第23号を撃退した、俺と五代さんは…丁度ライフルを持って加勢に入ろうとしていた一条さんがやってきた。
五代さんはさっき第23号に噛まれた腕を押さえていた
「五代、水瀬!大丈夫か、未確認は…」
「はい、寸での所で逃しました……でも、今度はいけると思います!」
「でも五代さん、奴の噛み付き攻撃を食らいましたから、また関東医大に行ってください…、現場は俺に任せてください」
五代さんはさっき第23号に噛まれた腕を押さえていたから、負傷はしているだろう…回復力はあるが一応見てもらった方がいい。
「ああ、蝶野も放って置く事はできんからな、ここは水瀬に任せる…」
「榊君、なんかあったら連絡して!すぐ援護に行くからさ!」
 五代さんはそう言い、サムズアップをする…俺も笑って、五代さんにサムズアッえプし返す。
「解りました…一条さん何かあったら連絡します、あ…後で奴にやられた死体をそっちに送ります、検分を椿さんに依頼してください、そっちでも何かわかったら…連絡ください」
「ああ…ここは任せた」
「じゃね、榊君!」

 そう言って、五代さんと一条さんは関東医大のほうに戻って行った。

 この後、俺は五代さんと戦う事となるとは思っても見なかっただろう…


仮面ライダー・黒狼
第4章〜キマイラの夜〜『クウガ対黒狼』


 五代さんたちと別れて、桜井さんや杉田さん達と…第23号の殺人現場を調査する事にした…何故、奴はここに…
 現場には奴が殺した人の血の匂いが充満していて、鼻が利かない。血の匂いか…さっきの船も、血の匂いが俺の鼻を麻痺させていた。
 今までで一番濃い血の匂いがして、未確認やネメシスの奴等の事件の現場を何度か見てきて、正直…俺の気が参ってしまった…鼻が?げそうな感覚だった。
「血の匂い?」
 川辺は、奴が殺した人の血で真っ赤になっている…という事は血は川にも流れているって事になる。
 もしかしたら!
「水瀬君、さっき…現場近辺の川で第23号を目撃した人物にあったんだけど」
 もしかしたらと思った所で、後ろから桜井さんが話しかけてきた。
「目撃者?大丈夫だったんですか?その人たちは……」
「いえ、その人たちは大丈夫だよ…丁度向こうの川辺で、釣りをしていたらしいのですが…第23号が現れて、彼らを標的にしていたらしいんですが…23号は気が変わったのか、急反転したと」
 という事は、本当の標的は釣りしていた奴等だったのに、こっちに移ったのか…気が変わったんだろう?
「まさか…」
 俺は、もしやと思って赤くなった川原を見た。もし事件が起こる前に…川原に何か血が流れていく。
「そうか、血…」
 奴は、血を好む性質を持つピラニアのような奴だ…だったら、奴を誘き寄せる事は簡単じゃないか。だが、これでは信憑性にかける。
「桜井さん、奴に殺された被害者の遺体は…」
「もう関東医大の椿さんに検視を依頼したんですけど…どうしたんですか?何か解ったんですか?」





