大気丘市でのギャラクシアンとの戦闘で、ウラタンダーが召還した3体のロボットを格納庫で俺は見上げていた。
「まさか、異空間のロボット達を呼んでしまうとはな……」
 ダップさんに聞いたように、クルマジックパワーの力とやらを…まざまざと見せられたと思う。異空間の住人の召還は禁術、それをやり遂げる奴の潜在能力がまだまだ未知数だという事が解る。
 あのおっさんにあれだけの力があるとは…もしかしたら化けるかもしれない…潜在能力は、そのまま戦闘能力に繋がると言うが…正直、ウラタンダーの実力はY(ヤクト)団首領よりは強い物の、まだ…戦隊の一人には満たない物だ…もちろん俺との差は結構ある。
 だがいつかは化ける存在……となるかも知れない。
「陽介君!来てたんだね」
 ライダーマンこと結城丈二博士が、ガンダムDXの肩からクレーンに乗って俺の所に降りてきた。
「結城さん、どうです?異世界のロボットは…」
「ああ、やっぱり異世界だ…未知の部分が多くてどう解析したらいいか未知数だよ。でもガンダムの方は、資料と…作業用GMを参考に何とか、C整備・・・完全分解整備までできるレベルへ行けたよ」
「ジャイアントロボや17は、破壊されたらはいそれまでですね…」
「そうでもないよ、ジャイアントロボは・・・なんといおうか・・・解析不能ではあるものの、複製が不可能な部品はほとんどない。われわれの技術で十分修理可能だ・・・エンジン部は核分裂炉でかなりのローテクだからC整備もできるだろう。」
そこで結城さんは言葉を区切った。
「それに、17の内部には自動修理機械が内蔵されているのが確認されている。何とか、なるさ。」
 そうだ、このロボット達の操縦者…ガロードも含めても、俺より幼い子供である、まあこの組織も中学生が潜水艦の司令をしている程だし、俺も高校生で少佐と言うこともある。
「リベラルすぎる…」
「どうかしたかい?」
「いえ…」
「あ、未知数といったら…やっぱりあれかな?」
 結城さんが指差したのは、鮫島が作ったロボットである…破損しているままで、あの戦いから三日経ってまだ直されてない。
「Y(ヤクト)団のロボットのパーツは、殆ど君がやった物だと聞くけど…あんなに精巧に作られてるから…戦隊のロボットの専門家の人を呼ばない限りは……」
「それほど精巧に作られてるんですか?」
「ああ…そもそも、最近の戦隊のロボットに使われてる技術は…やくと君が考案した物が多いんだよ…」
 浦谷どうように、鮫島の知識も…まだ未知数と言うことだ…
「…それと、俺の天槍は?」
 ああ、天槍は今までの戦闘で…かなり参っていて外見上で言えば、鮫島のロボットより重症らしい。まあ、ここの所連戦続きだったからな…。ギャラクシアンとの初戦と、黒狼オルグとの戦い…そして今度の大気丘市の乱で、特にブーツは…殆ど半壊している。
「天槍は、修理に結構かかる…。でもこのカスタム機の改修にはこの次期には…もってこいだ」
「それならば、天槍のバトロイド形態をより人間に近い動きが出来るように出来ませんか?」
 思い切ったことを結城さんに聞いてみた…ギャラクシアンの戦闘機に対してビームサーベルによる対魔一神流の使用は…天槍を更に強くできる。無理な願いと解っているが…
「まあ、結論から言わせて貰えば…無理ではない、戦隊の割合小型のロボットの技術もより人間らしい汎用性に優れた機体があることだ、それを参考にすれば…それも考慮に入れるとして、私の天槍の改造は…これ」
 結城さんの見せた設計図には、天槍の戦闘機モードが書かれている。戦闘機の背面にバックパックらしき物が二つあった。
「これは…まさか」
「ここの所の連戦続きで、天槍のブーツは結構がたが来ている。そこで私が考案した新たなブーツ、『ライジングブースター』だ。これは戦闘機時に…強力なスラスターを持つブースターとなる。宇宙戦闘による更なる性能を発揮するだろう、勿論…ブーツの役割もちゃんと果たす」
「すごいな……」
「まあ、改良にはかなり時間がかかるだろうから…ウォーハンターで戦う時は気をつけてくれ…天槍からの光波修正が送られない分、スーツを破損させても、修復が出来ない。つまり…一回勝負と言うことだ…」
 次の戦闘の時は気をつけろ…と言うことだろう。ギュレルもトーラスやGB(ギャラクシービースト)等を使った前回までの戦闘はもうしてこないだろう。直接幹部を送り込んでくる可能性も否定は出来ない…


