「ぐ…うぐおぉ…」
 黒狼との戦いで獣王の妨害で自分の瘴気の暴発によりダメージを負い、東京のとある住宅街に…人間体のまま、足を引きずりながら牙王は逃れてきた。
 さっきまで、自分を追っていた鮫の追手の量産型怪人もあらかた蹴散らしながら、牙王は何とか逃れて来たのだ…死んでいたら死体を回収、生きていたら殺せと命令されてのことだろう…体力も、尽き…もう体も言う事を効かなくなっている。
「…鮫ぇ…」
 あの時の戦いが牙王の頭に蘇り、瘴気によりできた火傷が焼けるような激痛が走った。これくらいの痛みはキメラ化した時の痛みと比べ物にはならない物だが…頭に奥に響く悔しさがあった。
 鮫は幹部怪人の中でも最も古株で自分の前に作られた、蜘蛛の頃から奴は自分より勝っていた…王となったのも、奴に追いつくため…鮫が凍結中のあの時が都合が良かった…奴に追い付くためなら、仲間さえ裏切り…食った。王の体を持つのに、幹部怪人『蜘蛛』は…巧みな罠で、他の幹部を追い込んで行き…そして蜘蛛の巣に捕らえて行った。だが鮫は、最初から王として…作られ、分離も可能…ふざけてる。
自分が長年で組織の幹部を食って成し得た体が、あいつは初めから作られていたと言うのだ…
蜘蛛は、王となっても…奴より勝っていないと言う事が腹ただしい…
そんなふざけた奴に、牙王は…黒狼との戦いを邪魔され殺されそうになったどころではない、一番の屈辱はその黒狼に助けられた事。借りを作ったつもりなのか?それとも…屈辱を受け、生き恥をさらせと言うのか?
ふざけやがって…陣内 榊お前の一族はいつからそんな…猿知恵を学んだ。本当人間と言う奴は解らない。
「生きていたって、死んでいたって…虫が悪いじゃねぇか」
人気の無い住宅街とアパートの間の空き地に寝転がった…
ドサ…
 牙王の人間体の体には、土と砂利の地べたが…冷たく感じた。これでは『王』の風格は無く、ただの虫けらだ…
「ち…」
 牙王は、目を見開くと…自分の顔を覗きこむ、人間の姿があった。
「…あ」
 セミロングの髪型の小さな少女は、倒れこんでいる牙王を物珍しそうな表情で覗き込む。
「……人が、倒れてる」
 牙王が軽く腕を振るだけで、少女の首を跳ねる事ができる…いらついていて何かに当たりたい気持ちだったが…そんな力さえも牙王には残っていなかった。
「…ふざけんなよ…」
 もう、こんなガキ一人殺す力も無い、情けない…牙王は自分に、嫌気が差してきた。
「け…、本当…ふざけんな…よ……」
 少女の顔を見ているうちに、牙王の意識がだんだん遠のいていった…