 丁度その頃、わかば保育園では…

「ばいばい」
 太陽が西に傾いて園児達が帰る時間、五代雄介の妹である、五代みのりは園児達を迎えに来た、父兄達に挨拶をして園児達を送っていた。
 もう、大体の園児達が帰り、みのりは保育園と戻って行った。自分の担当する組でいつも最後になるのが、風祭 真の息子…風祭 優だった。
 優は決して友達が多いわけでは無かった、明るくて少し物腰が落ち着いているところが、父親譲りだが…孤独な所も、父親譲りで…皆の一つの輪には決して入らず、毎日遊ぶグループを変えている。一度みのりはそれを聞いたら…優は…
「みんなともっと仲良くなりたいから」
 と答えた。実際優を仲介役として、二つのグループがまとまった事例がある、優は優なりに考えているのだと、みのりは実感したが、特定の友達が居ない事は優にとっても寂しい事だと思った。
 今も、優は一人で積み木で遊んでいる…いつもなら、太陽が傾いた今の時間帯に真は来るはずだが、今日に限って真は仕事の関係か来るのが遅い。唯一の連絡先携帯にも繋がらない…みのりは真の仕事先の連絡先は聞いていないため、連絡のしようもない。
「優君、お父さん遅いね…何作ってるの?」
 みのりは優に聞くものの…優は答えず積み木を床に並べて何か文字みたいのを作っていた。みのりは優の顔を見ると、目は虚ろになってあさっての方向を向きながら積み木を並べていた。
 まるで占い師が占っているように、優は積み木を並べて形にしていった…優の額には珠のような汗が浮かび上がっている。
「優君」
 優に呼びかけるも、優は耳を貸さずに作業をしている…まるで、何かに取り付かれたかのように……形は完成して、その形を見たみのりはまずそれの驚いた。
 それは兄…五代雄介が教えてくれた、自分がなったと言う通称『クウガのマーク』と言われる物、桜子からは『戦士』を意味するらしい。
 だけど、みのりは優にこんな事を教えてないし…優が雄介と会ったのは、雄介が良くこの保育園でお得意の芸を見せてくれる時だ…その時も雄介は優はおろか園児にこの事は教えていない。だったら何故…優はクウガのマークを知ってるのだろう…
ガラ!
 そのクウガのマークを象った積み木は、音を立てて大きく形を崩した。風が吹くまでも無く…地震が起きたわけでもない…ひとりでに崩れたといった方がいい。
 崩れた後、優は正気を取り戻したのか…疲れ切ったようにぐらついて、みのりは驚いてぐらついた優を受け止めた。
「優君!」
 信じられなかった、落ち着いてて元気な優が別人のようになっていた。そして崩れたクウガのマーク…これの意味するものは…
「…あ、危ない……危ないよ…」
「優君?何があぶないの?」
 優は息が切れ切れで、頬を上気させて言った…熱があるのか、みのりは優の額に手を乗せた。熱い…やっぱり、風邪を引いていたんだ。
「優君、凄い熱……風祭さん…」
「優…迎えに来たぞ」
 その時丁度、保育園の中に真が覗いてきた…真は優がみのりの腕の中で苦しそうにしている所が丁度目に入った。
「ど、どうしたんだ!優!」
「ぱ…パパ…」
「風祭さんっ、優君が凄い熱で…」
「優…すいません、仕事が遅れたもんで…」
「いえ、いいんです。それより…早く優君を…家で休ませてあげてください」
 真はみのりから優を受け取ると抱え上げて、園内から出て行く…
「ごめんなさい、私が早く気づいていたら…」
「いや…いいんだ…」
 みのりに手を振ると、真は足早に保育園から優をつれて出て行った…
「風祭さん…」
 真を見送るみのりは、真もいつもと少し違う事に気づいた…いつもなら、保育園の前にバイクが止まってそれで優を迎えに行くのだが…
 それに、みのりが一番心配したのが、崩れたクウガのマークと優の『危ない』と言う言葉だった。兄の身に何かが起こるんじゃないかと、心配だった。

 わかば保育園を離れた場所で、優を抱えながら歩く真…
「蜘蛛、もういいぞ…」
 真は似たりと笑って、横に立っていた木に目を向ける…そこには大木の枝に糸を張ってしがみつく、蜘蛛の姿があった。
『けけ…、名演技だったぜ蠍ぃ〜これで、風祭真と戦士クウガはオレ様達の手の内だ!』
「言っとくが、戦士クウガはオレの獲物だぜ。この額に受けた傷の痛み…忘れたわけじゃないからな…」
『解ってるよ、オレ様の主食は黒狼だからな…この作戦絶対上手く行くぜぇ…なあ、蠍…正式にコンビ組まないか?俺達二人が揃えば怖いものなんてないぜぇ…』
 茂みの方を真に化けた蠍は見て…にっと笑い
「…嫌だ」
『けっ、つれねえ野朗だぜ…ガキを渡せ、特定の場所に監禁する』
 そう言って、木の枝からかぎ爪のついた糸を下ろす。
「気をつけろ、何かを『予知』したらしい」
『ふん、父親より強い能力を持ったガキが、今まで世紀末王様の体として選ばれなかったのが、不思議なくらいだぜ…』
 糸に優をくくり付けると、蜘蛛はそれを引き上げた…
「ふん、それは強すぎるからだろう…俺にもわかんねぇ…」
『まあいい…起きてなんかされる前に拉致する…、親父のほうはどうした?』
「風祭 真は俺の部下どもが相手をしているさ……警察付だから時間は稼げるだろう…」
 蠍はそう言うと次の持ち場に向かって、動き出した…蜘蛛も木から木へと飛び移って…特定の場所に向かって行った。

 その頃、本物の風祭 真はわかば保育園に通常より、30分送れて到着した。真はネメシスに関する物を破壊したが、そこに蠍の部下である量産型怪人が何十匹の大群を相手にした。正直、量産型怪人がここまで出現して…それを一度に相手にしたのは初めてだった。
 それで、限られたLTGの弾丸を3発使ってしまった。真が盗み出したLTGの弾丸は24発…今まで使った数は10発…そして今日使った3発…残りは半分より一発少なくなった。
 それで全てを倒したものの、蠍が通報した…警察の機動隊が到着して、それからも逃げるのに手間取って、迎えに行く時間が遅れたのだ。

