「破邪!百獣剣…」
 その剣を大きく振りかぶり…出現した光の刃が動きが鈍くなった黒狼オルグを真っ二つに斬りつけた。
ザシュゥゥーーーー!!
『がぁぁぁぁーーーーーーー!!!』
 斬られた、黒狼オルグの咆哮が鳴り響いた……
「邪気…退散…」
 シルバーがそう呟き、黒狼オルグは何度も体が爆発して…膝をついた…
『がぅぅ…がは!』
 口から、黒狼オルグは血を吐いた…
「黒狼オルグ…アグルストーンを取り出させてもらうぞ…」
 そう言い、陽介は刀を鉄血無爪の構えにする…だが、黒狼オルグは先ほどシルバーから奪った、3つの『ガオの宝珠』を手に集めると…自ら崩壊寸前の体にその3つを全て叩き割るように埋め込んだ。
 自らの手を突き刺した黒狼オルグの胸の装甲版は砕け…黒狼オルグはその苦痛からか…巨大な咆哮を上げた。
『がおぉぉぉーーーーーーーー!!!』
 それは谷に反響して、やまびことなり響き渡った…


機動狩猟者
ウォーハンター『陣』
ミッション9『究極天地轟鳴覇奥儀・光翼龍突貫』


「ど…どうしたんだ、あいつ…」
「まずい!黒狼オルグは、俺から奪った宝珠から…PAを召還するつもりだ!!」
「何、でもなんで…」
「さっきの戦闘で、体が何度も傷つき…オルグの体を保てなくなってるのです…、だから…黒狼オルグは新しい『体』を欲する、つまり…ガオハンターが自分の体に相応しいと分だのでしょう…」
「とか言ってるうちに、来たよーっ!」
 ブルーが指差すと、そこにはもうシルバー専用の三体のPAが、こちらを睨みつけていた…銀色の狼、シルバーと主に心を通わせるガオウルフ、空中に浮ぶシュモクザメ…ガオハンマーヘッド、PA最大級の巨体を持つワニ…ガオリゲーター。
 三対を背に黒狼オルグは立つと、3体に向けて飛び上がる…
「まずい!!」
 黒狼オルグをガオウルフが食うように取り込むと…黒狼オルグはこう唱えた。
『魔獣合体!!』
 ガオリゲーターの巨体が変形し、それを主体にガオウルフとガオハンマーヘッドがその周りを飛び交うように変形して体を形成したガオリゲーターと合体する。
 そして、狼を模した頭が生えるが…一度人間みたいな頭が、閉じるように狼の頭に戻り…額から一本の角が生える。
 腹のガオリゲーターの巨大な口が開き…ここに、邪なる王が咆哮をあげる…
『降臨!ガオハンター…』
 そういい、黒狼オルグは…ガオハンターの操縦席に入り込むと、自分の体から無数の触手を伸ばし、ガオハンターに取り付いた。
「まずい、ガオハンターを完全に取り込もうとしている!」
 その巨体は一歩一歩、7人に歩み寄って来る…
「く…ガオハンター…」
「シルバー!ガオハンターを取り戻すには、ガオハンターに接触するしか方法がありません。俺に考えがあります!ガオレンジャーは早くPAを呼んで!」
「解った、俺はお前を信じる!」
 ウォーハンターの言葉に、シルバーも強く頷く…
「よし!そうとなれば!みんな!行くぞ!」
 レッドの掛け声と共に、五人は「おー」と言い…全員で円陣を囲んで、獣皇剣に自分のガオの宝珠を挿入し五方星を描くように、獣皇剣を囲んだ。
「百獣召還!!」
 レッドの叫びと共に掲げると、剣から聖なる音色が響き渡り、それが天空島のPA達に届いていった。
 空から駆けてくる、5体のPA…緑色のゴリラ型のガオゴリラ、白と黒の熊型のガオポーラー、ガオベアー、仲良く駆けて来る。そして、ガオキングの下半身になる、ガオバイソンや胸の部分になるガオイーグルが駆けつけてきた。
「百獣合体!」
 その声と共に、5体のPAは変形して合体して行った。ガオゴリラの強靭な筋肉のボディにガオポーラー、ガオベアーを腕して、ガオバイソンとガオイーグルの合体した下半身と合体する。
「ソウルバード!!」
 上空から、一風変わったPAが現れる…それに5人は飛び乗り、その合体した巨大精霊の背中に突っ込む…
「ソウルドライブ!ガオマッスル!!」
 そのPA、ソウルバードは巨大精霊の心臓部となり彼らのコックピットにもなるらしい。
『誕生!ガオマッスル』
レッドがガオマッスルを戦闘開始させるのを見計らって…ウォーハンターも、ブレスを掲げると…
「ロンギヌゥゥーーーース!!」
 上空に先ほど飛来した、陽介の専用機…天槍が陽介の前に飛来した。
 陽介とシルバーの前に降り立つと、2人はジャンプしてそのコックピットまで飛んだ。
「シルバー、乗ってください!」
「解った!」
 陽介は操縦席の前に座り…シルバーも後部の座席に座る…
「離陸と同時にブーツを本部より発射、バトロイドモードに合体行動に入る…」
 コックピットを閉めると…陽介は直ぐに離陸させる…
「ブーツ射出!!」
 上空から、天槍の足となるプラスパーツが飛んできて、天槍も合体の為に上半身に変形して、翼部からアームが伸びる…変形した天槍にブーツが合体して、ブーツも足に変形。
 最後に頭部が出現して、15m級の青い閃光の巨人が覚醒する。
「合体変形完了、ロンギヌス・バトロイドモード」
「陽介、頼んだぞ!」
「任せてください!!」
 ガオマッスルと並び、黒狼オルグの乗ったガオハンターイビルと対峙する。60m級のロボットに対して、ロンギヌスは圧倒的に小さい…だが、陽介のパイロットとしての実力も伴い、その威力と性能は彼らを上回った。
「ガオマッスルとロンギヌスでガオハンターの動きを封じて、ガオハンターを押さえてる間に、ロンギヌスで取り付きます、シルバーはその間にガオハンターの内部に侵入して黒狼オルグを引っぺがしてください!ガオハンターという強力な体を手に入れたとはいえ…所詮は外枠に過ぎない……ですがコアとなりつつある黒狼オルグは、ガオハンターに取り付こうとして、力を100%発揮できないはず」
