スチャ…

 その禍禍しい、謎の戦士は俺達に向かってそのライフルの銃口を俺に向けてきた。
「……」
「お前は一体…」
「あ、彼は!」
 俺の隣に居た五代さんがはっとして、その戦士の方を見た。
「この人、さっき俺がすれ違った人だ!」
「……む」
 その鬼のような形相の戦士は、五代さんと俺を見比べて……それから、変わり果てた蝙蝠…そして蠍を見定めるように見た。そして、そいつは…
「まさか……幹部を追って来て見たら、ネメシス幹部…が二人…か」
「何もんだっ!お前…」
 そいつは単調にそう言うと、俺にまた銃口を向けてライフルの弾込めをした…狙いは俺か?

『まさか…こいつが世紀末王様の言っていた確認の取れていない謎の敵か……部が悪いな……』
『蠍、一旦引け……』
『何っ!!』
 蠍が上を向くと、天井から蜘蛛が糸を伝ってぶら下がっていた。
『蝙蝠でのキメラの実験は見ての通りだ、身体の中の蟹を操りきれてねぇ…それに、もう川澄やその娘も用は無い……』
『何だとっ!?任務失敗って事か…』
『世紀末王様も、今回の事は保留にすると言ってるぜ!この祭はこっちに分が無い、あいつの持っているライフル…もしかしたら…』
 蜘蛛が蠍に、その謎の戦士の持っている大口径のグレネードランチャーを思わせるライフルを指差す…蠍はすぐに、それがなんなのかすぐに解たらしく…。
『……ああ、解った!黒狼っ!そして、戦士クウガっ!次会った時は必ず血祭りだ!』
「待てっ!」
ズォォォーーーーーーッ!
 俺が地中に潜ろうとする蠍を追おうとした時…その横を光の矢が貫き蠍に向かって通りすぎ…地面を貫いた。
「!!ちっ、外したか…地中に潜られるとこれも有効ではないな」
 その光の矢を放ったのは、謎の戦士が持っている大口径のライフルだった…あいつの放ったビームは、地面を引き裂いたが…蠍は寸での所で逃げおせたようだ。
 さっきのビーム、ただのビームじゃない…念動力を凝縮した弾丸だ…直撃だったら、アンチテレキネシスフィールドを張っていたとしても、体を貫いていたぞ。
「あっぶねぇだろっ!気をつけて狙えよ!」
「さ、榊君…」
「……気をつけろ…」
『きゅわわわわわっ!!』
ザシャァァーーッ!
 そいつがそう言った直後、俺達に向かって蝙蝠が背中のハサミを振りかざし飛びかかってきた。なんてスピード…それに、すれ違っただけで俺や五代さんの体にかすり傷…
「早いっ!榊君っ、気を付けてっ!」
「はっ、はいっ!」
 五代さんの指示で身構える敵がまたどっから襲ってくるか解らなく縦横無尽に飛びまわっている。そいつは、ライフルを弾込めする…煙の上がった薬莢が地面にカランと落ちる。
「大した早さだな、二つの幹部を合成しただけはある……」
「何だって?」
ヴゥゥーン…
 俺の隣でそいつはライフルを背負うと…瞬時にその場から消えた。
「消えた…」
「どこに行ったんだ?」
キィンッ!カィィン!
 金属音が鳴り響き、俺と五代さんの前で何度か火花が散る……俗に言うラップ音のように…ラップ音じゃない、この火花は…奴と蝙蝠が戦っているんだ。余りの早さで、姿が全然見えないんだ、物凄い速さで何度か刃を交差させているんだ。
ガキィィーーーンッ!!
 そして、正面で思いっきりぶつかり合った音がして真下へと落ちた。
『キェェーッ!』
「ちっ、パワーはそっちが上か……」
 蝙蝠の新武装でもある蟹のハサミの力は凄まじく謎の戦士は両腕のスパインカッターで防御しているがいかんせん押され気味だ。
「ならば…はっ!」
『ギュェェーーーッ!』
バシッ!
 奴は、蝙蝠を蹴り飛ばし距離を取り……背中のライフルの銃口を向ける。
「一撃で仕留める……」
ギュィィィーーーーーン…
 大口径の銃口に奴の念動エネルギーが集中して行き…蝙蝠に向かって至近距離でエネルギーを放った。
ズォォォーーーーッ!!
『ぎゃぁぁぁーーッ!』
 その弾丸は、奴の念動力を纏い…光の矢へと変わる…蝙蝠は、その光の矢の直撃を受け…7メートルも飛ばされた。
「つ…強い……」
「……やったのか」
 俺達は一瞬そう思ったが、奴は銃口から煙が出るライフルにまた新しい弾丸を装填すると、再び蝙蝠に向ける。
「いや、まだだ……」
『ぎぇぇぇーーーーっ!!』
 奴がそう言った瞬間、蝙蝠は甲高い声を上げて置きあがり飛び上がった。胸の甲殻類の物と同じ外骨格装甲がくぼみ着弾地点は多少焦げただけで、あまり外傷は無い。
『くわぁぁぁぁーーーーーーっ!!!』
キーーーーン
「ぐっ!」
「うっ!」
「ちぃぃっ!」
 蝙蝠は持ち技のひとつの超音波を発して、俺たちをよろめかせる…あいつも音でライフルの照準が合わずにいる…
 その間に、蝙蝠はまた新たな穴を天井に作り月の昇る夜空に飛び去っていった。
「ちぃ…耳鳴りが…はっ、蝙蝠は?ちぃ逃がすかっ!!」
カチャッ
「……」
 俺が、蝙蝠を追おうとすると…奴は俺に向かってライフルの銃口を向けてきた。
「何の真似だ……」
「あの幹部怪人はオレの獲物だ…邪魔をすれば、命はない」
「俺と戦おうってのかっ!?」
「榊君、仮にも彼は俺達を助けたんだしさ…」
 俺が奴に食いかかると、五代さんが割って入りとめる。
「別に助けたつもりは無い……お前等など眼中に入っていない…」
「何だと!」
 俺は奴に殴りかかろうとすると奴はひらりと避けて…俺の首にスパインカッターを向け
「拳の速度が遅い…元幹部『黒狼』陣内榊」
「くっ……」
 動いたら、首を斬るつもりだ…うかつには動けねぇ…奴は本気の目をしている。
「……」
 奴は一瞬俺のベルトを見て…また俺に視線を戻すと…
「お前…自分の置かれている状況がわかるか?」
「何の事だ……」
「そうか…」
 そう言って奴はスパインカッターを首元から離すと…背を向けて自分のバイクへと歩いて行った。
「待てっ!お前、何のつもりだっ!!それに何者だっ!」
 俺は解放されると、奴に向かって怒鳴り付ける。
「お前に忠告しておく、身が大事なら……そのエクストリガーとか言うのを使用するのはよせ…」
「えっ!?」
 振り返り様にそう言うと…奴は背負っていたライフルをそれぞれパーツに分けると止めてあったバイクの至る所にパーツを収納する…
「おいっ、待てよっ!」
「榊君っ!」
 俺達が追う前に、その緑色の戦士はバイクでその場を後にした……何だよ、いきなり出て来て、敵を逃がしておいて、それに今度はエクストリガーを使うなだって?
 何が言いたいんだよっ!あいつは…