「すまない、遅れた…」
 真はようやくみのりの前に現れて、みのりはビックリした表情で真を見た。
「どうしたんだ?俺は幽霊じゃない」
「風祭さん、さっき優君を迎えに来て…」
「え?」
 その言葉を聞いた途端、真の表情はこわばった…まさか、さっきのは作戦でもしかして自分を誘き寄せ…本命は優なんだと今気づいた。
「風祭さん?どうしたんですか?」
 キョトンとしながら、真を心配そうに見るみのり…彼女に余計な事を言って戦いに巻き込んでは、取り返しのつかないことになる…もし、愛の時と同じになったら…
「なんでもない、俺が勘違いしていたんだ…」
「…え?…真さん、優君は熱を…」
 もしかしたら、優はもしかしたらまた予知したのだろうと真は思った。予知するたびに体力を使い…優は熱を出す…
「ありがとうじゃあ…」
 真はそう言って、バイクに乗るとみのりに礼を言って、走らせた。標的は、優を浚った奴等…
「優…待ってろ、すぐ行くからな…」


 一条さんたちに23号の実情を説明して、俺と五代さんとで奴を誘き寄せる作戦を実行に移す事にした。
 まずは川岸をはさんで、俺と五代さんがバイクで走り川には一条さんが船で人口の血を撒いて、23号をおびき出す。そして2点同時の加重攻撃で撃破…
「五代さん、蝶野には会ったんですか?」
「うん、なんか病気なんだって」
「なんだって、あんな奴等に……」
「よく解らないんだけど、人を信じられなくなったんだって…でも、何とかなるんじゃないかな」
「なんだか、五代さんが言うと本当に、そうなりそうですね」
「ははっ、そうかな」
 まあ、奴の人生だ…踏み出したらお終いだって馬鹿でもわかるだろう…蝶野もいつか解るさ、人間なんだから…あんな奴等のやる事が理解できないと。
『水瀬、五代、作戦を開始する』
 丁度その時、一条さんから連絡が入る…
「来たよ…榊君、じゃあ!」
「はい…」
 俺達は橋を分けて、川の両岸にバイクで別れて行った…それは、クウガと黒狼の先の断裂を生むのだろうか…

 川を挟んで、両岸に配置した俺と五代さんは一条さんの合図と同時に水上バイクは動き出して、俺達も走り出した…。作戦開始…か…
「さっき…五代さんを襲うなんて気になったんだろう…」
…襲え、第4号を、襲え…
 4号…それは五代さんを形容する言い方、明らかに五代さんを狙った…彼を4号とクウガと知った何者かだ…。一体誰だ……誰が五代さんを…
『榊君!来たよ!!』
 五代さんの通信が入って俺は、気がついて川の方に目をやった。川を渡る水上バイクの後ろに第23号が泳いでいた。
「ヤバイ!五代さん!行きますよ!」
『解った!』
ザバァ!
 そういった瞬間、一条さんの乗る水上バイクに第23号が乗り込んできた。
「「変身!!」」
ガキィィーーーン!!
 川の両側で五代さんと俺は、クウガ、黒狼へと変身をした。
『がぁ!!』
 第23号が牙を一条さんに向ける寸前に、クウガは赤い姿から青い姿へと超変身して一条さんを助ける為、バイクから飛び上がり奴を引っぺがすと、水中に戻って行った。
「五代さん、ルガー追え!!」
ばぁぁぁーー!!
 俺はルガーを走らせて、五代さんが向かったほうへと駆けて行った。
ドウン!
 ドウン…ドウン…
「何だ、心音が異常に…」
 変転の予兆じゃない…まさか、またあの声か!?
…襲え、第4号を、襲え…戦え!倒せ!捕らえろ!陣内 榊…お前にはそれができる、できる…さあ、やれ第4号を追って、そして戦え!…
 頭をかき乱すような、この嫌な声…この声、聞き覚えがある、まさかと思うがこの声は!?ユーゼ…ス…
 その瞬間全ての時がストップしたように止まり、俺の意識はブラックアウトした。

