ザァァァーーーー…

 雨が降っていた、全ての視界を遮るかのように…大粒の雨が暗い雲から降り注いでいる。その雨音は絶望の序曲を奏でるかのように……
 長野日本アルプス九朗ヶ岳……7月に、超古代の物と思われる謎の遺跡が発見され信濃大学と城南大学の共同で発掘調査が行われていた。謎の住民の失踪事件が周辺で相次いだが、幸い…発掘調査団に一人も被害者は出ず、発掘作業は続行された。
 この日も……遺跡内部の、先住人類の亡骸が眠る墳墓らしき石棺を発見した。

「ここで……誰かとネメシスの奴等が戦った」
 九朗ヶ岳の森林地帯、そこでは1ヶ月前…黒狼と幹部怪人『蜘蛛』の小競り合いがあった…丁度同じ地点で…ある青年が地面の土を手で触っていた。それは、黒狼が倒したハエの量産型怪人の体液が染み込んでいる土でもあった。
 その青年の名は、風祭 真……城南大にいた教授、風祭大門教授の息子だ。
「……!?」
 真は…突然頭を抱え込んだ。きりきりと頭を締め付けるような痛み……そして彼の脳裏に、戦慄の光景が映し出された。

………洞窟?暗くて、天井が低くて…そんな場所…そこで、蠢く謎の…そして、強暴で、邪悪なる影が…何人もの人の命をその手で狩っていた。
 さながら脳裏に、地獄絵図が写ったように……真はその場に膝をついた。
『……クウガッ!』
 その異形の影は、そう叫び……手に持っていたベルト状の物を地面に叩き付けた。
「くっ!」
 真は溜まらなくなって、その影の居る場所に木から木へと飛び移って向かって行った。

ザザッ!
「はぁ……」
 真は、自分に近づいてくる足音に気付き動きを止め…息を潜めた。
「(……奴だ…)」
 今までにないプレッシャーを間近で感じる、間違い無い…遺跡を襲った奴だ。
「(どうする……戦うか…だめだとても敵う相手ではない……)」
 その異形の影は、真の存在に気付いていないようで隙だらけだが…その存在感、威圧感が真の体を動かせないでいた。
「何をするつもりだ……」
『…ハッ!』
ズバァァーッ!
 様子をうかがっていた真に気付いたのか、その影は両腕から雷撃を放った。真はとっさに木の上に飛び移る。
「くっ!!気付いたか……いや、違う」
 その雷撃は真に来ないどころか、あさっての地面の方へと流れ込んでいった。
「気付いていない、とすると……くっ!こっこいつは…」
 雷撃を受けた地面からとてつもない邪気を真の頭は直感的に感じとった。個々ではそんなに強い物ではない。だが…その数だ、10いや100…違う200……なんて数だ。
 そして、地面から無数の手が這い出して来た、地獄から蘇る悪魔を真は想像した…
「……ここにいたら、危険過ぎる。一先ず遺跡の人達が心配だ」
 真はその異形の者達に気付かれないように、木々を伝って遺跡まで戻っていった。

「(にしても、奴等は一体何者だ……ネメシスの怪人じゃないって事は解る)」
 遺跡まで戻って、真は考えていた……ここに、あいつ等が何者なのか、秘密を解く鍵がある…そう真は確信していた。
 遺跡内、得に墳墓の内部は騒然として、人の屍の道が築かれていた。
「肉が焼ける匂い……吐き気がするぜ……ん?生存者っ!?」
 屍の中に、一人だけ体が動く者がいて、真は急いで駆け寄った。発掘団体のメンバーだろうか、その女性の貫かれた腹部からは夥しい量の血が流れていた。
「おいっ!大丈夫かっ!?」
「………た…すけ……て……たす…」
「待ってろ、直ぐに病院に連れて……」
 だが、真の言葉はその時途切れた……彼女の心音が止まった、結局間に合わず呆気ない最後を遂げ…真は彼女の肩を地面に戻した。
「……惨い事を」
 真の記憶に、あの時の情景が重なり合う。自らを守って死んで行った…恋人の事を…
『真……』

