“……榊、オ前ハイズレ…オレニ食ワレル……オレハ自由ニナレル”
 頭の中に黒狼の声が響いてくる。
“オ前ヲ食イ…自分ノ体ヲ取リ戻ス……モウスグダ!モウスグダ!”
 その言葉が俺の頭の中から離れない。何度も、何度も繰り返し……苦しい。
 俺は何時の間にか、変身して…その声を掻き消そうとしていた。だが、声は変身した後で次第に大きくなって行った。
“モウスグダ!モウスグダ!モウスグダ!”
「やめろっ!言うなっ!聞きたくないっ!!」
 耳を覆いたくなるような声が頭を蝕んで行く……
“モウスグダ!モウスグダ!モウスグダ!”
ドゥンッ!
 なっ…なんだ……この感覚…アグリュームが、アグルストーンから何かが体に入ってくる…すごく邪悪で嫌な物……うっ…体が、体が痛い……
 腹から何かが流れ込んで行くと同時に…体が痛み出した…いや違う、体から何かが出てくるようだ……俺はアグルストーンを見た。
 アグルストーンが段々と、黒く変色して行った。今までは海のように青かったアグルストーンが、段々と絶望の黒に染まって行くのを…俺は見た。
メキメキ…
 体が、軋み……生態装甲にヒビが入っていく。
バキッ!
 腕の生態装甲が砕け散り……変異体の時と同じような、いや…それより凶悪な形になっている俺の腕…だがそれと同時に……段々と仮面ライダー黒狼である体が、砕け始めた。
“ソウダ…今ノヨウニ……イズレオ前ノ装甲ハ砕ケ…邪悪ナル我ガ姿に変転スル……ソノ時ガ…オ前のサイゴダ…榊……”
「ぐぅぅ、ぐおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!」
ガキャァァァァァーーーーーンッ!!
 黒狼の生態装甲は完全に砕けちり……俺は邪悪なる姿へと変転した。その姿は…悪魔を形作ったとしか言いようのない程禍禍しい物だった。
 これが……俺の…行く末……

「はっ!」
 気がついた時…俺は東京に向かう電車に揺られていた。眠っちまったんだな……
「嫌な夢だ……」
 もうすぐ、東京に着くってんのに…何呑気に寝てんだろう…俺……でも、本当に嫌な夢だったな……
 俺が黒狼に食われる夢……そして、俺の体を突き破ってあんな禍禍しい怪物が変転した。
 ただの夢なら良いけど、ここ最近のアグルストーンの異変……これと何か関係があるのか……解らないが、これまでの事件を考えて見れば何だかハッキリそう思えてならない。

 ともかく今は、警視庁に戻る事を考えよう…ユーゼスの言葉の意味もそこにあるかもしれないし……


仮面ライダー黒狼
第2章〜東京を駆ける〜前編『変転の予感』


 東京駅に着き、俺はバックに隠して入れていた子犬ルガーを解放した。
「すまねえな、ルガー。狭かったろ」
「わんっ」
 体をぶるっと振るわせて俺の肩に乗って、わんと一声鳴く…うん、大丈夫のようだな。
 ここで、待ち合わせをしていたんだが……
「榊っ!」
 後ろから呼び止められて、俺は振り向くと…そこには俺を迎えに来てくれた秋子の姿があった。
「秋子っ!ただいま」
「おかえりなさい…急に帰ってくるって言ったから、少しビックリしちゃった」
「すまんな、本日付けで警視庁に戻るように言われたんでな…これで、単身赴任も終いだ」
「うん…でも、これから仕事なんでしょ?」
 警視庁には今日付けで戻って来いという事で、これから警視庁に行かなくてはならない。そうでなくては、さっきのユーゼスの言葉が何を意味するのか…知れた事ではないのでな。
「ああ……すまん、でも遅くても必ず帰ってくるつもりだからさ」
「いいのよ、気を使わなくても…でも無理だけはしないでね」
「解ってるって……だけど、一度子供達に会わないと、どうも活力が沸かない」
「連れてくれば良かった?」
「……ああ」
「ごめんね…榊」
 秋子は今日は一人で来たらしい、陽介と名雪は秋子が働いている喫茶店のおやっさんに任せてあるらしい。今ごろ、大変だろうな……
「まあ、今日の目的は出来たぜ……今日中に絶対に名雪と陽介に会うってな」
「はいはい、頑張ってね…でもさっきも言ったように無理はしないこと……榊は突っ走ると何するか解らないもの……」
「わかっているよ…」
 俺は秋子に、サムズアップをして答えた。そう言えば、あの後五代さんどうしているかな……一条さん任せたけど、大丈夫かな。
「じゃなっ、すぐ帰ってくるからな」
「うん、待ってるわね…陽介と名雪も待ってるから」
「おおっ!じゃ、行ってくるわ」
「いってらっしゃいっ」
 俺は秋子にそう言うと、ルガーを連れて警視庁に向かう事にした。


