黒狼オルグは、ガオシルバーとウォーハンターにオルグスピアを構えて突進してきた。
『がぉぉぉーーー!!』
 シルバーとウォーハンターは顔を見合わせて頷くと……
「反撃だ!ウォーハンター!!」
「はい!同時攻撃をかける!!」
 そして、黒狼オルグが向かってくる軌道を読み…ウォーハンターは、カウントを開始した。
「壱!」
 黒狼オルグは二人にオルグスピアを振り上げた…
「弐!」
 それが二人に振り下ろされた瞬間…一気に散開した。
「「参!!」」

 二人は飛び上がると…三日月を背に、黒狼オルグに飛び掛った。
「は!!」
「でや!!」
ザシュ!バシュ!
 多面からの同時攻撃…、敵の背後をウォーハンターが、前面をシルバーが斬り付け…黒狼オルグがオルグスピアを振る前に回避する。
 さながら、二人が何人も居るようにも見え…二人の連続攻撃は止まなかった。

 二人は息をぴったり合わせ、まるでダンスを踊るかのように黒狼オルグを翻弄していった……


機動狩猟者
ウォーハンター『陣』
ッション8『邪なる王』

 黒狼オルグは、その二人の連続攻撃に対して闇雲にオルグスピアを振り回していたが、もう限界が来たのか…オルグスピアを杖代わりにしてよろめいた。
「よし、行くぞ!陽介!」
「はい!!でや!!」
 二人は再び上空に向かって飛ぶ…二人の体が上空の三日月を隠し……その三日月に合わせるように剣を旋回させ…
「「
狼牙!三日月斬り!!」」
バシュゥゥゥーーーー!!!

 その攻撃は黒狼オルグの胸を深く抉って…、Xの文字の傷が黒狼オルグにつく…
「よし!止めだ!!ブレイクモード」
 シルバーは、ガオハスラーロッドを変形させビリヤードの棒のような形態に変える。ウォーハンターも刀を、対魔一心流の奥義の型の一つに構える。
「レーザープール!!」
「……鉄の血が…無の爪となり切り裂く……」
 黒狼オルグを、エネルギーフィールドが捕らえ…黒狼オルグは動けなくなる。シルバーは…そのレーザープールに3つのガオの宝珠をのせ…ガオハスラーロッドを構え…3つの宝珠を一気に弾いた。
「破邪聖獣球!!」
 それと同時に爪技をウォーハンターは繰り出した…
「鉄血無爪!!」
 だが、その技が振られた瞬間、動けないはずの黒狼オルグが突如動き出し…
ガシィィーーーン!
 ウォーハンターの爪技を右手で防いで…シルバーの放ったガオの宝珠を全部受け止めた。
「な、何!?」
「必殺技を受け止めた!?」
『グゥゥ…がぁぁぁ!』
バキィィーーーン…
 黒狼オルグに片手で受け止められた爪技は、流され…勢いを緩めることなくシルバーのレーザープールを破壊させた。
「「ぐぁ!」」
 二人はその衝撃で、吹き飛んだ……少し後退して、シルバーとウォーハンターは…再び剣を構え…
「何て奴だ、同時の必殺技を受け流すとは…」
「ち…、宝珠を全部奪われた…」
「何だって!?やっぱり奴の狙いは体……自分にあう、もう一つの体を捜していたんだ!」
 その体の材料となるのが…PA…そう、ガオウルフと言う自分に適した体だ…
「ちっ!奴がもし、自分の体を持ったら大変な事になるぞ!!」
「ガオハンター・イビル…邪なる王のそれになってしまう……」
「ああ、それにもっと酷い事が、起きるかも知れない…」
 宝珠を持った、黒狼オルグは首を捻り…オルグスピアを地面に突き立てると、地面から気を集め始めた。
「何が起こるんだ、まさかこれから!?」
「いやっ!違う、あれを見ろ!黒狼オルグの体が変化してるぞ!」
 黒狼オルグは大地からあふれる気を浴びながら、徐々に自らの体を……文字通り、『分離』させたのだ。
『分離』と言うよりは、分身と言った方がしっくり来るか…黒狼オルグは一気に3体まで、増える。そしてその3体の内の2体がもう一人分身する…
「黒狼オルグが…5人に増えた!!」
「一気に止めを刺す気だろう…奴はそれから、邪魔者が消えたところをゆっくりと、自らの体を作ろうとするに違いない…」
 シルバーは冷静だが、緊迫した声でそう言った…ウォーハンターも互いに背を合わせて周りを包囲する黒狼オルグ達に刃を向けた。
「だけど、諦める訳には行かない!!そうでしょう!シルバー!」
 黒狼オルグが、オルグスピアの先端を二人に向け…エネルギーを充填し始めた…
「ここで諦めたら、また千年前と同じ結果を生む!だから、諦める訳には行かない!!」
バシュー!バシュー!
 オルグスピアの先端からビームが連射され、二人はその中で、刀でビームを素早く反射された。五人の黒狼オルグから連続的に放たれるビームを二人は何度も反射させるが、そのマシンガンのごとく放たれるビームに次第に体力を失われ、ついには二人に命中する…バランスを崩したのを最後に、二人はその連続攻撃の餌食と化した。
 ビームが地面に着弾して、砂煙が立ち込める…だが、黒狼オルグは攻撃の手を休めなかった……

