関東医大病院

 あかりから、ユーゼス長官の指令により俺は川澄 零の護衛の為、関東医大病院に到着した。川澄 零は以前に俺と戦った事がある……幹部怪人の一人『蛇』…鎖使いの女。
 実力は、手の甲から伸びる伸縮自在の鎖を四方八方に操り…その隙はまったくない…完全体になった俺でさえ、勝てたのが不思議なくらいだ。
 だけど、彼女は両親をネメシスの奴等に殺されたという過去を持つ…以来、両親の仇を討つために鬼塚と共にネメシスに潜入して幹部怪人として改造させられた。

 彼女も俺と似たような過去を持っていた、本当は…優しい心…人間の心があいつにはあった。俺は彼女を殺さずに……自分の戒めの能力『アンチテレキネシス』で彼女にかけられた呪いを解いてやり、人間の姿へと戻したけど……その力のメリットは彼女の免疫力、抵抗力を極端に低下させ……今この病院で入院生活を強いられている。
 記憶も、アンチテレキネシスの副作用で消して彼女が目の前で両親を殺された記憶から、ネメシス幹部怪人だった時までの記憶を消した。勿論、その時…零は俺のことを忘れていたが……
 だけど、護衛任務でここに来るとは思わなかったな。いや、無かった方がおかしいくらいだ。零は言って見れば、ネメシスにいつ命を狙われてもいい要人でもある、形はどうであれネメシスを裏切ると言う事は、組織内では大罪……俺のように命を狙われてもおかしくはない。
 だが、奴等が今までしなかった理由はここにあった……気づくのは大変だったが…

「こんにちは、美坂さん…ここで働いていたんですね」
「おおっ、榊君!しばらく会っていない内に、立派になったな〜」
 ここで、俺の体を見てくれて、川澄 零の担当医師でもあった美坂医師だ。
「私は川澄くんがここに移転されると言う事で、私も移動となったんだ…いや、本当に君にまた会えて嬉しいよ…」
「そうですね……零は、元気ですか?」
 それを聞くと、美坂医師は少し黙り込んで……
「彼女は…3年前、子供を産んだよ……」
 美坂医師は、少し深刻な面持ちとなって答えた言葉に、俺は愕然とした。
「君の子供がね……」
「えっ?」


仮面ライダー・黒狼
第2章〜東京を駆ける〜中篇『狼の複製児クローン


院内・4F第2手術室
 長い時間の手術は医者にとっては格闘だ、患者の命をこの手で預かり…死なせまいと努力する…それ故にかなり精神力と体力を消費する。
 長丁場を終え…血のついた服を脱ぐと汗をぬぐって手術室の椅子に腰をかける一人の医師に……一人の青年が近づく。
「医者はいい…人の命を左右できる唯一の仕事。必ず死という物を体験する」
「だっ、誰だね君は……ここは、部外者以外立ち入りは禁止だ」
 医師がその男に言い放つと、青年は似たりと笑って…
「ただ、俺達との相違点は……医者は人の命を救う側だが、俺達ネメシスは殺す側と言う事だ……」
ドシュッ!
「うぐぉっ!」
 青年がその医師の近くまで来ると…医師の背中から巨大な赤いハサミが突き出ていた。
「ふ…皮膚を突き破り、肉を裂く感覚は…どうだい?あんたも味わった事はあるだろう」
「ぐお…」
「それだけさ、俺達とあんた達医者の共通点は…」
バシュッ
 ハサミを引き抜き…医師の体がドサリと床に倒れこむ……青年の腕は、赤き血に染まったハサミになっていた。そして倒れこんだ医師の顔を青年はじーっと見つめると…
「こんな顔か…」
 そして自分の顔に向かって、さっき殺した医師の血のついたハサミを振り上げてその顔を斬り付けた。
ザシュゥゥゥーーーッ!!
 自分で自分の顔にハサミを入れ…鮮血を飛び散らせ、ハサミを顔で動かした。その男の正体は……ネメシス幹部怪人…通称“殺人医師”と言われる『蠍』…