「愛……」
 そして、真は遺跡を離れて何処えとも無く去って行った。



仮面ライダー・黒狼
第1章『復活と変身』
前編

 その日の朝、市民からの通報を受けた長野県警は遺跡の調査を行っていた。その中には榊と一条の姿も含まれていた。

 現場に到着して見ると、場内は騒然としていて…遺跡全体はめちゃくちゃにされていて…正直ビックリした。ネメシスの奴等がやったのか……そうとなれば慎重に行動しないと、警察に俺がCIAだという事がばれてしまう。
 でも、ネメシスだとしたらなんだってここを襲ったんだ?一月前の蜘蛛との小競り合いもあったが、それ以来誘拐事件は全く起きていない。それに……犯人は再び現場を訪れるとも言うが、奴等がそんな事をするとも思えない。
 だとしたら、ネメシスとは違う別の敵?バティムか……いや、バティムの方は向こうのCIAの諜報部員達で活動は沈静化に向かっているとあかり(俺の妹)から聞いている。
 バティムでもないとすると……
「水瀬、そっちはどうだ?」
「一条さん…何とも言えませんね、こんな殺し方」
 実際、ネメシスの怪人でこんな芸当が出来る奴はいるとは俺は思えない。だったら…何者だ、こんな芸当が出来る奴は……。
「殺し方?これが人間がやれる芸当だと思うのか?お前は……」
「……いや、そう言うわけじゃないです」
 一体何者なんだろう……こんな事をしたのは
「ちょっとすいません、ほんと失礼します」
 俺が考え事をしている矢先に、なんだか変な奴がメチャクチャになった遺跡の中に入ろうとしていた。ここの住民か?一条さんが俺より先にその男を捕まえている、俺も男を捕まえている一条さんの元へと近づく。
「ここは、関係者以外立ち入り禁止だ……」
「あんた何者だ?」
「死の警告……」
 彼は不意にそう言った。んっ!?どう言う事だ?
「城南大学の沢渡桜子さんが解読した古代文字の意味です」
「ここの調査隊の関係者ですか」
「俺?いえ違います、俺はこう言う者です」
 彼は、そう言いながらにこやかに俺と一条さんに一枚ずつ名紙を手渡した。
「1999の技を持つ男?五代雄介?」
「夢を追う男?どうも、ご丁寧に……俺は長野県警の水瀬 榊です」
 ご丁寧に名乗ってくれた五代と言う人に俺も自己紹介して、握手までする。
「水瀬、和んでいる場合じゃないって解っているよな…彼をパトカーへ」
「あ、そうだ…さっ!こっちだ」
 一条さんの呆れた声で、俺は我に帰っての手を放して五代という人をパトカーへと送っるために腕を引っ張った。
「ああっ!あれ何っ!」
 五代さんは、空のあさっての方へと指差した。何?何だ?
「あっ!いねぇっ!」
 俺が目を放した隙に五代さんは俺の手から離れてまた向こうへと向かおうとしていた。
 結局また、一条さんに掴まったけど……彼はしぶしぶ帰っていったけど…変な奴だったな。
「一条さん、遺跡の中に入ってみましょう」
「ああ」
 そう言う事で、俺と一条さんは遺跡内に入ることにした。
「ここが一番酷いな……」
 ここで、調査隊は全員即死かここでなにがあったんだろう…肉の焼ける匂い。本当、狼の嗅覚を持つ俺には吐き気がするぜ……
「水瀬っ!これはっ!!」
「ん?ビデオカメラですね……調査隊の人達のですね」
「これに何か写っているかもしれない…お願いします」
 一条さんは、遺跡の中に落ちていたビデオカメラを拾って鑑識の人に渡した。鑑識の人は、ビデオカメラは壊れているけどテープは無事だと言い、カメラからテープを出してビニール袋に入れると一条さんに渡した。
「水瀬さん、それと、これを」
「これは?」
 鑑識は今度は俺に、古代の装飾品らしき物を俺にくれた。それに、俺は妙な違和感を覚えた……アグリュームに形状が似ている。真中に丸い石なんかアグルストーンそっくりだ。
「まさかな……」
「どうした、水瀬」
「いえ、何でもないです。さあ、県警でこいつ調べましょう」