 ネメシス新本部地下施設・地下4階…『戦慄の間』

 いつものようにそこには幹部が3人集合して、世紀末王の言葉を聞き入れていた。
『時は来れり……幹部怪人達よ、ついに我等の動く時が来た…』
「「「ははっ!」」」
『我が寿命も、もはや風前の灯火と化した……もう一刻の有余も許さねぬ時ぞ!すでにアルティメットコアに必要な心臓部、ミレニアーンと素体である『白き狼』の二つは揃った…』
「(ミレニアーン…ついにミレニアムストーンの加工は終了したのか、黒狼のアグリューム同様に、蓄積された膨大な魂のエネルギーを循環させる装置。開発に…何人もの研究員の命を落としたものか……恐ろしい物よ、ミレニアムストーン)」
 蝙蝠の額に…冷たい汗が流れ落ちる…それほどの強き力をミレニアムストーンは秘めているのだ。
『残るは白き狼と細胞を融合させるための人間のみ……既に当てもある』
「その人間とは…」
『やはり、黒狼…陣内榊を我が体にしていればよかった……だが、あの男も今や我等の敵…叶わぬ夢だと諦めるしかあるまい…』
「(だが、その陣内榊がいつまで……『自分』を保っていられるか。それは今になっては時間の問題だぜ)」
 蜘蛛の不適で不気味な笑みを、後ろで蠍は見逃さなかった……そこで思った一言。
「(最初あった時から思ったが……気持ち悪りぃ奴だな、蜘蛛って)」
 ここまで不気味に笑われては、他の幹部怪人に気持ち悪がられても仕方がない。
「それに比べて……」
「世紀末王様ミレニアムストーンに対する免疫を持つ、人間がこの世にいるのですか」
「(ほんと生真面目だよな〜…蝙蝠ってさ…蜘蛛とは正反対、真似できねえや。でも、その生真面目さは少し危ないぜ……蝙蝠)」
 真面目な蝙蝠に何を考えているか解らない蜘蛛、正反対な現幹部二人に新人の蠍は呆れかえるばかりである……そこが現幹部の命取りだと言う事を…蠍は忘れてはいない。
『うむ…古来の文献より陣内の血を引くものは必ず、親から子へその能力は受け継がれる…後継者は常に親を越える能力者が選ばれていた』
「それではっ!……その人間と言うのは、『陣内の後継者』と言う事でありますか」
『そうだ、しかも『父親を越える能力の持ち主』が…我が体には相応しい…去年月食に産まれし陣内の双子は相当の力の持ち主ぞ』
「やはりあの月食に産まれた黒狼の子が……ミレニアムストーンの特性を持っていたと」
「ほれ見ろ蝙蝠……オレ様の予想は当たったぜっ、けけっ!」
「くっ…」
 去年…蜘蛛はこうなる事を予測して見事的中した、まあ考えて見れば当然のことだが蝙蝠は自分より才能のない蜘蛛に先を越された事が何よりも悔しかった。
 そんな中、一つだけ気になった事が蠍にはあった。
「だけど、世紀末王様……以前、『アナザーAC計画』と言う計画で作られた、クローンにはその特性は無いんですか?」
『あの計画で作られた黒狼のクローン達か……他はどうかは知らんが、元幹部怪人でもある蛇に産まれたクローンは無視はできん』
「蛇…オレが幹部にされる前にいた女幹部怪人の?」
 蠍は、過去にこの組織の主力部隊を勤めていた幹部怪人『蛇』の補欠要員であったが蛇が降格された後に二年前に元ニューヨークの総本部で正式に幹部として昇格して、そのままここ日本に来たのだ。