「先生、患者さんのご両親が来ています」
 手術室の奥から、一人の看護婦が顔をのぞかせて医師の名を呼んだ。
「解った…すぐ行こう」
 そこには、さっき蠍が殺したはずの医師の姿があった。
「お疲れですか?声が変ですよ……」
「まあな」
「面会が済んだら少しお休みください…」
「解った…長丁場だったからな……」
 看護婦の後を追い、その医師は手術室を後にした……床には、バラバラに切断された人の腕が無造作にごみ箱に捨てられていた。
「(声色を使わなければ、ばれてしまうな……)」
 手術室を出た医師はそう思ったのもそのはず、彼は蠍が顔を直接整形手術で医師に化けた者だった。
「さて、川澄 零を探すか……」
 そう呟くと、蠍は院内を何気ない顔で歩き始めた。


 俺は、美坂医師から出た言葉に愕然としていた…
「なっ、何冗談を言っているんですか?」
「……冗談は言っていない、正真正銘…君の子供を彼女は産んだ」
「待ってください!美坂さんっ!俺はもう妻子持ちですよ、それに身に覚えがない」
 そう言うと、美坂医師も顔をしかめて…
「私もその事は、水瀬から聞いた。それに榊君がここに来たのは始めてだと言う事も解っている…あの子が産まれた時は君はニューヨークにいた、だから彼女に君の子供が生まれるのは不可能に近い」
 美坂医師が言った言葉は、とてもとっぴおしのない事だ…確かに、日本に帰国して今日始めて零に会う。だから、間違ってもそんな事はしていないはずだ。
 時間的にも不可能だし……どうしてだ…
「川澄君は…あの子の父親が誰なのか、知らせていない……」
「……そうですか」
「言うか言わぬかは、君が考えてくれ……」
「子供の名前は?」
 俺は、美坂医師に零の子供の名前を聞いた。
「彼女の名前は……舞だ…」
「舞か……女の子なんですね」
 美坂医師にその事だけ聞くと、俺は病院内を零の場所に向かって歩き出した。美坂医師もその後をついてきた。
「どうするつもりなんだ……」
「舞は何処にいるんです?」
「えっ?」

 俺は美坂医師に舞の居場所だけ聞くと彼女のいる病院の外に行く事にした。美坂医師は先に零のいる病室へと行ってもらった。当然、父親は俺だと言う事は零には言わないようにと言っておいた……解れば、零をまた戦乱に巻き込んじまう。
 過去の呪縛から解き放ったのは俺…だけど俺の為に零は病にかかっている、そして俺のせいでまた不幸が訪れる、これ以上あいつを俺のせいで巻き込みたくない……
 だからな……

 病院の外では、大きな庭で看護婦さんと遊んでいる黒髪の小さな女の子がいた。
「ルガー、来い」
「わんっ」
 俺はそこに止めてあった、子犬ルガーを呼び寄せて…肩の上に乗せた。
「あの子が舞か…」
 多分そうだろう…あの子が舞だってわかった。感じで…そう、あの子から俺と同じ匂いを感じたからだ。
 俺はルガーを連れて舞の所まで行った。するとすぐに、舞と遊んでいた看護婦さんが気付いて……
「あら?あなたは?」
「俺…川澄 零さんの見舞いに来た者だ…」
「舞ちゃんのお母さんの知り合いの方ですか?」
「…この子のち、いえ古い友人でして…よう、舞…こんにちは」
「こんにちは〜」
 舞は人見知りも無く、屈託のない笑顔でペコリとおじぎをした。
「…それより、美坂医師が呼んでいましたよ…零さんの所にいると…」
「あ、そうですか〜ありがとうございますね。そうだ、舞ちゃんお願いできますか?」
「ああ……俺も子供いますからね、慣れています」
「そうですか、じゃあ任せられますね…では舞ちゃん…またね」
「お姉ちゃん、また遊ぼうね〜」
 看護婦さんは俺に舞を預けると、看護婦さんは舞に手を振りながら急ぎ足で病院内へと戻って行った。
 二人になって、俺は舞の視線の高さまでしゃがみこんだら、舞は少しおどけて…
「お兄ちゃん、だぁれ?」
 多少は警戒しているようだな……でも、誰だかよく解らないでいる。この子も陣内の血を引いている事が解っている。多分俺の存在に何かしら自分と共感する物を感じたのだろう……この幼い体で…
「んっ?ああ、俺は……君の、お父さんだよ」
「……お父しゃん?」
 何を俺は血迷った事を言っているのだろうか……この子に父親と名乗ったら、俺に振りかかる危険に巻き込んじまう。まだ幼いこの子には、あまりにも酷過ぎる……昔の俺のようにするつもりなのか……
「まいのお父さん…お父さーん」
「…!?」
 舞は始めて会ったばかりなのに、何も疑いもせず…俺の事をお父さんと呼んで抱き付いてきた。一体…俺は、何考えていたんだ……何忘れていたんだ、肉親を殺された…殺した絶望感と言う物を覚えている……悲しすぎるよな、こんなの……
 腹違いだといえど、どんな理由があろうと、俺は……この子の父親なんだ……
「そうだよ、俺がお前のお父さんだ」
「お父さんっ」
 嬉しそうに抱きつく、舞の頭を撫でる…無償に泣けて来た。

