川澄零の病室前…

「さて、お仕事と行きますか……」
 蠍は右腕を赤いハサミに変えて、ドアの取っ手に手をかけようとした。
 病室の中では、零と舞が気持ちよさそうに眠っている……
「ふっ…発お目見えだね、蛇先輩…」
 その殺意剥き出しの表情で、零のいるドアを開けようとし手を伸ばしたその時…
「おい、あんた誰だっ」
「!?」

 俺の目に、怪しい男が零の部屋のドアを開けようとしていて…俺は急いでそいつの元に走った。
 で、走りよって見ると…それは白衣の医者でIDカードもちゃんと胸にしていた。ここの医者か…ネメシスの奴等かと思ったぜ。
「なんだよ、脅かすなよ」
「き…君は誰だね……」
 その医者は明らかに奇異の目で俺を見ていた。まあ、私服警官(本当はCIA工作員)がこんな所でうろうろしている方が怪しいか……
「はい、警視庁の陣内といいます…ちょっとした事件の捜査に来たんで」
「ああ……それはご苦労な事だ…」
 うん、奴等の匂いも感じられない……こいつは違うな。医者は少し皮肉めいて…
「何の事件で?」
「いえ、少しの間ここの病室の人の護衛を任されましてね…」
「お一人で……それはそれは、ご苦労な事で…」
「それで、先生は一体ここで?何を?」
 俺は質問し返すと、医者の表情はこわばって……
「患者の様子を見にきただけだよ…それが日課なんでね」
「そうですか…それはご苦労な事ですね」
 変わった日課を持った医者も多いもんだな……まあ、美坂さんには負けるけど…
「それでは、私はこれで……」
「ども」
 ビシッと警官らしく、俺は敬礼すると彼はふんと鼻で言い廊下を歩いて行った。
「何だよ、変な医者だな……」
 そう離れて行く医者に少なく文句を呟くと、零の病室のドアの前の椅子に座った。さて…今夜は寝ずだ……まあ、夜行性の狼には楽な物だ…


 蠍は舌打ちをして…来た道を引き返していた。
「黒狼が…やはり来ていたのか、今ここで川澄 零ごと始末してやりたい所だけど…それだったら、俺も無傷では済まされない…もっと対策を立てて出なおしか…ちっ!」
 そう、蠍は舌打ちすると闇に染まる廊下の奥へと消えて行った。


仮面ライダー黒狼
第2章〜東京を駆ける〜後編『砂上の大蜥蜴』


 んっ…眩しい……この光は…太陽の光…
「朝か……」
 どうやら、病室の前で張り込みをしていて眠ってしまったらしい。気づけば、朝になっていた…どうやら、昨日は何事もなく朝が来たようだな。
 けっ、夜行性が聞いて呆れるな……野生動物も眠る事もあるのは当然だろうけど…
「……」
 とにかく、今日も任務続行か…もしここで敵が襲ってきたら、実力勝負だな…あかりは向こうの未確認の件でエクストリガーを送るが遅れそうだし…
 それに、昨日五代さんの事も心配だ…連絡を対策班に入れて見よう。

 俺は病院の外に出て、携帯電話で対策班に連絡を取ることにした。
「………」
プルルルルッ
 着信音しか聞こえず、一向に出る気配はない…やはり未確認生命体の事で出られないのかもしれないな……こっちも心配だが、向こうもどうなっているのか気になる…
 せめて、あかりに連絡さえ取れれば…
くいくい…
「……」
 俺のズボンの裾をくいくいと引っ張られる感覚があり、俺は横を見たけど誰もいない…でもさっきから、ズボンの裾を引っ張られている。
 回りを見渡しても看護婦さんや患者さんくらいしか見えない、もしやと思って俺は足元を見た。
「…舞、おはよう」
「おはようっ、お父さん」
 足元には、俺のズボンの裾を引っ張る舞がいた…これじゃ見つからないわけだな。
「朝ごはんか?」
「うんっ、しょくどーに行くのっ、お父さんも行こう」
「そうだな、お母さんはどうした?」
「お母さん少しせんせーとお話しているよ、せんせーがお父さんと行きなさいって」
 零は美坂さんに朝の診断としゃれ込んでいるな、事情は知っていても零に言ってなけりゃいいんだけど。まっいいか…
「よっしゃ、行くかっ!」
「うんっ!わぁっ」
「よっと」
 俺は舞を肩車してやると、舞はきゃっきゃっとはしゃぐ。
「わぁ、高い」
 このまま俺は、舞と一緒に食堂へと足を運ぶ事にした。


