ズガガガガガガ!!
 百足の体に無数の触手から、雨のように大量の弾丸が放射される。俺たちはとっさにそれを避ける。
『ははは!これが私の、百烈生態破滅弾だ!お前たちはこの弾幕で私に触れる事もできない……』
「ふん、流石は幹部クラス最高の実力だな…」
『な、何!?いつの間に後ろに…』
 風祭が百足の後ろを取り、スパインカッターを振り上げる…
「はぁ!」
ギィィーーン!
 スパインカッターを百足は、素手で受け止める…衝撃で百足は後ろに飛ばされた。
『く…貴様、舐めるなよ……』
 まるで、ムエタイを思わせるファイティングポーズを取る百足。拳法か…
『私の百烈拳の餌食にしてくれる』
「ほう…面白い!」
 互いに格闘技に長けていると判断した風祭は、LTGを背中に背負い込んで、百足を迎え撃とうと構えた。

 一方、俺と五代さんは二人係で蠍に対抗していた、蠍も負の感情を爆発させて、身体能力を向上させていた為か、二人係でも手を焼いていた。
 ハサミによる一撃を避け、尾の毒針からも避ける…俺は蠍にナイフを差す。
キィーーン!
「ちぃ!」
 ナイフは、蠍の装甲に傷もつけず…通らない。装甲強度もアップしているのか…
「榊君!」
「は、はい!」
ギィーン
 五代さんも紫の形態となって剣で蠍に斬りかかった、流石に蠍もそれをハサミで受け流しカウンターを加える。
「がぁ!さっきより、強い!」
「くそ!」
 狙いを、額の五代さんの攻撃でひびが入った装甲に絞り、拳を繰り出す。
「黒狼パンチ!」
『甘いぜ黒狼!』
 俺の拳は、ハサミにより押さえ込まれ、キックで跳ね飛ばされる。
「ちぃ!弱点を完全にガードしていやがる!」
「榊君、2点から同時に攻撃しなきゃ駄目だ!」
「解った!…五代さん避けて!!」
「は!!」
ズダダダダダ!!
 突然俺達に狙いを定めたように、バルカン砲が撃たれる…俺たちはとっさに避ける。
『お前らに蠍をやらさせるか…』
 百足は驚いた事に風祭と戦いながら、左腕で…蠍を援護した。
「風祭、そっちに援護に来させるな!!」
 風祭は、百足と力比べをするような体制となった。
「解ってる、そっちも行ったぞ!」
ザザザザザザザ!
『サンドスコーピオン!』
 風祭の言葉で俺と五代さんは前を見ると俺達を狙って、蠍が地中から強襲を仕掛けてくる…


仮面ライダー黒狼
第4章〜キマイラの夜〜『キマイラの咆哮』


 地中から躍り出た、蠍を俺と五代さんは紙一重で避ける蠍は俺たちの間を突き抜けたが…ハサミから起こった風が俺たち二人の装甲に傷をつけた。
「これじゃ、間合いもつかめない…五代さん!どうします?」
「何とか引き離すしかない!『あれ』をやろう…」
 五代さんは俺に向かってそう言い放つと、赤い形態へと超変身へと戻る…
「あれか、この合体技やるのは初めてだけど…上手く行くか…」
「大丈夫!あれだけ練習したんだから…行けるよ!!」
 実を言うと五代さんと秘密裏に開発した合体技がある…二人の技の特性を合体させた大技だ。
「いくよ…」
「了解!」