 段々日が暮れてきたな……そろそろ戻るか…
「いぬさんっ、いぬさんっ♪」
「わんっ」
 子犬ルガーと遊んでいる舞を見ていると…しばらくして、俺の携帯電話が鳴った。
「はいもしもし…」
『兄さん、日本に着いたよっ、その報告をしに来ました』
 電話の主はあかりだった…と言う事は、ついにCIAの特捜隊が日本に着いたと言う事か……俺は舞に聞こえないように、小声で話した。
「そうか、俺はユーゼス長官の命令通り…任務を遂行しているぞ……ああ、これと言った動きは見せていない…そうだ、あかり……お前、この事に心当たりは無いか?」
 電話で、俺は零に産まれた俺の子、舞の事を話した……だが舞が産まれたのが2年前の冬だとしたら、その当時CIA本部にいた俺には絶対不可能なはず…なのに
『うーん、じゃあ…多分、あれだと思う……アナザーAC計画』
「アナザーAC計画?何だそりゃ……」
『うん、内定調査員の情報だと…アルティメットコア計画の予備計画で、強力な遺伝情報を持つ固体のサンプルを使って、その固体のクローンを作って…そのクローンが世紀末王の体にするって計画なんだけど…計画はある理由により中止されたって』
「クローンか…ある理由って何だ?」
 クローンと言う言葉に俺は、少し動揺した……これなら、今まで奴等が零を殺さなかった理由が今はっきりしたからだ。
『その理由が解れば、苦労はしないでしょ……でも中止されたって言ってるし、大丈夫だと思うよ』
「そうか……」
『あ、そうそう…兄さんに“エクストリガー”持ってきたから』
「ありがたい、あれがあれば……」
 力を伸ばしつつある幹部怪人達や…黒狼キックの効かなかった、未確認にも…エクストリガーさえあれば…
『明日、届に向かわせるから。任務頑張ってね』
「おお、そっちも頑張れよ」
 俺はそう言うと…携帯の通信を切った。すると向こうから子犬ルガーと一緒に舞が俺の方に戻ってきた。
「お父さーん」
「おう、楽しかったか?」
「うんっ」
 舞は嬉しそうにうんと頷いた。
 もう夜が来たな…ここは危ないかもしれない。俺はそう思い…
「よし、ルガー…もう行け」
「わんっ」
 病院内にはさすがに犬は入れないからな……ルガーに指示すると草むらの方に駆けて行った。夜空になった空を見た……
「結局、今日中に帰れなかったな……」
 心の奥で、秋子にすまないと言う……秋子の事だから、無理はせずに全力で最後まで頑張らないと家にも入れてくれないだろうな。仕事を中途半端で中止するのは嫌いだからな…秋子は……
 そう思い、俺は零のいる病院内へと入っていった。
「ん?舞……」
「すぅ〜すぅ〜」
 俺の背中で可愛い寝息を立てて舞は眠ってしまっていた。ルガーと遊び疲れたんだろう……だけど、この子は俺のクローン…複製人間なのだ。
 あかりから聞いた、アナザーAC計画の説明から考えると……舞は、俺の細胞から作り出された世紀末王の体となるクローン…そして零は、そのクローンを生み出す為の母体。
 今まで零が狙われなくて、今になって急に狙われるようになった理由を……
 産んだら産んだで……用済みかよ…くそ野郎どもが…