「解った!」
『こっちも了解だぜ!よし、みんな!行くぜ!!』
 ガオマッスルがガオハンターに向かって先攻する…ロンギヌスも飛行しながらガオハンターに近づく。
『捕まえるぞ!!マッスルアンカー!!』
 ガオマッスルは、腕に先端に錨の付いた鎖を持ち、振り回してガオハンターに向かって投げつけた。
『グゥゥゥ……』
ジャキィィーーン!!
 そのマッスルアンカーをガオハンターは、ガオリゲーターの尾の形をした巨大な剣リゲーターブレードで斬り捨てる。
『ちっ!陽介!!』
「だぁぁぁぁーーーー!!」
 上空から、シルバーを乗せた陽介のロンギヌスが落ちてくる。
「陽介、なるべくガオハンターには手加減をしてくれ……」
「解ってますって、ビームサーベル!」
 ロンギヌスは、ビームサーベルを展開させ、両手で持ち振り下ろした。
ビジィィィ!!
 リゲーターブレードで、ビームサーベルを受け止めて…ガオハンターはパワーでロンギヌスをいなした。
『ガァァ!』
「ロンギヌスのパワーでは負けてしまう……」
ドシュ!
 ロンギヌスは翼部を展開させて、ミサイルを撃ち…ガオハンターに食らわせる。ガオハンターはミサイルで、よろめく…
「これでは、ガオハンターに取り付けない」
『シルバー!すまない!』
 地上でガオマッスルが、両腕を曲げて…パワーを充満させる…
「レッド!あれを使うつもりか!!」
『ああ、でも加減はするぜ!ガオハンターがよろめいたら、俺達がガオハンターを捕まえる!!その隙に取り付け!!』
「……仕方が無い…レッド!任せたぞ!」
『おお!』
 ガオハンターは向かってくるガオマッスルに、リゲーターブレードを振り上げる。
『剛力無双!!マッスルラリアット!!』
 ガオマッスルは、パワーを込めて左腕を振り下ろし、リゲーターブレードを叩き落し、右腕を振り下ろして、フィニッシュしてガオハンターの体に叩き付けた。
バシィィーーー!!
「大丈夫か…ガオハンターは…」
「マッスルラリアットは一発しか当たってません、大丈夫…行けます」
 ガオハンターはマッスルラリアットの一撃に膝を落とす…
『よし!ガオハンターを押さえ込むぞ!!』
「陽介、頼む…」
「はい!…え?待ってください、ガオハンターの胸部に強力なエネルギー反応!」
「何だと?これは…まさか!レッド!!避けろ!!」
 ガオハンターは狙ったかのように立ち上がり、ガオリゲーターの口部を展開させて…口の中にエネルギーを集中させ…
『天地震撼…ビーストハリケーン!!』
 3体のパワーアニマルのエネルギーを破壊光線にして放つ、光線はガオウルフの幻影と共に、ガオマッスルに放たれた。
『ちくしょう!氷牙炎滅!ベアーストライク!』
 ガオマッスルの両腕のガオベアー及びガオポーラーの口の中の砲門を展開させて、右腕から冷凍光線、左腕から火炎光線をで同時発射して、ガオハンターのビーストハリケーンに対抗したがパワー不足で、ビーストハリケーンを押さえ切れない。
「いけない、このままだと!スペースレーザー砲展開!カイザーファングをフルパワーで叩き込みます!」
 ロンギヌスはコックピットの下のスペースレーザー砲を展開させて、レーザー砲にエネルギーを集中させる。
「座標軸固定……ターゲットロック、チャージ完了、最終接続…オールグリーン!行け!!カイザーファング!!」
ザァァァーーーーー!!
 スペースレーザー砲から狼の形をしたビームを発射して、二つの光線を交差している中心に叩き込んだ。
『陽介か…ならこっちも!やる気満々だぜ!!』
 ガオマッスルもベアーストライクの出力を上げて…二つの光線はビーストハリケーンを押し返していった。
「はぁぁ!!」
 ビームを入射角を変えながら、ガオマッスルの両腕の間にロンギヌスは下り、ガオマッスルの放つベアーストライクと合体して、ビーストハリケーンと交差して見事…相殺した。
バゴォォーーーーーン!!
『がぁ!!』
『うわ!!』
「ぐはぁ!」
 相殺した強烈な衝撃にガオハンターもガオマッスルも、ロンギヌスも倒れこんだ。
『陽介…大丈夫か!?』
「はい、ガオマッスルのほうは?」
『こっちは大丈夫だ、ガオハンターを押さえるだけの力は残っている……』
“破損率32% ブーツに集中 ブーツ機能緊急停止 ”
「ブーツの破損率が高い、分離します」
「ああ!」
バコン!
 ロンギヌスは上半身をブーツから分離させ、戦闘機形態に戻った。
『よし、押さえ込むぞ!ガオマッスル!』
 ガオマッスルは、立ち上がり…なおも攻撃を仕掛けようとする。ガオハンターに向かって歩き出した。
「させるか!」
 天槍が上空からのミサイル攻撃で、ガオマッスルを援護する…ガオハンターはミサイルの直撃でよろめくと、その隙を突いて、ガオマッスルが後ろに取り付いた。
『がぁぁ!!』
「ち!俺の操縦をなめるな!!」
 ガオハンターはガオマッスルのパワーに押さえ込まれ、咆哮と共にガオリゲーターの口からビームを発射する。天槍はそのビームを避けながら、ガオハンターに近づく。
『陽介、早くしてくれ、こっちもそう長く持たない!』
「解りました!」
天槍はガオハンターの頭部に接近するとコックピットを開く…
「シルバー、気をつけてください!内部は手薄といっても相手は黒狼オルグです!」
「解ってる、奴の居る場所は……俺が奴をガオハンターから引き離す、お前はその瞬間を狙って、奴を撃て!」
「はい!」
 シルバーは天槍から下りて、ガオハンターの肩に取り付くと、首の根元から進入した。陽介はそれを見送るとガオハンターから離れた。
「シルバー…上手くやってくださいよ」
 天槍の中から陽介は切に願った…