 一方その頃、シンは百足と取っ組み合いになりながら、榊から離れた元博物館内へと躍り出た。百足は自らが編み出した拳法、百烈拳を繰り出し、シンも素早い動きを屈指し…その拳法に対抗した。
「く!てい!は!!」
 百足の拳は、まるで…足が百本あるかの如く…機敏に動き、シンを翻弄するが…近距離では二人は互角の実力であった。
『ふん、押されているぞ…』
「…やるな、なかなか…」
 シンは楽しそうに呟くと、百烈拳の拳を受け止めた…
『何?私の拳を、受け止めただと?』
「お前の百烈拳は見切った…百烈拳は、お前の力である生態ガトリング砲の連射力を利用して放つ拳…連射を一定時間を越えれば一瞬の隙は見える…それを見切った」
『私の連射力を超えたと言うのか……いや、生態ガトリングの弱点を見切ったのか』
 生態ガトリングの連射力を超えられると、それは今まで隙を生じずに戦ってきた百足にとって『二度目』の屈辱だった。それが怒りとなって導火線に火をつけた。
「生態ガトリングは隙を生じないんじゃなかったのか?」
 シンはLTGを構え、百足にその銃口を向ける…百足の中で怒りが負の感情となり、『殺意』へと変貌すると、体の百本の触手を全てシンに向ける。
 百足の記憶の中に、北極にいた頃の記憶が蘇る…世紀末王により北極ミサイル基地は、全ての機能をストップさせて…今は臨界状態となってた所に、あれの出会い…
 バティムが攻撃してくる前に、自分の前に現れた『赤い暴君』…それは自分と戦い、百足は敗北した…負けた理由も、目の前にいるシンと同じで、生態ガトリングの弱点を見破られたからだ。
 赤い暴君は自分を殺さなかった……奴は、自分に…「俺は他に倒すべき敵が残っている…ここで止まるわけには行かない…」と言った。
 一瞬で首を跳ねられたはずの刃をとめられた、戦士として…敗北以上の屈辱を受け…百足は北極基地から飛び立った、爆発するミサイル基地を背に…こうなったのは全て、自らが今まで信じた者のせいだと思い…日本へと辿り着いた。

 それで、また同じように…自分を愚弄するものがいる…
『消えてなくなれ!』
ズガガガガガガガガガガ!!
 百足の怒りは、『殺意』へとなり、全身から弾丸を放射した。
「切れたか!く!隙が無い!」
 シンは狂気と化した百足の弾丸を避けながら、障害物に隠れる…
『無駄だ!』
 放射された弾丸により、シンの隠れた障害物は一瞬で灰燼に帰す。
「く…」
 遠距離戦に持ち込まれたシンは、素早い動きで弾丸を避けながら間合いを計るが、百足の放たれた弾幕により、近づけない。
「ならば!」
 シンは一旦LTGを背負い、高い柱を伝って…天井に登り上がる。天井を蹴ってシンは百足に必殺キックを放った。
「真・ライダーキーック!!」
 シンは弾幕の中に飛び込むように、右足を鋭い槍の如く突き出す…何発もの弾丸を体に受けようと、百足に向かって飛び込んでいった。百足に接触する寸前…シンはLTGの銃口を百足に体に向ける。
 キックが命中すると同時に引き金を引いた。
ズバァァーーーーーーン!!
 LTGの破壊力とキックの破壊力が相互して強力な破壊力を生み出し、百足の体を引き裂いた。
『がぁぁぁーーーーー!!』


