零(あの後から名前で呼ぶ)を元の人間に戻して、数日が過ぎ…俺は、いつ敵が来てもいいように、特訓をしていた。川澄の血から貰った新しい能力の試し撃ちに、咲耶の家である天元神社の庭を借りていた。
「ふぅ〜……」
 俺は精神統一をし、変身の型を取り一気に息を吸いこんで…
「変身っ!!」
 と叫んだ。周りの森林がざわめいて…俺は仮面ライダー黒狼の姿へと変身する。そして俺の前に立て掛けてある、数本の缶ジュースの空き缶に狙いを絞り。
「黒狼チェーーーン!!!」
ジャッ!
 両腕の手甲が展開して、蛇の使っていたような鎖が飛び出し、標的の缶目掛けて鞭の様にうねる。
パコーン!
「よしっ!」
 鎖は、見事缶に命中して、弧を描き俺の手甲に戻ってきた。
「零に感謝しなきゃな!だけど、問題もあるんだよな…」
 リーチが長すぎると言う事だ……
 回想して見る……零こと、幹部怪人『蛇』はこれを本物の蛇のように巧みに操って360度四方と40mと言う長いリーチを補い、完璧な間合いを作っていた。変異体の時、近距離戦に持ちこんだ事があったが、それを簡単に回避はできずに掴まってしまった。射程範囲外40mから、黒狼ガンを撃っても弾かれたから、スナイパーキックだと無理だろう
 あの時勝てたのがすごく嘘のようだ。アンチテレキネシスのおかげか……それに対して俺の放った鎖は真っ直ぐ飛んでくれるのはいいが、蛇ほどに巧みには操れない。敵に避けられたら、戻すのに一瞬の隙ができる……もっと黒狼チェーンの弱点を克服しないと…
「よーしっ!そうとなったら、もう一回だ!」
 俺は変身したまま、缶を元に戻そうと吹っ飛んだ缶を取りに行った。
「榊……やっぱり変身してましたね」
「ん?咲耶?どした」
 社から咲耶が出てきて、俺に話しかけてきた。
「うんっ!巫女服がいつ見ても可愛いぜ!」
「変身したまま言っても何も出ませんよ……」
「はい…悪ふざけが過ぎました、んでどうしたんだ?」
「川澄先生から貰った力はどんな物ですか?」
「まっまだ特訓が必要っぽいな、でも…空き缶相手だとな〜、量産怪人が一匹二匹くらい現れてほしいくらいだ」
「そんな事言ってまた来たら、榊が弁償してくださいね」
「はっはい……」
 咲耶はそして微笑んで…4枚の札をささっと出して俺の方に向けた…
「でも、出せない事はありませんよ……」
「えっ?」
「はっ!!」
ズゥゥゥーーン!!
 咲耶が4枚の札を、地面に叩きつけると札が煙を吐き出し、その煙は段々と形を作っていった。
「なっこいつ等は!?」
 俺の目の前には4体の怪人が立ちはだかった。この前この家に現れた、鴉の量産怪人が2体に、幹部怪人『蛇』…
「榊の要望に答えまして、川澄先生も用意しました」
 そうじゃなくて…蛇の後ろにいるもう一匹の怪人は…
「黒狼…変異体」
『ぐぅぅぅぅ〜〜』
「それ等は皆、私が作り出したオリジナルの式神です、能力はまちまちですが、特に黒狼変異体のコピーには、念を十分に込めました。今のあなたと同等の力があるはずです」
「へぇ、そりゃ都合のいいこったな…こいつ等なら神社にかすり傷もつけずに特訓ができるぜ……」
「そう言う事です……さあ、特訓開始です」
「よっしゃっ!全員かかって来やがれ!」
 俺の掛け声と共に、全員が一斉に掛かってくる。