 その頃、関東医大とは別の場所…都内のあるビル…
「たっ、助けてくれ…命だけは…」
 腕から血を流し、倒れこむその男は近づく深緑に染まる異形の者に訴えかけた。
「オーストラリアのプラントから、量産型怪人を大量に輸入していたようだな」
 その異形の戦士…シンは、そのスーツ姿の男に…向けて量産型怪人の腕を投げる。
「ひっ!」
「この幹部怪人『螳螂』の遺伝子サンプル、誰に渡そうとしていた…」
「…そっ、それはっ!ぐっ!」
ブスッ
 男の胸が何物かの腕により貫かれ…手の中には、抜き出された心臓がある。
「何っ!?」
 シンはその腕の主を睨みつけ、腕のスパインカッターを構える。
『けけっ、お勤めご苦労さん……地下の大量生産怪人はてめぇに皆殺しにあったが…確かにいただいたぜ、『蟷螂』の遺伝子サンプル…』
 幹部怪人…『蜘蛛』は糸を使い、シンの手の中にあった『蟷螂』のサンプルカプセルを奪い背中の腕で受け取る。
「ちっ!幹部怪人か……」
『てめぇとは初お目見えだな……まさか、本当に鬼塚の亡霊だったとはな』
「クァァァッ」
スパァァンッ!
 シンはスパインカッターで斬り付けるが…蜘蛛は間一髪で窓から飛び出し、シンの手刀は…壁を鋭利な刃物で切ったように切り裂いた。
「地上12階をやすやすと…やはり、最高幹部…一筋縄ではいかんと言う事か…」
 脱出した蜘蛛は、糸を伝って屋上へと駆け上がっていった。
『けけっ、あいつもさすがに壁は上れねえだろ…きっ!?』
ブロロロッ!!
 蜘蛛が下を見ると、ビルの垂直の壁を蜘蛛に向けて一直線に走る一台のバイク、エアロガンナー…そしてそれにはシンが乗っていた。
「ふっ……」
『ちっ!』
 蜘蛛は屋上まで到達すると、シンを迎え撃つように身構えた。丁度、シンの乗ったエアロガンナーも、屋上に踊り出る。
『けけっ、逃げも隠れもしないぜぇ…どっからでもかかって来な!』
「……そうか、ならば…一撃で仕留めるまで」
 エアロガンナーからシンは下りると、蜘蛛が肉弾戦を使用とする事を判断して…座席の横、シートの下、そして尾部から3つのパーツを持つと、それを一つに組み立て始めた。
ガチャッ
 そして…体に7センチもある銃弾がびっしり備えられたベルトを巻き付け、大口径のライフル銃を完成させた。
『けけっ!グレネードランチャーごときで、この俺様が消せるとでも思ったかっ!』
「確かに普通のグレネードガンでは、貴様を殺す事などできない…だが…」
ガチャッ、ジャキッ!
 ベルトから巨大な銃弾をライフルに挿入すると、弾を込め…大口径の銃口を蜘蛛に向ける。その口径の銃口から、青白い光がチャージし始めた。
『何っ……まさか…』
 蜘蛛はそのライフルの正体に気づいたのか、たじろんで…屋上の隅に追いやられる。
『けっ…マジかよ、てめぇそんなもんまで盗んでたのか……』
「死ぬ前に答えろ……本部は何処だ」
『だれが…ん?』
 蜘蛛は、ビルのしたを見て…ある事に気づき。
『けっ…お遊びはこれまでってか、撃てよ…オレは何も答える気はねえぜ…』
「そうか、なら他の幹部に聞くまでか……」
 そう言い、シンは安全装置をはずし引き金に指を当てる。
「永久に…眠れ」
「だれがっ!!」
 シンが引きがねを引こうとした瞬間、蜘蛛はビルの屋上から飛び降りた。
「何っ!?」
 シンはライフルを持ち…奴の落ちた地点へと走り、銃口を向けながら下を見た。さすがにこの高さから落ちたら、幹部とてひとたまりも無いだろうが…だが、蜘蛛は下に待機していた鳥形の量産型怪人により捕まえられ…上空を飛翔して…シンのいるビルから離れて行った。
「く…下にもう一体いたか…追うぞ、エアロガンナー!」
 シンはライフルを再びパーツに分解すると、エアロガンナーに飛び乗り奴等を追うことにした。
ブロロロー…
 エアロガンナーは、ビルを駆け下りて…新宿の道を蜘蛛が飛んでいく方向へと走らせた。シンの超聴覚が…鳥の羽ばたく音を聞き逃さなく、その音を頼りに走らせた。
 その横を、変わった白バイで駆け抜ける赤い三本角の戦士…クウガが通りすぎるのを…見逃さなかった。
「あいつは……」
「あの人は……」
 双方自分の存在に気づき…すれ違いそれぞれの敵を追いバイクで走りぬけて行った。


 その2時間前、関東医大病院では…
「そうですか、五代さんは無事ですか…一条さん」
『ああ……白バイを盗んでまで、第5号を追いかけようとした所を取り押さえた…また、戦おうとして……』
 俺が今電話で話している人は一条さんだ、対特殊生命体対策班(未確認生命体・及び超常破壊結社ネメシスを統合し)に配属される為に長野から異動となり警視庁に来たと言う。
「そこまでして……」
 さすがは五代さんだ、彼も半端な気持ちでは奴等とは渡り合えないと解ったからであろう……積極的な人だ…よし
『すまないな、水瀬…君も別件で動いているというのに、呼び出して』
「いえ、この件も似たような者ですから…いつ奴等が現れてもいいようにガード張ってんですからね…それより、一条さん…」
『なんだ?水瀬…』
「五代さんに、TRCS2000の試作型を使用させて見ては?」
 TRCS2000…通称、トライチェイサー2000…科警研がルガーの特科を生かし開発に成功した試作型の白バイだ…ルガーをいつも榎田さんに貸していた為怪しまれて…警視庁で最初に俺の素性を知られたのもその時だ……とほほ(泣)
『何っ!水瀬…何考えてるんだ、お前…まさか』
「勿論、現状では貸すと言う事にしましょう…未確認生命体やネメシスに対抗するには、警察やCIA…ましては俺がいても勝つ事は難しい…」
『だからと言って、民間人を戦闘に参加させるのは……』
「解っています……彼は戦いには向いていない、優しい心の持ち主…そんな人を戦わせるのは俺も不本意です。でも未確認生命体に対して現状で、効果的な攻撃を加えられるのは彼なんです…」
『……それは…』
「…一条さんが決めてください。今の所…彼にあれを貸す事ができる人物はあなたくらいですから……」
『おっ、おい…』
 俺は言い残すと、携帯電話を切りポケットに仕舞いこんだ。五代さんは戦わせたくはない…けどこの戦いを乗りきるには、彼の力も必要となる。今の俺では未確認には対抗できないからな……
 くそっ、エクストリガーはまだ届かないのか…

