『全車に通達、所属不明のロボットが都内某所を強襲し…被害者も多数出ている模様』
 五代雄介のTRCS2000の通信機から、笹山の声がして雄介はバイクをUターンさせて、その場所へと向かった。
 その隣に一条の車が来て…
『五代、聞いての通りだ…謎のロボットは未確認生命体でもネメシスの者でもない、用心しろ』
「はい!解りました、(またこの前みたいなビリビリが…)」
 雄介は体の中を、一度死んだ時に椿が施した電気ショックのようなビリビリした感覚が少し体を走った。まだあの感じが直らないのかと思ったが、雄介はさほど気にせずTRCSを走らせた。

キィン!
 並べてあったLTGの弾丸が倒れ、真の頭に嫌な感覚が蘇ってくる。
「う…、牙王…いや、この感じは何だ?」
「パパ…」
 転がり、地面に落ちるLTGの弾丸を真は拾い集めると優が駆け寄ってくる。
「また、牙王とたたかうの?」
「ああ…あの陣内をあそこまで追い詰めた奴だ……今奴が寝ている時にやっておかないと…意味が無い…」
 真は弾丸を体に巻く皮ベルトへと戻しながら、そう言った。
「お前は、何も心配するな……牙王は俺が倒す」
「パパ…でも、あの人をあんな姿になっても勝てなかった相手を…」
「俺が負けると思うのか…初めから負けると思ったら絶対に敵には勝てない…」
「う…」
 真の言ってる事は正論であり、優も父親が言う事に過ちが無い事は解った。真は黒狼やクウガと会い、復讐者から着々に一人の戦士として戻ろうとしていた。
 優の願いどおり…だけど、今は情況が違いすぎる…優の知る限りでは、牙王は自分の力と、黒狼の力でやっと相殺できたようなもの…それもまた事実。
 父親の言う正論と、事実が交錯して…優は父親の袖を離さなかった。行ったら二度と父親には会えそうに無かったから。
「……優、父さんはお前を守ると、お母さんと約束した…だから、死ぬわけには行かない…不本意だが、お前の力を分けてくれ」
「……パパ」
 真は優の目線の高さまでしゃがむと優の頭を撫でて頼んだ…優の目には、真のギラギラ光る目は明らかに…復讐者の目から…死を恐れない、戦士の目へと変わっていた。
「父さんも、こんな事頼みたくない…また、お前を苦しめると…天国の母さんにしかられる…」
 優はその一人の戦士となった自分の父親の決意に…同調して…
「………うん、それに今行ってあげないと…天国のママに怒られるからね…解った、パパに僕の力を分けてあげる」
 そう言うと優は両腕をシンの前にかざす…
「優…すまない…」
 優の全身を金色の光が包み込み…手を通して真の体へと戻っていく…真は一度変身してその光を体に吸い込ませる。
 サードアイに優の力を宿し、シンは立ち上がった。優はにこりと笑うと力の使いすぎで倒れこんだ。
「優…ありがとう」
 眠りに着いた優をそっと起こしてシンは奥の布団へと優を運ぶと、廃工場の近くに止めてあった、エアロガンナーに乗り込んだ。
「……覚悟しろ、牙王」

 エアロガンナーが去った後…優はそれを見計らったように布団の中から起き上がって…
「そうだよね…僕も…ママに怒られる……」
 倒れそうなよろよろの体を起こして、優は廃工場からとことこと…歩を

 夫々の思いを胸に…都内某所…関東医大病院へと二人のライダーは集まろうとしていた。
そこには…未だ眠っている榊がいるからだ…



仮面ライダー・黒狼
第5章〜王達の戦い〜『念の力、霊石の力』


 関東医大病院近くの、ビル屋上…ここはかつてネメシスの為に資材を供給していた会社であり、社長以外は社員はネメシスのネの字も知らない普通の会社だった。
 だが、その会社は…少しでもネメシスに加担した為に…関係の無い社員や社長は、皆殺しにあった。屋上にいる…黒服と黒眼鏡の男…エージェントに…

