新たなる来訪者
「おう、来たで」
 ラ=ギアスにいるロンド=ベルに一人の男がやって来た。
「・・・・・・何であんたがここにいるんだ?」
 マサキはその男の姿を見てそう言った。呆れた顔であった。
「あんた、シュテドニアス軍にいたんじゃなかったのかよ」
「それは昔の話や」
 その男ロドニーはそう答えた。
「シュテドニアスとラングランが講和したのは知っとるな」
「ああ」
「知らない人がいたら教えて欲しいニャ」
「少なくともラ=ギアスでは常識ニャぞ」
「それでや。トロイアもラングランに戻ったな」
 ラングラン東方にある州の一つである。長い間ラングランとシュテドニアスの係争地ともなっている。
「そういやそうだったな」
「そこの出身者は選ばさせられたんや。どっちにつくかってな」
「それでラングランに来たのかよ」
「そういうことやよろしゅう頼むぜ」
「ああ。何かよくわかんねえけどこれから宜しくな」
「わからへんのは余計や」
「で、おっさんだけかよ」
「というと」
「援軍はもう一人来るって聞いたけどよ。それは誰なんだよ」
「それはな」
「あ、あの」
 ここで消え入りそうな少女の声がした。
「!?」
「誰かいるのかニャ?」
「こ、ここです」
「!?」
 マサキ達が辺りを見回しているとそこに青いショートヘアの少女がいた。見ればラングランの軍服を身に纏っている。
「エリス=ラディウス少尉です。宜しくお願いします」
 その少女エリス=ラディウスは赤い顔をしてマサキ達にそう言った。
「あんただったのか」
「は、はい」
 エリスは赤い顔のままそれに答えた。
「こちらに援軍として派遣されました。魔装機のパイロットです」
「ふうん」
「わいも同じや。魔装機ももらって来たで」
「何に乗ってるんだよ」
「ラストールや」
「フ、フェンターです」
 二人はそれぞれ答えた。
「ふうん、フェンターなのか」
「は、はい」
「何か今一つ似合わねえ気もするけどいっか。まあ頑張ってくれよ」
「あ、有り難うございます」
「わいにはなしかい」
「あんたは言わなくてもわかるからよ。まあ宜しくな」
「ああ」
 こうしてロドニーとエリスが仲間に入った。ロンド=ベルは新たな仲間が入ったがそれでも場所は移動しなかった。相変わらずシュメルの家の周りで警戒活動にあたっていた。
「何か変わり映えしないな」
 ブリットがその現状を鑑みてポツリと呟く。
「どうせまた来るのだろうけれど」
「あのゼツって人よね」
「他に誰がいるんだよ」
 声をかけてきたクスハにそう返す。
「ああしたタイプは何処にでもいるんだな。何か本当にそう思うよ」
「そうね」
 クスハはそれに頷いた。
「地上でもそうだったし。バイストンウェルでも」
「ショットは少し違うタイプだったけれどな。何かドクターヘルに近いと思う」
「あの人をもっとおかしくした感じかしら」
「そんなところかな。しかしまた厄介なのがいてくれるさ」
「だからここに召喚されたのよ」
「そうだったな。シラカワ博士に」
「あの人も何を考えているかよくわからないところがあるけれど」
「けれどもう俺達に何かをしようと考えているわけではないみたいだな」
「ええ」
 それはクスハにもわかっていた。
「それはわかるわ。けれど何か引っ掛からない?」
「そうだな」
 ブリットは彼女の言葉に頷いた。
「今までが今までだ。何かあると思っておいた方がいい」
「ええ」
「少なくとも知っていることは全部話してはいないと思う。ここのことも」
「何かあるのね」
「その何かが何なのかまではまだわからないけれどな」
「そうね」
「用心しておこう。もしもの時に」
「ええ。頼むわね、龍虎王」
 二人の側に並んで立っている二機の半生体兵器がそれに応えるかのようにその目を光らせた。そして二人はそれを見てまた話を続けていた。

 ここ数日戦いらしい戦いはなかった。ザッシュ達はその間にシュメルと色々と話をしていた。剣の手ほどきまで受ける者もいた。
「ふむ」
 シュメルはザッシュの剣捌きを見て一言漏らした。
「中々いい筋をしていますな」
「有り難うございます」
 ザッシュはそれを受けてシュメルに顔を向けてそう応えた。
「しかしまだ若い。確か魔装機に乗っておられましたな」
「はい」
「では一つ技を伝授しましょう。宜しいでしょうか」
「技をですか」
「はい。冥皇活殺法といいましてな」
「冥皇活殺法」
「私の編み出した剣技の一つです。それで宜しいでしょうか」
「ええ、是非」
 ザッシュはそれに頷いた。
「教えて頂けるのなら。お願いします」
