「じゃあ、私はもう…お店の手伝いがあるから。榊の方も無理はしちゃ駄目よ…」
「ああ…陽介と名雪を頼む」
 秋子はうんと頷いて、病室から離れていった…あの羽、彼女が残した羽は…きっと秋子を守ってくれる、そう思った。
 俺は秋子が居なくなったのを確認すると…
「出て来いよ、セーラ…」
「さすがは獣並みの洞察力ね…」
 病室の扉が開いて、セーラがアタッシュケースを持って入ってくる。
「まったく、お暑いことね〜あなた達」
「うるせ…全部見てたってのばればれだぞ…」
「はは、でも一部始終録音させてもらったわよ…彼女との会話」
 セーラはテープレコーダーを俺に見せる彼女とは、秋子のことではない…アグルストーンの中に居る、翼を持った彼女だ…
「隊長の命令無しに…」
「でも今、貴方は謹慎中よ……今は私が部隊の隊長代理よ」
「ぐ…」
 そういや、以前の五代さんの事件で俺は、謹慎中だったな。
「だけど、もう長官からの許しはでているわ…たった今ね…でも、このテープは渡すわけには行かないわよ」
 謹慎の期間である一週間は当に過ぎていたらしい…この時間は一週間前五代さんと戦った時と一致するからだ…ちっ、こいつ実は確信犯なんじゃないのか?
「はあ、駄目か…俺もそいつを取って食う事など考えていない…専門家による分析をしてもらいたい」
「奇遇ね私もそのつもりよ……」
「だが、セーラ…俺の所に来たのはその為じゃないだろ?」
 俺はベッドから降りて、少し鈍ってしまってる体を何とか体制を立て直しながら、着替えを出す。秋子が持ってきてくれたのか…ありがたい…
「ええ…あなたの義理のお父さんとなる人が…命の危険にさらされているわ」
「……何?まさか、信一さんが?」


仮面ライダー・黒狼
第5章〜王達の戦い〜『新装備』


 信一さんの勤めている生化学研究所…あそこは風祭や鬼塚の改造兵士レベル3に変わるレベル4や5の研究をしている施設だったな…また、レベル2の改良と量産を進めて…レベル2は今やその生産性と汎用性で量産型怪人と並びネメシスの主力にまでなり、ネメシスがそこを残しているのも…そこの生産ラインがあるからだ。世界の支部を失ったネメシスにとって、そこはもう重要拠点となっているはず。牙王が襲うわけもない…
 もしかしたら、バティムのエージェント!?
「なあ、バティムはCIAの特殊工作部隊で殆ど…壊滅状態だって聞いたが…」
「それは本当の話よ…ユーゼス長官の話だけでは…ね…」
 なるほど、ユーゼスの話だけなら何ぼでも言えるな…
「噂では、海底に巨大な地上攻撃用の巨大戦艦があって、そこに隠れただけって話も…」
「地上攻撃用の巨大戦艦?そっちの方がやばくないか?」
