦によく異を唱えた。そして最後はその衝突が限界にまで達し近鉄を去った。
 山田もそれは似たような状況であった。そして彼は権藤よりもさらにプライドが高かった。
「俺は西本さんからエースとしての教育を一から受けたんだ」
 そうした思いがあった。現役時代もそのプライドで監督である上田利治とは何処かギクシャクしていた。同期であり共に阪急お黄金時代を支えた福本豊に至っては一方的に嫌われていた。
 事の発端は些細なことであった。彼の投げている試合で福本がエラーをしたのだ。
「すまん」
 人のいい福本はすぐに謝った。だが頭に血が昇っていた山田はそれに対しグラブをマウンドに叩き付けたのだった。これで二人の関係は決定的な亀裂が生じた。
 こうしたこともあり山田はオリックスにおいても仰木とよく対立した。このシーズンもそうであった。
「強いチームでは監督と投手コーチは対立するものだ。そうでなければおかしい」
 山田はこう言ったが後に彼は中日のヘッド兼投手コーチに招かれる。そして監督である星野仙一の全幅の信頼の下中日を投手王国に育て上げる。そして見事リーグ優勝を達成した。
 こうした例もある。彼は自分を認める者に対しては従う。西本に対してもそうであった。
「西本さんがなかったら俺はここまでなれへんかった」
 彼もそう言った。彼もまた西本の野球を一から叩き込まれていたのだ。
 それは仰木も同じだった。近鉄のコーチとして常に側にあった。だが彼は三原脩の下で現役生活を送っていた。ここが彼と山田の違いだった。
 仰木の戦術戦略は明らかに三原の流れを汲むものであった。奇計を得意とし相手の裏をかく。それはオーソドックスな戦術で選手を基礎から手取り足取り育てていく西本のそれとは違っていた。そして仰木はスター選手を優遇する。彼は華のある選手を愛した。だが西本にそれはなかった。
「西本さんは誰でも同じ様に接した」
 そうであった。西本は相手がどんな実績を持っていてもそれに臆することはなかった。そしてどんな無名の選手でもこれだと思えば使った。
 現役時代山田のライバルであった近鉄の鈴木啓示も同じだった。彼は西本とことあるごとに衝突した。時には無名の若手を見習えとまで言っている。
「わしはそいじょそこらのヒョッコと違うぞ!」
 鈴木は激怒した。遂にはトレードまで直訴している。そこまで彼等は対立した。
 だが彼もやがてわかった。これは西本の愛情なのだと。本当に鈴木のことを考えて言っていたのだ。
 それが西本幸雄という男であった。山田は常に彼のことが念頭にあった。
「西本さんみたいになるんや」
 そう考えていた。自分のチームの選手に接する時もそれが出ていた。
 だが仰木は少し違う。従ってそうした面からも摩擦が生じるのは当然であった。
 この時もそうであった。二人の間に気まずいムードが流れた。
「わかりました」
 だが山田が折れた。
「平井でいきましょう。そして優勝しましょう」
「ああ」
 仰木は頷いた。こうして平井の投入が決定された。
「大丈夫か」
 山田はマウンドに昇った平井に対して声をかけた。
「任せて下さい」
 口ではそう言う。だがその表情は見ていられない程硬かった。
「そうか」
 山田は頷きはした。しかし結果はわかっていた。
「頼むぞ」
 彼はそう言ってマウンドを降りた。こうなっては後は全て彼に託すしかないのだ。
「これはうちの勝ちパターンや」
 山田はベンチに戻りながら自問自答していた。
「しかしそれでも駄目な時もある。これは時と場合による」
 チラリと平井の方を見た。
「御前の責任やない。しかしな」
 次に仰木を見た。
「責任はかかる。それもピッチャーの宿命やということはわかってくれ」
 そしてベンチに引っ込んだ。彼は仰木とは反対のいつもの場所に控えた。
 彼はいつもベンチでは監督と距離を置くようにしていた。それも投手への気配りからだった。
「近いと監督と何を話しているか不安になるからだ」
 彼はそう考えていた。
「調子や交代のこととか考えてしまう。そうするとピッチングに集中できなくなる」