「わかりました。それでは」
 こうしてザッシュはシュメルに直々に技を伝授してもらっていた。そしてそれとは別に技を身に着けている者もいた。
「駄目だ駄目だ!」
 ゲンナジーがプレシアに対して叫んでいた。
「この程度ではまだ完成したとは言えない!もう一回だ!」
「ふえええええ」
 プレシアはそれを受けて泣きそうな声を出した。
「厳しいなあ、ゲンナジーさんって」
「厳しくて結構!」
 彼はまた叫んだ。
「これも技を極める為だ。さあもう一回!」
「わかりました」
 こうしてプレシアも修業を受けていた。見ればそれをマサキ達が見守っている。
「へえ、ゲンナジーも意外だね」
「そうか?」
 ヤンロンはリューネの言葉に顔を向けてきた。
「彼はああした一面もあるが。仮にも元水泳のオリンピック金メダリストだぞ」
「そういえばそうだったね」
「何か水泳より柔道か何かみたいな感じはするけどな」
「柔道は好きではないと聞いた」
 ヤンロンはマサキにも言った。
「格闘技は性に合わないらしい」
「あの体格と腕力で」
「ゲンちゃんって意外と優しくて繊細なのよ」
「まさか」
 リューネはミオの言葉に顔を顰めさせた。
「あれで」
「実はね、絶対に人を殺せないし」
「そうだったんだ」
「よく見ていればわかるよ。敵でも絶対に急所を外して逃げられるようにしてるしプレシアにも怒るだけで殴ったりなんかしてないし」
「そういえば」
 見ればその通りであった。ゲンナジーはプレシアを怒ってはいても決して手をあげたりはしていなかった。
「もう一回!」
「はい!」
 見ればプレシアも乗ってきていた。すっかり懐かしのスポ根漫画の世界であった。
「まだだ!」
「何の!」
「そんなゲンちゃんだから。格闘技は好きじゃないのよ」
「何かねえ、本当に意外だね」
「しかし御前よくそんなのわかるな」
「当然よ」
 ミオは胸を張ってマサキにそう答えた。
「私はゲンちゃんの相方なんだから。知っていて当然でしょ」
「・・・・・・何時から相方になったのだ?」
「最初にここに来た時に」
「そうだったのか」
 ヤンロンはそれを聞いて首を傾げさせた。
「僕ははじめて知ったが」
「誰にも知られないうちに進むのがザムジード」
「ちょっと違うんじゃねえのか?」
「まあ小さなことは気にしない気にしない」
「そんなモンかよ」
 彼等が話をしている間にもプレシアは修業を続けていた。そしてこの日は終わった。
「はああ」
 グランガランに帰るとプレシアは疲れたように大きく息を吐き出した。
「やっと終わったあ」
「お疲れさん」
 そんな彼女をリューネが出迎えた。
「もう夕食はできてるよ」
「そうなの?」
「私が作ったのよ」
「マーベルさん」
 見ればマーベルがそこにいた。
「西部の料理をね。作ったから」
「といってもステーキとマッシュポテト、茹で豆だけれどな。まあ西部だとこんなものだろな」
「トッド、不満かしら」
「別に」
 彼はいささかシニカルな笑みで彼女に応えた。
「西部のイモ料理も案外嫌いじゃないからな」
「少なくとも私は東部のダイエットメニューは好みじゃないから」
「ヘッ、言ってくれるねえ」
 トッドはそれを聞いてまたシニカルに笑った。
「そういうあんたも結構ワイルドなの食べるじゃない」
「おっ、言ってくれるな」
 トッドはベッキーに顔を向けた。
「空軍ってのは体力使うんでな。食わなきゃやっていけないんだよ」
「パイロットは特にそうらしいね」
「よくわかってんじゃねえか」
「あたしの何人か前の彼氏がそうだったからね。陸軍のヘリパイロットだったんだ」
「陸軍か」
 しかしトッドは陸軍と聞いてその顔を暗くさせた。
「まああそこはな。身体だけだからな」
「あれ、あんた陸軍は嫌いなのかい?」
「確かアメリカ空軍は陸軍から生まれたのではなかったのか?」
「よく知ってるな、ヤンロンの旦那」
「勿論だ。アメリカ空軍は第二次世界大戦の頃はまだなかった」
「へえ、そうだったんだ」
 リューネがそれを聞いて思わず声をあげた。
「てっきりその前からあると思ってたけれど」
「それまではアメリカ陸軍航空隊だった。空軍ができたのは朝鮮戦争前だ」
「その通りさ」
 トッドはそれに頷いた。
「俺達はアメリカ軍じゃ新参者だったのさ。陸軍から出たがそれで結構あっちからは言われてたな」
「何て?」
「陸軍の旦那達が穴や密林の中で必死に野宿してる時に俺達は優雅に隊舎のベッドで寝てるってな。わざわざ教本にまで書いていてくれたな」
「そうだったんだ」