 セーラはその問いに、悪まで噂よと答えた…だがそんな戦艦ならネメシスの支部を丸々破壊できるほどの威力を持ってるかも知れない。あながち、噂とも言い切れないな…
「信一さん…セーラ、もう俺の体の傷は癒えてるよな」
「ええ…もう大丈夫よ、戦闘には有り余るほどエネルギーがあるはずよ」
 確かに、変身するエネルギーが有り余るほどある…それにさっきの彼女のお陰か。
「それに、榊…嬉しい報告よ、これ…」
 セーラはそう言い、持っていたアタッシュケースを俺のベッドに置く。俺は服に着替えると、アタッシュケースを開いてみる。
「これは…」
 そのアタッシュには、エクストリガーが四つ…ライフル銃の銃身とグレネードランチャー付きのサブマシンガンの銃身、それに変わった形の盾だ。
「ブレード付きの盾?」
「ええ、ルガー君には少し重たいかもしれないけど…あなたにCIAと科警研からプレゼントよ…その銃のパーツは、エクス&ボルテス用…白いのがエクス…黒いのがボルテス用…」
 俺はとりあえず、エクス用のパーツを、エクスに装着してみる。
「エクスは、特殊鉄鋼弾を発射させる…アサルトライフルとなり、ボルテスは毎秒100発の弾丸を発射するマシンガンになり、対特殊生命体用に科警研が開発したグレネードランチャーを装備してるわ」
 ボルテスも組み立ててみて、何だかすごい子供がプラモデルをいじるみたいな…そんな面白みを感じた。
 セーラは今度はアタッシュからあのブレード付きの盾を叩いて
「そして、今回の目玉…このシールドブレード…、敵の攻撃を寄せ付けない特殊装甲でできていて、日増しに強力化していく未確認生命体の攻撃や、牙王の攻撃も完全防御可能よ。そして接近戦用に、ブレードが展開するわ…この盾には、予備のエクストリガーも搭載可能よ…」
 盾の裏側に4つのエクストリガーの内2個を付ける。
「エクストリガーは、改良済みか?」
「ええ…エクストリガーも榊に言われたとおり、変転体にならないように科警研とともに努力してきたわ…もしかすると、“あれ”になれるかもよ…」
「…あれか…あの姿なら俺は牙王にも対抗できるかもしれない…」
 俺が以前一回だけなった姿、エクストリガーの力で聖なる力を引き出し、“剣”を媒体に変身する。この改良型エクストリガーと剣さえあれば…
「敵拠点攻略用の装備よ…剣は、このブレードなら十分じゃない?」
「ああ、これか…解った有効に使わせてもらう…ルガーはいるか?」
 セーラから渡された装備の入ったアタッシュを閉めてセーラに聞く。
「ちゃんと連れて来てるわよ…外で待ってるから、行ってやんなさい…お父さんを助けに行ってやんなさい」
 言われなくとも…俺はそう言って、アタッシュを持つと病室を後にした。
「ああ、言い忘れていたわ……退院届けはまだ出してないからって、早速捕まってるし」