「………」
 榊の意識は謎の声によりブラックアウトしたが、黒狼はそのままの形でクウガが向かった所までルガーを走らせた。

「は!」
『ぐぅ!!』
 丁度その時、クウガはなぜか現場に現れた蝶野に襲い掛かろうとした23号を引き離して、川沿いでの決戦となっていた。
 素早い動きと、中国拳法のような戦い方で23号を翻弄しながら青いクウガは確実に奴にダメージを加えていった。
「てや!」
ダダダダ!
 青いクウガの連続的なパンチが23号を襲うが、やはりパンチ力の少ない青いクウガには決定打を与えられない。何か、長い物があれば…
ズガンズガンズガン!!
 23号にガス弾が打ち込まれ、23号はクウガから離れる…
「は、榊君!」
「……」
ギュルン!
 その離れた23号に向けて、黒狼はチェーンクローを放った。
バシ!バシィ!
 チェーンクローを鞭のように操って、23号にダメージを負わせていく…
『ゲハ!』
「ふん…」
ドス!
 23号の腹を蹴り上げ、23号をよろめかせる…
「榊君?」
 いつもの榊の戦い方と少し違う事をクウガは、その戦い方から見出していた。
ジャ!
 今度は右手のチェーンを伸ばして、向こうにあった鉄の手すりを切り…クウガに渡した。
「あ、解った…榊君!」
ビュン…ギュイン!!
 クウガはそれをドラゴンロッドと変えて、伸ばす…
「はぁぁーーー!」
カシャ!シュー…
 黒狼も、チェーンクローを戻して…口を開口させ、放熱現象を起こした。両手を旋回させ、大ジャンプをする。
「は!たぁーーーー!!」
 クウガも、ジャンプしてドラゴンロッドの先を23号に突きたて…黒狼も横回転を加えて必殺の黒狼キックを23号に放った。
ズバァァーーーーーーーン!!!
『がああぁぁーーーーぎゃぁぁーーーーー!!!!』
ドゴォォーーン
 2点から同時に必殺攻撃を食らって23号は、爆発四散した。

「おれは…奴等に助けられたのか…」
 蝶野はクウガと黒狼に助けられ、クウガが…さっき自分と話したおせっかい野朗だと気づいて、逃げるようにそこから去っていった。
 クウガは、そんな蝶野を見送ると、黒狼…榊のほうに目を向けた。さっきの戦い方は少しおかしかったのは…これまで共に戦ってきた仲間なら解った。
「榊君…まさか、まさかね…」
 クウガの目の先にある黒狼は戦いが終わっても、榊へと戻っていないそれどころか…殺気まで感じ取られた。
 それが、クウガ…五代雄介自身に向けられていると…クウガは肌で感じ取った。
「どうしたんだ、榊君…」
「うううぅぅ…」
 黒狼は低い唸り声を上げて、何も答えようとはしなかった。
「戦え…」
「え?」
「戦え!!」
ジャ!!
 左手で、右手のチェーンクローを引き伸ばして黒狼はクウガに襲い掛かってきた。
「何!!どうしたんだ、榊君!!」
「戦え…俺と戦え!!」
 確実に半狂乱となっている黒狼はクウガにチェーンクローを鞭のように叩き付けた。それを、ドラゴンロッドで防ぎ…クウガはチェーンクローをドラゴンロッドに巻き付け…対峙する。
「榊君、やめるんだ!どうしてこんな事を!!」
「ううう…は!」
 蹴りを放ち、黒狼はクウガを引き離し鎖に絡まってたドラゴンロッドを奪い取り川に放り投げる。
「は、は…榊君…超変身!」
ガキィーン
 クウガは、青から赤い形態に戻って、格闘戦で黒狼と対峙する…
「榊君を止められるのは…これしかない…」
「はぁぁーー!」
カシャ!シュー…
 口を開き放熱現象を起こし、クウガへと突進してくる…クウガも右足を後ろにして助走を付け黒狼に向かって走り出した。
「だぁぁーーー!」
「うおぉぉーー!」
 二人は互いにジャンプして、回転してから足を突き出し、互いの必殺キックを交差させた……
「どりゃぁぁーーー!!」
「ぐおおおおーーー!!」
ズガァーーーーーン!!

 ドゴォォーーーーン

 川辺で、二人のキックが重なり合い…小規模な爆発が起きた。

 ToBe Continue

後書き
今回は、メ・ビラン・キとの戦いを元にクウガと黒狼の対決を描きたかったです。ライダー同士の戦いは書いてて楽しい部分もありすこしの罪悪感も感じています。クウガファンの人は本当に申し訳ありません。キック対決も…書きたかったので…
 そして、今回は私の真の息子さんで優君のファンである人に捧げるシーンも織り込ませてあります。
 さて次回は、全面対決!黒狼・クウガ・シンが介して暴れまわります!

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