ガオハンター内
 ガオハンターのコックピットに入った、シルバーは目の前の光景に息を呑んだ…。
「ガオハンターの核となろうとしているのか…」
 操縦席の中ではガオハンターの体に取り付くように、触手を何本も操縦席の至る所に心臓の血管のごとく…黒狼オルグを中心に取り付けていた。
『がぁぁーーー』
「ガオの宝珠!そこにあるのか……」
 黒狼オルグの胸には、三つのシルバーが持つガオハンターを構成する宝珠がはめ込まれていた。
『グアアアーーー!!』
 黒狼オルグは触手を伸ばして、シルバーを攻撃してきた…シルバーは、ガオハスラーロッドをサーベルモードにして襲い掛かる触手を、斬り…一閃した。だが、触手はそれでもシルバーに何本も伸びてくる…
「たぁ!外側が強固な体で守られているのなら…内側のコアの守りは手薄!」
『ヌガァァーーー!!』
 触手がシルバーの周りを取り巻き締め上げた。
「スナイパーモード!」
ズダダダダ!
 締め上げていた、触手をガオハスラーロッドを変形させて銃弾を四方に浴びせて触手をバラバラに粉砕した。
「陽介の言う通りだったな、ブレイクモード!!」
ジャッ!!
 ガオハスラーロッドをブレイクモードに変形させ…黒狼オルグの間合いに入り込んで、の切っ先を黒狼オルグの胸に向ける。
「ガオハンターを…返して貰うぞ!」
 切っ先を向けた途端、黒狼オルグの胸の三つの宝珠が光りだす…
「たとえレーザープールが無くとも…破邪聖獣球!!」
『がぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!』
 シルバーはその光る宝珠に向けて、ガオハスラーロッドを突き立てた。黒狼オルグの体内でまるで跳弾するように放たれた宝珠は暴発し、黒狼オルグの体内を駆け巡り破壊しながら黒狼オルグの背中から突き抜け飛び出た。
「邪鬼玉砕…」
バシュウゥゥーーーーー!!
 黒狼オルグはその衝撃でガオハンターの操縦席から引きちぎられて…ガオリゲーターの口から吐き出されるかのごとく外に飛び出してきた。それを外から確認したガオレンジャーと陽介は…
『今だ!!陽介!!』
「了解…座標軸固定…入射角OK…ターゲットロック、バランサー及び、リミッター解除完了…システムオールグリーン!」
 天槍は、空中に投げ出された黒狼オルグに向けてエネルギーを放ちながら高速に飛んで光の槍となって黒狼オルグに向かって行った。
「これで終わりだ!黒狼オルグ!スパイラルファントム!!」
 空中を青い炎を纏ってドリルの如く回転して、UFOのように俊敏に飛行して黒狼オルグに向かって高速に突貫した。光の槍は、黒狼オルグに突き刺さり…貫いた。文字通りそれは…天を切り裂く戦いの天使ルシファーの槍、『ロンギヌスの槍』
『グオオオオオオォォォォーーーーーー!!!』
ズガガガァーーーーーーーーーン!!
 貫かれた黒狼オルグは、バラバラに粉砕され緑色の液体となって、地上に降り注いでいった。その中に…青い光を発見した陽介はコックピットを展開させて飛び…その光を受け取った。
パシ!
「『体』のアグルストーン…我が手に…」
 陽介の手には、青い光を放つ…半球状のアグルストーンの欠片が握られていた、
「親父を一つ…取り戻した……」
 陽介は、コックピットを閉めてアグルストーンの欠片を握り締めた…ここに自分の父親が居る、そうアグルストーンのぬくもりを感じていた。
『やったな、陽介!』
 ガオマッスルが地上から手を振っている、ガオハンターのほうもシルバーが搭乗したため、イビルからジャスティスへと変化して…
『陽介…良かったな、父親を取り戻して…』
「シルバーも…ガオハンターを取り戻せて…良かった」