 エージェントは1分1秒たりともネメシスに触れた者を抹殺しろと言う命令が下っていた。根底からの抹消…それを知る者は全てこの世から消す…それがエージェントの任務だ。
 そして、その任務は…最終局面を迎えようとしていた。
「休眠状態の陣内榊を…殺す…」
 陣内 榊…黒狼として、その力は、エージェントを凌駕する…だが牙王との戦いの後、その活動は休眠状態となっている。
 殺すなら…今…
「エージェントG…ミッション遂行モードに移行」
 エージェントはそう言うと、ビルの屋上から飛び降りて…地面にすたっと降り立った。
「うを!」
 そのエージェントが降り立った、道を丁度通りかかった二人組みの男が突然下りてきた黒服の男の登場に驚いた。
「て、てめぇはなんじゃぁ」
「空から降ってきたぞ!」
 どうやら泥酔状態らしいこの二人の酔っ払いをエージェントは黒眼鏡を取ってポケットにしまうと…
「不特定多数の人間に姿を目撃されたし……口封じ」
 そう言うと、目の奥の瞳がカメラの絞りの如く小さくなり…ターゲットを確認した。
「口封じ?お前いった…」
 酔っ払いの一人が口を動かそうとしても、動かなかった…
「あ…ああ…」
 隣にいた男もその光景に酔いが冷め…腰を抜かした…
「ターゲットの一名を排除…」
 エージェントの右腕には太く長いドリルのような武器に代わり、男の口からそのドリルで頭を貫いていたのだ。
「あ…あわ、うわぁーーーー!」
 もう一人の酔っ払いも、この世の地獄を見た形相で立ち上がり、エージェントの標的になるまいと逃げ出した。その方向に更なる地獄が待っている事も知らず…
シュウゥゥ…
「ぐ…」
 今頃、酔いが回ってきたのかそれとも…さっきの光景を思い出し、嘔吐したのか…その男は強烈な吐き気を覚えた。
「がはぁ!」
 だけど男が吐き出した物は違った…それは大量の血だった…そして体中が熱い。男は立ち止まり、手を見た…ドロドロに溶けてる。
「ああ…う、腕が溶けて…」
「溶けてるんだよ…」
 その腕を溶かしているのは…夜の闇……夜の闇にまぎれ…空気中がどす黒い瘴気となり…男の腕は問わず体中を溶かして行き…
「がぁぁーーーー体が…と…け…」
 言葉はもう既に声帯さえも溶かされ…風化してしまい、男はミイラ化して…そのまま白骨化して、風化してしまった。