仮面ライダー・黒狼
第6章〜夜明けの前〜『牙王の涙』


 やけに暖かく、ふかふかした感触が体を包み込んでいた。
 地べたに這いつくばっていた時とは違う感覚が、牙王を包んでいる…牙王は、こういう感じは好きになれないが、この負傷した体には心地よいと思った。
「……ん」
 牙王が目を開けると、自分が見たことの無い天井があり…頭には、濡れたタオルが置かれていた。
「………」
 どうやら、小さなマンションの四畳半の狭い部屋らしい…牙王は誰かの部屋にかくまわれたか、もしくは捕まったかだ。
「…ここぁ、どこだ?」
 周りを見渡してみて、何故自分がここに居るのか…考えてみた。牙王が寝ている布団の右隣に一人の人間が座り込んで、牙王を覗き込んでいた。
「てめぇ…」
 それは牙王が最後に見た少女だった。少女は牙王が目覚めると『あっ』と声を出すように口の形を変える。
「起きたですか?」
「…け、お前が俺をここに?」
「そうです、倒れていたので…家に連れて来たんです」
「ん?」
 笑顔で頷く少女に、牙王は妙な違和感を覚えた。
「お前……」
「…はい?」
「何でここに連れて来た…」
 ぶっきらぼうに牙王は少女に聞いた…
「倒れていたからです…あ、すいませんです…普通なら病院とかですよね、これじゃ誘拐ですよね」
 牙王は勿論…余計な事をしやがってと言いたいところだが、何故かその言葉が出なかった。
「……け、くだらない…」
「??」
 牙王はやれやれといった感じでそう言った、少女は再び俯いて…牙王を見た。自分を誘拐みたいに部屋に連れ込んだのも、この人はただ『くだらない』の一言で返して来た。目つきは悪いが、嫌な気はしない…むしろそれが、頼もしくも思えた。
「あの、よければ…お名前を聞きたいです」
「牙王だ…」
 自分の名前を、少女に言う…赤の他人、人間と言う種族に名前を言うことは皆無に等しい、しかもこんな子供にである。
 元来、人間と言う生き物は…弱い種族で、自分が腕を捻れば簡単に肉の塊と化す。牙王は元々…ヒューマン融合でタランチュラに人間に細胞を世紀末王の力で融合して作られた者、客観的見て、人間は弱い物だと牙王は感じていた。
 もちろん、この子供も…簡単に殺せる…そう思っていた。
「俺も名乗ったんだ、お前も名乗るべきだろうが」
 牙王は変な感じがして、その少女にも名を聞いた…
「綾音…です…」
「…綾音か…」
 こんな子供…簡単に殺せる。腕を振るだけで首を落とせる…だけど、殺す気が起きないのは…何故だろう。何か、自分と共通の物を持ってる…そんな気がしたから?
「ガオウ?変わった名前ですね〜」
「……何?べ、別にいいだろ…」
 王の名前を変わった名前だと言われたら怒る物だが、牙王は不思議とそんな気は起こさなかった。
「よろしくです、牙王さん」
「く…」
 なんだ、この先の読めない表情は…何か熱い感じがする。
「どうしたですか?」
「何でもねぇよ、それに…さん付けするな…何だか虫の居所が悪い」
「じゃあ…牙王と呼ばせていただきますね」
「ああ、それで構わねぇよ…」
 牙王はうんざりと言った感じで頭を横にして、寝返りをうつと…彼女の部屋が一望できた。
 たかが子供が借りた四畳半の部屋だ、これと言って何も特徴は見られない。窓の外も住宅街が広がって、その間にここがあるような物だ。
 考えても見ろ、獣王が殺し損ねた相手…いや今の牙王は生死不明に居るかもしれない(牙王自身の見解で可能性に過ぎないが)牙王の生死を確認する為に、組織が虱潰しに探してくるに違いない。勿論死体を回収する目的もあるが…もし死体でなかった場合は、死体にして回収…つまり、止めを刺せと言うことだ…正直、今の牙王は量産型怪人でさえも倒せるかどうか…解らない…
 ここなら、隠れるのには丁度いいし、治療して回復している時間も取れる。しばらくここに居るなら…が、この人間が邪魔だが…殺るか?
「………」
「どうかしました??」
 不思議と殺す気が起きない…何時もなら、殺しは楽な物だが牙王が綾音を殺す気にはなれなかった。
「なんでもねぇ…」
 腹が減っていたら、真っ先に目の前の人間が餌となるのだが…。
「お腹すいてます?」
「あ、ああ…」
 屈託の無い笑顔で綾音は聞くと、牙王はぎこちなく頷いた。腹が減っていたのは確かだ…普段の飯は自分で狩った獲物だが…今は贅沢言ってられない。
「何か作ってきますね〜」
「……」
 綾音はそこにある台所に行った……牙王にとって人間の食い物ほど、粗末な物は無い。
「背に腹は変えられない…か……」
 綾音を食う気がないなら、尚更だ。

ネメシス本部

最下層・死海
『…はぁぁ…』
 全ての生命体を寄せ付けない死の海で、生命線を保ち続ける世紀末王ドラゴノソード。それが死すべき時は刻一刻と迫りつつあり、世紀末王は巨大な溜息をついた。
『獣王め…『王の戦い』は、我が体が完全に復活する前に始めおって…』
 凍結前から、勝手な行動が多かった鮫は…3日前の戦闘により、牙王に手をかけて、よって牙王は死んだ物と見なされ…現在、世紀末王の命令で爆発した施設の地下で牙王の死体を捜索する為の部隊を派遣していた。
 任務は獣王に倒されたと思われる牙王の死体の回収…もし、生きていたとしても牙王は瀕死の状態…その場合は死体にして回収だ。王としての機能を失った牙王は用済み…簡単に言えば、『役立たずは消せ』と言う事だ。だが、依然として牙王の死体は見つかっていない。
王となった後の幹部怪人『蜘蛛』は性能も…戦闘能力も卑劣さも倍化した…それに世紀末王の体探しには、牙王は使えた。十分使える存在だったが…これが『王の戦い』なら仕方が無い。