 一方、組織内では行方不明となっていた蛇だが…黒狼との戦闘を確認され黒狼キックの直撃を受けて重症を負う……その後、黒狼の特殊能力(組織内ではまだ解明は難しい)アンチテレキネシスにより、怪人体を捨てたとして組織の裏切りにも取れる行為に暗殺対象にもされた……が、世紀末王がそれを黙って見過ごしたのもこの為にあった。
 陣内榊のクローンを産ませる…母体とするため、川澄零はまだ利用価値があったからだ……それがアルティメットコア計画の裏計画『アナザーAC計画』である。
 それで、川澄零は一昨年陣内榊のクローンを産んだ……誰が父親とも知れない子を…
『他にもクローンはいたが、特性は見られなかったらしいな…蝙蝠よ』
「はっ、諜報部の捜査によりますとそのようです」
『蛇の結果もそろそろ出てくるだろう、後は陣内の双子だ。果たして兄か妹どちらが適性かどうかだ……』
「いっそのこと、全部捕まえてくれば良いんじゃないですかい?」
『蠍よ……若気の至りと言う言葉を知っておるか?』
 蠍の一言で、世紀末王の声がどんよりと張り詰めた気配を漂わせる。
「はっ…失言、お許しください」
『失敗は許されぬ……もう一度言う、三幹部よ一刻の有余も許さねぬこの時に、グロンギ族や戦士クウガの復活、黒狼やCIAの無能なる者達…ましてはまだ確認の取れていない敵も存在する……』
 最近になって、ネメシスの武器工場やジグロ社に裏で金や兵器の密売をしている機関が何者かにより襲撃され、消滅している話しが本部に流れこんでくる。
 1年前に崩壊したネメシスの下部組織である生化学機間ISSにいた鬼塚の亡霊だという噂もある。
『蜘蛛と蠍の部隊は共同してこれらの敵の対処、得に黒狼や戦士クウガには…気をつけろ』
「ははっ!」
「お言葉ですが、世紀末王様っ!この蠍……蜘蛛とは別行動で動いてもよろしいですか?」
「蠍っ!貴様、世紀末王様の命を破るつもりなのかっ!?」
『まあ待て、蝙蝠よ……蠍よ、別行動を取りたいと言う理由はなんだ』
「はっ、蛇はもう陣内榊のクローンを産んだと聞きます……ですが、蛇は過去のことではありますが、我等ネメシスに裏切り行為を働いた人物…彼女にはもう生きている価値はありますでしょうか……」
 本音は蜘蛛との共同戦線が嫌だなんて、本人の前では口が裂けても言えまい……
『……うむ、蠍の言う通り蛇は当初の目的を達した……それに、あ奴は以前に鬼塚と共に我が命を狙っていた者…生かしておく必要は無いだろう』
「ならば…その役目、この蠍が引き受けましょう…ついでに、陣内榊のクローンも奪取して見せますぜっ」
『食えぬ男よ……ならば、蛇の暗殺は蠍…貴様に任せよう、然る後……そのクローンも我が面前に添えるがよい……』
「はっ!仰せのままに…」
 蠍は、世紀末王の言葉の後に敬礼をする…これで、蜘蛛とは別行動ができ蠍は心底ほっとした。
「(新入りが……調子に乗りおって…)
 蝙蝠は蠍を凝視しながら…癇癪悪そうにちっと舌打ちをする。
『蝙蝠は、陣内の双子の調査をしろ……だが、事は慎重に進めろ…近くに黒狼がいるやもしれんからな』
「はっ!」
 だが決定した事に逆らえば、自分の身も危うい……そう判断した蝙蝠は従うに他はない。
『幹部怪人達よっ!今こそ、人間共に死と言う地獄を与えてやろうっ!!』
「「「ははっ!」」」