仮面ライダー・黒狼
最終章前編『本心』


カッ!
 口が開き放熱現象が起こり、力が倍増され、拳を残った量産怪人に叩きつけた。
「黒狼ッ!パンチ!!」
バシィィーーーッ!!
 拳が怪人を突きぬけ、怪人は煙となって消えた。やはり、式神でも強さは変わらないか…体が熱い……長時間の変身は体力を消耗して、体が熱くなるか…
「ふぅ…だが、残るは黒狼・変異体だけのようだな!?」
 さっきので、全員倒してしまい、最後に残ったのはあの黒狼変異体らしい。
『ぐぅぅぅーーーっぐぁう!!』
 式神の黒狼変異体だが、以前の俺と同じかそれ以上の力がある。変異体と言えど、完全体の俺の力と同等の力を持っている。スピードでは向こうが上か…油断は出来ない……
『ぐぁぉぉーーっ…』
 変異体の指がストライククローに変形して、前屈みにストライククローを地面に向けた体制へとはいる。あれは……滅殺斬の構えか…
 黒狼ナイフをとっさに出して、変異体と対峙する。
「こいっ!」
 滅殺斬は空に逃げるな……ジャンプすれば、恰好の標的だ…技の瞬間に懐に入れば……
………滅殺斬!………
 来た!間合いに踏み込め!
「黒狼!ナイフ!」
 地面をガッと蹴り、腕を振り下ろした遠心力と共に回転する変異体。俺は回転する一瞬の隙を見出し、ナイフを指し込んだ。
ジャィィン!ガツッ!
 変異体は、ナイフを避けるように回転しながら後ろに飛んだ。
「なにっ!」
「私の式神は私が思えば、その通りの行動をします…少し単純なあなたの時より私の方が勝っているかもしれませんよ…」
「頭は咲耶で、力量は俺と同等か……上等!来いっ!」
 回転をしながら、変異体は反転して俺に向かってくる。俺はナイフを落とし向かってくる黒狼変異体と対峙した。
「……何をするつもりですか…榊」
「こうするのさ!」
 黒狼変異体は予想通り、円盤のように横向きで回転しながら俺に向かってきた。
 俺の眼前に迫り来る寸前に俺は足のバネ全体を使い大ジャンプをした。
「たあっ!」
「空に逃げても、滅殺斬からは逃げられないのは、榊自身がよく知っている事でしょう」
「ああっ!知っているからこそ!思い浮かぶんだろ!!黒狼チェーーーン!!」
 俺はチェーンを回転する変異体の中心部付近に投げ入れる。ガチッと言う金属音と共に、鎖が引っ張られる感じがした。回転する勢いと引っ張る勢い……それを利用すれば!
『ぐぁうっ!』
ガチガチッ!
 鎖と共に、俺は高速回転して…変異体の回転する一点を狙って急速落下した。
「黒狼!ドリルニーッ!!」
ズガガガガガガガガッッ!!!
『グァァァーーーッ!!!』
 ドリルのようなキックが、黒狼変異体の高速回転の中心を抉り地面に叩きつけた。
「たぁっ!!」
 回転で砂煙が立ちこめ俺は回転の止まった黒狼変異体から、飛びのいた。
「………倒したか?いや…まだだ!」
 地面にめり込んだ、変異体がむくっと立ちあがり…赤い眼光を爛々と光らせて砂煙の中から迫ってきた。
「これを最後にしようかっ!?」
カッ!
 再び、口が開き放熱現象と共に力を左足に込める。すると奴も鋭い牙を向ける。
………クラッシュ・ファング………
「黒狼っ!キィィィーーーーーーック!!」
ザンッ!
 双方は互いに飛びかかり、激しい衝撃波と共に交差した。
 そして地面に双方とも着地する……
「………榊」
「…くっ!」
 牙を避けきれずに…俺の肩口から血が噴出する。俺は肩を押さえ膝を地面についた……だが、その後ろでは…
『ぐうぅ…がぁぁっ!』
ズバーーーーーンッ!!!
 黒狼変異体は、俺のキックで完全に沈黙した。
 俺は変身を解いて、人間の姿に戻り座りこんだ。
「はぁ…手強かったな、咲耶」
「お見事です、鎖を使って変異体との逆回転して、ドリルのように貫く……」
「ははっ、台風の目と扇風機を連想させて、やって見たら成功して良かった」
「榊が珍しく頭をつかったのは珍しいですから……お見事です」
「それは少しムカツクな……俺もよく敵を見て考えるんだぞ!」
 俺は咲耶に手当てをして貰って、ルガーを呼んで帰ることにした。
「今日はいい収穫があった、サンキューな」
「はい……西川さんからは、何か情報は入ってませんか?」
 休日、西川はネメシスの戦闘員として俺に情報を持ってくるのだが…ここ数日はたった一つの点を除いては情報が来なくなった。
 それは……アルティメットコアに必要不可欠である母体になる為の女性の誘拐の続行であった。幹部クラスを二人を失い…戦力不足に陥っているにもかかわらず、往生際の悪さは一級品か……基地に乗り込んで一気に叩きたい所だが、幹部怪人が二人も待機していると…手は出せない状態だ。完全体になったとはいえ、幹部怪人は強さを倍増させる事も可能だ……それに、鬼塚の研究が、量産型怪人をパワーアップしていくし、鬼塚に続くもう一人の改造兵士レベル3が現れるとも限らない…
「今はただ、西川の情報が入るのを待つのみか……」
「はい…そのようですね……それに、私やお爺様につけられていた、『パーセル』の存在です……」
「そうだな、西川の話しじゃ……ネメシスの他に何かとてつもない組織が動いているんじゃないかって話しだ…」
「存在するんですか?」
「後で聞いた話だが、ネメシスの科学力を狙う組織は…かなりあるらしい」
「その中に、『パーセル』を作った組織が……榊、あなたはその組織も敵に回すつもりなの?」
「……正直わかんねえ…だけど、そいつ等がもし喧嘩売ってきたら問答無用で叩く!」
「榊らしい答え方ですね……」
 咲耶はふふふっと笑ってくれた。そして、俺の力を元に新しい式神作りをすると言って社の中へと入って行った。
 俺も家に帰るか……秋子姉を少し心配させすぎか…
 あの時帰ってきてから、俺は少し秋子姉に避け気味になっている…話そうにも話せないのが現状だ…それで秋子姉がどんな反応を見せるのが少し不安なんだ。
 そうだ、帰ってから、全て話そう。多分信じてもらえないだろうが……俺が仮面ライダーになって、ネメシスと戦っている事を…