 地上に落ちた、黒狼オルグの残骸である緑色の液体を…
「ふぉっふぉっふぉ、ガオレンジャー…それに、ウォーハンターとやら、黒狼オルグがこれでは終わらないでおじゃるよ、ツエツエ!」
「は!オルグシードよ…消え逝かんとする邪悪に、再び巨大なる力を!」
 ウラの命により、デュークオルグツエツエの杖から放たれた、無数のオルグシードにより、倒されたオルグを復活させる儀式。
「鬼は内!副は外!」
 放たれたオルグシードは、黒狼オルグの残骸に入り…豆の木を形成するかのごとく巨大になって行った。巨大化していく、黒狼オルグはそれまでのオルグとは違い…より巨大に・より凶悪に…そして、千年の邪気により…強力な恐怖の闇を放ち、巨大化して行った、大きさから、100メートルは越しているだろう、そしてアグルストーンが抜けた事で…千年の邪気のみが支配する体は、禍々しく変化していた。
「ちょ、ちょっと…ウラ様…こりゃ、強烈過ぎやしませんか!?」
「ああ…あたし、やらない方が良かったかしらん…」
 ウラの後ろで、その巨大な影を作る黒狼オルグにヤバイバとツエツエは両手を取り合って、それを見上げていた、だがウラは物腰落ち着いた雰囲気で…
「何を言うか、見るでおじゃる!これが、千年の邪気が作りし、最高傑作でおじゃる!」