 少し焦りを感じつつも、俺は病院内に戻って見ると院内が妙に慌しくなっていた。何かあったのか?
「榊君っ、来てくれっ!」
 何だか慌てた表情の、美坂医師が俺に走り寄ってきた。
「どうしたんですか?美坂さん…血相変えて…まさか、零が?」
「いや、彼女達には問題はない……だが、これは君の専門分野だろう…」
「だから、何があったんですか!」
 もったいぶっていた、美坂医師は…額から汗を流して俺の表情を見ると…ため息をついて…
「殺しだ…猟奇的な…な」
「解りました…すぐ行きます」
「頼んだ……」
 美坂医師に着いて行き、その猟奇的な殺人事件のあった現場へ足を運んだ。

 現場はある手術室、既に人だかりができていて…色々な医者や看護婦達がいた。
「おい、どいてくれっ警察です」
「ちょっと道を空けてくれ…」
 美坂医師が道を明けてくれて、現場の手術室へと先導して行った。
「ここだ……ある看護婦が、立ち寄ったらこの有様だ…」
「…死んだ匂いが…充満して居る」
 まあ俺が匂いに気づかなかったのは…ここが、手術室で常に人を切り刻んでいる所だったからか…俺が気づかないのも無理は無いな。
 ここには、鋭利な刃物で胴がバラバラにされた人の死体が散乱していた。まさにそれはさながら地獄絵図を見ているようだった。
「死体から、外科の田村先生だと言う事が解った……」
「田村?」
 美坂医師から、聞くとその名前に妙な引っかかりを覚えた。
「田村……どっかで聞いた事がある名前だな…」
「どうしたんだ?榊君」
 何だろう、田村と言う男の名に俺は覚えがある…いや、記憶にあってどうでも良い事として処理されたような…言い替えてみるなら、『デジャヴ』っぽい感覚。
 田村…タムラ…たむら…それに、この仏の顔…どっかで見たような。一度だけ会った…けど、一言挨拶程度交わしただけと言う感じだ…
「ああ、言い忘れていたが…遺体が着ていた白衣にはIDカードが無かった」
「えっ?それってマジですか?」
「そうだ、それに詳しく解剖して見ないとわからないが…大体死亡推定時刻は昨日の正午から午後14時にかけてに違いない」
「なんで解るんですか?」
「長年医者をやっているからな、最も私よりここの監察医である椿くんの方が専門分野なんじゃないか?」
 と言う事は…この田村と言う人は俺が来る前に殺されている可能性が高いな……
 ん?待てよ、当たりは血の匂い…野次馬の騒ぎ声…しかもここは手術室、密室なのは当然…完全に俺は視覚以外は封じられている状態にある。
 まさか……俺は、罠にはめられたのか!?
「美坂さん…すぐに警察を呼んで下さい。俺の変わりに……」
「えっ?どう言う事だ?おっおいっ!」
 美坂医師に耳打ちをして、彼の言葉を聞くまもなく俺は手術室から飛び出した。
 なんて墓穴を掘っちまったんだ、俺は……奴は、既に零の所まで近づいて居たんだ……昨晩すでに、この引っかかりはこれの事だったのか…昨晩、零の病室の前で俺が会った医師のIDカード…それに書いてあった名は、『田村』そして、昨日の昼に死んだのも田村…そうだ、零に近づいて暗殺する為には、田村という医師の姿と名前をそのまま使い何食わぬ顔で近づいて殺す。それで田村を殺す必要があるんだ……幹部怪人が自分の姿を隠す隠れ蓑としてな……
 だが、零はすでに昨日殺されてなくてはならなかったが、そこは俺が戻ってきた為…作戦の変更を余儀なくされた。それであえて昨日殺した田村の死体を出す事で…騒ぎを起こし、この感覚器官の通らない場所に俺を引きつけて…それからゆっくりと零を暗殺するつもりだったのだろう……
 野郎の好きには、させるかっ!!さっきの部屋から出た事でますます、幹部怪人の匂いが近づいてきた。