「何か俺の国のかっての陸軍と海軍みたいだな」
「程度の差こそあるけどな」
 ショウに対してもそう言った。
「どの国でも軍はそれぞれ仲が悪いものさ。何処も同じだよ」
「自衛隊はそうでもなかったけれどな」
 タダナオはそれを聞いて呟いた。彼はもう分厚いステーキを口にしていた。
「御前さんとこはまた別だ」
 トッドはそれに対してこう言った。
「別!?」
「自衛隊か?まあ日本軍だな」
「ああ」
「士官学校は三軍同じだろ?最初に同じ釜で焼いたパンを食ってると違うものさ」
「パンじゃないけどな」
「それはいいさ。けどそこにあるんだよ」
「そういうものか」
「おまけに自衛隊はそれぞれで結構付き合いがあるだろ?うちはあまりそうしたのがなかったんだよ」
「へえ」
「じゃあピートのことも知らなかったんだな」
「ああ」
 ニーの問いに頷いた。
「全然な。同じパイロットでもな」
「そういうものか」
「そうだな。海兵隊は俺達にとっちゃ別世界だった」
「どんなのだと思っていたんだ?」
「それはな」
 ショウの言葉を聞いてまずは辺りを見回した。
「ピートの奴はいねえな」
「大空魔竜にいるみたいよ」
 キーンが言った。
「じゃあいい。あそこは怪物だ」
「怪物」
「俺達は結構陸軍の連中に馬鹿にされててな。ベッドのこと以外にも机で勉強だけしてりゃいいってな」
「ああ」
「やっぱり陸軍は身体使うんだよ。ところがその陸軍でも奴等にかかれば」
「お嬢さんなのだな」
「よく知ってるな」
「アメリカ海兵隊のことは聞いている」
 ヤンロンはまた言った。
「信じられない程激しい訓練を受けていたのだったな」
「それこそ死ぬようなな。ヤンロンの旦那の言う通りさ」
 彼はまた言った。
「あんなとこまともな奴じゃやってられないぜ。罵声もうちとは比べ物にならねえしな」
「あら、聖戦士でも怖いものがあったの」
「皮肉か、マーベル」
「まさか。私のパパはテキサスよ。そんなのが好きだったわ」
 そう言いながらトッドにステーキとマッシュポテトを渡す。
「はい」
「お、悪いな」
 トッドはそれを受け取るとまずはマッシュポテトを食べた。それからステーキを口にする。
「案外美味いな」
「どうかしら、そのテキサスの味は」
「いいんじゃねえのか。たまにはこんなのもいいな」
「海兵隊風の味付けよ」
「何っ!?」
「近所にね、いたのよ。硫黄島の戦いに参加していたお爺さんが」
「あのとんでもねえ戦いにか」
 アメリカ海兵隊にとって最悪の戦いと言われているのが硫黄島の戦いである。制空権、制海権を完全に掌握し、完璧な包囲下に置き、空爆と艦砲射撃を執拗に行ったうえで攻撃を開始するのがアメリカ軍の戦術である。第二次世界大戦の末期に行われたこの日本の孤島での戦いはそれでも苦戦したことで知られている。
 攻略は海兵隊が受け持った。その圧倒的な戦力をバックに攻撃を開始した。誰もが簡単に勝てると思った。しかしそうはいかなかったのだ。
 日本軍の指揮官は栗林中将をはじめとしてそこにいた日本軍の将兵はそれでも戦った。事前に地下に複雑な基地を設け、そこを拠点として戦ったのだ。一ヶ月にも渡る戦いを経て日本軍は玉砕したがこの孤島を攻略するのに海兵隊は二万を超える犠牲を支払わなければならなかった。これは日本軍の損害よりも大きかった。
「よくもまあ生きてたな」
「その人に教えてもらったソースを使ったのよ」
「へえ」
「どうかしら、その味は」
「まあ悪くはねえな」
 彼はまた言った。
「濃くてな。それに甘いな」
「疲れがとれやすいようにね」
「やっぱり海兵隊は違うな」
「惚れたかしら」
「その爺さんにか?」
「いえ、海兵隊によ」
「それは勘弁してくれ」
 トッドは笑いながらそう言った。
「俺は空の空気が一番合ってるさ」
 そんな話をしながら彼等は夕食を採っていた。その時大空魔竜ではレイはグランガランにあるようなステーキを食べたりしてはいなかった。皆はヤマガタケが作ったちゃんこに舌鼓を打っていたが彼女は自分で作った野菜だけのちゃんこを食べていたのだ。
「美味しい?」
「はい」
 彼女はミドリの言葉に頷いた。
「うどんやお餅も入れていますから」
「そうなの」
「他にはきりたんぽも入れようかと思いましたけれど」
「また面白いものを入れようとしたわね」
「知ってますか?」
「日本の秋田の食べ物でしょ。知ってるわ」
「そうだったのですか」
「あれもね。美味しいわね」
「はい」
 レイは頷いた。
「あれ、好きです」
「私もよ。お米だし食べ易いしね」