蠍VS黒狼・クウガ。
 俺は合体技の為、五代さんを前に一直線に並ぶ。
『今度は外さないぜ、纏めてあの世に送ってやる!…』
 蠍は地面に潜って、俺達に向かって突進してきた…今だ!
 五代さんもそれを見計らって、右足に炎を纏い…蠍に向かって走り出す…
『まずはお前だ!サンドスコーピオン!!』
「おりゃぁぁーーーーー!!」
 五代さんはジャンプして、地面から飛び出てきた蠍の額にめがけて必殺のキックを食らわせた。
ズガァーーーン!!
 ついに、五代さんのキックで蠍の額の装甲が砕け、出血した…技と技が交差して相殺した所に最後の一撃を食らわせる…
『が、ぐう…き・さ・まぁ!!』
カシャ、シュー
 俺も口のクラッシャーを開口させ放熱減少を起こし…構える…
「榊君!」
 五代さんは着地して、身構えると俺は五代さんの背を踏み台にして飛び上がり、体をねじるように回転させて、両足を蠍の胸の装甲に向かって突き出した。
「ダークハントキィック!!!」
ザシャァァーー!!
 よろめいでいた蠍の胸の装甲に、俺の両足がヒットして蠍は吹き飛ばされた。
『ぐあぁぁぁーーーー!!』
 額にクウガの封印の紋章が浮かび上がり…俺のダークハントキックにより出来た胸の装甲の傷が誘発して、蠍の体が何度も火花を吹く。
ズバン!ズバン!ズガン!
『ぐ!ぐあ、がぁぁぁーー!』
 蠍の体から甲殻類の装甲が爆発により砕け散っていく…致死量に相当するダメージを受けているようだ。
『ぐう…体が……俺の何も通さない鋼鉄の装甲を…』
だが、蠍は…未だに立って俺達に戦いを挑んでこようとした。
「やめろ!致命傷だぞ!」
『が、はぁ…まだだ…まだ、終わってねえよ!』
 蠍は徐に手に、一つのカプセルを出す。なんだ、あのカプセルは……
「まだ何かしようとするのか!」
『これで、俺はキメラ化して…復活する…』
「キメラ化だと!?」
「あの時の蝙蝠と蟹の化け物のように、何かと合体するのか!?」
 と言う事は、あのカプセルは…幹部怪人の遺伝子データ、一体何のデータを持っているというのだ…
ダァァーーーーーン!!
 その時、光の筋が壁を突き破って、その後に百足と風祭が入ってきた。さっきの光はLTGの光線だったのだろう、百足の腕は融解し無くなっていて…中に入ってきた。風祭も、何発か弾丸が当たったのだろう…体を引きずる形で入ってきた。
『くっ、強い…』
「舐めてもらっては困る…この一撃で決める…」
 風祭はそう言うと、スパインカッターを百足に向ける…
『お前も…私の弾丸を何発か食らいながら…攻撃を仕掛けてくる……何故だ…』
「何故と言われてもな……お前が世紀末王を許せないように…俺にもお前達を許せない理由がある……お前達を倒すまで、俺は止まらない…」
『貴様……それは信念というものか…』
「さあな…」
『だったら、私にも信念はある!』
ダダダ!
 指から弾丸を撃ち、風祭を一瞬ひるませて…その隙に蠍のほうへと走っていく。
『百足!お前、腕を…』
『蠍…私もお前も満身創痍……ここを突破する為、お前に、この命託してやろう……、我々は生きなければならない…世紀末王に復讐をする為…』
『俺とキメラ化すると言うのか…だが、そうしたら……お前は…』
『お前と戦えるのなら本望だ……お前の持ってる同胞の遺伝子と私の遺伝子を組み合わされば…より強力なキメラとなるはずだ…』
『………く…百足…』
 まずい、このまま蠍と百足…そして蠍の持っているカプセルを使われると、蠍が寄り強力になって手が付けられなくなる!!
「阿呆!何をしている!奴等を止めろ!」
 風祭が後ろから吼え、俺と五代さんの足は動いた…だが、百足は最後の力で、ガトリング砲の弾丸をばら撒いた。
『邪魔だてするな…お前達にも信念があるように私にもある…それを邪魔は…』
『けけ…そんな物俺にはねえな……』
ザァァーーー!
 百足の言葉を遮るように、それは糸を使い急降下して…腕をなくし満身創痍の百足を捉えた。
『百足!今の技は…蜘蛛のデストスパイダー…』
『はははは!戦いに集中して、オレ様の存在を忘れていたな……蠍』
 蠍は捕らえられた百足を目で追うと、高い所に…百足を6本の腕で締め上げる蜘蛛の姿があった。
『離せ、この…世紀末王の犬が!』
『はん、信念だけじゃ…生き残れねぇんだよ…欲望と闘争心が無くちゃな…この甘ちゃんが!』
『いずれ…貴様も私と同じふうに奴に殺される…お前のしてる事は無意味だ…』
『け…その前に殺せばいいだろ…だぁほ…』
 動けない蠍の前で、蜘蛛は…6本の腕の一本を変形させる……それは、死神の大釜のような巨大な刃となり…百足の背を貫き…胸からその刃が突き出た。
『がはぁぁーー!』
「「「!!」」」