 風化した男のカスを踏みつけるように、一人の青年がエージェントの前に現れる。
「てめえが、世紀末王が言ってたバティムの刺客…エージェントって奴か?」
「…身体能力、体内構造、全てにおいて人間とは異なる構造と判明…」
 機械的な言葉を並べ青年を分析する、エージェント…その青年…『牙王』は
「おいおい、そんな機械的な言葉を『王』の面前で言うか?普通…」
「所属『ネメシス』名称『牙王』……属性『毒』ターゲットの一人と確認…」
「ふ、バティムの機械に礼儀って奴は無いって言う事か…」
「排除行動に入る…戦闘モード起動…」
 そう言うと、エージェントは身構えて戦闘プログラムを起動した。黒服が破られ…全身を銀色の鎧が覆う。右腕にはドリル状の突撃系の武器を装備した…ロボットが牙王の前に立ちはだかった。
「はん、それがお前の姿かよ…おもしれぇ…」
 牙王は両腕を旋回させて突き出すように前に出し…
「変身…」
 どす黒い瘴気が、牙王自身の表皮を溶かし…その体を闇に溶け込ませ、毒霧は牙王を王の体へと変身させた。
『あぁ〜…やっぱ、「王」の体はいい…』
「戦闘レベル、解析…」
キャラキャラ…
 エージェントは、目で移した牙王の姿から戦闘能力を計測し始めた…計測した戦闘レベルとパターンをコンピューターにインプットして、それに合わせた戦闘能力にエージェントを設定するのだ。これにより、牙王の戦闘パターンをそのまま読み、互角に戦う事ができるのだ。
「設定完了…『牙王』排除開始…」
『身の程知らずに、物を教えてやらねぇとな!』
 牙王は毒牙丸を背中から引き抜き、エージェントと対峙する…
ガイーン!
 毒牙丸とエージェントの細長いドリルが交差して、火花を散らす…牙王は取り入れた蟷螂の能力である、『死霊召還』と言う能力で剣に、地獄の怨霊を呼び寄せる。
うおぉぉ〜〜!ひゅお〜〜!
剣に地面から這い出てきた怨霊が、その毒で苦しむような強烈で不気味な叫び声が響き渡る。
『これが地獄の亡者の悲鳴!怨霊の呪われた力…『魔鳴剣術』!これを避けられる者はいねぇ!』
 だが、その怨霊の叫び声にも…機械のエージェントには全く通用せず、全く躊躇せず腕のドリルを回転させ…左腕の手の平には…電撃を集めていく…
キュイィィーーン!
「スパークフィンガー起動…」
 エージェントは、かつてネメシスで運用されていたショッカーの幹部である天才マッドサイエンティストの作り出した最高傑作であり、失敗作の青いロボットの残骸を回収して…その技術をそのまま使って作り上げた。
『流石は、俺たちの0を参考にしただけはあるな…だが、王にたてついた事を後悔させてやるぜ!……地獄の亡者よ、我が毒を受け…呪いの炎を上げよ…』
うおぉぉーーひゅおぉぉーー
 地獄の怨霊は牙王の毒の剣に触れ…燃え上がり、青紫色の人魂のような炎を上げた。炎に焼かれる怨霊のけたたましい位の叫び声が剣に集中される。
『死霊…炎殺…』
ズオォォォーーー!!
ドゴォォーーーーーーーーーーーン!!!
 牙王の剣に念動力の塊が打ち付けられ、死霊はそれで相殺された。
『この威力、LTGか!?』
「体は強固にできていても…その技は相殺できる……」
『風祭…真…』
 牙王が見上げる、建物の屋根の上にはシンがLTGの銃口を向けて立っている。
「(後8発……か…)」
 シンは残されたLTGの数をベルトで確認すると、牙王とエージェントの前に降り立った。
『風祭…てめぇはこの前、おれ様の力を見たばかりだろ…それなのにバカ正直に襲ってくるか?』
「確かにお前の力には、俺の力には対抗できない……だが、みすみすここで俺の後ろにいる陣内を殺させるわけにはいかないな…」
 シンの後方には関東医大病院があり…そこでは榊が眠っている、シンの敗北は榊の死を意味しているのだ。
『風祭…復讐の鬼であるお前が、黒狼を庇うか…いつからそんな心を持ったよ…』
「あいつには借りがある…それだけだ!」
 シンは背中にLTGを背負うと、牙王と対峙するようにファイティングポーズを取り…牙王をだけを見据えていた。
『ふん、三つ巴か……おもしれぇ!』
 牙王は毒牙丸を、鞘にしまうと…毒牙丸を鞘ごと引き…その先の生態ガトリング砲をシンと、その後ろのエージェントに向けた。