 だからそうしていたのである。ここでも投手の側に立って考える山田の考えが出ていた。
 だが仰木は違う。彼はセカンドだったのだから。だから投手の心理については山田程知らないもの無理はなかった。それが為にこの山田や権藤と衝突してもだ。
 平井はもう球場の雰囲気に飲まれていた。いつものマウンド度胸は何処にもなかった。
「どう思う」
 バレンタインは平井を見た後ナインに対しそう尋ねた。
「そうですね」
 ナインは彼から目を離さなかった。じっくりと見ていた。
「いけます」
 誰かが言った。
「何か助かったという気がします」
「助かったか」
 バレンタインはそれを聞いて微笑んだ。
「ならいい。じゃあどうするべきかわかっているな」
「当然です」
 彼等は答えた。
「ここで勝負をかけます」
「よし」
 バレンタインの笑みは温かいものだった。その笑みこそ彼の魅力の秘密だった。
「じゃあここは君達に任せた。思う存分暴れてきたらいい」
「はい!」
 ロッテナインの心に火が点いた。点くようにしたのはバレンタインだ。だがそれに乗ったのは彼等だった。
 平井はまずはワンアウトを取った。神戸市民はそれを見て喝采を送る。
「ええぞ平井!」
「今日もその速球見せたらんかい!」
 彼等は優勝がもう目の前にあることを感じていた。そしてそれを指折り数えて待っていたのだ。
 もう勝ったものとばかり思っていた。平井の顔は見えていなかった。
 それが彼にとってはさらにプレッシャーとなった。表情がさらに硬くなる。
「ここまでだな」
 山田はその顔を見て呟いた。彼にはその時未来が見えた。
 彼の予想は当たった。まずは諸積兼司がセンター前にヒットを放った。
「ヒットや、安心せんかい!」
 神戸市民はそう言う。だが平井はこれで完全に崩れた。
 そこからロッテの総攻撃がはじまった。平井はコントロールも定まらず続け様に打たれた。最早ピッチングになってはいなかった。
「さあ来い!早く来い!」
 ロッテナインが仲間を迎える。そして今逆転、駄目押しの得点が入った。オリックスナインはそれを見てその場に崩れ落ちてしまった。
「まさかこんな・・・・・・」
 特に平井の落胆は酷かった。もう涙まで流していた。
「残酷なようだがこれも野球だ」
 バレンタインはマウンドを降りる平井を見てこう言った。
「こっちにとっては気持ちのいい攻撃も相手にとっては苦痛となる」
 それは真理であった。スポーツとはそういうものだ。
「だがこれでこの試合は決まった。
 彼は動いた。そして予定の投球を越えたヒルマンを降板させた。マウンドには河本が立った。これで勝負は決まった。
 試合はロッテの勝利に終わった。オリックスはこうしてこの三連戦一勝もできず本拠地での胴上げは果せなかった。神戸市民にとっては断腸の三連戦であった。
「ここまできて戸惑うとはな」
 仰木は顔を顰めさせていた。まさか敗れるとは思っていなかったのだ。
「神戸のお客さんには悪いことをした」
 そしてベンチを後にする。そこを報道陣が取り囲む。
「負けるべくして負けた試合やな」
 山田は一人ベンチに残り腕を組んでいた。ベンチにはもう誰も残ってはいない。
 明らかな采配ミスであった。それは彼にはよくわかった。
「平井には悪いことをした」
 まずそう思った。
「今日は流れに従うべきやったな。それに逆らったら碌なことはあらへん」
 それは今までの現役時代の経験でよくわかっていた。だが仰木もそれは同じ筈であった。むしろ彼の方がそうした流れを読むことは遥かに上手い。
「その筈なのにな」
 ふと仰木への疑念が湧いた。
「やっぱりわしの方がええかな、監督は」
 彼もまたいずれは監督になりたいと考えていた。ましてやこのオリックスはかって阪急であった。自分の古巣だ。
「このチームのことやったら何でもわかる」
 伊達にこのチームで現役時代の全てを過ごしてきたわけではなかった。彼は西本、梶本、上田の三代でエースとして活躍してきたのだ。
「だからこそ勝てる。それにわしにはその資格がある」
 彼の性格はプライドが高いことである。そしてそれに相応しいものを求める傾向がある。