 その頃、蠍は零のいる病室の前で…
「ここの空間を友好的につかわなくてはな……こんなに簡単に黒狼が餌に掛かるとはね」
コンコン
「どうぞ…」
 蠍が病室のドアをノックすると零の反応が返ってきた。蠍はにやりと笑うと、病室のドアを開けて中に侵入した。
「失礼するよ…」
「なんだか、向こうが騒がしいですけど……あれ?美坂先生じゃない」
「ええ、彼は少し急患でね…変わりにこうして私が出向いたのだよ、川澄 零さん」
 ここの病院の医者と言う事か零は全然疑う素振りを見せずに蠍の言う事に頷いて答える。
「ふぅん、そうですか…あっ、確かここに刑事さんいませんでした?」
「(黒狼のことか……)彼か……そう言えば、少し慌てた様子で走っていったけど」
「そっか、やっぱり彼にも仕事があるのね…」
 零がすこし切なげに表情を曇らせる横で、蠍は手際よく点滴の用意をしていた。その中には緑色の怪しげな液体が入れられている。当然毒だ……
「あの、あたし…点滴はしていないんですけど、どこか悪いんですか?」
「ああ……ちょっと美坂先生に頼まれた栄養剤だよ」
「あ…ばれてました?ご飯少し残しているの……」
 あちゃーと言わないばかりに、零はぺろっと舌を出し…蠍は友好的に零の腕に消毒液を塗り付ける。
「無理なダイエットは体を壊すよと、美坂先生は言ってた…主治医の言う事はまもらないとね……」
「はい、気をつけます…」
「所で、君の娘さんの姿が見えないけど…」
 蠍は本当のターゲットである舞の姿が無い事を零に問うと…
「外で遊んでいると思いますよ…」
「そうか…後で挨拶しなければな……」
バタン
「その必要はないぜ」

 俺は零の病室に到着すると、昨夜あった医者が零の右腕に点滴を打とうとしていた。匂いからして、毒だろう…
「どうしたの陣内君…血相変えて…」
「零…悪いけど、寝てて貰うぜ」
 俺はそう言い手を掲げると、零に能力を微量に送る。この程度なら常人は簡単に熟睡状態に陥る。
「え…何……急に眠く…」
 零は俺の能力で、一時的に眠りについた…俺は改めてその医師と対峙して…
「アンチテレキネシスか、ニューヨークで能力の用途を色々学んだな、黒狼」
「全て自己流だがな…もっとこの能力の色々な使い方を見せてやろうか」
「結局、オレの正体はバレバレってことだな…」
 その医師はふぅとため息をつくと、腕を赤いハサミに変えた。ばれたから打って出るのか……俺はさっと身構える。
「まずは自己紹介をしよう…多分お互い、初お目見えだからな」
 そいつはそう言うと、ハサミを振り上げ……
ガシュッ!
 自分の顔にハサミを突き刺し…顔を切り刻み始めた。
「おっお前っ!何をっ!!」
 よく見ると、こいつが変装している医師の顔は、ただマスクをしているんじゃない。やつは……顔を整形しているんだ。幹部怪人としての再生能力をフルに利用して、自分の顔を殺した人物の顔に整形すると、すぐに切り刻んだ皮膚が元に戻る…
「完璧な『デスマスク』それがオレ…殺人医師『蠍』の得意戦法だ……」
 そして、奴は整形が終わるとすぐに皮膚が再生して、付けていたカツラを取ると…赤い髪の長身の青年へと戻った。
「どうだ?オレは声色を変えるのも得意なんでな…ガキから…年寄りまで…色々な声が出せるぜ…」
 蠍は声色をいろいろ変えながら自分の能力を自慢した。
「最も黒狼、お前さえ出てこなけりゃ、オレの完璧な暗殺は簡単に進められたのにさ……本来はお前の命は蜘蛛が取るべきだけど、ここで手柄立てとけば、株が上がるだろうよ…それからゆっくり蛇と、お前との子供を取っ払う時間はある」
「俺や零を殺して、舞を生け捕りにしようって魂胆か……」
 奴はどうやら、俺の怒髪点を突いちまった様だな……もう許さないぜ…
「貴様等に親を失った子供のつらさなんて、解るはず無い…いや、永久に分かる事なんてねぇだろうなぁぁぁぁぁぁぁーーっ!」
ガシャァァァーーンッ
 全ての生物が恐怖する程の咆哮が、病室のガラスを木っ端微塵に吹き飛ばす…そして、俺は変身の型を取らずに、その姿を漆黒の狼を象った戦士の姿へと変えた。
 いつもとは違う…筋肉が生態装甲を突き破らんばかりに熱く膨張している…まるで、獲物を目の前にした肉食獣の如く…
「ちっ、本部にいた時、噂に聞いた全ての生物を恐怖に陥れる…『ハウリング』か…さすがに効いたぜ……そっちがその気なら…」
 蠍はそう言うと、ハサミを前に出し…もう一本の腕もハサミに変え交差させる。
『上等だぜ……』
 赤い髪の青年の頭はと体が段々と、赤い甲殻類の装甲盤に覆われ…背中から獲物を瞬時に毒殺する為に湾曲した長い尾が突き出た…
 何人の生き血を浴びたと思われる赤銅色の強固な体と3つの武器を持つ…灼熱の砂漠を這う蠍その物の姿へと変身した。
「ここで戦って零が起きるのは面倒だ、場所を変えるぞっ!」
『良いだろう、お前を殺してからゆっくりと蛇とそのガキをいただくぜ…着いて来い』
 そう言うと、俺と蠍は割れた窓から外へとジャンプして飛び出る…
 双方は地面に降り立つと、蠍は地中に潜り……
『(さすがに俺一体では、黒狼に勝てるのは難しいか…なら、蜘蛛の『あれ』はもう使える時間になってるはず……)』
「俺は気が立っているってこと、解らせてやろうかっ!!」
『おっと…』
ズガァァンッ!
 黒狼パンチが、蠍を大きくそれ…地面を砕き、小規模のクレーターができる。
『黒狼っ!東京湾の東側第14番倉庫で待つっ!』
 蠍はそう言い放ち、ハサミで地面を引き裂き地中に潜っていった。
「逃すかっ!ルガーッ!」
 ルガーを呼び寄せ、俺は病院の外の道路に踊り出ようとしたら、俺の前に白バイ警官らしき男が現れた。見ると、CIAのバッチを肩にかけていた…もしかして
「陣内さん、頼まれたエクストリガーを届に着ました」
 男は、俺にエクストリガーの入ったアタッシュケースを俺に渡す。俺はエクストリガーと呼ばれる二つのリボルバーに似た機器をルガーにしまう。
「ご苦労さんっ、そうだ頼まれてくれるか?一条という刑事に東京湾東14番倉庫にて交戦中と伝えてくれっ!」
「了解っ!」
 一条さんに伝われば必ずあの人が助っ人で来てくれる!俺はそれを信じて、ルガーで東京の街を走らせた。