「そうですね」
「あら、こっちはこっちで盛り上がってるわね」
 そこにレインがやって来た。
「おうどんなのね。私も呼ばれていいかしら」
「はい」
「どうぞ」
 二人は場所を開けてレインをそこに招き寄せた。
「有り難う」
 レインはそれに礼を言って入った。そして正座をして席に着いた。
「あっちはね。もう何が何だか」
 ヤマガタケ達の方を指差して苦笑した。
「修羅場になっちゃって。皆凄く食べるし」
「特にヤマガタケ君がですね」
「わかってるわね」
「はい。最初から凄かったですから、彼は」
「そうなの」
「力士ですからね。やっぱり食べるのが仕事ですから」
「ドモンは食べ物がない時は平気ね、そういえば」
「そうなんですか」
「何食べても生きていられるし。本当に丈夫よ」
「そうでしょうね」
 それは何となくわかった。そうでなくてはドモンではないからだ。
「あの人は」
「流石に石とかは食べないけれど」
「うふふ」
「一週間位水だけで生きてたこともあるし。本当に凄いんだから」
「そこまでいくと人間離れしてますよ」
「だからガンダムファイターなんでしょうね」
「納得」
「レインさん」
 ここでレイが口を開いた。
「何かしら」
「おうどん、美味しいですか?」
 そしてこう尋ねてきた。
「ええ、とても」
 レインはにこやかに頷いてそれに答えた。
「私おうどん大好きなのよ」
「そうですか」
「そうよ。けれどそれがどうかしたの?」
「こういう場合嬉しいって言ったらいいんでしょうか」
「!?」
「御免なさい。私まだよくわからなくて」
「そうね。そうだと思うわ」
 だがレインはそれに戸惑うことなく言った。
「感情はね。湧き出るままに言った方がいいわよ」
「はい」
「中には湧き出すぎちゃってる人も多いけれど」
「ああ、そりゃ忍のことだな」
 甲児がそれを聞いてうんうんと頷いた。
「あいつにも困ったもんだぜ、全くよお」
「そうだわさ。あいつの無鉄砲さには俺達はいつも参ってるだわさ」
「・・・・・・二人共鏡って知ってる!?」
 アスカがそれを聞いて呆れた声を出した。
「そりゃどういう意味だ」
「そのままよ。あんた達もそーーーでしょーーーーが。盗人猛々しいとはこのことよ」
「何っ、盗人!?」
「言うにことかいてあんまりだわさ!」
「あんまりじゃないわよ!二人共好き勝手ばかり言って!少しは他人の迷惑考えなさいよ!」
「おめえにだけは言われなくねえよ!」
「そもそも鏡は御前こそ見るだわさ」
「そんなの見なくてもわかるわ」
 負けてはいない。胸を張ってこう返す。
「何!?」
「あたしみたいな完全無欠の美少女に鏡なんて必要ないのよ!」
「・・・・・・アスカ、それ暴走し過ぎ」
「話もずれとるで」
「そんなことはどうでもいいわよ!とにかくあたしはこの二人のあんまりさに対して言ってるのよ!」
「そういうおめえこそあんまりだろうが!」
「そうだわさ!おかめ甚だしいだわさ!」
「何か無理があるわねえ」
 ミサトがそれを聞いて首を傾げた。
「そう思わない、マヤちゃん」
「どうして私なんですか?」
「いや、貴女イズミちゃんと仲いいから。わかるかなあ、って思って」
「・・・・・・確かに何か似たものは感じますけれど」
 マヤはいささか不本意ながらもそれに頷くしかなかった。
「けど私あそこまで強引なネタは飛ばしませんよ」
「そうだけれどね。ただ、時々似てない?」
「そう言われると声が」
「まあ声はなしにしましょう」
 美久が注意した。
「私も人のこと言えませんし。ねえデュオ君」
「僕はマサトだよ、美久」
「あっ、御免なさい」
「わざとやっていないかい?」
 そんなやりとりをしながら食事の時間を過ごした。そうこうしている間に朝になりロンド=ベルはまたシュメルの家の周りに布陣した。するとそこに何者かが姿を現わした。
「この気は」
 ゼンガーはすぐに何かを感じた。
「来たか」
「どうしたのだ、ゼンガー少佐」
 そんなゼンガーに大文字が問うてきた。
「まさか敵が」
「はい」
 ゼンガーは彼の言葉に頷いた。
「北東に敵です。その数七百」
「七百!?」
「ゼツの野郎、どっからそんな数を」
「残念だがあの男ではない」
 ゼンガーは仲間達にそう述べた。
「すると」
「別の者だ。この気配は」
「邪魔大王国か!」
「そうだ」
 叫ぶ宙に対して言った。
「あの者達だ。このラ=ギアスにも来たようだな」
「チッ、一体どうやってこんなところにまで来やがったんだ」
「多分地下を掘り進んだのよ」
 美和は宙に対してそう言った。