 くそ、途中で看護婦さんに捕まって…時間食っちまったが…何とか退院できた。とも角俺は病院から出て外で待っているルガーを呼んだ。
「ルガー!」
「わん、わん」
 植え込みの中に居たルガーが…嬉しそうに俺に走り寄って来る。久しぶりにあったな…
「ルガー、少し重くなるが……辛抱しろよ」
 俺はセーラに渡された武装を、ルガーに見せるとは!っという驚きの表情を見せるルガー、ルガーはしぶしぶといった表情でバイクモードに変身すると…座席の下に武装を装備した。
「うーん、シールドはさすがに入らないか…」
 結局シールドはルガーの後部に、備え付ける事にして俺はルガーに跨った。
「待っててください、信一さん」
 俺はそう言って、ルガーを走らせた。


 その頃、信一の居る生化学研究所は騒然としていた。

 エージェントの突然の強襲により、施設の機能は全てストップ、レベル2の生産は途絶えてしまう…だが、悪い事はそれのみではなかった…エージェントの攻撃からか、作られていた何百体のレベル2の群れの制御も切れ…暴走、場内はエージェントと、暴走したレベル2の大群との争いで戦場と化していた。
 信一ら他の研究員はその渦中に巻き込まれ…研究員の殆どはそれらにより、殺されてしまった。残った研究員は信一と数名だけだ…
「主任…ここなら安心です…」
 ここは施設の大型金庫…鋼鉄の巨大な門と何十にもあるパスワードで開けられる為、ここは過密室となっている。信一達は一度ここに非難したのだ…
 信一の手には、一本の木刀が握られていた…信一や数名の命が助かってるのはこの木刀があったからこそだ…
「レベル2の制御はもう出来ないんですか?」
「はい…何度やっても、レベル2の制御は出来ません…」
「そうですか…ここからの脱出ルートは?」
「残念ながら……ここは気密室となっています、外への脱出口は…」
 研究員が、目の前の分厚い鋼鉄の扉…彼らが入ってきた扉を指差す…
「いえ、空気が入ってきている以上…確認してください……地下道や、通気ダクトでも構いません…」
 信一は、木刀を置くと…腰からリボルバー系のピストルを引きだして…弾を装填した。お世辞ともいえないが…もう弾は無い。
「僕に、以前のような力があれば…」
 かつて信一も、大学で川澄教授の助手になる前は…戦士の一人だった、そう言えば…自分が戦士になって、巨悪と戦いだしたのも…榊君が戦いだした高校生の時だったっけ?
 この木刀は自分が戦士だったときに使っていた物で、これに気を集めれば…斬れない物は無いと言われていた。
「もう、使い古しちゃって斬れないけど…」
 そんな懐かしさを信一は感じながら…少し笑いを浮かべる…かつての仲間も…もう、子供が出来ているはず…あの頃が懐かしいと…
「…ん?煙…」
 信一は立ち上がると、金庫内に煙が立ち込めてることに気づく。
「火をつけたな…だけど好都合だよ…みんな、通気ダクトが近くにあるはずです。そこから煙が出ているのでしょう」
「解りました、通気ダクトを探します…」
「一酸化炭素には気をつけてください」
 それに早く出ないと、気密室内に一酸化炭素が充満したら…全員あの世行き…
バン!
 鋼鉄の扉を何かが、外からバンバンと叩く音が聞こえた…
「水瀬主任!レベル2が、ここに集結しています!」
「ち…早く、早くするんだ!」
 いくら鋼鉄の扉だからとは言え…改良されたレベル2のパンチ力なら、数分と持たないだろう…それにエージェンが来たら、こんな扉簡単に破壊される…
「水瀬主任!ありました!」
 研究員の一人が、大人が通れるくらいの通気ダクトを発見する…
「皆、口を押さえてなるべく息を止めて…ダクトに入るんだ!進めば…空気がある場所に出る…」
 数名の研究員は、信一の言葉に頷くと…息を止めて、通気ダクトの中に進入した。
「榊君……これが、僕の運命か…」
 全員が通気ダクト内に侵入すると、信一も息を止めてそこに入って行った。


 俺は信一さんの研究所に近づくにつれ、気がついた事があった…建物が焼ける匂いや火薬の匂いがして来た…
「まずい…もう始めてるか…」
『榊君、俺だよ!』
 五代さんから、俺に通信が入ってくる…TRCS2000で通信をしているんだ。
「はい、聞こえてます!」
『先に、こっちに来てるけど…すごい事になってるよ!前に榊君と戦った、レベル2って奴がぞろぞろ出てきてる…すごい数だ、何とか街に出ないように食い止めるから!榊君も急いで!』
「了解…すぐに行きます!」
 その時頭に、ルガーがパンサールガーになった時のあの声が響いてくる。
“ルガーソーダー進行方向ニ大規模ナ戦闘ヲ確認……通常モードカラ装甲モードヘ…トランスフォーメーション…”
 そして、車体全体が変形し始め、ルガーの体を鋼鉄の鎧が包み込み、狼の頭部にはバッファローの二本の角が生え…速度計は200〜300に落ち…車輪がその重量を支える為に太くなった。
“トランスフォーメーション完了…装甲体『ブルルガー』へと変形完了”
 ルガー六つの顔の一つか…少し遅いが、激戦区に行くには丁度いい!
「よし、行くぞルガー!」