ネメシス地下施設

 世紀末王の間
『蝙蝠よ…あれの手配は済んでいるか?』
「はい、到着予定日9月25日です……」
 世紀末王の間に、幹部怪人二人が人間の姿でいて…室内には、世紀末王の声が響き渡っていた。
『良かろう、黒狼による幹部クラスの人間を失い、日本支部の戦力はかなりの痛手を食らっている……一度戦力の立て直しを考えなくてはな…』
「はっ!」
「……」
 蜘蛛は蝙蝠と世紀末王の会話に少し納得の行かない表情を浮かべた。それもそのはず、まだ、アルティメット・コアの母体となる女の奪還……黒狼の抹殺など日本でやり残した事は色々あると言うのに、今になって帰還命令と言うのは、彼にとって納得の行かない物だった。
『よし、明後日……支度に取りかかれ!』
「ははっ!」
「お待ちください、世紀末王様!」
『……なんだ、蜘蛛…』
「………戦力の大幅な低下で、本部に帰還しろと言うのは解ります。ですが、黒狼の後始末や、アルティメット・コアを産む女をまだ奪還しておりませぬ!」
 蜘蛛は世紀末王の声が出ている壁の龍の頭部を思わせる部分に切実に語り掛ける。
『……幹部の失敗、戦意喪失。戦力の減少は避け様のない事実だ……そして、幾度と無く黒狼に母体の奪還を邪魔されたか…それで、主は何か作戦があるようだが、それをお主は100%成功すると思うのか?蜘蛛よ……』
「幹部怪人の蜘蛛……抜かりはありません…」
『……ふっ、主は食えぬ男だ…良かろう、お主の作戦…見届けてやろう』
「はっ!有難き幸せ…」
 そして、蜘蛛は敬礼して、世紀末王の間を後にした。
「(蜘蛛め、蛇が居なくなったからって……手柄を横取りする気だな…)」
『蝙蝠……あやつに監視役の者を付けろ…』
「ははっ!(ふっ、お前だけには手柄は渡さん……蜘蛛)」
 そう言い、蜘蛛の後を追うように蝙蝠も室内を後にした。