東京湾
 どこの施設の貨物室でもなく使われていないとされるとある倉庫、その中では…数名の放射能防護服に身を包んだ男達が数台の機材を動かしながら作業をしていた。
 その倉庫に、蜘蛛こと雲海 有が入ってくる。
「どうだい?オレ様のベイビーちゃんの様子は…」
「はっ、順調に覚醒の時を待っております」
 作業員と雲海の前の壁という壁は、蜘蛛の糸に包まれていて…その中心部には巨大な繭がある。
「繭の中では1時間ごとに10%ずつ細胞分裂を行って徐々に成長しています。蜘蛛様の繭に包まれていなければ、今ごろは本部で暴れまわっていますよ」
「けけっ、こいつは覚醒すると自分の体を維持する為に色々食うぜ……気を付けな」
 不気味な笑みに、そのばにいた研究員は少し表情を引きつらせてその繭の方に眼を向けた。繭は心臓のように四方から伸びる解くに太い糸からエネルギーを吸収し続けているようだ……
「それで……オレの頼んでおいたのは?」
「はっ、第三支部の担当幹部『蟹(かに)』の遺伝子サンプルです」
 雲海は作業員から液体の入っているカプセルを受け取った…
「ご苦労さん。するってーと、第三支部は既に壊滅したって事になるのか」
「報告によれば……遺跡もろとも消滅したと…データも残さぬまま」
「けっ、あそこはリント生誕以前の貴重な古代遺跡…何も残さず消滅かよ…CIAの奴ら核でも投下したんじゃねえのか?」
「…解りませんよ…とにかく、どうするんですか?蟹のサンプルの方は…」
「『キメラ』ってのを試して見ようと思う……」
「まさか、自らの体に!?」
「けけっ、違う……こいつは他の奴に使う」
 そう不気味な笑みを浮かべて言い、雲海は倉庫の扉を開き倉庫から出ようとして振り向き様に…。
「おお、そうだ……オレ様のベイビーちゃんは蠍に任せると言っておいてくれ…」
「『砂蜥蜴(サンドリザード)』を…蠍様にですか、はいわかりました」
 最後にニタリと雲海は笑うと倉庫から出ていった。
「蜘蛛様……やけに落ち着いていたな…」
 残された研究員はただ、途方に暮れてしまう…


関東医大病院…
 俺は、背中で眠る舞を零のいる病室へと連れて行く事にした…零の近くにいればネメシスの奴等も下手に襲っては来れないだろう。
「えっと、ここだな…」
 美坂医師から、あらかじめ聞いておいて良かった……場所がわからなければ、行く当ても無いからな。
 零の病室は一般とは少し違った特別な病室になっていた…俺はその病室のドアをノックする。
「はい、どうぞ」
 中から零の声が聞こえて、俺は病室のドアを開けて中に入った。
「陣内君っしばらくね…」
「こんばんは、零…本当にお久しぶり」
 零は病室のベッドで上体を起こした状態だった。近くには美坂医師もいたらしい…
「旅はどうだった?」
「波乱の連続だったよ、やっぱ一人旅はする物じゃいな……」
「でもこうして、陣内君の元気な顔が見れて良かったわ」
「俺も安心したよ、元気そうで何よりだ…」
 でも、零は最後にあった4年前と比べると少しやつれたような感じはする。
「あ、舞の面倒を見てくれたの陣内君だったの?」
 背中ですーすーと眠る舞に零は気づいたらしい…でもこの子は俺が父親だって知っているし……零本人の前では言えないな…
「起こしたら悪いだろ、もう少し寝かせようぜ」
「うん……」
 零は頷くと俺は零の隣に舞を寝かせた。母親の隣で落ち着くのか気持ちよさそうに寝息を立てて寝ている。
「まずはおめでとうだな……」
「それはお互い様よ…」
 俺は晴れて母親となった零におめでとうと言うと、それを零は返してきた。まさか、舞の父親が俺だって事を…
「あなたも子供がいるのよね…だからよ」
「あ、ああ…そうかってなんで知ってるんだ…」
「美坂先生から聞いたのよ」
 俺は、美坂医師を睨み付けたら、彼はごまかす様に口笛を吹いた。
「…美坂さん……」
「いやな、お互いめでたいだろ」
「でもな……」
 俺は照れながらも、零の顔を見る…にっこりと笑った表情が少し可愛い。ふぅ、あまり零には知られたくなかったが、…舞が寝ていて良かった。
 そう言う事で、俺達の話しでその場は盛り上がった。皆の間に笑顔が戻り…零も元気な笑顔が見れて俺は嬉しかった。
「ふーん、美坂さんにもついに…」
「いや兄貴の子供だけど…何日か前に、また産まれたんだよ」
「そりゃめでたいじゃないですかっ!」
「本当ね…おめでとう、美坂先生」
「だから…オレはまだ、独身なんだって」
 美坂医師はこんなかでは唯一、一人身だったな……まあ、頑張って彼女見つけろよ…