機動狩猟者
ウォーハンター『陣』

ミッション10『見えない心』


 それに未だ見つかっていない、心のアグルストーン。技のアグルストーンは俺が最初に戦った時に、メタル黒狼に譲り受けた。現在、技の黒狼はアグルストーン無しに体内のGクリスタルと、特殊液体金属でその思念体を入れている…以前会った時の、父さんの良心はもう居ないかもしれない…
 黒狼オルグのように…メタル黒狼とも戦わなくてはならないのか…
 体のアグルストーンは比較的早く、思念体が消え暴走をし始め、黒狼オルグとなってかなり苦戦したがガオレンジャーとの共同戦線で、何とか体のアグルストーンを封印し取り戻す事にした。体のアグルストーンには、父さんの思念が封印されていると見て間違いないだろう…
 現在アグルストーンは、『体』は…父さんの思念体が封印されてるためか、重要過密室に安置されているが、『技』のアグルストーンは、俺の手元にある。
 半球状で、真ん中に丸いくぼみのあるアグルストーンの欠片。体のアグルストーンも同様の形をしていた…半球状の形に丸いくぼみ…
「もしかしたら、この中に…中心核になる小さい球状の物体がはめ込まれるんじゃ…それが、『心』…『技』と『体』に守られ…アグルストーンは完成する」
 二つの守りが揃い、残りは『心』のアグルストーンだ…それに陣内 榊の父さんの思念対の中枢…つまり、父さんの心がある。それが合わされば、『心技体』全てが合わさり、黒狼が…父さんが復活する。だけど、心が悪に染まれば……何が起こるんだ…
 父さんは『強制的に『体』と『技』と一つになり…完全なる悪の姿となるだろう…そうなった場合…手の施しようは無くなるだろう……』と言ってた、得た二つのアグルストーンを取り込むほど、心の力は強いと言う事か…
 だけど探しようにも…恋香に反応は見られない。父さんの『心』は一体何処に……


 異形の形のバイク…メタルソーダーを走らせ、一人の夏なのにコートを羽織った男が…ある山中に足を踏み入れた。
彼の前には、大神海岸にあった物と同じ物が崩れて置かれていた。頭の部分が崩れ落ちていたがそれが、狼の形をしていた事は確かだった。
ここは、以前…五色の戦士と自分の息子が…我が分身と言う物か、それとも自分の欠片だろうか…それとも陣内 榊と言う人間の一つと、戦って勝利した場所…咆哮山。
「ここに、『体』を封印していた狼岩があった…」
 体のアグルストーンは息子、陰ながら、陽介のこれまでの戦いを陰ながらで見る限りでは……陽介の手によって封印された。
「よく頑張ったな、陽介」
 その男、榊は心の中で陽介を誇りに思った。しかしその感情も、いつかは邪に蝕まれ…消えてしまう。彼はそうなる前に…できるだけ戦いを陰で見守りながら、『心』のアグルストーンの手がかりを探している事にしている。
 しかし、その『心』のアグルストーンの手がかりもようとして知れない。欠片同士、引き合う物で…陽介に託した、自分の『技』のアグルストーンには何も反応が無い。
『体』のアグルストーンが見つかったのも、ここの狼岩が何者(ヤバイバ&ツエツエ)により、封印が解かれたから二つの石が共鳴しあったからだ
自分も、『技』に宿った思念体の欠片だ……自分の意思の欠片が暴走した時に、それが自分の思念体にも同調した。それを辿れば必ず、そこに行き着くはず…。
 つまりは、思念体は…石の欠片同様に共鳴しあうのだ…
「ぐ……」
 榊は頭を抱えて、膝をついた…邪がまた榊の思念を支配しようとした…。段々とその時は近づいてきている…もって後3日かそこらかだ…夏休みいっぱい使って、協力してやりたかったが…そろそろ、持たないか…俺の思念体も…
『技』のアグルストーンを陽介渡したのも榊が暴走した時の保険として、すぐに封印できるようにだ…。
 発作がおさまり、榊は立ち上がると…目の前の狼岩に別れを告げて、咆哮山を後にした。目指すは…次陽介が赴くと思われる町…大気丘市だ。