バシッ!!
「ぐ!お前は!」
 関東医大病院の中では、既にクウガと何かが戦闘が繰り広げられていた。病院内で患者達が寝静まった時であり、一番病院が無防備になる時である。
 そこに黒狼がいるのなら…敵は必ずこの時、暗殺に来る。
「やっぱり、榊君が狙いか!」
「……」
 赤いクウガと戦ってる、金色のロボット…エージェントSは無言のままクウガと拳を交えている。
「だけど、もうここには誰も居ない…一条さんが椿さんに頼んで、前もってこの病院の患者さんをみんな別の場所に、移したんだ…榊君も移動させたんだ」
 謎のロボット目撃例が出てから、1時間…一条はそれが眠っている榊を暗殺する為の者だと推理して、エージェントが来る前に…関東医大病院にいる患者、それから眠ってる榊を連れて、他の病院に移したのだ。目撃からの時間にして3時間…その間に全ての患者を避難させるのは至難の業だったが…。
 だが、外のシンはそのことを知らない…
「…お前は、一体何者なんだ!?」
 クウガは、エージェントと取っ組み合う形で聞いた…エージェントはクウガを引き剥がすと、背中から長めの剣を引き抜く。
「我等は、バティム…我が名は…エージェントS。ネメシス、及びそれに関連する者の抹消が任務…我がターゲットは、黒狼、風祭 真、そして…戦士クウガ…」
ブオン
「く!」
キィン!
 クウガはとっさに、紫のタイタンフォームへと超変身してトライアクセラーをタイタンソードへと変えエージェントの剣を受け止める。
「それが、目的か…」
「…任務続行、ターゲット…戦士クウガ」
 ギリギリと剣が交じり合う…装甲と力が上がってる紫のクウガだが、その力がエージェントに押し戻されていく。
「せい!」
ギイン!
 クウガはとっさに隙をついて、タイタンソードでエージェントの剣をはじき返し、そこに至近距離から敵をタイタンソードの切っ先で貫く…カラミティータイタンを放つ。
「だぁ!!」
ガイィィーーーーン!!
 だがその切っ先は避けられ、エージェントに片手で受け止められた。
「何!カラミティタイタンが…」
「……ターゲット確保、排除する」
ジャキィィーン!
 エージェントの剣がクウガの装甲を斬り付ける…強固な装甲が剣により斬られ、火花をあげた。
「がはぁ!」
 クウガは膝を突く、切られた装甲から赤い血が流れている…
 タイタンフォームでなければ、間違いなく真っ二つになっていた所だ…
「…とどめ…」
「つ…やられてたまるか!」
 タイタンソードを振り、エージェントと剣で対決するクウガ…力と装甲がある分スピードが大幅に減ったクウガの剣をエージェントはなんらく避ける。
「(く…もっと、もっと強く…)」
 そう雄介は頭の中で思った…今ここで赤いクウガになりキックを食らわせれば確実に勝てる…だが、さっき付けられた傷により瞬発力が低くなり…今赤いクウガに戻れば、確実にその隙を突かれ、首を跳ね飛ばす事はエージェントにはたやすいだろう。
ビリビリ!
「(!?やっぱり、復活してから……電気が流れるようなビリビリが…)」
 復活してから、頻繁に雄介の体に…電撃が流れるような気を感じていた、それはクウガの時にだけ起こる現象であった。強くなりたいと願う度に、クウガの体を電撃のようなビリビリ感が流れた。
 だが、エージェントの攻撃で次第に雄介自身の体力は限界に来て…クウガの体が、白いグローイングフォームに戻っていく。
「……だめだ…」
「終わりだ……戦士クウガ…」
 白いクウガに、エージェントは止めの剣の切っ先を向けてくる。
「く…」
 ここまでかと、雄介も諦めかけたその時…
ガシャァーン!!
 病院のガラスを破って、クウガとエージェントが戦ってる所に何かが乱入してきた。
「何だ!?」
 月明かりを背に、その何かはエージェントに向けて驚異的な速さで向かってきた。
「ふー…かぁ!」
バシィ!
 まるでクウガを庇うかのように、エージェントの間合いに入り込み…キックでエージェントを引き離した。
「く!」
 エージェントは病院の廊下を、3メートル以上飛ばされる…白いクウガはその自分を助けた者を見る…赤い体を持ち、外見と顔はシンの改造兵士レベル3に似ていた。
「…風祭さん?いや違う…」
 その赤い改造兵士は、足が異様に長く…バッタのそれと似て、膝を曲げて片手で重心を支えている。その姿は赤いバッタその物で、シンとは違っていた。
「バッタ…赤いバッタ!?」
「……ぬ…ぐぅ!」
 赤いバッタ男は、クウガに視線を向けると手をかざした。
「ぬん…」
 バッタ男の手から、念動力が出て…クウガのベルトにある霊石『アマダム』に吸収されていった。
「力が…戻っていく…」
 霊石に入っていく念動力はクウガの力を蘇らせた。
 赤いバッタ男の後ろに、エージェントが剣を振り…背中から突き刺そうとした。
「は!危ない!」
 雄介はとっさにそう思い、その赤いバッタ男を庇うように前に出ると…タイタンフォームへとなって、エージェントの剣を装甲ではじき返した。
ガキィィーーーン!!
 そのエージェントの鋭い剣でタイタンフォームの装甲でさえ貫くかもしれないただ、こんどのタイタンフォームの装甲は、その切っ先を弾き返した。
「装甲が…強化されてる…」
 タイタンフォームの装甲は、金色のストライプが走り…ベルトのアマダムに金色のガードが付いた。クウガは全体より鎧が強化され、硬度を増していた。
「よし!」
 そして、クウガは落ちていたトライアクセラーを拾うと、タイタンソードに変える。剣もアマダムから出た力により、切っ先が伸び…切っ先が稲妻を思わせる形へと変形した。
「剣も変わってる…よし、これなら!」
 クウガはゆっくりと歩を進ませ、エージェントに近づいていく。エージェントはその紫のクウガに対し剣で何度も装甲を叩くが、剣は…鎧によって弾かれ、鎧は傷一つ付かなかった。
「は!」
 クウガはエージェントを拳で弾き返すと、強化されたタイタンソードの切っ先を突き刺した。
「カラミティタイタン!」
グサァァァーーー!!
 貫かれたエージェントの胸に、封印の紋章が浮かび上がる…エージェントは苦し紛れにタイタンソードを握り、クウガを押さえ込む。
「……機密保持プログラム始動…機密保持のため、機体を強制自爆」
「自爆!?いけない…病院が!」
 クウガが、エージェントを引き剥がそうとするが、エージェントは離れない…
「ぬん!だぁ!」
 クウガとエージェントの間に赤いバッタ男が割り込んで、その長い足を…腹の所に持っていき強力なキックを食らわせ、クウガから引き剥がした。
バシィィ!
 赤いバッタ男の強力なキックで、エージェントは病院の窓から飛び出て…その瞬間爆発四散した。
ドゴォォーーーーーーン!!