仮面ライダー黒狼
第3章〜緑の荒風〜前編『シン…心の叫び』


 その後、俺は零のいる関東医大へと戻ると同時に、CIAの俺にエクストリガーをやった男にただ一言『任務完了』を告げられ…警視庁に戻る事になった。それで、一言零や美坂先生に声を掛けておく事にした。
「うん、いいよ。久しぶりに陣内君の顔が見れて嬉しかったから…」
「…そうか、舞によろしくな。また近い内に遊びに来るからって…な」
「わかったよわ…そっちも奥さんと双子ちゃんによろしくね」
「あ…ああ」
 俺は零の言葉に少し間を置いて頷いた…零、舞を大切にな……これからが始まりなんだからな。
「じゃあね……」
「お大事にな…」
 と言い残すと…俺は零の病室から出て行くと、丁度一条さんが一人の医師とこっちに歩いてくるのに気付いた。多分、蠍がした殺しを捜査しに来たんだな。
「一条さん、久しぶりです」
「水瀬っ、やはりここに来ていたか…」
「はい…任務が完了したんで、ちょっと挨拶に…」
「そうか、俺もここで起きた君の言う、ネメシスの怪人がした殺しの捜査に来ていた…お前、その犯人を追ったと…」
 蠍の事であろう…考えなくてもわかる…
「はい、追いこんだんですが…何度か新手が出まして……取り逃がしました…場所の方は警視庁に報告しましたから、現在調査中です」
 一条さんと話していると、その隣で俺達の話しに耳を傾けている人がいた。
「その人は?」
「ああ、この人はここの監察医の椿だ…」
「椿秀一だ、君の事は美坂先生から色々聞いているぞ…陣内 榊」
「あっ…はい…よろしく」
「こいつに五代の体を見てもらおうと思ったけど、肝心の五代は…もういないよな」
「はい…五代さんはあの後、城南大に行くとか言ってさっさと帰っちゃいました」
「そうか…沢渡さんにまた連絡しなくては駄目か…」
「そのようですね…俺は警視庁に戻ります、CIAが来日したって話ですから…」
「解った、また向こうで落ち合おう」
 そう言うと、一条さんと椿さんに挨拶をして俺は警視庁に戻る事にした……