 ルガーの変形を、遠い場所から見据えるものが居た…デスポイズンに跨る牙王だ…
『何だか、賑やかなことになってるな…黒狼』
 世紀末王の命により、生化学研究所に現われるエージェントを抹殺すると言う命令を受けしぶしぶ現われたのだ…
『鮫の奴に舐められて溜まるかよ…なあ、邪王』
 背から毒牙丸を鞘ごと抜くと…生態ガトリングの銃口を装甲体となって走るルガーに跨る榊に向ける。
『ふん、あの世に行きな…』
 牙王が引き金を引こうとしたとき…牙王の前に何かが現われる。それは牙王の前に現われて…
「やめて…」
『ん?なんだ?風祭のガキか?』
 牙王の前に立ちふさがったのは、真が傷ついて眠ってる隙に牙王を察知して抜け出した、優だった。
「彼の、大切な人が危険なんだ……だからやめて」
『け、それではいそうですかって…やめるわけにはいかねぇんだよ…今、あの野朗を殺しとかねぇと、鮫に笑われるからな…さあどけよ…どかねぇと…撃つぜ』
 牙王は銃口を、優に向ける…優は榊を庇うように両手を広げる…
「僕も…どけと言われて…退いちゃうと…天国のママに笑われちゃうからね…」
『なら、天国のママの所に行きな!』
ズドドドドドドドド
 牙王の生態ガトリング砲から弾丸が発射される…優はその弾丸が迫る中広げた手のまま、左手を全面に持って行き…右手は腰にやり…念を自分の額のサードアイに集中して、心の中で…
“変身…”
ズガーーーーーン!
 生態ガトリングの連射で、優の居た場所が煙に包まれる…
『ふん…、いくら能力が高くても…ガキか…ん!?』
 牙王は優の居た地点に、自分と同等の闘気を感じ取っていた、その時…煙の中から赤い影が飛び出し、牙王の体に体当たりを食らわせる。
『がは!』
 それは、以前にクウガを救った、赤いバッタ男…『紅』だ…
「ふー…ぐぅ…がぁ!」
 紅は体当たりをした体を旋回させて、バッタの如き長い足で牙王の腹を蹴った。
バシィ!
『ごぉぉー!てめぇ…』
 牙王は、4メートル先まで飛ばされ、足を引きずった二つの線が地面に出来る。
『てめぇ…何時からそんな…、そうか…てめぇはミュータントだったな…』
 紅の正体それは、風祭 優が自分の能力を最大限に引き出し、体の細胞を変化させ急成長し変身した姿だ…その戦闘能力は、赤色化したシンを凌ぎ…牙王に匹敵する。
 バッタその物の容姿を持ち…足は体より長い為、常に重心を左手で支え…膝を曲げているのは、紅がまっすぐ立てないからだ。
『風祭の息子がこんな特技を持っていたなんてな…だが俺の獲物は黒狼か、お前の親父だ、お前の強さにいささかの興味があるが……今は邪魔だ』
 牙王は紅に対して、毒牙丸を引き抜いて…刃に地獄の亡者の魂が炎となった、黒い炎が…燃え上がる。
「く…」
『はぁ!』
ボォォーーーー!
 毒牙丸の炎を紅の周囲の木々に燃え移らせて…自分と紅の前を取り囲んだ。紅がひるんでいる隙に牙王は、デスポイズンに乗り…
『てめぇらが、炎に弱い事ぐらい…承知だ、てめぇはそこで燃えてな』
「かぁ!」
 牙王はそう吐き捨て、紅を背に…道路へと戻って行った。

「…ぐぁあ!」
 紅は全面で手を開き、念動力を放出させ…木々に燃え移って行く、火を消化して行った。
「……ぐるる…」
 すでに牙王は、黒狼を追ったのか…紅の視界には見えない。紅は体制を低くして、両手を地面に付くと…ばっと勢い良く空高く飛び上がった。
ブゥウン
 正確には、バッタの長い足から繰り出されるな脚力を利用しての背中の4対の羽を広げて、推進力を得て滑空するでしかないが、空気の流れを掴み空中を自在に滑空する。

 そして…その数分後、牙王と紅の小競り合いのあった同じ地点に、胸に包帯を巻いた真が、エアロガンナーに乗り、現われた。
「優…俺が目を離した隙に……ちくしょう」
 確かにここに優が居た痕跡がある…そして、牙王もいた…
「紅になったのか…優……だとすると、向かうのは」
 真の目に、山中に上がる黒い煙が見えた…あそこで、戦いが起きている事が容易に想像できる。多分そこに、あいつも来るだろう…。
「ち!」
 真は舌打ちをすると、そこに向かって…エアロガンナーを走らせた。