水瀬家
 子犬ルガーを連れて、俺は水瀬家の玄関を潜る……信一さんと春奈姉は大学、居るのは俺と秋子姉だけ……
 秋子姉は今台所に居るだろう……ルガーを下ろして、俺は秋子姉のいる場所へと向かった。

 案の定、秋子姉は台所に居て、洗い物の真っ最中のようだ。そして、秋子姉は俺に気付き振り向いて…
「あら、榊…お帰り」
「ああ………」
「もう、帰ってきたんならちゃんと、ただいまでしょ」
 いつもの様に、秋子姉は指でこつんと俺の額をつっつく。その時の表情はいつもの笑顔だ…俺はこの笑顔が好きだ……んっ、なんだ…この感覚…
「た、ただいま……」
「少し待ってて、お茶煎れるわ」
「ああ、頼んだ」
 俺は少しぎこちなく、頷いて…椅子に座った。秋子姉は手際よくお茶を煎れて…俺の前に出して、俺の向かい側に座った。
「秋子姉…」
 言い出せない、雰囲気が…場内を包み込む。
「記憶、戻ったんでしょ……全部…それも、行方不明になって帰ってきた時に…」
「……」
 全部、悟られていたのかやっぱ……、秋子姉…この気持ちは、観奈美のときとは違う。
「ああ」
「……やっぱり、あの時帰ってきてから、何となく榊遠慮がちだったから、すぐわかったわ……榊が記憶を取り戻したって…」
「………」
「私は榊の事について、知らない事が多いの……どんな人だったの、昔の榊」
「……聞かないほうがいい、俺の過去は闇に包まれていたから…」
「……なら聞かない、榊が辛そうな顔してるもの…」
「秋子姉……」
 秋子姉の優しさに、俺は少しホッとした。俺の過去を知ったら、多分幻滅するだろうな……
「でも、それ以上に…私に隠さなきゃなら無いことがある……榊の心には…」
「……」
 多分秋子姉の聞いているのは、俺が黒狼だと言う事だ…やっぱりお見通しだったな、秋子姉は凄いや……
「……うん、いつか教えたかった…けど」
「言ったでしょ、私は榊の事全然知らない…私じゃ……榊の支えにはなれないの?」
 秋子姉の顔が、寂しげに曇った。俺は少し罪悪感を感じた…
「…教えたら、秋子姉だったら絶対に止める……絶対に俺のやっている事を止める…」
「危険な事なの?」
「ああ……命にも関わる事だ…俺が行方不明になった理由もそれだ…」
「……榊…」
「ごめん、秋子姉……俺…俺は…」
「……じゃあ、それも聞かない…」
「えっ!?」
 秋子姉は笑顔で、俺が言おうとしたのを止めた……
「何で……」
「……聞いたら…多分榊はまた遠くに行きそうだから…私を傷つけないように……榊は優しいから…だから、言わないでほしいの…」
「……」
「榊に遠くに行ってほしくないの……」
 秋子姉は柔かな笑顔でそう言った。
 何だろう、この胸の高鳴り…アグリュームで心臓は回復したのはわかる…なんだか切なすぎる……観奈美の時とは全然違う、この感じ……
 俺は秋子姉にどんな感情を抱いているんだ……
「秋子姉……」
 気がつくと、俺は秋子姉の細い肩を抱きしめていた。
「……どうしたの、榊…」
 俺はきゅっと、秋子姉を抱きしめながら言う。
「なんだか変だ……俺…秋子姉…心臓がバクバクいってやがる……気持ちが押さえられそうにない……」
「………榊…」
「助けてくれ……秋子姉…」
 もう枯れそうな声で、秋子姉に言った……秋子姉はそんな俺の背中に優しく腕を回して。
「大丈夫……」
 そう言ってくれて、秋子姉はいつまでも俺を抱きしめつづけた……俺の気持ちが静まる事は無かった……