あれから3日後…

わかば保育園
 小さな保育園…そこではいつも小さな園児達がはしゃぐ、少々うるさいが平和で穏やかな雰囲気にさせてくれる憩いの場所である。
 そこに俺は愛用のバイクに乗り後部に一人の男の子を乗せ保育園の前で止まった。
「おはよう、優(ゆう)君っ」
「おはようございますっ!みのり先生っ!」
 バイクから降りて、男の子は五代みのり先生の元に駆け寄った。
 そして、俺はヘルメットを取る…彼女に挨拶をする……俺の名は風祭 真…この子は俺と愛の息子…『優』だ…
「今日もお願いします」
「はい」
 俺はみのりに優を預けると…またバイクに跨った。俺が仕事中はいつもここで預けてもらっている…ここの方が何かと安全だからだ。
「優…またな、夕日が傾いたら迎えに行くからな」
「はいっ、パパっ!」
「お父さんだろっ」
 そう言い、優の頭を撫でてやるとヘルメットをかぶって、バイクのエンジンをかけた…
「それじゃっ」
「はいっ、また夕方ですね」
「…はい」
 優しい笑顔で頷くと、バイクを走らせて…若葉保育園から去って行く事にした。

「風祭さん、いつも優君を送る時…寂しそうな顔する」
「大丈夫だよ……」
 真を見送るみのりの横で優はそう呟いた。
「優君?どうしたの?」
「きっと、パパは分かり合える日が来るよ……彼らと…」
 優の夕日のような赤い目は、まるで何かを悟っているかのように深く澄み渡っていた。
「彼等?」
 みのりはただ優の言葉に、きょとんとするばかりであった。

 いつもの様に、息子の優を保育園へと送ると俺は、もう一つのバイクに乗り換えて、自分の仕事へと向かっていった。俺の仕事…それは、かつて親父とそして恋人の愛の命を奪った者への復讐だ…闇の追跡者『ネメシス』に関わる『全て』の根絶…それが、今俺が生きている理由……ネメシスの目的は、この地球を第2の魔界にすると言うだけで、その詳細な理由は明らかではない…だが、俺にはそんな理由もなにも関係ない。ネメシスを倒せるなら、俺はどんな事だってする…そして、俺の邪魔伊達するような奴がいたら…そいつも潰す……
 それだけで俺が突き動かすだけの材料は揃っていたが…一つだけ違う理由でネメシスを潰そうとも思っている。それは…忘れ形見でもある…息子、優の存在だった。
 優は愛が死んだ後も、その腹の中で育って行き…生まれて間も無い時は、飛蝗と人間を合わせた禍禍しい赤ん坊として産まれてきたが、俺は最後に愛の言った言葉の通り…その赤ん坊を育てることにした。
『例え…この子がどんな形で産まれようと…私と真との結晶を……』
 そうだ、この子供がどんな姿でも俺と愛との子供なのだ……優は1歳でもう立つことも話すこともできた。テレパシー能力のおかげで、色々学んだからだろう…それに、容姿ももう生まれたての頃より、人間っぽくなり、半年も過ぎれば…頭に生えていた触角がなくなり、もう殆ど人間の姿となっていた。だが、この子は姿形は子供でも『ミュータント・ベビー』…いつネメシスがこの子を追ってくるか解らない…だから、俺が戦うのは、優を外敵から守る事も考慮に入れているからだ
 …優と言う名にしたのは、俺が復讐に明け暮れる日々の中で唯一優しくなれる時をと思い…付けたのだ。せめて、息子の前だけは…復讐鬼の仮面は脱ぎたい。それに、あの子は俺よりテレパシー能力が強い、俺が辛ければ…優は心配してしまうからな。