 幹部怪人が同じ幹部怪人を殺した…その異様な光景に俺も五代さんも風祭も息を呑んだ。
『ムカデェェーーーー!!』
 親友だった百足の死に…蠍の悲痛な叫びが木霊する。
『く、ははは!弱ぇ奴から死ぬんだよ…おっと、死ぬ前に血をいただかねえとな…』
 蜘蛛はまだ、息のある百足の首筋に…毒のある牙を付きたて…そこから、百足の生き血を吸いだす。キメラ化をしようとするらしい…
「あの釜の腕…蜘蛛にはそんな能力無かったはずだが……」
 風祭が俺たちの隣に来て…そう呟いた…まさか、あいつも…もう他の幹部怪人とキメラ化して…あの腕はその合成した時の腕…
「地獄の亡者を操る事など……蜘蛛の能力じゃなかったはず、ありうるな…」
『貴様…初めからこの為に…世紀末王様…いや世紀末王ドラゴノソードと結託して…』
『ふ、そうよ…初めから、この作戦は…お前を落としいれ…オレ様がキメラ化する為の作戦だったのさ……こんなふうにな』
 蜘蛛の腕の一本が、段々と形を変えて…ガトリング砲のようになっていく…あの能力は、百足の生態ガトリング砲!?蜘蛛は二つの幹部怪人と合成したのか…
『キメラ化最終究極体…3〜5つ以上の幹部怪人とキメラ合成する事により生まれる究極の生命体…『王』となるんだ…俺は…』
『貴様が王だと…ふざけるな!もしかして他の同胞を蝙蝠も……お前だったのか、お前が陥れたのか!!』
『全てはオレがこれになる為よ……そして、蠍、お前を最後に食う事により…究極なる王となるんだ…』
 まるで…蜘蛛の巣だ…。その巣は、自然界に仕掛けられた見えない罠…その糸は獲物を捕らえて、自由を奪い…そして…巣の住人は罠にかかった獲物をそのじわじわと食する。
 他の幹部も、見えない蜘蛛の巣に捕らえられていたんだ…蝙蝠も…蠍も…
 俺は蜘蛛のその狡猾で卑劣な言動にふつふつと怒りがわいてきた…アグルストーンが黒く変色していく…
「野朗、ゆるさねぇ…味方を陥れてまで、自分の地位を上げようとするなんて……」
「うん…俺もだよ榊君、あいつやり方…汚い」
「俺もその意見に同意だ、少なくとも百足は俺と戦士として正々堂々と戦ってきた……」
 五代さんも、風祭も同様に怒りを隠せないようだ……俺は限界に達して…口を開き放熱現象を起こして…
「蠍に同乗するわけじゃないが、俺もう我慢の限界だ!行くぜ!」
「解った!あんな奴を野放しにしておけない!!」
「一撃で決めてやる」
 俺が飛び上がると同時に五代さんと風祭も、蜘蛛に向かって飛び掛っていく。
『蜘蛛ぉ!』
 蠍も俺たちと同時に蜘蛛に飛び掛るが…蜘蛛は釜の腕を振るい…
『うぜぇな…静かに見てろよ…』
 蜘蛛の釜腕が、黒く邪悪なエネルギーを放ち…俺達を切り裂いた。
『死霊!炎殺斬!』
ザシャァァーーーー!!
 その一撃は4人がかりでも、抑えきれず…吹き飛ばされた。俺達は、その衝撃で変身が解けてしまった。
「なんて、破壊力……あの技は、オーストラリアプラントの蟷螂の必殺技…」
 風祭は傷ついた体を何とか立ち上がらせようとした…
「強い、前戦った時より……これが、キメラの力…」
蠍は、さっき俺と五代さんの技で食らったダメージもあり、もう立ってられない状態にあったが、蠍を立たせようとしていたのは蜘蛛に対する怒りだけだ。
『ク…モぉ…』
『ははは!蠍…お前の持ってる『毒蛾』の遺伝子サンプル…オレが頂いたぜ』
 蜘蛛はそう言うとさっきまで、蠍の手にあった遺伝子サンプルのカプセルを、糸で釣って、取り上げていた。そしてそのカプセルをそのまま口に放り込んだ。
『ク…、効くな…薬は注射より、飲むのに限る……』
 蜘蛛は体をよじらせる……体が複数の幹部の遺伝子を取り込んで変化をし始めているのだ。キメラ化の最終形態が…始まってるのか…
『ち、畜生ぉぉーーー!!!』
『ああ…その怨念、恨みの念…いいねえ、欲しくなったぞ、蠍…』
 蜘蛛は体を変化させながら。糸を天井に放ち、急降下をして百足と同じように捕まえた。
『がぁぁぁーー!!』
蠍を6本の腕で捕まえると、蜘蛛は毒の牙を突き立てる…
『デストスパイダー!』
ガシュゥーー!
 血を吸うと同時に…蠍の体内に猛毒を注入していく…見ているしかできないのか…俺たちには…蜘蛛は最後に蠍の遺伝子を取り込んで、更に体が変貌して行った。
『が…ぐぅぅ…』
 蠍は虚ろな意識のまま、蜘蛛を抱え込むようにハサミを絡ませた。
『何!?』
『……お前も、死ね…』
 蠍は最後にそう呟くと…体が一瞬発光して…轟音をたてて大爆発を起こした。蜘蛛を巻き込んで蠍は自爆したのだ……
ドゴォォーーーーーーーン!!!
「ぐぅぅ…」
 爆風が俺達の視界を遮った……だが、俺達は、そこから立ち上がる。