「陣内君……」
 落ち込んでいる美坂医師をよそに、零は改まって俺の名を呼んだ。
「どうした?」
「…あたしは、この子にとっていいお母さんでいられるかしら……」
 そう言い、自分の隣で眠る舞の頭を撫でる……
「こんな体で…入院と退院を繰り返して、この子に寂しい思いばかりさせて…いい母親と言えるの……」
「川澄君……」
 俺は美坂医師が言おうとした所をアイコンタクトで止める……多分、彼は俺が舞の父親なんだと言おうとしたのだろう。
「零は自分の事をそう思っていても…舞はそうは思っていないぜ、いつでも母親のお前が一番大好きなはずだぜ……」
「……」
「舞と遊んでいればそれがわかるよ……肉親なんだろ、舞はお前の……」
 俺の言葉に零は、眼を丸くして俺を表情を見る…零自信の両親は蜘蛛に殺されている、俺と同じ肉親を失った悲しみを知っている…。
「だから、零が頑張ってやらなきゃ…舞も悲しむぜ」
 同じ過ちを…悲しみを…舞には感じ取って欲しくない…勿論、陽介や名雪にもだ…
「そうね…ありがとう、陣内君…あたしも早く元気にならなきゃね」
「おうっ!」
 だけど、そう言った俺も……舞の父親なんだよな…

 消灯時間となり、俺と美坂医師は零の病室を後にした。さっき話しはできなかったが、舞の事を美坂医師に話した。
「そうか……君の複製人間、クローンか信じがたいが…そうでなければ、舞くんが君の子供だって事は納得がいかないからな」
「俺がここに来たのも奴等の暴挙から、零を守るためにです。奴等は絶対にここに来るはずですから…」
「……確かに、じゃあ今日はここで?」
「はい、二人を守る…それが、今できる事です」
「……解った、二人を頼んだぞ」
 美坂医師は俺の肩を軽く叩くと…病院の廊下を歩いて行った。美坂医師……もしかして