「急げ!ルガーっ!」
ジャァァーー
 俺の意思がルガーに伝わり…ルガーのスピードが一層…さらに一層増し…疾風の如く疾走する。何だ?ルガーの声が頭に響いてくる……
“ルガーソーダー…設定速度オーバー…通常モードカラ高速モードヘ…トランスフォーメーション…”
 そして、速度計が300〜600へと増え…ルガーの車体が深い緑から大地を神速で疾走する豹のような色と模様へと変色して、狼のような頭部が豹のような頭部へと変形する。
“トランスフォーメーション完了…俊敏体『パンサールガー』へと変形完了”
 これが、榎田さんの言っていたルガーの6つの顔の一つって事か……スピードが段違いだ!よしっ!
「東京を駆けろッ!パンサールガーーーーッ!!」
 ルガーは、俺を乗せ超高速で東京の道を東京湾に向けて走らせた。

東京湾…東側第14倉庫
 俺は予想より早く、倉庫に辿り付き…パンサールガーを降りて倉庫の中へと入った。2丁拳銃とナイフ、そしてエクストリガーをベルトに装備して…倉庫の奥へと入っていった。
「……おいおい、何だこりゃ…」
 俺の目の前には、壁の至る所に糸が張り巡らされて…中心部には巨大な繭があり…心臓のように周りの機械からエネルギーを供給していた。
 周辺装置には、案の定…ネメシスのマークがある…奴らの所有物だって事は確かだ。
「何だか知らないが……羽化する前に壊す!」
 俺は二丁拳銃、エクス&ボルテスの銃口を繭に向け…有りっ丈の弾丸を嵐のように乱射した。
ズガガガガガガガガガガ!!
 弾丸は繭や、周辺装置を破壊して…回りに爆煙が立ちこめる……
「よし……って蠍の奴より早く来て見れば案の定だ…壊してせいか…いっ!?」
ザンッ!
 何かが爆煙の中から飛び出てきて、俺に襲いかかってきた。
「ちっ!」
 右腕のブレード状の武器で斬りかかってくる…生物な部分の残るロボット…改造兵士レベル2かっ!?けど、前戦った奴と力の比が違う…こいつ、セーラが言ってた下部組織ISSの護りって奴か!?
「そう……我々科学陣が、鬼塚のデータを元に…強化改造した改造兵士レベル2…カスタムソルジャー2とでも言おうか…」
 煙の中から更に三人の白衣の男達が現れ…そして…
「ここは砂上の領域…ここに入る事は万死に値する…黒狼を抹殺する」
 そう言うと、奴もその後ろにいた二人も顔の皮を剥ぎ取り…俺が今戦っている奴が3人増えた。
「なっにぃーーっ!」
 俺は押さえつけていた奴をいなして、襲い掛かる奴のブレードをナイフで受ける。
『……』
ドドドドドドッ!
 ブレードで押さえられている隙に横からもう一匹が、右腕のマシンガンで攻撃を仕掛けてくる。
「ちっ!4体だと分が悪すぎるっ!」
 ブレードで襲いかかってくるのが3体、隙ができマシンガンを撃って来るのが1体か…カスタムソルジャー2が4体…ここで蠍が来たら更に分が悪いな…
「なら、使うぜっ!」
 俺は二丁拳銃をベルトの背に装着すると、同じ場所に装備されたエクストリガーを外し…ベルトの両腰のバックルに装着する。
「エクストリガー!発動っ!!」
ガチャッ!ヴゥゥン!
 両腰のエクストリガーのボタンを同時に押すと、アグルストーンの光が回転し始め…俺の体に聖なる力が流れ込み、体の身体能力が10倍に跳ね上がる。
 口部が開き、放熱現象が起き…俺は驚異的なスピードで、奴のブレードを避け…マシンガンを放つ奴へと走る。
ギュィィンッ!
 残像を残しながら、俺は弾丸よりも早く走り…一瞬で奴との間合いを詰め…拳を叩き付ける…
グシャァァァ!
 俺の拳は奴の体を突き抜ける所か、体を上半、下半と真っ二つにしてしまう…後40秒
 次に残ったカスタムソルジャー2、三体に対し、俺はナイフを使い瞬時にカマイタチの如く斬り付けて…2体を一刀両断にするのに5秒…そして残った一体が俺にブレードで斬り付けてくるのに対し俺は武器腕ごとそいつの腕をナイフで切り落とし…ジャンプし至近距離から黒狼キックを食らわせる。
「だぁぁぁーーっ!」
ズガァァーーーーンっ!
 エクストリガーの力で強化された、黒狼キックが奴の体を木っ端微塵に吹き飛ばし…跡形も無く消え去った。
 着地すると、丁度エクストリガーが時間切れで停止する。
「はぁ…さすがに、久しぶりだと疲れるな…」
 能力が通常に戻り、体に負担が掛かる…これがエクストリガー使用後のちょっとした後遺症だ。言って見るなら弾切れになった銃って事だな……
「後は実力勝負か……」
ズズズズズ……
 ん?地盤が、動いている!
バガァァァーーーーン!!
 俺のいる地面が引き裂かれ、そこから蠍の尾が伸びてきた。
『サンドスコーピオンっ!』
 地中から蠍が飛び出て、俺に体当たりをしてくる。その衝撃に俺は倒れこむ。
「ぐあっ!」
 地中からの攻撃なのに、なんて威力だ…直撃なら体に穴が空いていた所だ……
『ちっ、大切な科学斑の奴等ぶっ壊しやがって…蜘蛛に弁償迫られるのオレなんだからな…あーあ、遅れてきたからって余計な仕事増やすなよな…』
「ちっ…てめぇ…」
『技はわざと外してやったが、結構効いたろ……まあそれ以前に、改造兵士4体相手に体力をかなり消耗しているな……』
がしッ!
 奴は、ハサミで俺の両腕を掴み…俺を持ち上げた…なんてパワーだ……
『ここで腕を落としても良いんだがな……こいつが許すかどうか…』
「……何っ!」
『出て来いっ!砂蜥蜴(サンドリザード)』
 俺は蠍に気を取られて気づいてなかった…、さっき打ち落としたはずの繭が蠍の叫びと共に、その繭が割れ…その中から巨大なトカゲの化け物が這い出してきた。
『しゅぅぅ……』
『こいつは羽化したばかりなのにもう、餌の匂いに吊られたか……』
 ちっ、餌は俺だってのか……達が悪すぎる…あんなのと相手したら絶対に丸のみだぜ!だけど、出ようにも…蠍のハサミが腕に食い込む。しかも、パワーは向こうが上か…
 エクストリガーがバッテリー切れの今…俺にはどうしようもないのか…
 俺と蠍の近くに、トカゲ野郎は近づいてきた、近くで見たら解るが…本当にこいつ元は人間なのか!?まんま恐竜じゃねぇかっ!
『良し、砂蜥蜴……お前に食事を許そう…』
「ちっく…しょーっ!」
 ちっ、ここまでかよ……
バガァァァーーーンッ!
 突然、何かが倉庫内に颯爽と進入して、バイクでトカゲに体当たりを加えよろめかせ、俺と蠍を引き離した…。