『何だよ!倒したんじゃないのか!?』
「アグルストーンが取られて、核を失った体が…千年の邪気を媒体にして、暴発しているのです…」
『ツエツエのオルグシードで、ここまで邪悪で巨大になるとは…これが俺が宿した、千年の邪気の姿か』
 ガオマッスルもガオハンターも、天槍も慢心相違…それを尻目に…黒狼オルグは更に巨大化していった。ガオハンターやガオマッスルもその影に隠れてしまう。
『何だかまだ大きくなってない?』
 ガオマッスルに乗っている、ホワイトが見上げて言う…もう黒狼オルグは200メートルと巨大な姿となって、地面に根を張るように足はへばり付いた。
『こんな奴が街に行ったら…』
「諦めてはいけません!コアを失った黒狼オルグは、巨大化をするだけの奴だ!俺たちの力を一つにして、ぶつければ!奴は粉砕するはず!」
『しかし、どうやって……』
『そうだぜ!策はあんのか!?』
 シルバーに続き…イエローも陽介の言葉に反論する…陽介は飛行しながら2体の真ん中に行き…
「俺がスパイラルファントムで突っ込みます……みんなは俺に全エネルギーを集中させてください」
『特攻するのか!?』
『何!?そんな事したら、君の機体が…君の命が!!』
「大丈夫です、皆さん…俺には、親父がついている…絶対に、死ぬつもりは絶対にありません!この一撃に全てをかけましょう!!」
 アグルストーンの欠片をギュッと握り締めると、それに反応するように青い光が陽介の拳の中から漏れる。
『…解った、オレは陽介にかけるぜ!』
『ちぇ、少しはかっこつけさせろよな…』
『一撃で決めるかぁ…うんやろうよ!』
『自分も!ネバギバだぁ!!』
『陽介君、無茶しないでねぇ…』
 ガオレンジャーのみんなが口々に言い終わると、満身相違のガオマッスルは分離して今度は天空島からガオキングになる為の5体のPAが下りてくる。
『陽介…お前に全てを掛ける事にする……一撃で決めろ!』
「はい!天槍、全パワーを機首に供給!」
 陽介は天槍の全エネルギーを、機体の先に集中させた。そして、陽介は心の中のもう一人の自分…月代恋香に呼びかけた。
『誕生!ガオキング!』
 ガオキングが完成して…天槍の後ろに飛んだ。
「恋香…この一撃に全てをかける」
…うん、解った…陽介。アグルストーンの力を全て注ぐよ…でも、ガオキングのパワーとアグルストーンの力をそのまま天槍に注ぎ込むと、本当に機体がバラバラになるかもしれないよ…それでも、陽介はやるの…
 心の中で陽介に恋香は聞いてきた…陽介、いやウォーハンターはアグルストーンを目の前に掲げると…
「俺は、死ぬつもりはない…まだやる事が山ほど残ってるからな、だから…こんな所で負けるつもりは無い!」
…陽介…解った、アグルストーンの力を解放するよ…
「頼む、失敗は俺たちの死だ!」
一発きりの弾丸…その的を外せば死を意味する…この一撃に全ての魂を込める、陽介と恋香・そして…ガオレンジャーの全員の心が一つと重なった。
…青い生命の輝きを持つ、神の石よ…私の願いを叶えてください……
「行くぞ!アグルストーンよ!我の前にその力を示し、我の力となれ!!」
 天槍が、より強力な青い光を放ち…黒狼オルグへとまさに、光の速さで突貫して行った。その後ろから、ガオキングが五体のPAの口を開口させ…
『行くぜ、受け取れウォーハンター!!』
 ガオキングからソウルバードにより強化されたガオソウルが放たれて、五つの光が天槍へと集中して行った。
全ての光が天槍へと集う時…全ての魂は一つとなり…天槍は虹色に輝き…光の翼を持った龍となって、その飛行速度は光を超えた。