 今宵……地獄の追跡者が、動き出す……

警視庁科学警察研究所
 警視庁に着くと、すぐに科警研の方にルガーを預けに行った。
「あら、陣内君しばらくっ元気してた?」
「榎田さん、久しぶりです」
 この人は科警研の主任である、榎田ひかりさんだ。警察の中ではただ一人俺の事情を知っている数少ない人物の一人で…ルガーのメンテや警察の仕事中預かってくれている所でもある。そこで、榎田さんはルガーには6つの顔があると言った。俺の知るルガーの顔はこの子犬形態と、深緑体と呼ばれるバイクの通常形態。そして、変異体が一回だけ使用した白骨体と言われるルガーのパワー形態。(第1部第3話参照)
「なんだか、長野の方は大変そうって言ってたじゃない」
「はい…」
「陣内君の言う、ネメシスって奴ら?」
「いえ、未確認生命体はネメシスとは別物だと思います」
「ふぅん…、まあ何にしても…これから内の方も忙しくなるわ。陣内君もそれ関係で呼び戻された口でしょう」
「はい……上司に今日付けで戻れと言われたんで」
「上司って君が言ってた信用ならないって言う……」
 榎田さんが言うように、俺はユーゼス長官をあまり信用していない。未確認生命体の報告はまだCIAには出していないはずなのに、何かを察知したように…俺の部隊を派遣すると言いやがった。ネメシスはあの一件以来目立った動きも見せていないのに……
 ともかく、今は奴の言う事に従っていよう……そうすればいずれ、奴の本性に辿り着くかもしれないからな。
「陣内君、時間はいいの?」
「ん?ああっ!すんません榎田さん、今日もルガーをよろしく頼みますっ!」
 時計を見たら、もう予定の時間の5分前だ急いで捜査一課に行かないと…俺はルガーを榎田さんに預けて、捜査一課に向けて走り出した。
「まったく、賑やかなのがまた戻ってきたわね」