 一方、牙王を倒した後の獣王は…現在ある場所に向かって、空港から輸送機に乗って飛び立った。牙王については…『生きてたって…のたれ死ぬさ』と言い。
世紀末王の体については、『復活しなければ、食い甲斐が無いではないか世紀末王、復活するまで最低限は協力しよう』と言い残した。何処まで身勝手な奴だ、まさに野心を果たすの為にならなんだってする奴だ。作った張本人の世紀末王は、その事に腹が立った。奴にとっては復活した時既に、『王の戦い』は始まっていたのだろう…

『そろそろ、人間どものようは…済むな』
 自ら…自分の体を復活させる為に設立した超常破壊結社ネメシスは、既に、部下として使っていた幹部怪人は全て王としてキメラ化して『王の戦い』に入ろうとしている…他の支部は蜘蛛の罠とバティムにより消滅した。
…本部で世紀末王に従うのは残る戦闘員と非戦闘員、科学班…多数の量産型怪人を残すのみとなった。あの施設で製造していたネメシスの第2の主力兵器の改造兵士レベル2の生産ラインは既に崩壊して、黒狼、戦士クウガ、風祭 真の手により全滅させられた。
 現在の主力は量産型怪人となり…獣王が出てった瞬間、量産型怪人の生産ラインを一つのシリーズに絞り、大量生産に図った。
 そのシリーズは、驚異的な生命力と繁殖能力を持ち、プラントなしでの多量に生産ができ…強力な食肉性と、飛行能力を持ち、一つの家に一匹見かけたら、他に100匹出現すると言われている…その固体を科学班で生産し始めた。
固体の名称はこの組織の名の由来にも使われている『闇の追跡者』をそのまま使い、組織の終幕を締めくくるには相応しい名称とした…
生産が終われば、今まで使ってた人間など…世紀末王にとっては用済みなのだ。
『もうすぐ…全ての幕が下ろされ、新たな世紀が幕を開ける』
 館内放送を使い、死海から世紀末王の声が本部に居る全ての人間に伝えられた…その声に誰もが耳を傾ける。
『終わりは新たな始まりを意味する…これまで数々の同胞を失い続けてきた我等の組織は新たに形を変え、生まれ変わる時が来たのだ…古い組織に別れを告げる為、この超常破壊結社ネメシス最後の終幕として盛大に盛り上げる為……最終作戦を用意した…曲名『ネメシス』『第一楽章〜終りを告げる葬送曲〜』『第二楽章〜消える太陽〜』『最終幕〜始まりの時〜』…作戦実行日は追って報告しよう』
 そしてその声は、館内放送から消えた。本部にいた人間の誰もが…近い将来、この世界を変革させるだろう自分達の組織の首領に対して敬意を表した。

 再び死海に戻り…
 世紀末王は館内放送を送った後、孤島でその体を横たえた。
『く…そろそろ我が、命も…限界に近い…か…』
キィィーン
 世紀末王の頭に耳鳴りのような酷い雑音のような物がよぎる…この毒々しい気が…
『牙王…牙王が生きておるのか……』
 本能的に牙王の回復を、感じ取った世紀末王は…早急に牙王の死体を捜索に当たってる部隊の上官を呼んだ。
『ならば…良かろう、牙王…今のお前で相手に出来るか…』
 世紀末王の不気味な笑い声が…死海の毒の海に波紋を起こした。