「ん?今の爆発は…」
 シンはエージェントと、牙王との三つ巴を繰り広げている時、その爆発を見た。
『百烈生態破滅弾!!』
ズガガがガガ!
 牙王の生態ガトリングガンから、弾丸が放射され…エージェントと取っ組み合うシンを襲った。
「ち!じゃまだ!」
バシ!
 シンはエージェントを、キックで突き放しその弾丸を避けると…スパインカッターを切りつけ。だがエージェントはその腕を押さえ込んだ。
「可変開始、風祭 真を確保……」
グイーン!
 エージェントはシンを抱えたまま変形して、足と腕が可変して4本の足となりシンを掴みこんだ。
「捕獲完了…」
 シンを包み込んだ足の付け根から、ドリルを出し…シンの心臓に向けて伸ばして行った。
『丁度いい…ここでまとめて片付けてやるぜ』
 生態ガトリング砲を、牙王は取っ組み合う二体に向けた。心臓にドリル…そして牙王がガトリング砲を構えている…取っ組み合ってると、LTGも撃てない…だが、シンは精神を集中させ…サードアイにその力を集中した。
「がぁぁぁーーーーーー!!」
 サードアイが赤く輝き、シンの体に赤い光が充満して…闘気が今までの倍以上増加していった。突風に似た闘気の流れが生まれ、手近にいたエージェントはその渦中にさらされていた。
バシィィ!
「!!」
 エージェントはその闘気の突風に弾き飛ばされ、転がった…エージェントの腕は消滅して無くなっていた。
 立ち上がろうとするエージェントの目にシンが映った。赤い闘気を身にまとって、念動力が増幅して、シンの体が赤く変色していた。
『その力…一度見た事があるぜ…』
 牙王がまだ蜘蛛の頃、一度その目に…赤く変色するシンの姿を見た事があった。かつてミレニアムストーンの力により力を倍増させ、赤く変色した鬼塚の姿と…今のシンは同じだった。あれがミレニアムストーンの力で鬼塚の力が倍増したとしたら、今のシンは…なんだ?石の力ではないとすると…
『あの石の力じゃないとすると…あのガキの念の力か……本当、退屈しねぇな、改造兵士レベル3って奴はよぉ!』
 そう言い、牙王は生態ガトリング砲を乱射した。
ズガガガガガガガ!
「はぁぁーーーー!」
 赤いシンは手を前に出すと、鬼塚と同様の念動波を撃った……その念動波はこれまでの物とは違っていた。
「緊急回避!緊急回避…不能!?」
百烈生態破滅弾と念動波の間にいたエージェントはそれを回避できなく、直撃した。
ズガァァーーン!
 二つの攻撃は、相殺され…エージェントはそれにより爆発四散する。
『…はん、やるな…風祭、その力…鬼塚以上、おもしれぇ!』
 赤いシンは更に体から赤い念動力を発すると、右手の拳にそれを集めだした。それはかつて鬼塚が黒狼との戦いで不発に終わった…あの技だ…
 あの時とは比べ物にならないくらいの念動力をシンは集めている。
「…はぁぁ…牙王!」
『勝負だ!風祭!』
 シンはその拳を振り上げると、牙王に向かって走る。牙王も瘴気を体にまとうと…飛び上がって…回転を利用して、シンに向かってキックを放った。
「超!念動拳!!」
『最終極技・ポイズンブラスト!』
ズガァァァァーーーーーーーーーーーン!!!