プルルルッ!
 俺の携帯電話が鳴り病院内では、やばいと察知して病院の外に出ようと急ぎ足で廊下を歩いた。
ドンッ
「あ、失敬」
「こちらこそ……」
 曲がり角で見慣れない医者と肩がぶつかって、取り合えず謝罪して俺は急いで病院の入り口まで戻った。
 病院の外に出ると、すぐに携帯電話に出た。
「はい、もしもし」
『兄さんっ!大変っ大変っ』
「どうした、あかりっ!」
 声の主はあかりだった、さっきとは違い凄く慌てたような声だ、何かあったのは間違いない。
『未確認生命体が東京に出たって!』
「何っ!?このくそ忙しい時にっ!」
 東京に着いた時の不安が的中したな……やっぱ、未確認も東京に来たか…
『しかも2体だよ、様相からして4号と5号…それで警官隊が包囲して銃撃戦になって…2体とも逃がしたって情報が来ているわよ』
「4号っ!?」
 五代さんだ……東京に帰っていたのか…
「ごだ…いや、それでその2体はどうなった…」
『うん、5号は眼に着弾してダメージを負ったらしいの、4号はどうなったかは解らないけど、2体とも逃げたって事は変わりないよ』
 どうにか無事に五代さんは逃げたようだな、こっちでは五代さんが4号だってこと知っているのは、俺ぐらいだからな。それに…一条さんくらいか…
『兄さんはそのまま任務を続行していて……こっちの事は私達に任せて』
「すまんな、日本に着いた早々に……」
『いいんだよ、これも私達の任務だし……でもエクストリガーが着くのが遅くなるかも知れないけどいい?』
「いざとなったら実力勝負だ!」
『そうだね、あっ…じゃあまたね』
 多分緊急の会議か何かがあったのだろう…あかりは慌てた様子で電話を切った。
「五代さん……大丈夫だろうか」
 あの人の事だから、大丈夫なはずなんだけど少し心配なのは変わりはない。だが…ここ東京にもついに未確認生命体が乗り込んで来やがった。
 前以上に過酷な戦いになるかもしれない……

 空を見上げれば細い三日月が上がっていた……

 病院内
「ここか……川澄零の病室は…」
 零と舞の眠る病室のドアの前に白衣を着た医師が立っていた。
「さて、お仕事と行きますか……」
 その医師は自分の手を真っ赤なハサミに変え、鍵のかかったドアの取っ手に近づけた。その医師こそ…幹部怪人『蠍』

 闇夜に追跡者の葬送曲が木霊する


 ToBe Continue

設定資料集

幹部怪人
 ネメシスにいる幹部怪人は今の所は蜘蛛、蝙蝠、蠍、だけかとお思いだと思いますが。世界規模の組織に立った3人の幹部だとかなり心細いと思います、そんなんで悪の組織なぞやってられるかー。そこで第1部で未登場の蠍を始め、今回の蜘蛛の会話にあった死亡したと言われている『蟹』もいたように、ネメシス各支部にはそれを警護する幹部怪人がいるって設定です。各支部別に紹介…


@ 新総本部 日本:??
主要幹部:蜘蛛、蝙蝠、蠍・?? 計四人?
A元本部 ニューヨーク ※後に本部移動で日本に…
主要幹部:無し(本部時は蠍、日本移動と同時に配属)
B第3支部 タイ:遺跡調基地※何者かの攻撃により消滅
主要幹部:蟹(かに) ※上記理由に巻き込まれ死亡
C第4支部 オーストラリア:量産怪人製造プラント
主要幹部:蟷螂(かまきり)
D第5支部 イースター島:遺跡調査基地
主要幹部:毒蛾(どくが)
E第6支部 北極:ミサイル製造工場
主要幹部:百足(むかで)
F第7支部 南極:量産怪人製造プラント ※後に機能停止
主要幹部:烏賊(いか)

 とまあ、こんな感じで幹部怪人は結構いっぱいいる事にしました、モチーフはショッカーのシ初番の怪人達。日本の総本部にはその主力が集まっていると言う事ですが…裏切った川澄零こと、蛇や…元々最強の幹部として製作された黒狼を+すると計11人と言う事になります!どうだ、これなら文句なかろう!
 この幹部が全員一同に会する時はこの第2部ではないと思われます、理由はこの後の展開で…日本の幹部に……これ以上は…早々。

後書き

榊「さあ、いつになったら戦闘シーンが出てくるんだ?」
首領「でーっ!ここまで長くかかる物などとは思っていなかったべ!」
雄介「それに、オレも会話だけ登場…」
真 「俺なんて出してもいないだろ……」
首領「だっべぇぇーーっごめんさい!ええ、解説させていただきますと、この第2章はクウガのエピソード3の『東京』と4の『疾走』とリンクしています。黒狼は直接彼の戦闘に参加していないけど、明日はクウガも出すつもり…」
雄介「ああ、そうか!だから『東京を駆ける』なんだ」
榊「次ぎで本当にこの章は終わらせろよ…」
首領「あいっ!わかりました、次回……蝙蝠に…蝙蝠にぃっ!そして次の章へ…」


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