 一方、施設内の通気ダクトでは信一が口に布を当てて、脱出を試みようとしていた。
「…(煙が…薄くなってきている、もう少しだ)」
「げほ!水瀬主任、光です!」
 ダクトの奥に、光が見えた…外が近いということだ。もう少し、もう少しと思いながら研究員の後ろを信一は行く。
「さぁ、早く……」
 ダクトの出口まで行くと、前の研究員を先に行かせた。
「はい…ではお先に」
 通気ダクトから研究員は脱出して、信一も木刀を持って通気ダクトから脱出した。
「…よっと」
スタン
 信一は、着地すると態勢を立て直す…だが体勢を立て直した途端、ここが外ではない事に気づいた。
「み、水瀬主任…」
「うかつだった、道を間違えたようです……」
 通気ダクトは迷路のように入り組んでいる、外に抜ける道もあれば…反対に中に逆戻りをする道もある。信一とその研究員以外の他の人たちは、既に外に出たか
「壁を伝えば、外に出られると思ったんですが…」
 信一は冷静ながらも、目の前の現実を受け止めた…これは運命なのか…
「……ネメシス科学班と思われる、二名を発見…これより排除行動を開始する」
 目の前には、レベル2の大群の制御を破壊して暴走させた、エージェントTとエージェントR…二体のエージェントは、信一達を見据えると…それをターゲットの『ネメシス』と自己判断して、彼らににじり寄ってくる。
「ちぃ…」
 やはり、改造兵士のあの論文にたどり着かなければ、こんな事にはならなかっただろう。これで、それに触れた自分以外の人たちは皆死んだ。
「主任…何を!」
 信一は、半分諦めに似た感情で、にじり寄りエージェント達に向かって木刀を構える。
「……先生…先輩」
 恩師…川澄教授、先輩の風祭大門、鬼塚儀一…、そして今度は自分か…
 でも、それに出会わなければ…彼を救えなかった、そう思っている。彼はその改造兵士『仮面ライダー』となった切欠…論文に出会わなかったら、彼を救う事は…
 そして、彼は…かつて戦士だったの自分に良く似ていた、戦いたくなかったのに戦う運命を背負っていた。守る物が居たから…彼は強くなれた…共に歩んだ時の事が懐かしい。
「榊君…君に出会えて良かった」
 そして、自分から離れさせた自分の子供達…もう皆、自分等の子供を持ち…信一にはもう孫も居るのに、その顔を拝む事はできない。それが残念に思えた…
「春奈…夏人……秋子、ごめん…孫の顔も見れずに」
 …信一の瞼の最後に裏に、先に逝った自分の妻…冬美の笑顔が浮んだ。
「冬実、今…そっちに行くよ」
 戦士だったときの感覚は信一には無い、木刀に気を集めることはできない…だけど、このまま終わるより、戦士として終わる方が、気が楽だ。
「僕が、引きつけます!その隙にまた通気ダクトに入って!」
「え!?水瀬主任…何言ってんです!あなたも…」
「僕は構いません……あなたは死ぬべき人間ではない!逃げるんだ!」
 少なくとも、ここに居た研究員達は…論文の関係者じゃない…この運命で死ぬのは自分達だけで十分だ…。
「でも!」
スチャ
 信一は研究員に、ピストルの銃口を向ける…
「本当はこんな事したくありません、僕だけで十分だから…死ぬのは…だから」
 研究員は…下唇をかみ締め、泣く泣く信一に背を向けて…通気ダクトから出ようとした、そこをエージェントRが追いかけようとする。
「お前達の相手は僕だ!」
ブン!
 エージェントRの進路を塞ぐように木刀を振るった…二人のエージェントはたじろぐが、すぐに信一に目標を変えて襲い掛かってくる。
「何分持つか…はぁ!」
 ピストルを発砲しながら信一は木刀を振ってエージェント達に対抗した。最初の銃撃を頭部に食らって、エージェントRは怯んでその隙を突いて木刀を頭部に叩きつける。
バキィ!
 エージェントRの頭部に両手で、全体重と力を込めた一撃だが…
「高威力とは言えない…任務続行可能…」
「でも、君の弱点が頭部にあることはもう解りました!」
 多分頭部の脳髄に似た自立回路の事だろう、信一はそれに向かって木刀の刃を振った。
「たぁ!」
「小ざかしいマネを…」
パシ!
 信一の木刀がエージェントTにより片手で受け止められ、信一の腹に拳を放った。
「がは!」
 機械の体から繰り出された強力な一撃により、信一は血を吐く…それに追い討ちをかけるように、木刀を離すと重力にしたがって落ちて行く信一の背にチョップを食らわせ地面にたたきつけた。
「ぐぁ!」
 やはり、あの時の感覚は今はない…だが、さっきの研究員を逃がす時間は十分に作った。
ズン!
「う!」
 立ち上がろうとした信一の背中をエージェントRが潰すように、踏みつける…押さえつけられた信一に、エージェントTが右腕を向ける…手首にグレネードランチャーが装着されている。
「死ね…」
 そのグレネードランチャーが発射されようとした、その時…
ドゴォォーーーーン!!
 強固な壁を壊し…その強固な角で信一からエージェントRを突き放す。それは、ブルルガーに跨った、黒狼だった。
 エージェントTはひるむもののグレネードランチャーを信一に向け発射する。
「く!ルガー!」
 信一の前にブルルガーを反転させ、信一の盾となるように庇うと…そのグレネードランチャーはブルルガーに当たり爆発する。
 だが、グレネードランチャーの直撃にも関わらず、ブルルガーの装甲には傷一つ付いていなかった。
「さ…さかき…君…」