 牙王は自分の抹殺部隊が近づいてくる事も知らず…綾音の部屋で世話になって3日も経っていた。人間の粗末な食べ物も、今となっては牙王には慣れていた。
「…だから……弱くなったのか」
 人間とは元々、狩猟民族…槍を持ち、罠を張り巨大な敵を集団で狩をして仕留める…組織性と環境に対する順応性は、今も変わらず健在だが…その部分が弱くなり結果的に人と言う動物を弱くしたのだと…牙王はつくづく思った。
 この生き物がよく世界を支配できたな…理解に苦しむ。
「……奴等もそろそろ気づく頃だろうな」
 ちなみに牙王は綾音の部屋で寝ていない、360度…天地左右が全て真っ白なドームのような空間…人一人がやっと入れるスペース。ここは牙王が自分の糸を使って作り出した…繭だ。元々蜘蛛だった時の能力の応用だ…傷ついた体を修復する為に牙王は繭に入る…
 綾音のアパートに使われてない物置小屋がある、人気も少ない為…牙王はここを日中の塒として使ってるのだ。
 だんだん回復して行くに連れて、力で気取られやすい…多分世紀末王から抹殺部隊が近くに来る可能性はある。
「……」
 ここも、回復次第出て行くつもりだ…それから、自分を王の座から奈落の底へと落としたあの獣王…鮫に借りを返す。まずは奴がターゲットだ…
 それからゆっくりと、黒狼と決着を着けるつもりだ。黒狼にも借りを作った用で虫が好かない。
…これが、鮫の言っていた『王の戦い』幹部怪人も元々その為に作られたものでキメラ化や倒す事で、勝ち進んで行き…最後の一人が行き着く『絶対なる王者』へとなるまで…

ガサガサ…
 何者かが牙王の繭をこじ開けようとする音がする…
追手か…世紀末王の…牙王は回復はした物の…まだ戦闘が出来る域には達していないが…牙王は、繭の中で身構える。
「……ふぅ、また…あいつか」
 溜息をついて、繭の糸を手で掻き分ける…繭に穴が開くと、そこからぷはっと顔を覗かせたのは…綾音であった。
「…お前、懲りないな……何度ここに来んなって言えば気が済むんだ?」
 呆れた感じで牙王は綾音の頭をぐりぐりとする、ここ三日…牙王がここに繭を作り出してからは、決まった時間になるといつものように綾音が繭をこじ開けようとする。
 まったく、俺の何処が気に入ったとでも言うのかと問いたくなるくらい牙王には、綾音の行動が理解できなかった。そりゃ最初に、「人気の無さそうな隠れ家は無いか」と聞いたのは紛れも無い、牙王だ…それで案内されたから、綾音がこの場所で牙王が何をしているのかぐらい、気になるのは当然だろう…まあ、夜は部屋に戻ってるのだが。
「もしかして、寝てました?」
「考え事だよ、いつものように…って昨日も、一昨日も聞いてきたな…」
「えへ、すいませんです…」
 綾音はいつものように舌をペロリと出して言った…牙王はまた奇妙な感覚を覚えた、普通なら繭を他人に触れさせる事はまず無いし…場所を気取られるような事はまずしない。
 ただ、綾音だけは…自由にしている。牙王自身それの意味が解らない…人間の感情の内のどれに当たるのかさえ解らない。
牙王が知ってる人間の感情は大体『怒り』『喜び』ぐらいか……
「少し話したくって…です…」
 まあ、この話したいってのもいつもの事だ。綾音の話は牙王にとってかなりくだらない内容の物ばかりだ…なのでいつも別段気にせず聞き流している。
「で、今日は何のお話だ……俺はいつもの様に聞くつもりはないから、勝手に喋ってくれ」
「うー、牙王ぶっきらぼうすぎです…」
 綾音は頬を膨らませてぶーぶー唸る。
「人間の話には興味は無いだけだって」
 これも、何度か言った台詞だ…
「あたしが何故このマンションに住んでるのか、気になりますでしょう?」
「……聞いたところで、俺に何の得がある…興味ねぇよ…」
「そうですね…牙王には興味ありませんよね…」
 少し俯き加減で…綾音は牙王に語りかけた…その話は、今までの綾音の話は今までのくだらない話よりは幾分ましな話に思えた。
「人を一人殺したんです…」
「………」
 人を一人…牙王にはこれまでに何人の人間を騙し落とし、蜘蛛の巣に引っ掛けて…殺した人の数は数知れない。現に今の『王』の体もそうして作ってきたのだから…
 ただ、その少女は人をただ一人だけ殺した事で…何か後悔の念を感じさせた。
「ちょっとした事です、今まで何でもなかったような人でした…けど憎かった…殺したいほどに……そう思ったら向こうから、来たんですよ。気がついたら、ナイフを持ってて…血がついていたんです」
 正直『だから何?』と牙王は思った…自分に比べたら、綾音のそれは可愛い物だ。それ程に、殺したい相手だったのだろう?…憎い相手をただ一人、殺した事を、この少女は罪と思ってる。だから…はっきり言ってやる。
「お前の罪は…自分の罪から逃げた事かもな…哀れだな、それで家出か……」
「自分の罪から逃げた?そうですね…私、人を殺したのに…こうして逃げてる」
 寂しげに俯く…綾音に牙王はちっと舌打ちをして…
「もう、出てけ…お前の顔なんか見たくねぇ」
「……はう…、うん」
 枯れそうで泣きそうな声でそう言うと、牙王の繭の中から出て行った。一人取り残された牙王は、口から糸を吐いて…空いた穴を修正した。
 もう…あの部屋に行く事も…綾音に合うことも無いだろう。人を一人だけ殺しただけで、心に傷を作る…人間と言う物がつくづく理解できない存在だと思った。
 何故それだけで感情的になれる…何故…だ…理解できない
「……」
 吐いていた糸をぷつりと斬ると…牙王は繭の中で横になる。
「見たくねぇ……か…」
 綾音を追い返した台詞が牙王に蘇る…なんでそんな事言っちまったのか…綾音は牙王に取るに足らない存在に違いない、それでも短い期間だが自分が人間とは違うと知っていても…毎日会いに来る奴。何が楽しいのか、何処を気に入ったのか……何で惹かれたのか……牙王には解らない。