 後に彼は星野の招きで中日に入ったがこれには取引があったとも噂される。この時自身の後継者を探していた星野はその後継者にかって同じNHKで解説者を務め気心の知れた彼を選んだというのだ。
 そして山田はその下で辣腕を振るった。彼は投手コーチとして揺るぎない名声を得た。
 星野が中日の監督を退く時彼は予定通り中日の監督に就任した。そしてスタッフには佐々木恭介や大橋譲等同じ西本の門下生達を入れた。やはり彼は西本の弟子であったのだ。
「西本さんの作り上げたチームみたいにしたる」
 そういう思いはこの時からあった。
「このチームを作り上げたのは西本さんや。そしてわしがそのチームを受け継ぐんや」
 彼はそう考えていた。そしてベンチを見回した。
「その時は近いな」
 彼はベンチを去った。これ以降彼と仰木の対立は激化していく。
 翌年にはそれが頂点に達した。そして遂に彼と仰木の対立は選手達はおろかフロントまで抱き込む騒動となった。
「オリックスで何か起こっているな」
 マスコミはそれを察したが近寄ろうとはしなかった。巨人や阪神ならばすぐに漏れてくる類の騒動であるがオリックスはそれを外には漏らさないのだ。
 だがそれで騒動が収まるわけではない。マスコミなぞ関係なかった。
「俺をとるか、あいつをとるかどっちかにしてくれ!」
 仰木はフロントにそう言って詰め寄った。山田をとると言えばその時点で辞表を叩き付けるつもりであった。
 山田は既に投手陣の心を捉えていた。そしてそれは看板であるイチローにも及ぼうとしていた。
「あいつまで巻き込まれては勝ち目がない」
 仰木は山田の意図に気付いてすぐに手を打ったのだ。
 イチかバチかの賭けだった。彼は腹をくくっていた。
 だがその賭けに勝った。ここで彼のその勝負師、魔術師としての勘が勝ったのだ。
「・・・・・・わかった」
 フロントは彼の考えを飲んだ。山田の解任を決定したのだ。
「君に監督をやってもらおう」
「わかりました」
 仰木は心の中でニヤリと笑った。彼は政争に勝ったのだ。
 こうした生臭い話も起こる程両者の対立は深刻であった。だがこれのはじまりはやはり投手と野手の対立が発端であった。
 自分の率いたチームを幾度となく日本一に導いた野村克也も森祇晶もこう言っている。
「我が儘で身勝手で自己主張が強いのがピッチャーだ」
 二人は共にキャッチャー出身である。だからこそこうした考えになるのだろう。当然の様に彼等は投手出身の指導者や評論家からは目の敵にされている。嫌悪感を露わにする者も多い。
 だが彼等と同じ、若しくは近い考えを持つ者は野手出身者には多い。仰木もそれは大体同じである。だからこそことあるごとに対立したのだ。
「ピッチャーは確かに重要だ。だが野球はそれだけでは勝てない」
 近代野球はそうである。ピッチャーだけで勝てる時代はもう終わったのだ。
 まずピッチャーを支える守備。エラーが少ないだけではない。守備範囲の広さ、脚、肩、連携。そしてシフト。それだけに留まらない。
 攻撃における機動や連打、打つポイント、近代野球は頭脳なのだ。
 山田もそれはよくわかっていた。だからこそ監督になった時にそうした面を指導できるスタッフを集めたのだ。しかしこの時それを最もよくわかっていた男が一人いた。それがバレンタインであった。
「それだけでは駄目だ」
 バレンタインはそこにプラスアルファを付け加えたのだ。
 それは何か。バレンタインは答えた。
「モチベーションだよ。選手の気持ちを高めることが何よりも重要なんだ」
 彼は言った。そしてロッテの選手達を見てこう言った。
「彼等は決して弱くはない。少し気持ちを切り替えたら凄く強くなることができる」
 そしてその通りになった。
 彼の采配は確かに見事だった。ロッテナインはそこに近代野球を見た。しかしそれに留まらなかったのだ。
 彼はこう言った。
「このシーズンここまで気持ちよく野球ができたのは君達のおかげだ」
 と。だがナインはそれに対してこう言った。
「いえ、それは俺達の台詞です」