「しかしこのラ=ギアスは」
「別の次元を使ってです」
 美和は疑問の声を呈しようとしてモニカに対しても言った。
「彼等の技術は我々のそれとはまた違います。おそらくシュウ=シラカワ博士の使った召還を別の方法で行ったのだと思われます」
「そうだったのか」
「だがどっちにしても鬱陶しい奴等が来やがったのは事実だぜ」
「宙の言う通りだ」
 ゼンガーは彼のの言葉に頷いた。
「敵が来たならば討つ。それが邪魔大王国であってもな」
「しかし今我々は」
 ピートはそれに対して異論を述べた。
「あのゼツに専念すべきじゃないのか。あの男はあまりにも危険だ」
「だが敵がここに来たらどうするのだ?」
「そんなことは言うまでもない」
 ピートはゼンガーの問いに迷わずそう答えた。
「叩き潰す。それだけだ」
「では今回もそうだな」
「成程、そういうことか」
「そうだ。では覚悟はいいな」
「ああ。皆もそれでいいか」
「勿論さ」
 万丈がそれに明るく応えた。
「ギャリソン、昼食までには戻るからね」
「畏まりました、万丈様」
 ギャリソンは大空魔竜の艦橋でそれに応えた。
「昼食はラ=ギアスの牛のティーボーンステーキで如何でしょうか」
「悪くないね、じゃあ任せるよ」
「はい」
 万丈は賛成であった。そして他の者も大体同じであった。
「まあ来るのならやってやるさ」
 マサキはゼンガーにそう言葉を送った。
「それでいいんだろ」
「その通り」
「それじゃあいつも通り派手にやるか。宙、あまり焦るんじゃねえぞ」
「俺は焦ったりはしないさ」
 宙は自信に満ちた顔でそう言った。
「この鋼鉄ジーグはあいつ等を倒す為にいるんだからな」
 そう言うと跳んだ。そして宙で拳を撃ち合わせた。
「ビルトアップ!」
 鋼鉄ジーグに変身した。そして敵を見据える。
「ミッチー、行くぞ!」
「ええ、宙さん」
「あっ、待て宙!」
「俺達と小隊を組んでいることを忘れるな!」
「そうだ。御前達だけを行かせはしないぜ!」
 そこに彼等と小隊を組んでいるゲッターチームが加わった。そしてブラックゲッターも。
「おいら達もいるぜ!」
「HAHAHA、ミーがいれば千人力ね!」
「兄さん、ケタが違うわよ」
 彼等につられるままに戦いに入った。邪魔大王国はまずはハニワ幻人達を前に出して来た。しかしそれにまずゴラオンが砲撃を加えた。
「エイブ、あれを使います」
「わかりました、エレ様」
 エイブはエレのその言葉に頷いた。
「オーラノヴァ砲発射用意」
「目標前方の敵主力」
 エイブがエレの言葉を補佐する。
「撃て」
「撃て!」
 エイブはエレの言葉を復唱した。そしてゴラオンの前方から巨大な一条の光が放たれた。そしてそれが邪魔大王国の軍を打ち据えた。
 それだけでかなりの数のハニワ幻人達が消え去った。だがそれで終わりではなかった。今度はグランガランが動いていたのであった。
「シーラ様、オーラキャノン砲の発射準備が整いました」
「わかりました」
 シーラはカワッセのその言葉に頷いた。
「それでは前方に発射」
「わかりました」
 グランガランから巨大な火球が放たれた。そしてそれがまたハニワ幻人達を直撃した。またもや大きな穴が開いた。
「今だ!」
「斬り込め!」
 そこにオーラバトラーやブレンパワードを先頭にして突撃が行われる。そして邪魔大王国の軍を切り裂いていく。ゼンガーはその中で一人の敵を探していた。
「何処だ」
 彼は言った。
「ククルよ、何処にいる。早く姿を現わすのだ」
「貴様に言われなくとも」
 それに応えるかのように冷たい声が聴こえてきた。
「わらわはここにいる。安心せよ」
「いたか」
 顔を向けたそこにはマガルガがいた。そして彼女も。ククルはゼンガーを見据えたまま冷たい言葉を発し続けていた。
「わざわざ貴様の首を取りにここまで来たのだ」
「ほう」
 だがゼンガーはそれを聞いても顔色を一向に変えない。
「感謝するがいい」
「俺は敵に感謝なぞしたりはしない」
「何!?」
「俺は見事な敵に対しては敬意を払う。だがそれ以上のものはない。それは敵に対する侮辱になる」
「侮辱とな」
 ククルはそれを聞いてその整った切れ長の眼を憎悪で歪ませた。
「わらわも貴様に受けた侮辱を忘れてはいない」
 そしてこう言った。
「腕の恨み、返させてもらう」
「来るか」
 それを受けて剣を構える。
「その為にこのような場所にまで来た」
 彼女も負けてはいなかった。
「無論。覚悟せよ」
「ならばこちらも」
 ゼンガーも言った。