 俺と一条さんは、県警に戻ってビデオに何が写っているのか確かめることにした。
「こいつはっ!?」
 ビデオの映像に一条さんも俺も驚愕した。
 映像は、発掘の一部始終を撮影した物だった……だが、石棺の蓋を開けた次の瞬間、石棺が崩れ……その後ろから異形の影が這い出してきた…それを見た瞬間、俺は一瞬身震いして尋常ではない程の寒気を感じて…歯をカタカタと振るわせた。

『クウガッ!!』

「何なんだ、こいつは……水瀬、どうした?水瀬?」
 人の悲鳴が場内に響き渡っている……嫌な感じだぜ…吐き気がする。
「………」
 そして、映像は奴がカメラの眼前まで迫った瞬間に終わりを継げた。…一体何なんだ、あの影は……あれがネメシスの怪人じゃないって事は容易に想像できる。
 だが、あいつからは身震いがする程の邪気を感じた…今の俺ではあいつには勝てない…そう思った。
「大丈夫か、水瀬……凄い汗だぞ」
「……大丈夫です一条さん」
「そうか、だが…この影は一体何なんだ?」
「そうですね……俺にも、こいつが何なのかわかりません」
「気になるのが……ここだ…」
 一条さんは、画面を巻き戻して奴が何かベルト状の物体を叩き付けている場面へと戻した。奴は……クウガと言った…クウガってなんだ?ベルトは、遺跡で発見されたこれなんだろうけど……何だろう。奴にとって、クウガと言うのは敵なんだろうか……
「多分、このベルトがこれの正体を確かめる鍵になってるんじゃないか?」
「そうですね……でも、俺達ではこれに書かれている古代文字は解読できませんし…」
「城南大学考古学教室に連絡を取って見よう、多分……この青年の言っていた沢渡桜子と言う人物の解読は間違ってはいないと思う……」
「…そっすね」
 それにしても、このベルトから何かしら妙な感覚が伝わってきた。何かを呼んでいるような……そんな感じがする。

 長野県警署内から出ると、そこにはさっき遺跡に入ろうとしていた奴が何かを待っているようだった。
 確か、五代雄介って言ったっけ……
「一条さん、彼」
「ああ、彼から連絡を取ってもらえば手間が省けるかもな」
 俺と一条さんは頷きあって、五代雄介の元へと歩いて行った。途中で、待っていた人が来たようだ、なんかすごい大荷物を持っているけど。
「また会えるなんて、奇遇だな」
「あっ、さっきの刑事さん達。紹介します、さっき言った沢渡桜子さん」
「あなたが……いずれ、連絡を取ろうと思って居た所です」
 ふーん、この人が城南大の沢渡さんか……ん?城南大?
「あれ?もしかして……榊君?」
 沢渡さんが急に俺の顔を見て、思い出したように言った。そう言えば……
「桜子さん、この刑事さんと知り合い?」
「ううん、私が学生の時の友達に水瀬春奈ちゃんの義弟さん…よく、春奈ちゃんの妹さんと一緒に水瀬教授のお弁当を届け来てた……」
 春奈姉が考古学部に友達がいるって言ってたけど、彼女の事だったのか……
「ああ、その節は春奈姉が世話になってます……榊であってます」
「やっぱり、春奈ちゃん『家に目つきの悪い変な弟が居るのよ』って色々聞いてたけど…」
「………そんな事を…」
 今春奈姉は、彼氏だった相沢さんと結婚して、今は海外に住んでいる。聞く所によると陽介や名雪と同い年くらいの男の子が産まれたって話しだが……ああ、そうじゃなくてっ
「それで、どうしたんですか?」