 彼等はバレンタインの言葉をそのまま彼自身に返したのだ。
「このシーズン、本当に最高の状態で最後まで戦えました。全部監督のおかげです」
「有り難う」
 バレンタインはその言葉に感謝の言葉を述べた。
「来年も君達と一緒に野球がしたいな」
「はい」
 それはロッテナイン全ての願いであった。
 だがそれは適わなかった。バレンタインはこのシーズン限りで広岡ゼネラルマネージャーから解任された。
 実は広岡は来年も彼に監督をやってもらうつもりであった。文句を言うつもりは一切なかった。
「私の仕事はまた別だ。総合的なことをやっていればいい」
 そういう仕事がやりたかったこともあった。ゼネラルマネージャーという仕事が気に入っていた。日本ではじめてということも彼のプライドをくすぐっていた。
 しかしここで問題が生じた。コーチ陣とバレンタインの軋轢を知ったのだ。
「それは本当か!?」
 広岡は自分のところに直訴に及んだ彼等に対して問うた。
「我々が嘘を言っているように見えますか?」
「何なら調べて下さい、すぐにわかりますよ」
 彼等はバレンタインのアメリカ式のベースボールに反発したのだ。アメリカではコーチは監督の下にある。日本の様に親しい関係ではない。言わばスタッフに過ぎないのだ。全ては監督が取り仕切るのだ。
 これが彼等には我慢ならなかった。どうしても見下されているように思えてしまう。
「だがな」
 広岡はここで彼等を宥めることにした。
「選手達は彼を深く信頼している。それに彼のおかげに二位になったんだ」
「それは認めます」
 彼等は一様に言った。
(これで終わるかな)
 しかし広岡の予想は外れた。
「しかし我々はそれでは納得できません、もう彼の下ではやっていけません」
「そこまで言うのか」
 広岡は厄介なことになったと悟った。そして事態はかなり深刻なのを理解した。
(まずいな)
 彼は考えた。今度は自身の経験を話すことにした。
「いいか、君達」
 彼はコーチ陣を見回した後で口を開いた。
「大体日本ではコーチと選手、監督とコーチが仲がよすぎるんだ。これはアメリカでは全然違う」
 彼はヤクルトの監督時代そう言ってコーチと選手が一緒に食事を採ることすら戒めた。馴れ合いになってしまうという理由からだ。
「本来はもっとシビアなものなんだ。それをわからないと駄目だ」
「ここは日本です」
 だがそう言い返されてしまった。
「日本には日本の野球があります。それはゼネラルマネージャーもご存知でしょう」
 広岡はしまった、と思った。切れ者と言われる彼が今一つ世渡りを上手くできない理由としてその口がある。言いたいことは絶対に言う、それが舌禍を起こす。そして持論を絶対に曲げない。今回はそれを口にして彼等を説得しようとしたが失敗した。彼はそのプライドの高さと鼻っ柱の強さから人を説得するのも下手であった。
(これは無理だな)
 広岡はそこで決めた。バレンタインの更迭を決定した。
「わかった、君達の意見を飲もう。それでこの話は終わりだ」
「はい」
 彼は止むを得ない、と思った。こうしてバレンタインの解任が決定された。
『ボビー止めないで』
 ファンは連日その垂れ幕を掲げて訴えた。だが広岡は首を横に振った。
「彼を呼んだのは早過ぎたな」
 垂れ幕を見ながら広岡は唇を噛んでそう言った。
「どうやら彼の考えが浸透するにはもう数年必要だったらしい、球界全体に浸透するには」
 この解任劇で広岡は批判の矢面に立たされた。だがマスコミの批判程度で屈する彼ではなかったのでそれは問題ではなかった。 
 しかしロッテは以後低迷した。そしてファンと選手達の願いによりバレンタインがロッテに復帰するのはそれから九年の歳月が必要であった。
 バレンタインは野球とは何かをロッテの選手達、そしてファンに教えてくれた。そして今また彼等に再び教えようとしている。彼もまた野球を心から愛しているのだから。

早過ぎた名将
  
           2004・8・28

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