「一切容赦はしない。行くぞ」
 こうして彼等の戦いがラ=ギアスでもはじまった。その横ではジーグがアマソ達を相手に派手な立ち回りを演じていた。
「死ねっ!」
 叫びながら飛び掛かる。そして蹴りを放つ。
「まだだっ!」
 だがそえで終わりではなかった。今度は美和の乗るビッグシューターに顔を向けてきた。
「ミッチー、あれを!」
「あれね、宙さん」
「ああ」
「わかったわ」
 美和はそれに頷くとビッグシューターから何かを発射した。それは巨大なドリルであった。
「よし!」
 ジーグはそれを見てから跳んだ。そしてそのドリルを両手に装着する。
「マッハドリル!」
 それでアマソ達を攻撃する。それにより彼等の乗るヤマタノオロチは致命的なダメージを受けてしまった。
「おのれ鋼鉄ジーグ!」
「またしても!」
 彼等は苦悶の悔し声を出す。
「かくなるうえは!」
 ヤマタノオロチを特攻させようとする。しかしそれはククルに止められてしまった。
「待つがよい」
「ククル様」
「そなた達は死んではならぬ」
「しかし」
「邪魔大王国の為だ」
 拒もうとする彼等に対してそう言った。
「邪魔大王国の」
「そうじゃ。これでわかったな」
「はい」 
 こう言われては彼等も頷くしかなかった。ククルはその邪魔大王国の女王であるからだ。
「それではここは退くがよい」
「はっ」
「ククル様は」
「わらわはまだここに用がある」
 その切れ長の目を細めさせてそう言った。
「のう、ゼンガー=ゾンボルトよ」
「あくまで俺と戦うつもりか」
「その通り」
 先程と同じような話となっていた。
「では行くぞ。よいな」
「フン」
 言われるまでもなく構える。
「ならばこの斬艦刀の錆にしてくれよう」
「斬艦刀をもってしても今のわらわは倒せぬ」
「何だと」
「どのような刀では当たらなければ意味がない」
 そう言ってまた笑った。
「今からそれを見せてしんぜよう。さあ参るがよい」
「ならば」
 ゼンガーはそれに頷き剣を構えた。示現流の構えである。
「行くぞ」
「来い」
 ゼンガーは無言で走った。そしてその剣を思い切り振り下ろす。
「チェストオオオオオオオオーーーーーーーーーーーッ!」
 示現流の掛け声であった。それで袈裟斬りにするつもりであった。
「ふ」
 しかしそれを前にしてもククルは笑っていた。そのマガルガに剣が吸い込まれていった。
「ククル様!」
「やったか!」
 両軍それを見て互いに声をあげる。邪魔大王国のそれは悲鳴に近く、ロンド=ベルのそれは歓声に近かった。だがそれは一瞬にして逆転した。
「ムッ!?」
「ふふふふふ」
 ククルはまだ笑っていた。何とゼンガーの剣が彼女のマガルガの身体をすり抜けていたのだ。
「これは一体」
「そなたも剣の道を極めんとしているのなら知っていよう」
「まさか」
「そう、そのまさかよ」
 ククルは自信に満ちた声と笑みを以って言った。ジョルジュがそれに対して言った。
「見切りですね」
「その通り」
 ククルはそれに頷いた。
「そなたも会得しておったな、確か」
「ムッ」
「そなたに出来るものならばわらわにもできる。それだけだ」
「おい、馬鹿言ってるんじゃないよ」
 サイシーがそれに反論する。
「あんな技がそう簡単に会得できるものかよ」
「俺だってフットワークには気を使ってるんだぜ。それでもまだまだだってのによ」
「いや、認めたくはないがこれは事実だ」
「アルゴの旦那」
「おいおい、敵の肩を持つってのかよ。御前さんらしくないぜ」
「いや、それは違うよ」
 不平を言う二人に対してアレンビーがこう言った。
「あのお姉さん多分影でずっと努力してきたのよ」
「努力」
「そうよ。そうじゃなきゃあんな技とても身に着けられないわよ。それはわかるでしょ?」
「アドモアゼル=アレンビーの言う通りですね」
 ジョルジョがそれに頷いた。
「おそらく彼女も影で鍛錬を積んでいたのでしょう。あの自信こそその証」
「まさか」
「努力がどのようなものかは知らぬが」
 ククルの言葉には確かにその自信があった。
「わらわのこの見切りは確かなもの。それではゼンガーよ」
「ムッ」
「また来るか?そしてわらわの強さを知ってから地獄に行くか?どうするのじゃ」
「どうするもこうするもない」
 やはり彼はゼンガー=ゾンバルトであった。毅然としてこう言い切った。
「我が名はゼンガ=ゾンバルト」
 言葉を続ける。
「悪を絶つ剣。ならば見切りがあろうとも貴様を切れる!」
「ならば見せてみるがいい」
 ククルはまだ笑っていた。