 牙王とシンの技がぶつかり合い、その衝撃で道路は…クレーターができていた。その中では、エージェントの残骸と、技と技のぶつけ合いをした牙王とシンの姿があった。
「……」
『ふん、やるじゃねぇか…風祭…』
 二人とも無傷でクレーターの中に居た…シンは優から貰った力が尽きたのか、元の姿へと戻っていた。
『だが……』
「ぬぐ!」
ザシュザシュザシュ!
 シンの体の各所に切り傷ができ、そこから血が噴出し…シンはクレーターの中に倒れこむ。
『王の力をあなどんなよ…』
「牙王……きさま…」
 シンは人間の姿と戻り、牙王を睨んだ…力が違いすぎたのか…とシンは思い悔しさが頭をよぎる。
『まあ、楽しかったから命だけは今は助けてやるよ…次は黒狼やクウガもろとも…殺してやる…お前から先にな…』
 すこし途切れ途切れの牙王の口ぶりにシンは…
「……ふ、そうか…そう言う事か…」
 シンはそれを見抜くと、ふっと笑い…目を閉じた。
『……どうやら、ここには黒狼は居ないようだからな…』
 牙王はちっと舌打ちをすると踵を返して気絶した真から離れていった…
「(知っていたさ…もう既に…)」
 真は気絶しながら牙王に負けたんではない…勝った事を嬉しく思った。

 その頃、エージェントを倒したクウガと赤いバッタ男はシンと牙王の力のぶつかり合いによる発光を目撃していた。
「あの光…もしかして、風祭さん!?あ…」
「……」
 クウガはそこに向かおうと思ったら、赤いバッタ男の存在に気づいて彼を見た…
「君は…風祭さんの…」
 その姿で、真と何か関係のある物だと雄介は気づいていた…
「……ありがとう、助けてくれて」
 雄介はとりあえずさっきの事に礼を言い、サムズアップをした…それに赤いバッタ男は…無言で反応すると、窓を突き破って外に出て行った。
「お、待って…て、行っちゃった…誰だったんだろう、あ…風祭さんが…」
 そう思い、雄介は真の安否を思い…人間の姿に戻り、病院から出て行った。