『究極天地轟鳴覇奥儀!!!スーパーアニマルハート!マックス・スパイラル・サイクロン!!!!』

 光の翼を持った龍は、甲高い方向を上げながらなおも巨大化を続ける黒狼オルグへと突っ込んでいった。
ズバァァァァーーーーーーーー!!!
『ぐおおおおおーーーーーー!!!』
バゴォォーーーーーーーーン!!!
 黒狼オルグの背中を食い破って突き抜けて…光の龍は天に神々しい光を放って昇っていった。
 黒狼オルグは光の翼の洗礼を受け、その闇の体が溶けるように消滅して行った。ついに、消滅した黒狼オルグは天に昇って行った。

 空に消えた黒狼オルグの去った空から、何かが落下して来た…
『あれは…陽介の天槍!!』
 シルバーはそれに気づいて、おぼつか無いガオハンターを立ち上がらせて、それに向かって飛んだ。
 落下してくる天槍は、機体全体がボロボロとなって…もう飛ぶ力も無い鳥のように地面に向けて落下してきた。それを、ガオハンターが受け取ると…地上に降りたった。
『陽介!大丈夫か!?返事をしろ!陽介!!』
 シルバーはガオハンターから、天槍に向けて叫んだ…反応がない、コックピットのガラスが割れて穴が開いている、もしかしたら陽介は…その不安がシルバーによぎった。
『まさか…駄目だったのか…』
 表情を歪めるシルバー…陽介は死んでしまったのか…
バキッ!
 だが、コックピットのガラスが何者かにより蹴破られ…中からウォーハンターが顔を出した。ウォーハンターのスーツも所々、黒く焼け焦げていた。
「勝手に殺さないでください…俺は生きています…」
『陽介…良かった』
 変身を解いて、陽介はガオハンターの腕の中でガッツポーズをする…
 そして、長い夜が終わり、朝日が顔を出してきて、陽介の頬をてらす。

 ミッションコンプリート……


 違う場所では、倒された黒狼オルグの中から放出した千年の邪気を集めて行った。
「ふふふ…ガオレンジャー、そしてウォーハンターよ、まさか…伝説のガオドラゴンが現れるとは思っても見なかったでおじゃるが、黒狼オルグに勝てたからと言って…千年の邪気は消えないでおじゃるよ……お主らのお陰でより強いオルグがまた作れるでおじゃる…ふぉっふぉっふぉ!」
 不適な笑みを浮かべながら、ウラは暗黒の闇に身を隠すようにその姿を消していった。
「う…ウラ…しゃま…」
「こ、これは、ヤバイバ…」
 二人のデュークオルグは、さっきの衝撃を食らって伸びていた…