「わらわの見切りを破る技をな」
「では見せよう」
 ゼンガーは構えた。
「斬艦刀」
「それはわらわには最早効かぬぞ」
「斬艦刀は一つではない」
 だが彼は言った。
「まだある。では見せよう」
 そう言いながらその剣を動かす。
「大車輪!これならどうだっ!」
「なっ!」
「チェストオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーッ!」
 また叫んだ。そして激しい剣技を繰り出す。それは乱れ飛びククルに向かって来た。
「ふ、無駄なことを」
 しかしそれを見ても彼女はまだ余裕であった。その余裕で以って見切りを発動させようとする。
 だがそれは適わなかった。ゼンガーの剣技はそのククルの見切りをも凌駕するものであったのだ。
「何とっ!」
 叫んだ。その瞬間であった。
 マガルガの左脚が断ち切られた。見切りが通じなかったのである。
「クッ!」
「これでどうだ」
 ゼンガーは勝ち誇るわけでもなく一言そう言った。
「これが我が剣だ。我が剣の前には邪悪なる者は負ける宿命なのだ」
「わらわが邪悪だと言いたいのか」
「そうだ」
 彼はまた言い切った。
「貴様の目は赤く光っている」
「それがどうした」
「その目が何よりの証拠。今の貴様は本来の貴様ではない」
「本来のわらわ!?」
「そうだ。よく考えてみろ」
 彼は言葉を返した。
「御前は本当に邪魔大王国の者なのか」
「何を世迷言を」
「その顔、その姿。決してハニワ幻人なぞではない」
「わらわはヒミカの娘」
 ククルはそれを否定するかのように言った。
「それが何よりの証拠よ」
「そうか」
「まだ言うか」
「いや」
 だがゼンガーはそれには首を横に振った。
「俺が言うのはここまでだ。後は貴様自身で確かめるがいい」
「ふざけたことを」
「今回の勝負は預けておく。また来るがいい」
「何のつもりかは知らぬが」
 ククルはその目を憎悪に歪めさせながら言った。
「わらわを逃がしたこと、後悔するぞ」
「俺の人生に後悔の二文字はない」
「ほざけ。では行くぞ」
「ハッ」
 ククルはハニワ幻人の残存戦力を引き連れて戦場を離脱した。こうしてラ=ギアスでのロンド=ベルと邪魔大王国の戦いは終わった。しかしその後には一つ大きな謎が残されていた。
「そういえば前から気になっていた」
 サコンがそう呟いた。
「ククルの姿、邪魔大王国の者のそれじゃない」
「そうだな」
 ピートがそれに頷く。
「化け物じみてはいない。むしろ俺達のそれに近い」
「近いというより同じだな」
「同じか」
「ああ」
 サコンはそれに応えて言った。
「全く同じだ。むしろかなり優れている部類だ」
「あの見切りか」
「それだけじゃない。他の能力もだ」
 彼はまた言った。
「天才というやつだな」
「天才か」
「ああ。若しかするとサンシロー以上のな」
「いや、それはないな」
 だがピートはサコンのその言葉を否定した。
「何故だ?」
「サンシローは俺達の中でも最も才能に恵まれた奴だ。あいつよりそういった才能に長けている奴はそうはいない」
「ククルはそこまでではないというのか」
「少なくとも俺はそう思うがな。だがこれはサンシローには言うなよ」
「何故だ?」
「あいつはすぐ調子に乗るからな。馬鹿なのもそうそう上にいる奴はいない」
「そうか。じゃあわかった」
「しかし問題がある」
「ククルが人間だということ自体がだな」
「そうだ。やはりおかしい」
 彼は首を捻ってそう言った。
「何故奴等の中に人間がいるのだ。しかも女王として」
「宙の奴に聞いてみるか?」
「それもおそらく無駄だな。ククルのことは宙の方が驚いていた位だ」
「そうか」
「今は調べるとしよう。まだはじまってもいない」
「ああ」
「何かわかったらまた言う。それまで待っていてくれ」
 ククルに関してはそれで終わりであった。だが当のククルはそれで終わりではなかった。
「おのれゼンガー=ゾンバルト」
 彼女は帰還した邪魔大王国の地下基地において憎しみに満ちた声を漏らしていた。
「よくも一度ならず二度までも。わらわに恥をかかせるとは」
「おいたわしや」
 ミマシがそんな彼女を慰めようとする。
「日之本の国の正統なる統治者が。あの様な一介の武人に」
「戯れ言を申すな」
 だがククルは逆にミマシをそう言って叱った。
「あの男は一介の武人なぞではない」
「では一体」
「敵だ」
 そして一言こう言った。
「わらわにとって不倶戴天の敵だ。それ以外の何者でもない」
「それでは我々にとっても」