 病院から飛び出した、赤いバッタ男はそこで赤い光と共に縮んで行き…小さな子供の姿に戻った。その子供は真の息子である優だった。
「う…パパや雄介さんに力をやった後で変身はきついよ……」
 優はそう言うと、父親の待つ場所に向かって帰っていった。


 真との勝負で、牙王は…離れた場所までデスポイズンを走らせて、わき腹を押さえた。
「ちぃ…風祭、やってくれるじゃねぇか…」
 わき腹を押さえていた手を見ると、赤い血が付いている…牙王は少しぐら付き、それでもなお立ち上がると、本部に向かって帰っていった。


 ToBe Continue

設定資料集

改造兵士レベル4
 緑川博士の論文から、…免疫能力向上のレベル1…身体能力向上のレベル2…この二つを用いて、改造兵士レベル2を作り出し…そして、バッタの遺伝子とその能力を使い特殊な能力まで発現させたレベル3…そして、その強力な能力を持ったレベル3から生まれたミュータントベビーこそレベル4である。現時点ではレベル3までを作れる人間がいないため…現存してるレベル3は風祭 真なためかレベル4の生成は不可能に近いくらい難しいと言われている。

風祭 優変身体 改造兵士レベル4
 紅(くれない)
身長195cm(足折り曲げ中) 体重95キロ
足の長さ:120cm
能力 パンチ力12t キック力45t ジャンプ力150m 走力:100mを0.3秒
必殺技
 紅キック(その長い足を生かし、大ジャンプをして…一回転してから両足で貫く。55t)
 真の息子、風祭 優が改造兵士レベル4の姿に変身した姿。子供の姿から一気に急成長し変身を遂げる、変身の際は急激な超能力の消費の為体力を奪う。上記説明の通り、ミュータントベビー、改造兵士レベル4である彼の能力は父親を凌ぎ、牙王と同等の力を持つ。最大の特徴と最大の武器である、バッタの長い足は人間が更にバッタ化が進んだ形になった事を物語ってる。体が赤いのはそれだけ能力が桁外れに高いと言う事。
(バッタって2種類いるじゃないっすか、その顔が少し長めの奴が元)

後書き
真 「をい…」
わぁぁーーーー!いきなりLTGを向けないでください!優君を闘わせた事は謝りますんで…
真 「優を闘わせると、殺すぞ」
ごめんなさい、ごめんなさい
真 「ふうならいい…それより、優が改造兵士レベル4なんてよく言ったものだな」
だしょ、改造兵士3の上行くのでしたらレベル4ぐらいで、真君や鬼塚先生より…バッタ化が進行した姿です。
真 「なら何か?びよーんと150mまで飛んで…それで羽を広げるのか?」
……(汗
 ばればれ?
真 「優は空を飛べるのか(←少し羨ましい)」
それだけバッタの能力が使えると言う事です。それにテレパシー能力で他のバッタとの交信も可能です。
真 「なんだ?バッタの群れでも集めようとでも言うのか?」
ぶるぶるぶる(滝汗
 てか、改造兵士レベル4の群れが空を覆う…ウルトラマンガイアのイナゴの如くと言う展開を想像中。
真 「……」
すちゃ
 わぁぁぁーーごめんなさーい!
真 「まあ、今後の展開はいいとして…次の台本が回ってこないのだが、陣内や五代はおろか優にでさえ既に来てるって言ってるし…」
今日から真さんは次回の戦いまでお休みにしちゃうつもりで…優君を闘わせようかと…
ズキューーーーーン!(LTGの発射音)
 あ、あぶなし……
真 「お前…殺す…」
だぁぁー!僕はへんしんできないよー!


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