 咆哮山近くの国道で…任務を終えて、アグルストーンをポケットにしまい…バイクで去ろうとする陽介がいた。
「おーい、陽介ぇ!」
 振り返ると、戦いを終え…笑顔で駆けてくるガオレンジャーの面々が居た。
「水臭いぜ、何にも言わずに帰るなんて…」
「ったく、最後まであの人たちと同じように帰りやがって…」
「すいません、でも俺の任務は終わりました……帰って本部に報告しないと…」
 陽介はバイクから降りて、謝罪をする…
「でも、良かったな…その石、親父さんの意思が入ってるんだろ」
「ああ…これで一つ親父が取り戻せた……協力してくれた皆さんには何てお礼を言ったらいいか…」
「いいっての、困ったときはお互い様だよ…SUPも俺達も…」
「そうよ、でも私は陽介君が困ってる時はいつでも駆けつけるからね…」
『え!?』
 ホワイトの台詞で、男性陣全員がエッ?と声を合わせる。どうやらファンがまた増えたようで、陽介もただ苦笑いを浮かべるだけだった。
「ははぁ…そん時はお願いします…」
「うん、任せといてね」
 そして、最後にテトムとシルバーが陽介の前に来て…
「陣内陽介さん、本当にありがとう…黒狼オルグの脅威をガオレンジャーと協力してくれた事を、ガオの巫女として…深く感謝しています」
「SUPを代表して、あなた達に会えた事、共に戦えた事に…大変光栄に思います」
 そう言い、陽介はガオレンジャーの面々にビシッと敬礼した…みんなも少し笑って、陽介に倣って敬礼する。
「敬礼なんて似合わないぜ…よーすけ」
「そういわないでください、イエロー……最後にシルバー、あなたに会えて良かった」
 最後に、シルバーに向かって陽介は話しかけた。
「シルバー、あなたには…皆さんと同じ、『スーパー戦隊魂』がありました…さっきの戦闘で、それが解りました」
「スーパー戦隊魂…」
 それは、レッド達がはぐれハイネスと戦った時…陽介の上司である、番場達が五人に教えた言葉…見失いかけていた、正義の心を呼び覚まし、はぐれハイネスを倒した力。
「千年の邪気は、消えない物です…ですが、あなたとガオレンジャーが力を合わせれば、必ず消せるはずです…どうか、諦めないでくださいね」
 そう言うと、さっきまで硬かったシルバーの表情が柔らかくほぐれて…
「そうか…俺も陽介に会えて良かった。同じような境遇を持ち、それぞれ探す物、倒すべき者がある。お前は…見失うなよ…自分の中に居る、神奈様を…」
 そう言い、シルバーは手を差し出してきた。
「あなた達が苦戦しているときは、何時でも駆けつけます」
「そっくりそのまま返すぜ、その台詞…」
 ガシッと硬く二人は握手を交わした…そして、ガオレンジャーの面々に再度敬礼をした陽介はバイクに乗って、国道へと戻って行った。
「では…さらば!」
 陽介は手を振り、ガオレンジャーの皆に別れを告げてバイクを走らせた…
『いい人たちだったね、ガオレンジャーのみんな…』
 心の中で、恋香が話しかけてきた…陽介はにこりと笑って…
「ああ…」
 眩い太陽の光を浴びて、陽介は…国道を走り抜けて行った。


 こうして、黒狼オルグとガオレンジャー、そしてウォーハンターとの戦いは黒狼オルグの圧倒的な質量にも関わらず、ガオレンジャー…ウォーハンターの前者に軍配が上がった。
 陽介は、探していた物の一つ…アグルストーンの欠片を得て、ガオレンジャーの特にガオシルバーには…他の皆が持っていた、『スーパー戦隊魂』を受け取った。
 そしてこの二匹の狼は友情を得て、その友情の力が、すべての心をひとつにして…あの大技を出せたのだ……

 この任務を経て、陽介はまた大きく前進し…成長していくだろう。それが、彼の強さそして…優しさへと変わっていく…

 だが、これは誰も知らない……ガオレンジャーと一人の狩人の話。


黒狼激闘編…完結
 NEXTミッション⇒



設定資料集

オリジナルPA(私が独断で考え付いた、PAです)