 しばらくして、俺は落ちつきを取り戻して、俺は椅子に腰掛けて頭に手をやった。
「……すまない、秋子姉」
「いいのよ、榊…辛い事だったのね…顔を見ていれば解るわ」
「そうだな……そう言えば、俺には姉がいたな…辛い時は、秋子姉みたいに慰めてくれた優しい姉が…結局は、その姉の言葉のおかげで今俺は生きているような物だ……」
「………榊、そのお姉さんはどうなったの?」
「死んだ」
「えっ?」
 俺は少しさらりと答えた……秋子姉は、少し動揺している。まあ無理もないか…俺から自分の過去を話しているのだから…でも、それくらい…
「似ているんだ、秋子姉は……姉上に…」
「………」
「だから、俺はもうあんな過ちは犯したくない…秋子姉を守りたい……姉上の二の舞にさせたくないんだ…」
「榊……」
「………すまねえ、つまらない事言っちまったな…忘れてくれ、じゃ…俺部屋にいるから」
 俺はそう言って、台所を出て行こうとした。
「榊っ…」
 秋子姉は俺を呼びとめたが、俺は止まりもせず自分の部屋へと軽快に走って行った。

 台所に一人取り残された秋子は、榊の背が部屋の方に消えて行くのを見て……
「解らないわよ……そんな事言われたって、私には…どうすれば良いのか……」
 榊がまた、自分から遠く行ってしまったような気がして、秋子の心の中に不安がよぎった。






榊の部屋
 最悪だ、結局秋子姉の心を動揺させて、それで逃げるように、って逃げたか……俺は秋子姉に…本当に似ているんだ、秋子姉は虎刃姉さんに……

『運命なんて、変えてやりなさい……アナタにはそれができるんだから…』
 俺は、数々の運命を乗り越えてきたと思っている……だが、それは過信しすぎていたのか……本当は違うんじゃないのか?俺の運命は……

ピピッ!
「んっ?」
 ベッドで横になっていると、近くにいた子犬ルガーの通信機の音が聞こえてきた。多分西川だろう……
 俺は子犬ルガーを室内でバイクにして、通信機を引っつかんだ。
「西川か?」
『ああ、どうした?元気が無いようだけど……』
「それはお互い様だろう……何かあったのか?」
 西川の声がなぜか強張っている、これを意味しているのは、やはり何かあったんだ。
『まあな、実は…25日に、ネメシス日本支部は本部移動する事になった』
「本部?あそこは本部かと思っていたけど……」
『日本支部は、本部とは違い……実戦的な部隊があるにしかない、だか本部には、予想以上の科学力と戦力が結成している、そして……世紀末王の本体も…』
「龍神剣が……そこにあるのか」
『まあ、黒狼の反乱で、日本支部の戦力はかなり減少した。戦力立て直しか……それか逃げ腰か…どちらかはわからない…けど、本部に戻るのは事実だ…その証拠に今日のニュースに、『兵器開発企業ジグロ社突然の本社移動』ってのがトップで出るぜ…』
「そうか……」
 奴らの本部……そこに、世紀末王ドラゴノソードの本体がいるんだな…
『お前ならどうする……陣内』
「追うさ、奴等に借りを返したいし……これ以上、俺の同類は作らせない!」
『そうか……それで、お前はその本部がどこにあるか、解るのか?』
「……いや知らない…どこなんだ?」
『……ニューヨークだ』
「!!」
『…オレも、親父の転勤でニューヨークに行くことなった…どうする?お前はそれでも行くのか?』
 俺は西川のその言葉に、少し困惑していた……どうするべきだ…俺は、ネメシスに借りを返す為にニューヨークまで追っかけるのか、それとも…ここに残って、秋子姉を守るべきなのか……解らない、解らないよ…
 俺の答えは……
「今は、はっきりとは言えない……もう少し待ってくれ…」
『そうか…なら待つよ……お前にはそれなりの事情もあるしな……』
「そう言うこった……じゃな」
『ああ……』
 そう言い、西川は通信を切った。俺はルガーを子犬に戻して、考え込んだ。


 結局俺はどうしたいのか、解らずにいた……
 俺は…ネメシスを追うか、秋子姉を守りぬくか……それ以前に、俺は秋子姉をどう思っているんだ……くっ、まただ…この胸の高鳴り……
 もしかして……
「それだったら……どうしようもねえな…」
 俺は頭に手を置いて、ベッドに寝転がる。もしかしなくても……俺は…


 秋子姉が……好きだ……


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 中編に続くっす!

今回は後書きタイムはおやすみっ!全てを総まとめに、後編で全部野郎と思いますのでご了承あれ……


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