戻ってSUP極東支部巨大格納庫。

「陽介君、先日の一件後悪いが…大気丘市の霧島女史から連絡だ」
 結城さんとガンダムDXの事で話していると、急に結城さんが話を切り出した。と言うのも、今ガンダムDXのコックピットの中にいる。
「聖さんから?」
 聖さんは実を言うと、俺の主治医であって…SUP医療班にも所属しているらしい。前回は浦谷を世話になったようだが…解剖したのかな、とも角『ちょっと調べてくれ』と言っといたからな。聖さんのちょっとは…宇宙人解剖フィルムばりだからな…
「無事に帰ってきたからいいものを…浦谷は…」
「どうかしたのか?とにかくまたお手数をかけるが…大気丘市にまた行ってくれるか?」
「え…?つい一昨日行ったばかりなのに…また?」
「すまないな…だが何せ、君の体を治療できるのは…彼女しか居ないからな」
「まあ、それもそうですね…」
 シロガネ戦、黒狼オルグ戦の傷も聖さんが治療してくれ…数日で完治した。だがしかし、聖さんは俺がSUPを知る前…俺が幼い時から俺を担当していた医者だった。まあ、俺が幼かった時は聖さんの父親が担当していたが…俺が中学に入った時は既に聖さんだった。故に…聖さんは恋香の事は勿論、俺の背負ってる運命も知っていた。
 その為か、そこの診療所に居る…聖さんの妹でもある佳乃ちゃんとは小学生からの馴染みだ…ポテトもその頃から診療所の番犬(犬なのか?)だったが、結構歳が食ってるのに未だに最初にあった時と変わらない格好をしている…つまり年食ってるよう見えないのだ。
「仕方が無い…明日、行く事にしますよ」
「解った、じゃあ霧島女史によろしく言って置いてくれ」
「了解しました」
 俺は刀を持って、手を振ると格納庫を後にした…。さて、先日の浦谷の検査結果でも拝みに行くか…


ここは木星と火星の間に位置する、小惑星体…アステロイドベルト。一隻の大型戦艦が地球に向けて航行していた。

G侵略輸送空母『グランディオ』
 空母内では、数百いや数千のGBがひしめき合っている、これまでに無い数のGBをトーラスが20機納まる格納庫に押し込めている。
 さながらここは牧場のような雰囲気の中、グランディオの操舵室では一人の長身の背中に何本もの長い刀を持った男が一枚の写真を見て笑っている。
「ウォーハンター『陣』か…新たに現われたスーパーヒーローの内でも類を見る存在、その力は未知数で対魔一神流と呼ばれる、青い星に古くから使われる剣術を操りその破壊力は指揮官トーラスをも破壊する…対魔一神流か…面白い剣術だな」
 その男の名は獣神ギャレール…ギャラクシアンの幹部ギャラクシー8の一人で、母星ではジャングルでの苛酷な環境化に適応した特殊な剣術を操る。
 母星で取られる鉱石『G鉱石』で作った日本刀に似た刀を…背中に3本…両腰に4本差している。
「奴が守る羽の継承者、ギュレルの話だと大いなる力を持つと言われているが…どれ程の者か…楽しみだな…」
 青い星の人類に『羽』は大いなる力を授け、知性を与え…今から1000年の昔に死滅した。それから、1000年後、輪廻転生と言うべきか…その羽を受け継いだ『継承者』が何人も青い星で誕生した。だが、『羽』はその継承者に呪いをかけた。それは過酷で悲しい運命とでも言うだろう…それほど大いなる力を持つには何か代償が必要だと言う事だ。
1000年は宇宙の歴史にしてみれば針の先にも満たない、だが…『星の記憶』をその羽が蓄積していたとしたら、その力は、何者にも勝る力であろう。
「これを無限の可能性と呼ぶ物か……ワープ航行に入る!」
 ギャレールはそう呟き、グランディオの操縦桿を握ると一気に落とし…アステロイドベルトから一気に抜けるように地球に向けて発進した。


地球に戻り
 明朝朝の10時…俺はバイクを走らせ、大気丘市に向けて国道を走っていた。何分田舎町の為、国道から抜け…一般道を通らなくてはならない。それは結構手間が掛かる…