風祭が俺に肩を貸して、五代さんも腕を抱えながら…後退した。
「蜘蛛は、蠍はどうなった!」
「解らない…この爆風の中」
「あいつ等、本当に合体しちゃったのかな…」
 風祭も、五代さんも…向こうで何が起きているのかが気になっている…もし、あいつがこのまま爆発で死んでいなかったら……
ドウン!
 何だ、このゾッとする様な寒気……今まで戦ってきた中で、こんな凄まじく恐ろしい闘気は、初めてだ。まさか…蜘蛛が生きているのか…あれだけの爆発でも…
「二人とも、あれ…あの影!」
 五代さんが指差す向こうに、人影らしき影があった…その人影は蜘蛛の物であることが解った、6本の腕がそれを意味しているからだ。だがその腕が異様な変形の仕方を見せたと思ったら、背中に引っ込んだ。
ドウンドウン!
 蜘蛛の体が、段々と変形していく…それは、4つの幹部怪人の遺伝子を捕食した蜘蛛がキメラ化最終形態へと変貌していくのだ、体の変形する音だろう、肉が体を移動して骨が変わる…普通なら死ぬほどの激痛を伴うが……蜘蛛は叫び声も何も全く上げず、自分の体が変わる事に快感を持っているようだ……何て野朗だ…
 そして、体が変形する音が鳴り止むと……蜘蛛は、こちらに向かってくる。
「変身!」
 風祭もその気配に気づいたのか対抗するかのように変身して、LTGを構える。
『はん…、物騒なもんをおろしな…オレ様が王になったって言うのに…』
「……食らえ!」
 その影に向かって、風祭はLTGから光の矢を放つ。だが、影は光線を右腕で弾き飛ばした。
ズギューーーーン!!
 反れた光線は、天井に当たり…天井を破壊した。
『は?今何をした……』
「何だと、念動力をはじき返しただと……」
『念動力などオレ様の…力の前には、無力だ…』
 天井を壊した爆風が、その変貌した蜘蛛のを隠していた煙を晴らして行って…徐々にその姿を、見せていった。
『いいだろう、オレの名は…『牙王』…五つの力を一つに合わせた、究極の力…』
 煙から現れた蜘蛛の究極体は、幹部怪人と言うより…どちらかと言えば、ライダーに酷似した姿だった。蜘蛛の特徴であった背中の2対4本の腕は一本の刀のような形になり…背中に背負う形で無くなっていた。
 漆黒の体には…腰にライダーの証でもある、ベルトがあった。その漆黒の姿は俺にも似ていた。俺は…立ち上がって、牙王を睨み付けた…牙王…、俺と同じ匂いがする…嫌だ、嫌だ…自分を強くするために仲間を殺す奴と…俺は、一緒なんて…
「グルル…それが、お前の姿か…幹部の力を得た」
『そうよ、お前も同じだ…さあ、その姿を見せろ…』
 俺は奴の言葉を受け取るような形で、変身をして…奴と対峙した…心拍数が段々上がっていくのを感じる…それとこの気……殺気。体の中で黒狼が俺と取って代わろうとしている。
牙王は背中の刀を抜いた、巨大な刃にギザギザのノコギリ状の刃となっている。その刃から絶えず緑の毒液が滴り…地面に触れ、アスファルトを溶かしていった。
『この剣は、蟷螂の釜の刃から作り出し…数多の毒を混合させた毒素を放つ、『毒牙丸』…お前も、本当の姿を見せろ…そして戦えよ、俺と…』
「…ガルル…舐めるなよ…」
 牙王が毒牙丸を俺に向け挑発的に言うと、俺の中の黒狼が俺の意思を遮り出てくる…
『そんなに戦いたいなら、戦ってやるよ…』
 左腕を天高く上げて、三角を描くように空を素早く斬ると…顔の前に持って行く…今までの変身とは違う事に近くにいた風祭は反応して…
「まずい、やめろ!陣内!変転するな!」
「何?!」
『超越変転…』
 風祭や、五代さんの声など耳に届かず俺は、そう言うと…体の中から黒狼が這い出してきた…今の姿を突き破るようにして、黒狼は超越変転する。