 所詮人間と言う生き物は、理解できない存在なんだと、牙王はそう言い聞かせ…再び繭の中で眠りについた。


 その夜…
 3台ほどの…軍用トラックらしき物が、狭い住宅街の道に1列に並ぶように止まっている…。軍用トラックの外では、『NAMESIS』の書かれた軍服を着た数人の男達が、レーダー見たいな端末を使用して…何かを探している。
「反応があったぞ、牙王はこの近くに居る!」
「そうか…繭に入ったとて、あの傷を治すのには早くても10日以上必要だ…今なら」
 3台の軍用トラックの荷台から夫々一台ずつ積まれた、巨大な檻をキャスターが出してくる…
「この量産型怪人最終型『ネメシス』の実力を測るいい機会になりそうだな…」
 巨大な檻の中に、更に巨大な漆黒の体と強固な装甲を持った虫の様な怪物が息を潜めていた…
『ふしゅぅぅー』
 獲物の匂いを悟ったのか、その漆黒の量産型怪人は…檻の中から巨大な腕を伸ばす。
「何?」
 瞬間、檻の外にいた戦闘員達は全て3体の怪人によって原型を止めることなく…骨までバリバリと言う音を立てて食われ、その場から消え去った。


 あの後繭の中で、少し眠った牙王は起きてみると外は既に夜と化していた。
「もう、ここに居る理由は無くなった…」
 あんな話の後では寝覚めが凄く悪い、正直牙王は苛立っている…あの小娘が人を殺したのなんて関係ない、その罪を直視できずに逃げる愚かさだ。
 だが、このもやもやした気持ちは一体…何だろう…
 他の場所に移ってそこで繭を張って回復しよう、そうした方が早く回復してこんなもやもやした感覚は無くなる、そう牙王は思った。
 移動できるくらいは回復したはずだ。

 不意に牙王になる前、百足を取り込もうとしていた時を思い出していた。あの時、百足の言葉を思い出す。
『いずれ…貴様も私と同じふうに奴に殺される…お前のしてる事は無意味だ…』
皮肉な物だ…先に殺そうと思ったが、今はこんな様だ…