 日本に健在するネメシスの下部組織は、ISSのような生化学研究所から、量産型怪人の密売団体、武器工場まで点々と存在している。俺はそのネメシスに関係する組織を根こそぎ破壊して行った。
 そして行く先々で、このモンスター・バイク『エアロガンナー』と特殊ライフル…念動力増幅砲『LTG(ロングテレキネシスグレネード)』を武器工場から入手した。これさえあれば、幹部怪人の体をも容易に貫くことができる。
 だが……このような銃で武装したり、バイクに乗ったりしても…これだけは、やらない。

 俺は…決して『仮面ライダー』とは名乗らない……


ある山中にある研究施設跡
 ここは元、科学斑の研究施設であり…数年前の日本支部の移転以後もISS同様の研究設備を整えていたらしい。言って見るなら、点々とあった生化学研の一つだ…
 ある理由で廃棄処分されたらしいのだが、地下ではまだ数体の量産型怪人が生きている場所で…夜ここで、不気味な遠吼えが聞こえる事から、ここはいつしか神霊スポットとなっていた…もっともここに入って、生きて出てきた者はいないがな…
 ……こう言う所が俺の狩場には最適な場所だ……

ガイィィーーン
「………」
『ギュルル』
 ザリガニを主体とした量産型怪人の爪を腕のスパインカッターで受け止める。
「……ふんっ…その程度か」
『がっ!!』
 俺は、ザリガニの怪人の頭を鷲掴みにして……スパインカッターで首元を斬り付け…一気に怪人の脊髄ごと首を引き抜いた。
ガシャァァッ!!
 首を脊髄ごと引き抜かれた怪人は糸が切れた人形のように…倒れ込んだ。どうやら死んだようだな…
「…5体…か…」
 俺は持っていた怪人の頭を落として、更に奥へと進んで行った。足元には4体の怪人の物と思われる首が転がっていた。
「(だが、気になるな……あの台に寝ていた作りかけの3体のレベル2試作機、…ここで何がされていたんだ?)」
 壊れた建物内の数台のベッドには…改造兵士レベル2が作りかけのまま放置されていた。
 ここにはもう敵はいないか……俺は変身を解いて…さらに建物の奥へと進むことにした。

 奥まで来ると…資料室らしき書物が並ぶ場所に出た。俺がこう復讐に向かう狩場を決定するには、こう言う資料室で資料を漁る事も必要だ…ここの事も色々な資料の中から選びぬいた場所だった。
 とくに、錆付き…壊れそうな机の上に…興味深い資料が載せてあった。それは、俺が3日前から今まで一番疑問に思っていた事だ……なぜ、『蝙蝠』は他の幹部怪人『蟹』の特徴を持ってしまったのか……それがどうも頭に引っかかって取れない…
「……合成生物『キメラ』製造法…」