 そして、砂煙が収まった後には…変身が解けぼろぼろになり、折り重なるように倒れている、シルバーと陽介がいた…
「がは…」
「ぐぅぅ…」
 陽介は血を吐きながら、近づいてくる黒狼オルグを睨みつけた。
「……ちっ!」
 落ちている、刀に手を伸ばそうとするが…近づいてきた黒狼オルグに足で刀を遠くまで飛ばされる。
「あ……」
 アグルストーンの欠片を持つ、陣内榊の片割れ……その思念は消え、ただ人の可能性を消す為に動く物と化した、黒狼オルグは……元は自分の息子だった少年の頭に向かい…オルグスピアを振り上げる…
『がぁぁ…死ね…』
「と…父さん…」
『ぐ…がぁ!』
 その言葉を聞き…一瞬だが、黒狼オルグは後ろによろめいた…だが直ぐに持ち直し、再び、オルグスピアを向け…
『死ねぇ!』
 陽介に向かいそれは振り下ろされた……陽介は振り下ろされる絶望に目を閉じた。

…大丈夫だよ…

ズバァァーーーン!!
 誰かの声が一瞬耳に聞こえたと思った瞬間、黒狼オルグに何かが命中して、爆発していた。
『グァオ!』
「は…!?」
 陽介は目を開けると、黒狼オルグを撃ったビームの入射角を辿って見た。平地の小高い丘の上から黒狼オルグに向かって、ビームを放ったのは…紛れも無い、ガオレッドだった。
「レッド!!」
「水臭いじゃないか!俺たちに黙って二人で敵に向かうなんてさ!!」
 レッドはそのビーム砲、『ガオメインバスター』を肩に掲げるとシルバーに向かって言う。
「よう、夜のデートにしちゃ…ボロボロじゃねぇか」
「ほんと!無茶するよね!」
「二人とも!大丈夫っすか!?」
 レッドに引き続き、増援に現れたイエロー・ブルー・ブラックも叫ぶ。
「ああ、陽介君大丈夫!?…もう!陽介君の可愛い顔に傷つけた罪!重いんだからね!」
 最後のホワイトが黒狼オルグに向かった叫びに全員が『えっ!?』と言い、陽介もはぁっと、溜息をつく。
「二人とも!ぼさっとしてないで!今のうちに、離れろ!!」
「解った、陽介!立てるか…」
「何とか……」
 5人の出現に、分身した黒狼オルグは気を取られている…その隙に、2人は黒狼オルグ達から離れた。
 黒狼オルグは新たに現れた5人を睨みつけ、唸り声を上げて…飛び掛った。
「レッド、一斉にかかってきたぜ…」
「ああ…だけどあいつ等は元は一人、他は皆幻だ!俺たちは一人じゃない!!みんな!行くぞ!」
「「「「おう!!」」」」
 全員はそうそう言い、襲い掛かってくる黒狼オルグ達の向かって飛び掛って行った。
「だぁぁ!!いくぜ!」

「さっきの借りを返させてもらうぜ!」
 先にイエローが一体の黒狼オルグに切りかかった。専用武器、イーグルソードの刀身にエネルギーを充填してX字を描くように斬りつけた。
「ノーブルスラッシュッ!!」
 X文字に斬られた黒狼オルグを切り裂き、斬られた黒狼オルグは落下しながら煙のように消えて行った。
「お次は、おれだ!」
 次に、斬りかかったのはブルーだ、両手に持つトンファー型のカッター、シャークカッターを両手に持ち、刃にエネルギーを充填して外側から内側へと横に斬った。
「サージングチョッパー!!」
 両側から首を切られた黒狼オルグの一体は、さっきと同じように消えて行った。
「ぬおぉぉ!次は自分だぁ!」
ガシィィーー!!
「ネバギバァ!」
 今度はブラックが突進する…黒狼オルグの一体を持ち前のパワーで押し返し、そして手に持たれた、斧…バイソンアックスを振り上げ…エネルギーを充填して斜め袈裟に豪快に振り下ろした。
「アイアンブロークン!!」
 叩き落された、バイソンアックスに黒狼オルグは斜めに切り落とされ…同じく消えて行った。
「行くわよ!!たぁ!」
 ホワイトは、ジャンプして…虎の頭にバトンを上空から十の字に斬りつける。
「白虎十文字斬り!!」
 十文字に斬られ、黒狼オルグは消えた。4体が煙となって消えて行き、一体の黒狼オルグが残った。
「こいつが本物か!?」
 レッドは自分専用の武器であるライオンファングを両手に持ち、エネルギーを集め、斜め袈裟に叩き付ける。
「食らえ!ブレイジングファイヤー!!」
 炎に包まれた爪が、黒狼オルグを襲い…黒狼オルグは炎に包まれ、吹き飛ばされた。
『がぁぁ!!』