 所詮は奴が勝ち残る為のサバイバルゲーム…弱い奴が先に死ぬ…、俺もその弱い奴だったのかと…牙王は繭を出て空を見上げた。
 アパートから離れようとした時、牙王は綾音の部屋を見た…あんな人間取るに足らない、殺し甲斐の無い奴…自分の罪から逃げようとする奴…
「馬鹿野郎…」
 気がついたら、いつものように牙王は綾音の部屋の前に居た。何で、俺はここに来ている…あんな人間の顔を見てるだけでむかつく……
 カチャリとドアを開けて、綾音が顔を出した。
「牙王?帰ったんじゃ…無かったの?」
「わからねぇ…」
「え?」
「理解不能だ…人間なんて。俺は何人の奴を殺してきた…仲間だって平気で裏切れた、だがそれを人は罪だと言う……お前だって殺せる」
 綾音は、牙王が始めから人間では無い事は理解できていた…手についた血の匂いで、この人が何人もの人をころして来た、『未確認生命体』と同じ者だと理解できた。
 だけど傷つく牙王を放って置けなかった…それが最初はわからなかったが今やっと理解できた。

 牙王は部屋に足を踏み入れると綾音を段々奥に追い込んでいく…
「お前を殺す…お前を見てるとむかついて来る……人一人殺して…お前は逃げた。それで後悔する、お前を見てると頭に来るんだよ、陣内榊の次に理解できねぇ……けど」
「え……牙王…」
バン!
 牙王は綾音を部屋の奥へ追い立てると、壁に拳を打ちつけ…
「何でだよ……なぜ、お前を殺す気が起きない…このもやもやする感じは何だよ」
 綾音は答えられなかった、何せ…今の牙王の頬を伝い床に落ちた物を見てしまったからだ…それは、『涙』だった。
 牙王の紫色の瞳から流れるその涙……人間じゃない牙王が、涙を流すのは…悲しい、悔しいとかではない。明らかに迷いからだ、人間の気持ちと言うものを理解しようとしてもそれを受け止められなく…何処にそれをぶつけたらいいのか迷っているのだ。
「…牙王」
「何でだ、人間なんて簡単に殺せたのに……人間なんて!」
「牙王は人間じゃないのですか?」
「そうだ、俺は人間じゃねぇ…『王』だ!お前等と一緒にするな!!」
 牙王が怒鳴ると、綾音は牙王の頬に触れて…
「あなたは、人間じゃありません…でも人間の部分もあります……」
 びりっとした電撃が、牙王の頬から脳に伝わってきた。これが人間の気持ちと言う物か、陣内榊が何かを守る為に戦うのもこの気持ちがあるからか…
「牙王は、自分がした過ちに正面から立ち向かえる心もあります…私と違って、だから牙王は人間ですよ」
 壁を殴り続けていた牙王は手を止めて…俯いてしまい…
「やめてくれ、そんな気持ちはない……」
 考えただけ無駄な話だった、『人の気持ち』解ったところで、全く…
「理解できねぇよ…まったく人間って奴は…」
 言葉では何とでも言えた。けど…何と無く黒狼の奴の気が僅かながら解った様な…
「馬鹿…野朗」
 そして、牙王は思った…初めて、綾音を絶対に殺せない事を悟った。

ズゥン…
「……」
 牙王の頭に何かが走った…それは、戦いの時に感じる敵の気配。自分を狙う敵がすぐ傍まで来ていることを牙王は悟った。
 いつもの感覚が、敵を感知した事で段々と戻ってきた…人間には持ち合わせていない、闘争心…いや、忘れ去ったはずの闘争心。
「どうしたのです?牙王?」
「…来る……」
 牙王はそう言うと、横目で敵の気配のする方向を向いた。その瞬間だった。

ズガァァァァーーーーン!