「榊君っ!大丈夫っ?!」
 俺の危機を救ったのは、五代雄介さん…クウガだった。
「ありがとう、五代さんっ!」
「一条さんから連絡を貰ったから、急いできたよっ」
 そうか、向こうも未確認を倒したんだな……TRCS2000、一条さん渡してくれたんだな…
「あいつ等が、榊君の敵?」
「ああ…五代さん加勢してくれますか?」
「勿論だよ、この前榊君に助けてもらったからねっ!」
 俺と五代さんは蠍とトカゲと対峙して身構えた……
『戦士クウガか…蜘蛛、仕事サボってんじゃねえのか?!まあいい、こっちには砂蜥蜴がいるっ!まとめて相手になってやるっぜ、やれっ砂蜥蜴っ!砂吹雪だっ!』
『しゃぁぁぁぁっ!』
 蠍も、トカゲに指示を出し…トカゲが口をガバッと開け俺達に向かって砂嵐のような吐息を吐きかけてきた。
「五代さん避けてっ!」
「わっわわっ!」
ばっ!
 俺と五代さんは右左へと避けて、その砂嵐を避ける。砂嵐が通りすぎた地面は風化して地面が砂漠の砂の様に砂になっていた。
「直撃だったら、今ごろオレ達はミイラになっていた…」
「榊君…あの砂嵐には気をつけよう、まずあのトカゲを倒すんだ」
「はいっ!」
 五代さんの意地通り、俺はナイフを持ち…砂蜥蜴に向かってまっすぐ直行で向かって行った。
ザザーーーーン!
『オレを無視るなよ、黒狼……トカゲのおかげで足場は増えてんだぜ!』
 俺はナイフで、蠍のハサミを受け止める…
「榊君っ!ていっ!」
『おっと…』
 クウガが蠍の隙を狙い、殴りかかったが蠍はざざっと素早く砂の中に潜っていった。砂の方が、地中より何倍も早く動けるのかっ!?
 だとしたら、あのトカゲの攻撃は蠍にとってバトルフィールドを形成させかなり有利な戦法が取る事が可能…
「だったら尚更、『足場』を作らせないように倒せって事かっ!!」
 俺はそう言うと、一旦蠍を無視してトカゲへと向かった。
『つれねえな…オレは無視されるのが一番嫌いなんだよっ!』
 俺の後ろの砂地から、蠍の尾がサメのヒレのように突き出して襲いかかってきた。
『くっ!?…クウガか…』
「榊君っ!早くっ!こいつは俺に任せてっ!」
 振り向くと、蠍の尾を掴んで砂地から引きずり出そうとしているクウガの姿が見えた。
「はいっ!」
 俺はナイフを構えて、奴に突進した。図体がでかい分回避はできないだろうよ…
『しゃぁぁぁっ!』
 奴は尻尾を振りまわし、俺は寸での所で避ける…やはり図体ばかりでかい為…攻撃が遅いっ!
「食らえっ!」
ガキィィン!
 俺は奴の背中をナイフで斬り付けた…だが、奴の鋼鉄の表皮にはナイフの刃が通らない。
「防御はパーぺキって事か!ならっ!こいつはどーだっ!」
 俺は懇親の力を込めて奴の頭に拳を叩きこむ……だが、奴の表皮に阻まれヒビ一つ入らない。それどころか何事も無かったかのように、俺にその2メートルにも達するドデカイ口を開けて噛み付いてきた。
「ぐっ!」
 俺は飲み込まれそうになるが、やつの上顎と下顎を両手足で押さえ何とか耐えていた。
『ぐぅぅぅっ!ごぅぅーーっ!』
 トカゲは俺を加えながら、口に力を込める…なんて力だ…気を抜いたら食われる!