 そんなこんなで、五代さんと沢渡さんを署内に招いて……被害にあった調査隊の事を話して、あのビデオの映像も見せてやった。さっきとは違い…明るそうだった沢渡さんや五代さんの顔も神妙な面持ちが見られる。
「あの謎の影の正体は不明です……でも奴はまるで誇示するかのように、ベルト状の装飾品を叩き付けた。それが私達には漠然と気になるんです」
 そして、一条さんはさっきのベルトの入ったアタッシュを五代さんと沢渡さんに見せた。
「これだよっ!ファックスで送った古代文字!」
「沢渡さん……何か解りますか?」
 五代さんに続いて、俺もこの古代文字の意味を沢渡さんに聞いた。すると、沢渡さんは真剣な眼差しでベルトの古代文字を見つめると……
「力……」
 うーん、力か…一体どう言う意味があるんだろう、俺にはわからないが……
「一条さん、水瀬さん、ちょっと」
 すると、視聴覚室の中に亀山巡査が入ってきて…俺と一条さんに五代さんや沢渡さんに聞こえないように耳打ちした。
「信じられないでしょうが……長野市内に、謎の生物がビルとビルの間に巨大なクモの巣を張っているんです」
「なんだって、本当か亀山っ!」
「……(ネメシスか…)」
 クモの巣と聞いて俺は幹部怪人『蜘蛛』を思い浮かべた。奴なら……可能な戦法だが、こんな日中でしかも公衆の面前にのこのこと出てくるか…少し気になるが行ってみるしかない……
「それは預けます、私達はこれで……いくぞ、水瀬」
「はいっ」

 ともかく、敵がまだ未確認以上…俺もうかつには変身ができないっ!
「ヘリで行こう、そいつは高い所にいるらしいからな」
「はいっ!」
 俺は一条さんと共に、署内にあるヘリポートへと急いだ。

ズゥゥンッ!
 何だろう、この敵を感じる……この匂いはネメシスの怪人とかバティムの兵士とは違う匂いこの近く…新しい敵の匂いだっ!
「水瀬、もしかしたら敵を知っているんじゃないのか?」
「何を聞いてるんですか、敵はまだ未確認ですよ……」
「それなら良いんだけどな……」
 一条さんは俺が何かを隠していると言う事を段々と感付いてきているんではないのか?
 だけど、ネメシスが本格的に動き出す時までだよな、一条さんとのコンビも……まあ遅かれ早かれ、そうなるとは思っていたけどな。まさか新しい敵の出現が……そうさせるとはな……

「巣の真上に着きましたっ!」
「解ったっ!水瀬、気をつけろよ」
 一条さんに言われて、俺はヘリの上からクモの巣を見下ろした。
 ビルとビルの間に、巨大な蜘蛛の巣が張り巡らされていた。形状はネメシス幹部怪人『蜘蛛』の巣とは多少異なるようだ……あいつじゃないとすれば、やはり未確認の新たなる敵か……
「未確認生命体は確認できるかっ!?水瀬っ!」
「……」
 敵の気配をあのクモの巣から感じられない、もう遠くに行ったのか?それとも……
「いえ、俺の見る限りではあの巣にはいませんっ!」
「もしビデオの奴だったら……」
「もしくは、それの仲間だったら…ヤバイですよ」
 どこに行った……どこに行きやがった!
「たった今、警察署に進入したと入電されました」
「何っ!いけない……このまま急いで、戻ってください」
「了解しましたっ」
 何だか嫌な予感がしてきた……急げ、急いでくれっ!