 大音響を立てて、アパートの壁が砕いて牙王と綾音の前に、何かが現われた。
「え…!?何ですか??」
 突然の来客に、綾音も牙王の後ろから…覗いてみると、綾音は自分の目を疑った。
「あ…あ、あれは…」
『ふしゅぃぃ……』
 その3体の来客は、綾音自身も生理的な恐怖をするほどの奴だった。その姿は綾音はおろか、どんな女性でも、いや人間なら誰しも生理的な嫌気がする昆虫…『ゴキブリ』の姿をしていたのだ。
 しかもそれが、通常のゴキブリの何倍も巨大で…二足歩行で立っているのだ。…その禍々しい姿に、綾音は腰が抜けたのかペタンと座り込んでしまった。
 その綾音を牙王は横目で見ると…そのゴキブリの怪人に向き直ると…
「けっ、オレの後始末役に…量産型怪人最終型『ネメシス』を投入か……」
『ガ…オ…ウ……』
 3体のゴキブリ型量産型怪人『ネメシス』は…口々に牙王の名を呟く、それに感情は見られなく、明らかに牙王を獲物と狙ってる。
「命令無しでも、オレを食うつもりか?面白い…なら望みどおりにしてやるよ!」
 牙王はそう叫び、両腕を旋回させて、変身の型を取ろうとする。
「!?…くぅ…」
 だが、牙王は一瞬…後ろの綾音を振り返る…今『王』に変身したら、変身時に放出される瘴気が、綾音を殺してしまうだろう…一瞬躊躇した所をネメシスが、硬い殻に覆われた腕で牙王を攻撃した。
バシ!
「が!」
 ネメシスの一撃で牙王は倒れこみ、更にもう一体が牙王の腹を蹴り上げる。ネメシスの力は今までの量産型怪人を凌駕していた。最終型の名に相応しい性能と攻撃力、たとえ『王』の体であっても、人間体のままの牙王には、この連続攻撃には敵わない。
「ぐぅ…量産型の分際が…弁えろ!」
 牙王の蹴りが一体のネメシスを吹き飛ばすが、それでも他の2体の攻撃は止むことは無い…
「ちぃ、変身せねば…外に一旦でるべきか…ぐ!!」
ザシュ!
 牙王の体から、二本の細い針金のような物が貫いた、牙王を貫いたそれは先ほど蹴り飛ばしたネメシスの触覚だった。伸びた触角は強振動を起こして全てを貫く鋭い槍となる。
「このぉ…」
 貫いた所から強振動が起こり、牙王の体を徐々に壊していく。
「がぁぁ…」
 体が壊れていく感覚、たかが量産型怪人に俺の体が分解されていく…黒狼と戦い、獣王に邪魔されて深手を負って、こんな所でたかが量産型相手に殺されるのか…そんな事って。
ズシャ!
 牙王が倒れこみ、ネメシスは触覚を引き抜くと、立ち上がり…他の二体と共に牙王を取り囲んだ。
「皮肉か…」
 自分を殺すのが、自らが身を置いていた組織の名前を持つ量産型と言う事は何たる皮肉だろう。

「ああ…牙王…が…」
 綾音は自分の部屋で起きている事を悪い夢だと思いたかった、目の前で自分が好きになった男が戦っている。彼が人間で無いことは解っていた…その彼が必死になって戦っているのに、自分はあの時のように逃げ出そうとしている。
 罪から逃げようとしている……自分のした過ちから逃げて後悔する。最悪だ…逃げるなと教えてくれたのは、牙王じゃないか。涙を流して教えてくれたのは…

 紛れも無い、牙王だった。

グザ!
「!?」
 止めの触覚が牙王に放たれ、牙王は最後を感じ取ったが、その触手は自分には届かなかった。自分の顔に赤いねっとりとした液体がこびりついた、人の血…
 幹部怪人にとって人の血と言うのは、栄養源であり体を活性化させる力を持っている。真紅の魂が流れた液体。
 だがその血は牙王にとって一番見たくなかった血だった。
「…綾音…か」
 わき腹と胸から二本の細い針金状の触覚が伸びて、牙王の目の前で止まっている…触角を伝って綾音の心臓から流れた血が牙王の顔についた。
シュル!
 ネメシスが綾音の体から触覚を引き抜いて、綾音は牙王に持たれかかった。
「綾音!…お前…なんで」
「けほっ、…が…が…おうが、死にそうだったから…」
 綾音は口から血を吐きながら切れ切れに言った、それがとても痛々しく牙王に突き刺さる。
「……ば、馬鹿じゃないか?お前…俺なんて助けたって、何にも…」
「馬鹿です…結局こうしなきゃ…償えないのです…」
「……綾音、お前…」
 ぎゅっと牙王は綾音の体を抱き寄せる…人としての暖かさと音が段々失われていくのがわかる、心臓を貫かれたんだ…もう時間の問題だろう。
 死して、何故自分を守る…何でだ…牙王はそれを知りたかった。
「…い…だ……やだ…」
「暖かいです…がおう…暖かいです…」
 牙王の胸の中で、綾音は牙王から人として温もりを感じとっていた、それももう少しで終わろうとしていた。これが最後のメッセージになるかもしれなかった…
「…が…おう…す、きで…す…」
 最後のメッセージを残し、綾音は牙王の胸の中で目を閉じた…その顔は悪党に見せる表情ではなく、笑顔だった。