 科警研を後にして、捜査一課のある5階へと急いで向かった。
「おっ遅れてすいませんっ!」
 警視庁捜査一課に入ると、松倉さんが俺を迎えてくれた。
「陣内君、よく遠くから戻って来てくれたな」
「はっはい…お久しぶりです」
「そうだな〜、陣内の遅刻の一言が久しぶりに聞けて、またここが賑やかになって嬉しいよ……」
 警視庁にいた時の先輩である、杉田さんが俺を茶化す……本当、メンバー変わらないよな、まっ1年振りだからそんなに変わる事はないか…
「それより、陣内君……向こうは大変な事になっているな…」
「はい、こっちにも未確認生命体の情報が来ているんですか?」
「ああ……事実上、奴らは7体存在していると長野から報告があった…」
 7体か……俺は、あいつらがそれだけしかいないとは考えられない……何せ、日本中何処に行っても生物的な生々しい空気が漂っていやがる。簡単に言って見るなら…血の匂いがいつまで経っても離れないと言う事だ……特にこの東京はよどんでやがる…戻ってきて正解のようだぜ。
「陣内君…君がここに戻ってきた理由は……」
「はい、そちらでも解っているはずです」
 本部長…いや、ここのみんなはもう知っているらしいな…手続きを済ませたのはユーゼス長官だからな……
「ああ、君の上司から大体の事は聞いた……日本には未確認生命体の他に、とてつもない脅威が存在していると…」
「はい…その為に、俺はアメリカの本部から派遣され、長野で極秘捜査をしていました。そして今回の事件に巻き込まれて……」
 考えて見れば、ここから長野に移動となって蜘蛛の事件を捜査していたのも偶然だったのかと思ってしまう。
「そうか……君の体の事情も、CIAのユーゼス長官から聞いている…よく1年間隠し通してきたな」
「遅かれ早かれ、ばれる事は解っていました…黙っていて申し訳ありません」
「まっ昨日一昨日の事件の事だ……言わなかったら、陣内は未確認生命体5号になって俺達を敵にまわす所だったからな」
「はぁ、怖い冗談はよしてくださいよ…杉田さん…」
「陣内君…そこで我々日本の警察は、アメリカのCIAと事実上合同して、未確認生命体、超常破壊結社ネメシス…これら二つの脅威に対処する事となった」
「それで、俺の特別部隊をユーゼス長官は派遣したのか……」
 ユーゼス長官は本当に、ここでネメシスを一網打尽にする為に警察と合同するつもりなのか……それとも…
「向こうでは、未確認生命体をUMA(Unidentified Mysterious Animalの略※)と呼称したようだが…こちらは未確認生命体で統一してもいいそうだ」
「そうですか……俺もここにいる以上はそう呼ばせていただきます」
 呼び方はどうでもいいんだけどな……(※UMAとは、一般には未知動物と訳され秘境などに密かに棲息している未発見の生物や、すでに絶滅したと考えられている生物の生き残り、あるいは伝説上の生物などを総称する場合が多い。代表的な例:ネッシー・ビックフット・チュパカブラ。日本では河童など有名)
 豆知識はいいとして、警察も俺らの手伝いをしてくれるって事は心強い。
「向こうから、こちらに新たな装備も派遣してくれると言ってあった……近々、君の部隊も来日して合同捜査本部が設立されるであろう」
「……はいっ!」
「陣内さん、さっそくそのCIAの人から連絡が来ています」
 通信士である笹山さんに俺宛の連絡が来たと聞いた。早速俺がここにいるって事突き止めやがったな……
「つないでください…」
「はいっ、そっちに行きました」
 多分ユーゼス長官だろう……俺は、近くの電話を取って耳に当てる。
「はい、陣内榊…変わりました」
『兄さんっ!おひさーっ!』
「ぐはっ!」
 ユーゼス長官と思ったら、活発な声が榊の耳に入ってくる。
「く…あかりか…」
『どうしたのぉ?兄さん、少し元気がないよぉ〜』
「一気に緊張がほぐれたような感じだ……」
『どー言う意味?』
 電話に出たのは、俺の妹の陣内亜狩(あかり)だ……俺が陣内家を崩壊させた後、赤ん坊だった亜狩と一緒に逃げ出したのは良かったが…一緒だと危険だと思って、適当な家の前に置き去りにして、それっきり生き別れになっていたが……俺がCIAに入って間もない頃にネメシスとバティムの三つ巴事件で死に掛けた亜狩を助けた時に再会したのだ。
 以来、ネメシスやバティムがいつまたあかりを狙うか解らない……という事で、ユーゼス長官のコネでCIAの通信士にしてもらったのだ。
「それで、俺になんか用か?」
『うん、今ね……日本へ向かっている飛行機の中だよ』
「何っ!まさか、俺の特殊部隊と一緒に来ているのかっ!!」
『そうだよ、セーラさんも一緒だよ』
「そうか…セーラもか…」
 なら、あいつを探す為かも知れないな……
『そっちはどう?赤ちゃん達は元気?』
「話の方向が違わなくないか?まあ、元気で…よくやってるよ」
『日本に着たら、会わせてね〜』
「ああ、解ったよ……でも今はその話しじゃないだろ」
『うん……』
 あかりの声が、さっきの陽気な声とは違い深刻になって聞こえてきた。
『ユーゼス長官から兄さんに指令だよ…』
「ユーゼスから?」
『川澄 零って人の護衛だよ……情報だと、狙われているんだって』
「……何だと…川澄…零って」
『ん?兄さんどうしたの?』
 あかりが言った人物の名前に心当たりがあった…いや、知っている。彼女だ……元・幹部怪人『蛇』で俺がアンチテレキネシス怪人から人間に戻してやった人だ…。
 零が狙われている……狙うとしたら、あいつ等しかいない……
「解った……関東医大病院だな」
『そうだよ…でも、よくその人が何処にいるか解ったよね、私が教える前に…』
「当たり前だ……知り合いだからな」
 俺の電話を持つ手にぎりぎりと力が込められて行った。なんで、今更あいつを狙うんだよ……何が目的だ…ネメシス…
 怒りが頭の中をよぎった……そして、徐々に膨らみつつある