 その間にシルバーと陽介は、ケアスピリットレイで回復して…5人の元に戻ってきた。
「よし!陽介!」
「はい!」
 シルバーは、ブレスレット型変身アイテム…Gブレスフォンを取り外して、展開させて。
「ガオアクセス!」
 その変身コードと共に、Gブレスフォンのスイッチを押して…
「Summon、Spirit、of、the、earh」
 Gブレスフォンが閉じ…ガオウルフの力が、シルバーの体に銀色のスーツを装着させ…最後に頭に、ガオウルフの形をしたヘルメットを装着して、変身を完了させた。

「ロンギヌゥゥーーーース!!」
 陽介は天空に左腕のブレスを掲げると、光が夜の雲を切り裂いて…空へと上がって行った。その光は、SUP極東支部から、陽介の専用機…天槍を呼び、風を切り…陽介の上空へと現れた。
「光波!招来!!」
 陽介はマフラーを天高く投げ……ブレスを天槍に向けて掲げて…その変身コードを言うと、天槍から放たれた光波が陽介の体を包み込んで…
「光電子修復……100%完了…『狩人』修復完了…」
 強化服のダメージを負った部分は、修復され…そして、落ちてきた黒いマフラーを首に巻き付けて…変身完了する…

 よろめく、黒狼オルグに…7人は並び…
「灼熱の獅子!ガオレッド!!」
「孤高の荒鷲!ガオイエロー!!」
「怒涛の鮫!ガオブルー!!」
「鋼の猛牛!ガオブラック!!」
「麗しの白虎!ガホワイト!!」
「閃烈の銀狼!ガオシルバー!!」
 全員が、名乗り…地面を一度這う様に手を地面につき…決めポーズを取り…
「命ある所、正義の雄たけびあり!百獣戦隊!ガオレンジャー!」

 ウォーハンターは腕を組んで後ろを向いて…
「闇を斬り裂く一筋の光源……ウォーハンター『陣』…推参っ!」
 首に巻いた黒いマフラーの『狩人推参!』の文字が見えやすいように翻し、ウォーハンターは名乗った。
『がぁぁ…』
 よろめく黒狼オルグは、それでも立とうとして、オルグスピアを振り上げて向かってくる。
「アグルストーンを…親父を返してもらうぞ…」
 黒狼オルグに向けて、陽介が前に出て…刀を前かがみに構えて……。
「地獄の番犬の爪が、地獄へと誘う…参重殺爪っ!」
 シロガネ戦の時に使った、防御・回避の不可能の爪技…刀を縦に振り下ろすと、左右と真上から同時に三つの爪が襲い、系9回の斬撃を黒狼オルグに与えた。
バシュッ!ガシュッ!ドシュッ!
 全ての爪が黒狼オルグに切りつけられる…
「みんなの心を一つに!!」
 ガオレンジャーの5人の専用武器を一つにして…一本の長い剣にすると、レッドとシルバーが持ち、他の4人が横から…方を支える。
「破邪!百獣剣…」
 その剣を大きく振りかぶり…出現した光の刃が動きが鈍くなった黒狼オルグを真っ二つに斬りつけた。
ザシュゥゥーーーー!!
『がぁぁぁぁーーーーーーー!!!』
 斬られた、黒狼オルグの咆哮が鳴り響いた……
「邪気…退散…」
 シルバーがそう呟き、黒狼オルグは何度も体が爆発して…膝をついた…
『がぅぅ…がは!』
 口から、黒狼オルグは血を吐いた…
「黒狼オルグ…アグルストーンを取り出させてもらうぞ…」
 そう言い、陽介は刀を鉄血無爪の構えにする…だが、黒狼オルグは先ほどシルバーから奪った、3つの『ガオの宝珠』を手に集めると…自ら崩壊寸前の体にその3つを全て叩き割るように埋め込んだ。
 自らの手を突き刺した黒狼オルグの胸の装甲版は砕け…黒狼オルグはその苦痛からか…巨大な咆哮を上げた。
『がおぉぉぉーーーーーーーー!!!』
 それは谷に反響して、やまびことなり響き渡った…


 NEXTミッション⇒

多分、次で最後!黒狼オルグとの巨大戦が始まるぞ!
後書きはその時に!!



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