ガオドラゴン
W90m H32m L150m。
究極天地轟鳴覇王義スーパーアニマルハート・マックス・スパイラル・サイクロンを放った時にウォーハンターの乗る天槍が変化したゴッドPA。光の翼を持ち、神の洗礼を浴びせ…悪を浄化して消滅させる。奇跡の光を持つと言われ、ガオゴッドの上を行く最強のPA。テトムさえ知らない…一説では、合体する際の腕となる二体のPAが居るらしいが。本編では、必殺大技を繰り出した際に出現して、一瞬で消えていった。

ウォーハンター新装備

ランドライノス
身長3.4m 体重240k
武装:ランドホーン
 陽介のバイクを結城丈二の開発の下、改造した強力自動変形型ロボット。市販のバイクに特殊カードを差し込む事により、ランドライノスとなる。電子頭脳を持ち、抜群の突進力を誇り、陽介の忠実な部下として動く。巨大なバイクになる事もでき最高速度500kまで出せる。
(モチーフは、知ってのとおり…メタルゲラスです…でも決して合体しません(爆))




長い後書き
黒狼激闘編
 やっと終わりました!ふう、疲れたぜ…結構かかったです。
さて総合後書きは、この回の話ごとに解説して行こうと思います。

ミッション6
シロガネ戦の二週間後の話です、陽介君の学校は夏休みになった丁度ぐらいの設定。黒狼オルグは一は第二のロウキとして生み出される設定でした。あるじさんの言うように、黒狼オルグは、ロウキと同じような外見のイメージを思い浮かべてください。でも、少し違う点もあるのでご注意あれ…

ミッション7
黒狼オルグとの初戦、ガオレンジャーはその強さに圧倒されるだけ…今回は、ガオレンジャーと陽介君、神奈様の共通点を書きました。神奈様もガオレンジャーも1000年前の存在ですからね、ですから…狼、1000年前ということで、シルバーと陽介君を絡ませました。そして、登場したウォーハンターの新メカ、ランドライノス…もし、ガイがサバイブになったら、メタルゲラスもこんな風になるんだろうなと考えたまでです。
で?なんで、狼にサイ?それは聞いちゃ駄目…

ミッション8
黒狼オルグ対ガオレンジャー、ウォーハンターの初戦…黒狼オルグは前回とは打って変わって、やられ役なんていわないこと!一応、ダークハントきっくなんて必殺技も持ってるけど一度も使わず終わった何て言っちゃ駄目!ここで注目なのはホワイト、彼女の言動がガオレンジャーの男性陣をエッと言わせてしまいます。陽介君がもてるって訳もあるんですが、ホワイト自身なんだかシルバーやレッドやら色々とっかえひっかえしている事から、もしかしたら…と思ってしまったのです。そして、7人合わせて…並んで名乗る…このシーンがやりたかった。実現して、充実した回になりました。

ミッション9
いよいよ巨大戦、私はガオハンター…ジャスティスよりイビルのほうが好きです。ですので、ガオハンターを乗っ取った黒狼オルグにより、イビル化してしまいます。それと、私はガオマッスルが好きでそれとイビルとの激闘も書きました。15メートル級の天槍も負けじと頑張っていました。前半戦は天空神みたいでかっこいい戦闘ができたと思います。後半戦は、黒狼オルグとの最終局面…アグルストーンとガオキングの力により一瞬だけど、オリジナルのPA、ガオドラゴンを出しました。ガオドラゴンは、本編に出せないほど強烈な力を持ったPAと言う設定にしています。だから、必殺技の一瞬にあらわしました。
そして…別れ、陽介君は…ビデオ編でシルバーが得られなかった『スーパー戦隊魂』を教えます。ある意味今後のガオレンジャーの展開にかなり重要なキャラとなりました。

ふう、こんなもんで総合後書きは終わります…次はウラタンダー本編3話が終わらせてから書こうと思います。何せそうしたほうが期間的に矛盾がしないから…

では、そういう事で!

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