「信一さん、大丈夫ですか?」
 俺はうつ伏せになっている、信一さんを起こしてやる。
「は…大丈夫、少し骨がやっちゃったけど…」
 信一さんは苦しそうに胸を押さえながらそう言った。
「言ったでしょ、運命は変えてみせますと…」
「ああ…来てくれたんだね…」
 ルガーからエクス&ボルテスを抜くと、敵の前に出る…あのロボットがエージェントって言う五代さんと戦ったって言う奴か。
「陣内 榊…抹殺対象、黒狼……」
 俺を抹殺対象に選んでるようだ…エージェント一人が、両腕を広げて俺に向かってかけてきた。俺はエクスの方を引き抜き、CIAが開発したエクスの+パーツを取り付け、アサルトライフルにすると銃口を向けた。
「榊君、あいつの弱点は頭部だ…」
 信一さんは弱々しくも、俺に教えてくれた。俺は向かってくるエージェントの頭部に向けて特殊鉄鋼弾を放った。
ズキューーン!
 銃身が大きく反動して、鉄鋼弾がエージェントの頭を貫通すると…エージェントの頭が吹っ飛び、首が無くなった。
 首が無くなったエージェントRは、その機能中枢を破壊されて、倒れこんだ。
「すごい威力だ」
 セーラの奴とんでもない物を俺によこしやがって…ただ、単発式なのが…たまにきずだ。
「信一さんを傷つけたこと、後悔させてやるぜ!」
「全滅モード起動…全てを殲滅する…」
 もう一方のエージェントは、体に装備された何発ものグレネードランチャーを展開させる。ここを全滅させるつもりか…
「く!」
ズドドドドドドド!
 エージェントの体から、ミサイルが雨のように発射され俺と信一さんに向かってくる…正確にはこの全てを破壊しようとしている。
「ふん…」
ズガァァァーーーーーーーーン!!!

 発射されたミサイルやグレネードランチャーにより、辺りは破壊され炎を吹いた。
「殲滅…かんりょ…ん!?」
「残念だったな」
 俺はミサイルを、セーラから受け取ったCIAと科警研特性のシールドでミサイルを完全防御していた。信一さんは、ルガーの装甲で守られているから大丈夫か。今は気絶してるのか…
「ルガー…信一さんを…ん?」
 俺の足元に一本の、木刀が落ちている。
「これ…、使えそうだ」
 木刀を背中に備えると…二つのエクストリガーを取り出し、ベルトに装着した。今なら…使っても大丈夫だろう。あの子が見守ってるから…
「本調子で使うぜ…」
ジャ!
 シールドの先端から、ブレードを展開させて、両方の腰のエクストリガーのボタンを同時に押す。
「エクストリガー!発動!」
ガチャッ!ヴゥゥン!

 エクストリガーが発動して、アグルストーンの黒い靄のような物は消え…聖なる光が発せられた。


 ToBe Continue

次回予告

 レベル2が溢れかえる、施設にクウガが、牙王がと続々と現われ…混戦状態となる

『ようやく会えたな、邪王…さあ、この前の続きをしようぜ』
 黒狼を邪王にして戦おうと誘う牙王…
決戦の場は…最下層へ…


 混戦状態のクウガとシンの前にあの最凶の男も姿を現す。

「面白い…その力を試させてもらうか…」


「決着をつけてやる!」
『…けけ、面白い!面白いぜ!!』

 決着を着ける時、黒き狼は聖なる剣を手にする。

第5章〜王達の戦い〜『聖剣士ジークフォーム』

 

設定資料集

黒狼敵拠点制圧装備
 CIAが企画して、科警研の榎田と共に開発した対特殊生物専用の武器。全て、榊のアンチテレキネシスに順応した物に仕上げ、榊のみが使える装備だ。
(みやびはくさん提供:大変ありがとうございます!)