副監督の日記
“合成生物『キメラ』製造方法”
5月10日
 ここ頻繁に、誰もがよく小耳に挟んでいると思う…『キメラ合成術』と言う言葉を…。最初は組織内でよくある噂の一つかと思われたが、その言葉がこの2年でにわかに信憑性が沸いてきた。怪人を作る一つの方法と思うが、何ができるかは…まだ謎のままである。まったく、科学斑上層部に行けばその方法もわかるだろうに…所詮この組織は下の者を相手にしないだろう……
5月29日
 ようやく、科学斑の上層部が重い口を開いた。話しの内容から、そもそも『キメラ合成術』とは幹部怪人の戦闘能力をアップさせる一つ技法だと言う事だ。だが、その方法がなんとも驚かされる物だった、元の幹部怪人の固体に他の幹部怪人の遺伝子データを+する事だけで、その幹部怪人は遺伝子の提供者である幹部怪人の能力を得て、戦闘能力をアップさせると言う……裏切り者の黒狼が蛇の鎖の力を得たのがいい例だろう。
 『キメラ』…ギリシャ神話に登場する怪物の名前で頭がライオン、胴体が鳥、尻尾が龍と…異なる生物が合体した怪物だと言われているが、我々の首領たる世紀末王が本当に超古代からいたとしたら、この神話もあながちただの神話とは思えないだろう。
6月15日
 『キメラ合成術』を特別に借りた量産型怪人に試した所、その方法で怪人は遺伝子崩壊を起こして死んでしまった。なぜ幹部怪人にできて、量産型怪人にはできない…所詮は人の作りしまがい物だからか…気にくわん。量産型怪人にできないなら、私達が担当していた、改造兵士レベル2にも当然効果はないに等しいだろう。話しは変わるがここ1ヶ月に我々の所員が次々に行方不明になっている事が解った、この山中では…最近は季節的に霧が多い季節だ、遭難したのかもしれない。近日捜索部隊を派遣予定だ……
6月20日
 何と言う事だ、遭難したと思われる所員を捜索しに向かった我々の捜索部隊までもが消息を絶った。何も痕跡を残さずに…まるで神隠しだ…それに夜になると遠吼えらしき声が聞こえてくるがこの山に野犬がいたと言う記録はない……にわかに私達の周りに暗い影が忍び寄っているように思えた。私は、『キメラ合成術』を諦め、当初予定しいた改造兵士レベル2の改修に徹底することにした。結局は「備えあれば憂い無し…」と言う事だ…
6月25日
 ここの所員が次々に神隠しになる頻度が増えてきた。もうここに居るのは後所長と数名の所員…そして私を残す合計7人となってしまった。つい先日所長が本部で今の状況を説明に言ってくると言い、アメリカへと飛び立った…このまま所長が帰ってこないのではないかと不安に思った…今日になって、6人となった内…また3人が消えた。私達は外に出るのは危険だと思い研究所の外へは絶対に出るのを禁じた…所長からの連絡がまだ来ないまま、また不気味な遠吼えのする夜を迎える……後3人
6月27日
 本部に行った所長からようやく連絡が入った。生きていて良かったと思ったが、所長の通信は次ぎの言葉を残して忽然と絶ってしまった。それだけで、このネメシスと言う組織がいかに幹部同士の対立の激しい組織だと言う事が解った。所長は息切れが激しく…最後は悲痛な叫び声と共に通信が切れた…所長が言った言葉の意味は、あのキメラ合成術を上層部から聞き知ってしまったが為の口封じ…やはり噂の奥を知った物は二度と帰ってこないのは本当だったな…。それに私達は『蝙蝠』の配下でキメラ合成術を私達に教えた上層部は『蜘蛛』の配下だと言う事が改めて解った。結局我々は蜘蛛の巣に捕らえられたのだろう…最後に所長の言った言葉は「生き残る幹部は、たった一人だ……」と…
6月30日
 銃が手放せなくなり、周りを警戒しながらの6月が過ぎようとしていた…もう食料は尽き、私が餓死するのも時間の問題だろう…夜の遠吼えが今では唸り声となり、研究所の外に怪物が居ることが示唆できる…電話を使おうとも、奴等は電話線までも切りやがった。
 もう私と一人の所員を残す2人となってしまった。キメラを知ったばかりに、2ヶ月の間に一つの科学班が消えるミイラ取りがミイラとなったのか、まったく…皮肉なものだ。
7月2日
 多分、これが最後の記録となるだろう……あいつ等、とうとう研究所に進入して来やがった。いままですぐに襲わなかったのは、私達を精神的に追いこむ為だろう。まさに闇の追跡者『ネメシス』の意味を名に持つ組織だった。私の他に残った所員も精神的に追い詰められて、餌となった。
 備えであった改造兵士レベル2の起動ボタンを押す隙も作らず襲われたのだから仕方がない…今、奴等はこの資料室のドアの向こうに居る…まったく、本当に皮肉な物だ、量産型怪人の性能を良くするはずが、量産型怪人の餌となるとは……せめて自分で楽になるため、私は自分で引き金を引く…この日記を幹部怪人の蝙蝠様が見てくれるかどうか解らないが、見ていたらどうか警戒して欲しい……あなたもいつか、蜘蛛の巣にはまる……