 警察署付近に俺と一条さんを乗せたヘリが近づいて行った。近づくにつれて、敵の匂いがぷんぷんしやがる……血の匂いもな…野郎、何人も殺しやがったな。
「上だっ!屋上にいるっ!」
「見えたのか、水瀬!」
「はいっ!」
 警察署の屋上に、敵の匂いをとっさに感じる……ん?なんだ、もう一つ別の気配を感じる。何だろう……
 ヘリが屋上を旋回しながら、敵を探す…もう、見えてもいい時だ……
「見えましたっ!」
 パイロットが呼びかけ、俺と一条さんはヘリから身を乗り出して敵の姿を肉眼で捉えようとする。
「!!」
「二匹いる……」
 屋上には、確かにクモの形をした怪人がいる……それともう一匹!?あれは…
 仮面ライダーっ!?白い、装甲盤を身にまとって、俺が始めて見るがあれは俺の知る仮面ライダーだ……でももし、仮面ライダーなら、誰が変身しているんだ!?
 だが、白い仮面ライダーはクモ種怪人に押されている……まだ戦いに慣れていないのか…ならばっ!
「一条さんすいません、俺行きますっ!」
「何っ!おいっ水瀬っ!!バカなマネはよせっ!!」
 俺はそう言うと、ザッとヘリから飛び降りた。そして、空中で腕を旋回させると…

「変身っ!!」
 俺の体にある黒い狼の血が活性化して、俺を空中で漆黒の戦士に変える。
「……水瀬が…変わった」
 ヘリの中の一条さんは呆然としているだろうな……
 仮面ライダー黒狼へと変身を遂げると、俺はクモ種怪人と白い奴のいる屋上へと降り立った。
『グッ!』
「何っ!?」
 クモ種怪人は俺の存在に気付き、口から白い糸を吐き掛けてきた。
「ちぃっ!」
 俺は、二丁拳銃『エクス&ボルテス』を引きぬいて応戦した。
ズガガガガッ!
『ブォッ!』
「へっ、この拳銃は、ただの拳銃じゃないぜっ!」
『……グッ…』
 俺の銃撃に、奴は一瞬怯んだが……奴の体から撃ち出された拳銃の弾がメキメキと音を立てて、盛り上がるようにして足元へと落ちた。
「エクス&ボルテスの銃撃が効かない……っ!」
 クモ種怪人は俺に気を取られている隙に、白い奴が後ろから押さえこんだ。
「くぅっ!」
 何だか、白い奴の力が弱々しい…まだ完全に力を出しきっていないように見える。
『グオッ!』
「うわっ!」
 白い奴はクモ種怪人の力に圧倒されて、逆にまた押さえこまれる。
「このっ!」
 俺はクモ種怪人を白い奴から引き離し、回し蹴りを食らわせて奴をいなした。
「大丈夫かっ!」
「ああ……」
 どうやら、白い奴も元は人間だったようだな……でもどっかで聞いたような声だ。
「来るぞっ!」
「くっ!」
 奴は腕の爪を振り上げて俺達に襲いかかってきた、銃は効かないっ!なら、格闘戦だっ!
 俺はバックルからナイフを抜いて奴の爪を受け止める。
「くっ!なんて力だ……」
 ネメシスの量産怪人とは比較できないくらい、強いぞ……幹部怪人クラスかっ!?
バシュッ、バシュッ!
「!!」
 上からの援護射撃?!ヘリから、一条さんが援護射撃をクモ種怪人に加えていた。
『……ジャ』
 クモ種怪人は俺から目を離して、上の一条さんの居るヘリに向けて糸を放った。
 糸はヘリに命中して、クモ種怪人は俺から離れ……その糸を辿ってヘリへとよじ登り始めた。
「野郎っ!撃ち落してやるっ!」
 俺は糸に狙いを定めて、二丁拳銃を構える……それと同時に、隣にいた白い奴がクモ種怪人を追って高くジャンプした。
「とぁっ!」
「おいっ!やめろっ!!」
 クモ種怪人はヘリへと到達して、一条さんに襲い掛かる。それを追うかのように白い奴もヘリへと到達すると、一条さんを助けクモ種怪人を引き離した。
 ヘリがクモ種怪人と白い奴を乗せて、大きく傾いた。あそこで、俺も乗ったら間違いなくヘリが落ちる。だが、こう動いてたら、弾丸がヘリのエンジンに直撃して爆発の危険もある……ここは、白い奴に任せるしかないのか……
「ちぃっ!」
 頑張ってくれ……俺はここで見ているしかできないが…
『………』
 クモ種怪人は、巧みにヘリを掻い潜って白い奴の裏手に回る。なんて俊敏に動けるんだ…奴は……
 クモ種怪人は、白い奴の裏側に回りこみ一条さんをヘリから引きずり落とそうとしている。
「一条さんっ!!」
 俺は危険を顧みず……銃口を奴に向けた。いちかばちか、いやそんな事考えるなっ!奴に当たるっ!そう考えればっ!!
「当たれっ!!」
ズダダダッ!
『グホッ!』
 見事、クモ種怪人の背中に銃弾が命中して、クモ種怪人は怯み一条さんを離す。その隙に白い奴がクモ種怪人から一条さんを引き離して、ヘリの足にしがみつくクモ種怪人を蹴落とした。
『グォォーーーッ』
ズガァンッ
 クモ種怪人はヘリから落下して、真下の廃棄工場の天井を突き破ってその中へと消えて行った。
「やったのかっ!?」
スタッ!
 その直後、俺の目の前にあの白い奴がヘリから降り立った。夕日を背に、俺とその白い奴は対峙する。
「………」
 さっきはとっさで味方してしまったけど、こいつの正体が解らない以上こちらとて信用して良いのかわからない。
「お前は…一体」
「ありがとうっ、刑事さん」
 そう言い、白い奴は親指を立てサムズアップをする。そして、その声に俺は聞き覚えが会った。
 確か……あれだ、あの人だっ!!
「じゃあっ!」
「おっおいっ!」
 白い奴は手を振って俺の前から姿を消した。
「やっぱり、あの人は……」
 追うべきだったが、俺はその場で踏みとどまった……一条さんに俺が黒狼だってばれたな…コンビ解消か…まあ仕方ないな。聞かれたら俺がCIAから来て対ネメシス特捜部隊の隊長だと言う事も言うしかない。でも今まで警察の活動がネメシスのスパイ活動だし…あの人ならなんて言うんだろうな……
 まっ、ネメシスが動き出したし…謎の敵まで出現する始末だ……遅かれ早かれこうなるのは解っていたんだよな。