二丁拳銃エクス&ボルテス+パーツ
 白と黒の二丁拳銃、エクス&ボルテスには+パーツが脱着可能のパーツが支給された。
白い銃、エクスには単発ながら強力な威力の特殊鉄鋼弾を発射するアサルトライフル。長距離に居ながら、戦車でも打ち抜ける。ただ単発なため…連射力に欠け反動も大きいと言うリスクもある。
黒い銃、ボルテスには一秒に100発もの鉄鋼弾が掃射可能なサブマシンガン…エクスの+パーツには威力は劣る物の雑魚を掃討するのには丁度いい。だが、1000発しか弾が無い為、10秒で弾切れになってしまうリスクがある。また、威力の問題もあり…敵基地侵入の際に、強固な壁を壊す為のグレネードランチャーを一門搭載している。グレネードランチャーには三種類の弾丸を用意して、まずは爆発系のグレネード弾、爆発の瞬間散弾を撒き散らすスラッグ弾、爆発せず、敵基地装甲や敵の強固な装甲を貫く貫通弾。とあるが一度に一発しか持てない。

特殊装甲製シールドブレード
 特殊生物(未確認生命体やネメシス怪人等)の攻撃には、警視庁のジェラルミン装甲の盾では装甲が薄く…やすやすと貫かれやすい代物だった。それの問題を改善させる為に科警研とCIAの共同で特殊合金を完成。その試作改良型がこのシールドだ。
 黒狼のアンチテレキネシスとの反応によるハイディフェンサー機能搭載で、敵の攻撃を超振動により弾き返す特性を持ち鉄壁の防御を実現させた。盾の裏には…各種装備を二つまで取り付け可能で、エクストリガーの予備を収納したり、エクス&ボルテスの+パーツを収納が可能。また接近戦使用に4メートルの分厚い鉄板を易々と斬れるブレードを展開でき…これもアンチテレキネシスとの反応で超振動を起こす。

エクストリガーカスタム
 黒狼専用の装備で、アグルストーンの力を引き出し10倍の身体能力を最高1分だけ可能にした装置だが…それで、変転する要因となってしまい、一からの改善作が問われ、改良されたエクストリガー…基本は先とは変わらないが、今度はアグルストーンの聖なる力を引き出すのではなく、そのままの力を10倍に膨張させ能力維持時間を1分15秒だけ延ばした。低コスト…そして高性能化を図った。だが、変転しない保証は無い。全ては榊に委ねられている。


水瀬信一の秘密
 水瀬秋子の父親で、春奈…夏人と秋子を合わせて3人の子供に恵まれ、城南大学で川澄、風祭、鬼塚…と共に緑川博士の改造兵士の論文の研究をしている大学教授の一人になる前の彼の経歴は謎が多い為、彼の本当の年齢を知る者は居ない。高校生の時は榊と同じ(と言っても仮面ライダーではない)戦士の一人であり…巨悪と戦った為、戦闘能力は高い。現在、その戦士だった時の仲間は解散して、世界各地に散らばっている。唯一日本に残ったのが、信一の高校時代の親友である美坂医師だ。妻であった冬実も戦士であったが…解散後、3人の子供を産んだ後、病気で他界している。


後書き
 いや〜、嬉しいですね〜
榊「何がだよ」
 いやね、みやびはくさんが製作してくれた、私の黒狼の装着変身の写真が届いたんで、それが嬉しいのですよ。それで、黒狼の追加武装写真もあったので、今回はその武装を始めて使った話にしました。
榊「みやびはくさんに、ちゃんと感謝しろよ」
 うん、みやびはくさんには感謝!感謝!
榊「で、今日は信一さんの秘密だったな…」
 そう、水瀬信一さんの秘密。

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