「くっ!」
『どうした、押されているぞ…』
 その頃、クウガは蠍に攻撃を加えていた。奴はハサミと尾を巧みに使いこなし…攻撃の前にはトカゲの作った砂地へと逃げ込む戦法でクウガを徐々に追い込んで行った。
『そろそろ、お前を狩ることにしようっ!』
 蠍はクウガからいったん離れ…砂地へとジャンプして潜り込んだ。
「何が来るんだっ!」
ザザザザザザザザ……
「!!」
 クウガは、とっさに赤い蠍の尾に気がつき…地面を転げるように前転してから、その蠍の尾に向かって腕の力を利用して飛びあがる。
『サンドスコーピオン…』
 それと同時に砂地から勢いよく飛び出し…クウガのローリングマイティーキックと交差する。
「だぁぁぁーーっ!」
 クウガの右足が蠍の頭を直撃して、蠍はサンドスコーピオンが破られた……
 蠍はジャンプして深手を逃れるが…甲殻類の頭部にはヒビが入り…封印の紋章が浮かび上がっていた。
『ちっ…やるな、オレの必殺技を破るなんて…だがな、封印の攻撃はオレら幹部怪人にはきかねえっ!』
 気迫に満ちた声を上げ、蠍の頭から封印の紋章が消え去った。
「何っ!?」
『だが、予想以上のダメージを食らっちまったか…だが、また蜘蛛に色々奢ってもらわないと割りにあわねえな…』
 そう言い、蠍はヒビの入った頭部をハサミで撫でる…
「くっ、もう一回だっ!」
『何度やっても同じだぜっ、黒狼もろとも…あの世に送ってやるぜっ!!』
 クウガに向けて蠍がハサミを振り上げたその時…
ベキィィーーッ!
 後ろの方で鈍い音がして、クウガは後ろを向き蠍は一旦上げていたハサミをおろした。
「そうは、させないぜっ!」
 クウガと蠍が戦っている後ろで、俺は口の開いたトカゲのから踊り出た…
『お前、まさか…砂蜥蜴の顎の骨を…』
 トカゲの口が開かないのは、とっさで黒狼半回転キックを食らわせた結果、こいつは外装は固いが口の中は無防備だと言う事が解り…簡単に砕く事ができた。
ズシーーーン…
 トカゲは口を開けたままその巨体を倒れこませた。
 そして、俺は今度はクウガに加勢しよう降り立った…
『黒狼…てめぇ、とんでもない事をしてくれたなっ!』
「何っ…」
ブオオオンっ!ばしぃぃっ!!
「がぁぁっ!」
「うわっ!!」
 何かが、俺とクウガを同時に吹き飛ばして、二人は倉庫の壁に激突する。
「う…なんだ、いきなり…」
「榊君、あれっ!」
『キュォォォォーーーーーーーーーッ』
 クウガの指差す方向には、さっき倒したはずのトカゲが赤色化して、暴れまわっていたのだ。
『ぎゃぉぉぉーーっ!!』
『暴走だよ、トカゲも俺達と同じ因子を持っているからな…切れたって不思議じゃねぇ』
 蠍は、暴走したトカゲの攻撃を避けてジャンプして高台へと上る。
 蠍の冷淡な声も聞こえないほどの咆哮が倉庫内に響く…耳がきりきりするぜっ!
「榊君、どうする?」
 クウガと共にやつに見つからないように、物陰に隠れながらトカゲの隙を探る。
「どうするも、あいつを倒さないと……」
「うん、あいつを街に絶対に出しちゃ駄目だっ!やろうっ、榊君っ!」
「ああっ……んっ…」
キィィェェェーーー…
 何だ、耳にあのトカゲの声より甲高い声が聞こえてきたぞ……それと、バイクの音のような音も…
「どうしたの?榊君…」
「何かが近づいてくるそれも…2体だ、聞こえませんか…」
「新手?」
「……解りません」
 それにしても、この邪悪に満ちた気は何だ、耳に届いてくるこの不吉な羽ばたき音は何だ…そいつがここに向かってくる。近づいてくる…とてもやな予感がする…
「来たっ!」
ドゴォォォン!!
 天井に大穴が開き……そこから、何かが入ってきた…暴走しているトカゲがそいつに気がつきズーンとその巨体を急反転させ、その自分を邪魔しようとしてる侵入者に向かって突進して行った。
『キィィ…』
 そいつは、表情一つ変えずにまるで猛獣のように肩を上下させ…向かってきたトカゲに向かって口から溶解液を吹きかけた。
ジュゥゥゥーーー…
 その溶解液はトカゲの表皮をバターみたく溶かし…躯を溶かして行った、そしてその怪物は飛びあがり何度も溶解液を空からトカゲにかける。
『何だよ次から次ぎへと!』
『ぎゃぅぅぅ…』
 トカゲの体は段々と溶解液により溶け……そして、トカゲはあっという間に骨と化した。
『しゃぁぁぁ…』
 俺とクウガは急いで、その侵入者のところまで行くと……驚いた。その侵入者の正体は蝙蝠だった…だが以前戦った蝙蝠とはあまりにもかけ離れていたからだ。
 頭は蠍同様の甲殻類を思わせる鋼鉄の頭部…そして、口が顎からカニを思わせる口へと進化していた。背中の以前まで4枚羽として恐れられた背中の2枚の羽は変形して巨大なハサミを持った手へと変わっていた。まるでそれでさえ、蝙蝠の変わり様は二つの生物が合体したようなそんな感じだった。
 しかも、今まであった感情が消えている用に見える……かなり野性的になっていた。
『……蝙蝠かよ、蜘蛛は『キメラ』試して見るとかいっていたが…こいつに試したのかよ』
 蠍は変わり果てた蝙蝠を見て…驚愕の声を上げた。キメラ?…何の事だよ
「どうしたんだろう、様子がおかしい……」
 五代さんが状況が判断できにくいのか俺に聞いて来た。五代さんはネメシスの敵は始めてだろうからな…でも今の状況は俺にも判断できにくい…
「俺にも、わかりません……だからと言って!すきにはさせんっ!」
 俺は五代さんと共に蠍と、その進化した蝙蝠の間に割って入った。真正面で見ると、かなり奇怪な奴だな……どんな改造をしたら異なる二つの生物を合体できる。
『ぎぃぃ…』
『クウガ…黒狼……』
 蝙蝠の目にはもう理性の欠片も存在していないように見える……俺と五代さんは背を合わせて双方の敵に対抗しようとした。
『ぐっ…』
ドゴォォォーーーーーン!
 俺達の横で突然爆発が起こり爆風が俺達を襲う。何だよ、次ぎから次ぎへとっ!