 灼熱のマグマを体から噴出させ…それは黒い翼を広げ表れた。悪魔の体を持つ、邪なる究極体。アグルストーンを黒い光を発し…それは表れた。
『ふ…やっと出てきたな…黒狼超越変転体…それがお前の究極体だ…黒狼!いや…その邪悪なる悪魔の翼…さしずめ…『邪王』とでも言っておこうか…』
 黒狼は…牙王をその三日月の眼光で見つめている。その気迫は『恐怖』その物だ……
『邪王…さてそこのザコ共に『王』の戦いを見せてやろうじゃねえか…』
 そう言う牙王の体から、どす黒い霧のような気が、ぼうっと放出された…その気は、コンクリートの壁を溶かして行った。
「まずい、瘴気だ!!変身しろ!10秒も耐えられないぞ」
「瘴気!?解った、変身!!」
 シンに言われ、雄介も残り少ない変身時間の中クウガへと変身する、無理がたたって膝をついた。
 だが…黒狼も牙王に同調するように咆哮を上げた。
『ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
 咆哮と共に、熱気が起こり…牙王の瘴気とぶつかり合った…



 ToBe Continue


設定資料集

キメラ合成最終形態
 いわゆる、幹部怪人の『究極体』と言える形態で、『王』とも言う。複数の生物のキメラ化により体の構造が飛躍的に進化。その体の形も変え…融合した幹部怪人の技も全て使える。その姿は仮面ライダーと酷似している事から、王=仮面ライダーと言う線も考えられる。

5体キメラ合成最終形態
 『牙王(がおう)』
主体 蜘蛛+蟷螂+毒蛾+百足+蠍
能力 パンチ力23t キック力40t ジャンプ力90m 走力:100mを1秒
武器 毒牙丸(蟷螂の大釜に変形した剣…数多の毒素を凝縮した剣でり、攻撃の際は敵の装甲をその毒で溶かし斬る。20t)
   生態ガトリング砲(毒牙丸の鞘が、銃身となって毎秒200発の生態弾丸を発射する。牙王の場合は毒素も弾丸に含まれる為、攻撃力が上がる。20t)
毒牙丸を使った必殺技
 死霊・炎殺斬(蟷螂の必殺技として使っていた技、地獄の亡者達が刀身に宿り、その邪悪なる力で袈裟斬りをする。30t)
その他必殺技
 デストスパイダー(蜘蛛の時の技。攻撃力が+10tされている)
 百烈生態破滅弾(百足の技。生態ガトリング砲から撃たれる)
 フリージングミスト(毒蛾の技。回転しながら−120度の雪鱗粉を吹雪のように放つ)
 サンドスコーピオン(蠍の技。地面を砂と変えて地中から飛び出して強襲する)
 最終極技・ポイズンブラスト(毒素を足に集中して、蹴り込む技…黒狼キックの破壊力を超越した大技、70t)
 幹部怪人『蜘蛛』が同じ幹部である蠍・百足・蟷螂・毒蛾(内、蟷螂と毒蛾は未登場)の遺伝子によりその力を得て、体を変形させていた。その姿は蜘蛛の姿よりどちらかと言えばライダーに似ている。毒牙丸と呼ばれる溶解性の毒を発する刀を武器に…5人の幹部怪人の技を使える。
(容姿はリュウガっぽいけど、目は光りません…オルタナティブにも似てるかも…(汗))

後書き
 とりあえず、この章は牙王の出現までと言う事で終わりです。牙王はキメラ化をしてく中で、最初に決まっていた事です。黒狼もそのキメラ化で強くなっていくのですから…
 変転体との対決は熾烈を極めること間違い無しです。

 今回の話のポイントは…ずばり蜘蛛の巣!
 蜘蛛の巣は時には自分より大きなネズミでさえ捕らえるといいます。じわじわと見えないところから、罠に落とす蜘蛛の性質がこの話では出せたと思います。
 次回から、その牙王がレギュラーになって行き…第2部も架橋に写ろうという所まで着ました。
 後、牙王の出現と同時にバティムも動こうとします。だんだんシンとクウガが…影が薄くなっていく…(泣)
 と言う事で次回は五代さんがと真を中心に牙王に立ち向かいます…

では!

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