 見慣れたバス停が見えた、始めてきた時もこのバス停からだったような気がする。前にここに来た時は、戦場と化して凄く不味い事になった。浦谷や鮫島が居なければ…この町は…ギガ・ブースターライフルの威力に蒸発していただろうな…
 少し認めたくは無いが、あいつ等は…まだ未知数だと言う事だ…
「あいつ等に、それ程実力があるか信じられない所だ…」
 さて、聖さんは俺に何の用があるんだろう…日帰りの用事だったらいいんだが…
「ここに来たんだから美凪さん達にも挨拶したいけど……」
 とりあえずは、寄り道はせずに霧島診療所へと急ぐ事にしよう…その方が安全かもしれないからな。

 霧島診療所に着くと、バイクを駐車場に停め…ヘルメットを取る。晴れていた為か、メットを外したら日光が俺の視界を遮る。
 次第に慣れてくると…刀とブレスの入ったバックを持ち霧島診療所の門をくぐる。
「こんにちは…陣内で…って、これは!?」
 中に入るや否や、俺の視界にとんでもない物が飛び込んできた。まさに壮絶としか言いようの無い戦いを思わせる物体がそこに置かれていた。
「おお、遅かったな陣内君」
「いらっしゃいだよぉ〜陽介君」
「ぴこぴこ!」
 霧島家の人々(+犬と思しき生物)は…流しそうめんで白熱していたのだ……
「……いきなり入って、流しソーメンですか…」
「まあ、良いではないか陣内君。君もどうだ?昼はまだなのだろ…」
「いえ、遠慮しときます……」
 ここの人たちと俺はかなり面識は長い…だからこそ遠慮した方がいい。数年前かそこら辺りに同じ風に流しソーメンを例のようにやった…流しソーメンと言うものは…下流に行けば行くほど、ソーメンが来る確立は極めて少ない。勿論、前に人がいるかいないかで判断される。
 俺は例によって、下流辺りで一番最後に取るためか…俺の取り分は前のポテト辺りで全て無くなっていて、殆どは上流に居る佳乃ちゃんが食べつくしてしまうのだ…
「うぬぬ、陽介君のりが悪いよぉ〜」
「ほほー、君の命を何度も助けてやった私達に対する返答はそれかい?陣内君」
チャキ
 それでいつもの如く、メス持ってきて…俺は結局流しソーメン(流れては来なかった)に付き合う事にした。

 その後全然腹にたまらなかったが、俺は…後で出てきたスイカで何とか飢えを凌いだ…はぁ、俺は結構食べないと体力持たないって。
 現在佳乃ちゃんは、学校の飼育係の為家を離れていた…聖さんは診断室にいるし、俺は待合室で休んでいる。午後の診断の時間には違いないが…誰も来ないのは、この街が平和な証拠だろうが…以前の戦闘で一人も死人が出ていないのが不思議だ。
「ほらー、ポテトー」
 スイカを食べた後は別段何もする事はなく…暇つぶしに診療所をぴこぴこと歩いているポテトを呼び寄せ持ち上げる。
「ぴこぴこぴこ♪」
「よーしよーし。全く、このもこもこした毛の奥はどうなってんだ?」
 これを見ていると、某爆裂園児のアニメに出てくる飼い犬を思い出す、あの犬は普通にワンと鳴いていたが、ポテトとあれと容姿とかそっくりなんだが…
「お前、本当の所は…野○家にいたんじゃないのか?」
「ぴこ?」
 そんな雑談をしていると、聖さんが置くからやって来る。
「どうだ、調子の方は…」
「ええ…上々とまでは行きませんが、何とかやって行ってますよ」
「そうか…前回の戦闘での怪我もそれ程無いが、疲労は体を毒するぞ」
「リラックス…ですか…」
 精神的な疲労はそれは必然的に、俺の剣の腕にも繋がってくる。対魔一神流は明鏡止水の心がなければ技が繰り出せない。舞さんは剣が鈍るとも言っていた。
 シロガネ戦で迷いがあったら…俺はどうすれば…
「まあ、毎回…私のところに来るたびに生傷をこさえて来るのも、どうかと思うぞ、陣内君」
「う…それを言われると」
「まあ、長い付き合いだ……それも慣れた」
 聖さんはそう言うと俺にお茶の入った湯飲みを渡す…俺はお茶をすすりながら心を落ち着かせた。肩の力を落としてリラックスすると…
「聖さん…俺をここに呼んだのってその事じゃないですよね」
「…やはり察しが良いのは、いつもの事か?」
 やれやれと言った感じで聖さんは溜息をつくと…改まったように…
「浦谷と言う男の診断結果だ」
 正直なんだ、そんな事かと俺は肩を落とした…

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