 それは、壁を破壊して…俺達の前に姿を表した。緑色の生態装甲盤を持ち、額から伸びる2本の長い触覚…その風貌はまさに飛蝗のそれと同じ……手には大口径のライフルを持ち、その肩からはそのライフルの弾がぎっしりと装着されたベルトをしている。
「こいつ……」
「彼は…」
「………」
スチャッ
 そいつは、無言でライフルの大口径の銃口を向けてきた。
 俺は、その姿に一瞬見覚えがあった……以前、俺を苦しめ…完全体の黒狼キックにやられた、鬼塚……その姿とあまりにも似ていたからだ。



 ToBe Continue

設定資料集

ルガーソーダーの6つの顔
 黒狼専用に製作された狼型のバイク、ルガーソーダーには…状況に応じて主の脳波を受信して形態と性能を変形させる特殊性能を持つと科警研の榎田女史により明らかとなった。その個々の形態の性能はまさに未知数で、現在確認されているのは隠密体(子犬型)、深緑体(通常型)、白骨体、俊敏体4形態だ。残りのルガーの形態は…

パンサールガー(俊敏体)
全長・全高 深緑体と同じ
最高時速 600〜900k
搭載武器 ラッシュダガー
 ルガーの深緑体が最高速度300を突破した時に変形できる豹に似た形態。全体的にスマートな形になり、機体自体もオフロード型からモトクロス型へと変形している為、小回りが利き運動性が格段と上がった反面、パワーが減り…力の面では深緑体より低い。


新アイテム集

エクストリガー
 CIAが開発したバックル装着型エネルギー循環装置でアグルストーンの力をフルに回転させ通常の10倍の身体能力を会得でき…黒狼キックは30t代から一気に40〜50へと跳ね上がる。だが、エクストリガーはアグルストーンの聖なる力をフルに引き出す為に必要なエネルギーは限られて、チャージしても最大6段階までで…10秒に1段階ずつ消費されて行く為、最大までエネルギーを消費してもその力は60秒…つまり1分しか持たない……また、最低でも3つまでゲージが溜まっていないと発動ができないと言う欠点を持つ。なお、発動中は黒狼の口は放熱状態へと移行する…(身体能力向上の為、体があったまる為…)


後書き
 いやー、東京を駆けるがよーやく終わりました…はぁ、思えば長かったな。それに出したい奴等全部出しちゃったし……うん、感無量。
北川「お客さんが出過ぎで混乱しないか?」
 ああ、それは気にせんといてや、北川ちゃん!
西川「まったくだ、俺の出番は無くなってるぞっ!」
 おお、西川君!おひさっ!えっと…次ぎは信一さんに久しぶりに出てもらおう。
西川「何ぃーっ!お前、「○川」シリーズっての作るんじゃなかったりのかっ!?」
 えっ、そんな事いったっけ…
南川「おうっ!最礼恩さんとこの、掲示板にちゃーんと書いてあったぞ」
 随分前の話しだろって…お前ら、誰だっ!!
南川「俺は南川(みなみかわ)だっ!」
東川「同じく東川(ひがしかわ)だっ!」
 勝手に出てくんなっ!東西南北野郎どもっ!次ぎは真とのストーリーじゃっ!!だからお前等には用は無いんじゃっ!
東西南川「「「俺達をだせーーーーーーーーっ!!」」」


北川「………何だかな…」


 つづく

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