 奴等への憎しみ…


丁度その頃、幹部怪人『蠍』は…

「ふーん、ここに先輩がいるのか…」
 ビルの屋上から病院を見下ろす、赤いシャツを着た青年…怪人体を解いた幹部怪人『蠍』の人間の姿である、毒泉凶治である。
「雲海さん…いるんすよね……」
「けけっ、気づいていたか蠍……」
 人間体の雲海 有でもある幹部怪人『蜘蛛』が屋上の影から姿をあらわす。
「仕事サボって良いのかい?」
「いや、黒狼や戦士クウガが来るとしたら…まずここだと思ってな…先回りしたのよぉ」
「ありがたいのやら、ありがた迷惑と言うか…それより、蛇ってもしかして蝙蝠と同じで元人間から作られているのかい?オレ達とは違い」
「おおよ、だから黒狼が人間に戻せた……」
「なるへそ……」
ギュルンッ!
 凶治は、人間体から赤い甲殻に覆われた怪人体へと変貌した。
『なら、今は殺すのは造作もないって事かい……なら行ってくるぜ、この殺人医師…蠍が』



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設定資料集

怪人集

蠍(さそり)
主体 レッドスコーピオン
人間名 毒泉凶治
身長 195センチ
体重 92キロ
パンチ力 6t(ナックルシザー)
使用武器 ナックルシザー(ハサミ状の腕)ポイズンテイル
必殺技 サンドスコーピオン
ネメシスの幹部怪人の内の一人、エジプトに生息する猛毒のレッドスコーピオンを主体に人間、毒泉凶治を改造した怪人。蛇の補欠要員としてニューヨーク本部から現幹部怪人と合流した新人の若き幹部、故に若気の至りにも取れる軽率な言動も目立つ。人間体では殺人医師と言う事から、昔は医療施設にいたと思われる。怪人体になると武器は腕にあるハサミはメスより切れ味がよくパワーもある。尻尾のには毒針がついてその三本を巧みに使う。地中に潜って奇襲攻撃が得意。

後書き
首領「いえーいっ!今日は今回は、ダーイブ長くなりそうなので…色々やってみました!」
榊 「あまり長くすんなよ……それがおまえの悪い癖だからな……」
首領「はい…(泣)ええっ、ついにCIAが動き出しましたね」
榊 「おお、これからどうなるのか心配だがな……」
首領「ユーゼスはどんな企みを考えているのかっ!?」
榊 「まて、そりより…未確認生命体をUMAって呼ぶのはどう思うが…」
首領「未確認生命体を英語にすれば、そのままの意味になるやん……だから向こうはあえて、それの名で呼ぶと」
榊 「ってーことは、CIAは未確認を呼ぶ時は…」
首領「日本にいる限り、未確認生命体で統一されると思いますが、ユーゼスは…UMA−01や04って呼ぶかも…」
雄介「じゃ、俺ってUMA−04ってなるんだね」
首領「……すいません、本人がいるのに…」
榊 「と言う事で中篇に続く!」
首領「あっ、こらっ!勝手に終わらせるなっ!!」


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