  BY.ネメシス第19科学斑副所長

 日記はそれで終わっていた、近くにはショットガンを持った科学員の白骨死体が転がっていた…死後3年は経っているだろう…するとこの日記が書かれたのも3年前という事、年の部分が薄くてよくわからなかったが、多分そうだ…
「……蜘蛛の巣か、もう蝙蝠はかかってしまっているよ」
 あの蝙蝠の変化が蜘蛛によるキメラ合成術でなったとしたら、蝙蝠は罠にかかって自分の意思と反して蟹の遺伝子を入れられたのだろう。
 多分、先ほど倒した量産型怪人は、3年前にここに侵入した奴等だろう……
「もう、ここには用はない……」
 日記を閉じ、元あった場所に置き…この場所から出ていった。
「蝙蝠があの姿になったのは、わかったが……有力な情報は他に無しか…」
 そう思い……俺は、外に止めてある…エアロガンナーへと向かった……
「……!?」
 不意に気配を感じた、敵の気配とは違う…こいつは!?
 俺は振り向き様に身構えた……
「…お前は……」
「……見付けたぜ、風祭…」



 ToBe Continue


設定資料集

仮面ライダーシン
能力 パンチ力7t キック力10t ジャンプ力500m 走力:100mを3秒
武器
  スパインカッター(腕や脹脛に生えている鋼鉄を引き裂くカッター。最も多用する)
  ブレイクトゥーサー(金属を噛み砕く牙)
  ハイバイブネイル(高周波振動を起こしている爪)
必殺技
  真・ライダーキック(足自体に高周波振動を起こしながら蹴り込む技。36tなのだが余り多用はしないあくまで切り札)
  首抜き(スパインカッターで斬り付け、敵の首をせき髄もろ共引き抜く荒々しい技)
  LTGキャノン(エアロガンナーに搭載されているパーツを一つした、グレネードランチャー。シンから放たれる超能力を増幅して打つ為、一撃必殺の力を持つ。50t)
風祭 真
 生化学研究所で4年前に、改造兵士レベル3…仮面ライダーシンに改造させられた青年。その戦闘能力は、黒狼や幹部怪人達に匹敵する程また、同等の改造を施された鬼塚より強力な能力を持つ。恋人と父親をネメシスに殺されて、復讐の為にネメシスに関係する者全てを潰す為に動く。性格はいたって冷静だが、逆上すると手の施しようのない性格を持つ。仲間意識は今の所ない…

風祭 優
 真と明日香 愛の間に産まれた『ミュータント・ベビー』が成長した姿。4歳で、わかば保育園に通ういたって普通の男の子。しかしその体の奥には、飛蝗の遺伝子が生まれながらに息づいていて…テレパシー能力は真を抜き…ずば抜けて高い能力。その能力で未来まで見えるらしい…その為、真の行く末に分り合える仲間ができると信じている。


キメラ蝙蝠(+蟹)
能力 パンチ力10t キック力12t ジャンプ力1100m 
武器
  ビッグシザー(背中の羽が蟹のハサミに変異した強固なハサミ)
  サイドシザー(両腕の羽の付け根にある、敵を捕まえる為の補助役のハサミ。滞空時にも使用可能。)
  溶解液(口から吐き出される、強力な酸性の液。どんな強固な装甲も溶かす)
必殺技
  超共鳴波(甲高い声を更に上げる事で、厚さ40cmの鉄板もやすやすと寸断する音の刃を発生させる)
 蝙蝠が蜘蛛の罠にはまり、他支部で死亡した幹部怪人『蟹』の遺伝子を打たれ…変異した姿。戦闘能力は以前の10倍に跳ねあがるが、以前の蝙蝠としての意思は消え量産怪人と同じように本能のままに敵を殺す。蟹の遺伝子の為に、日中でも活動可能で体の各所に強固な装甲を纏い、真の念動集積砲のビームを寄せ付けないくらいの装甲を会得した。
(モチーフは勿論、ガニコウモル!)


後書き
 今回は真君をメインに押し出した話になりました。以前より結構戦闘シーンが多くて満足です、次ぎは黒狼とシンとの対決をメインに少し変わった方式でやろうかと思います。

そして、今回新たに現れたキメラ何ですが…最初は蝙蝠と何を合体させようかと思いました…そこで思い付いたのが、ゲルショッカーの合成怪人でした。そんな事で蝙蝠君は蟹と合体させる為に、以前にいっぱい幹部作ったです。

だいじょーぶ、みんな誰かと合体させる為に未登場のまま終わるです。そして…最終的に残る幹部は…一人…

それではっ!

つづく

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