 それにしても、あの敵……一体何なんだろうな…

 そして、あの白い奴見た所あいつの腰にはあの古代遺跡の装飾品をしていた。そう考えると、あの敵と白い奴は何か繋がりがある……そう思えてならない。

 若干の不安が、俺の脳裏を過った。

後編へ続く。

設定
 二丁拳銃エクス&ボルテス
CIAオリジナルの二丁ハンドガンで、榊のアンチテレキネシスに同調して高周波振動を起こす弾丸を発射する。それぞれの銃を交互に撃つ事により短時間での連続攻撃が可能。白い銃がエクス・黒い銃がボルテスだ。

後書き
 いよいよ本編に行きました、今回の話しはクウガの第1章の『復活』とリンクしていますのは解っているでしょう……(汗)
 とにかく、続きは後半に持越しです。そこの話しは少し想像がつくと思われます。

 桜子さんと第1部に登場した、秋子さんのお姉さん(祐一の母親)の春奈さんは彼女の古き友達って設定です。ここから年齢設定考えるの少し大変でした…

 では、今回から黒狼の新装備、『エクス&ボルテス』ですが、CIAが榊専用に作った二丁拳銃ですが……何をモチーフにしたというと、デビル・メイ・クライの主武器でもあるハンドガンです。私はこれとアラストル(剣)一本でデビルランクSでクリアした事がありますのっ!また、イフリートと言う格闘専用の武器がありまして、これがジャンプで攻撃ボタンを押すと、ライダーキック並のジャンプキックを食らわせて破壊力抜群。
 これからの戦闘スタイルはそんな感じになるかもしれない…(爆)
 デビルメイクライは本当、戦闘の技の研究にもなる……

 立証っ!私が強くなれば黒狼も強くなるっ!!


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