「それもまた違う」
 それもまた否定した。
「あの男はあくまでわらわ一人の敵なのだ」
「ククル様御一人の」
「そうだ。だから手出しは許さぬ」
 有無を言わせぬ口調でそう言った。
「よいな。手出しをした者に対してはわらわが直々に手を下す」
 声に冷徹さまで漂わせる。
「決して許さぬ故。覚悟するがいいと皆の者に伝えよ」
「ははっ」
 ミマシは最後まで聞いたうえで頭を下げた。
「それでは皆にはそう申しておきましょう」
「うむ。頼むぞ」
「はっ」
 ミマシはその場から姿を消した。そしてククル一人となった。
 彼女は暗い玄室に一人いた。そして青く燃える蝋燭の火を一人で眺めていた。
「青い炎か」
 邪魔大王国の、ククルの力を現わすものの一つであった。今この炎はククルによって燃やされているものだからである。
「よいものだ。まるで人の命の様じゃ」
 そう言って笑った。凄みのある笑みであった。
「命は必ず消えるもの」
 その青い炎が消えた。
「ゼンガー=ゾンバルトよ。貴様も消える運命なのだ」 
 青い炎が消え去った場所を見詰めながら呟く。
「わらわの手によってな。この火と同じく」 
 そこまで言うと玄室から消え去った。後には何も残ってはいなかった。
「邪魔大王国とな」
 ゼツは邪魔大王国とロンド=ベルの戦闘の話を自身のラボにおいて聞いていた。
「また妙な連中が来たようじゃな」
「如何致しますか」
 報告にあがったバゴニア軍の士官が彼に問うた。
「あらたな敵の出現ですが」
「敵とな」
「はい」
 その士官はゼツの言葉に頷いた。
「彼等は地上ではかなり手荒く暴れたようです。もしかするとこのラ=ギアスも」
「そんなことはどうでもいいことじゃ」
「どうでもいいこと」
 ゼツの性格は知っていたがそれを直接聞くと疑わずにはいられなかった。彼が正気かどうかということを。
「ラ=ギアスがどうなろうとわしには関係のないことじゃ」
「関係のないことですか」
「ラングランの愚か者共を滅ぼせさえすればそれでよいのじゃ。わしを認めなかったあの愚者共をな」
「はあ」
 彼はそれを聞き、そして語るゼツの目と声を目の当たりにして確信した。彼は間違いなく狂っているのだと。
「どうでもよい。放っておけ」
「無視するのですか」
「その通り。例え何が出ようとわしには関係ないことじゃ。どうでもよい」
「わかりました。それでは」
「うむ」
 士官はゼツのラボを去ろうとする。だがここでゼツはふと呟いた。
「待つがよい」
「!?」
「その連中はロンド=ベルの連中と戦っておったのじゃな」
「はい」
 最初に報告したことであったg。どうやら忘れていたらしい。
「面白い。今面白いことを考えついたぞ」
「はあ」
 これ以上彼の側にいたくはなかったが仕方のないことであった。止むを得ずゼツに付き合うことにした。
「その者達をロンド=ベルを向けさせるのじゃ。偽の情報を流してな」
「偽の情報を」
「その通り。そして奴等をシュメルから引き離す」
「そして」
「その後はわしがやる。よいな」
「わかりました」
「ジノとトーマスには伝えよ。邪魔大王国を監視しておけとな」
「御二人をですか」
「全てわしがやる。それとも何かあるのか?」
「い、いえ」
 士官はゼツにそうと我慌てて被りを振った。
「滅相もありません」
 見ればラボの所々に死骸が転がっている。腐ったものや白骨、まだ息があるものまで。大抵は実験用の生物のものであるようだが中には明らかに違うものもあった。五本の指を持つ細長い腕も転がっていたのだ。
 ゼツはバゴニアの影の最高権力者となっていた。首脳部は政界も官界も財界もそして軍部も皆彼に洗脳されていた。そして彼は自らの思う通りに実権を行なっていたのだ。それが何かはもう言うまでもなかった。
「それでは私はこれで」
 油断していると自分自身も何をされるかわかったものではない。その士官は報告が終わったと見るやすぐにラボを後にした。そしてゼツだけが残った。
「シュメルが遂にわしのものとなる」
 彼は笑っていた。
「そしてわしの望みもまた」
 ここで笑った。それは最早人間のものとは思えないものであった。
 狂気の笑いがラボに木霊する。その中で異形の影が蠢いたように見えた。


第四十八話   完


                                            2005・10・3
 

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