 綾音の音が消え…牙王の中で何かがはじけた。
「嫌だぁぁーーーーーーーーーー!!!!」
 その咆哮は、果たして…綾音を失った悲しみからか、それとも牙王の中に人間の気持ちが入り込んだのか…定かではなかったが、叫ぶ牙王の目には涙が流れていた。
「うあぁぁぁーーーーーーーー!!!」
バリーーーーーーーン!
 牙王の咆哮が、アパートや周辺の建物の窓ガラスを吹き飛ばした。その咆哮でネメシス達は後退して、牙王はその隙に綾音を抱え窓から抜け出す。

 牙王が向かったのは、自分が回復するために作り上げた…繭だった。綾音から教えてもらい…この誰も使わない倉庫を使ったのだ。
 繭の前で着地して、綾音と共に繭の中に入る。
「……ったく、馬鹿野郎だよお前は…俺を庇って死ぬなんざ…」
 ゆっくりと繭の中に綾音を寝かせると口から糸を吐き、綾音の体を覆い隠して行った。小さな繭を繭の中に作る…
「人間って本当、わかんねぇよ…」
 その表情に、殺意は無い…きっと最初で最後だろうこの気持ちは…
「一応、借り作って去るわけにもいかねぇからな…」
 歯で糸を切ると、綾音を繭が包み込んだ……これで助かる見込みは無いわけではない、心臓を貫かれた綾音の心臓の穴は塞がらないかも知れないが…無いよりましだろう。

「さて…行くか……」
 繭の中で踵を返した牙王の瞳に再び殺意の火が宿り、何時もの如くにぃっと笑った。


 窓ガラスを割って外に出た牙王を追って3体のネメシスは外に飛び出した。
『ふしゅぃぃ……』
『が…おう…がおう…』
 牙王の匂いを辿って、ネメシス達は獲物を狙って牙王の居る古い倉庫の前まで歩み寄ってきた。
 そこに牙王を感じ取って、肩を上下させるネメシス…
『が…おう!』
 口をあけて紫の息を吹き出しながら叫ぶ…

「変身…」

ズドォォーーーン
 倉庫の屋根が吹き飛び、中から黒い球体が姿を現した。その黒い球体は空で輝く月を隠し月明かりが消え、影を作り出す。
『ショータイムだ…』
 黒い球体を両手で断ち割り二枚の蛾の羽が出現し、中から『王』の姿となった牙王が姿を現した。地上にいる三体のネメシスの大群を見下ろし…
『雑魚が…さっきは痛めつけてくれたな、その代償はお前の命で払ってもらうぞ…』
 牙王は背中から毒牙丸を抜き放つと、三体の目標(ネメシス)に狙いを定める。
『死霊!炎殺斬!』
 真っ黒い炎がネメシスの周りを取り囲み…動きをかく乱させる。かく乱したネメシス達の後ろに毒牙丸を腰から一気に横に居合い斬りをする。
『せいやぁ!』
ザイィィーーーーン
 毒牙丸から発せられる、溶解毒がネメシスの装甲を溶かしながら溶断して行き、一瞬で上半身と下半身に別けた。
『一体…』
 一体目を倒した牙王は蛾の羽を畳むと、牙王は毒牙丸を背中の鞘に戻すと、指を広げネメシスの頭を鷲づかみにする。触覚で応戦したネメシスも牙王の毒に解かされてしまう。
『うおぉぉーー!』
 ネメシスの頭を掴んだまま持ち上げるとネメシスの腹に余った腕を叩き込み…
ズシャァァーーー!
 一気に貫いた。
『ふぅ…りゃ!』
 貫いた右腕を引き抜くと、奴のコアでもある心臓が腕の中にあった、腹から一気に心臓まで腕を差し込んで、心臓を引き抜いたのだ。
 心臓を抜かれ、ネメシスは一瞬牙王の手の中でもがき苦しみながら、絶命して行った。
『あははははははは!!』
 戦闘体制の『王』の姿となった牙王に、狂気と殺意の一文字が蘇ってきた、絶命したネメシスの頭を握りつぶし、その死体を落とす様は…何時もの牙王だ。
『う…が…』
『…最後はお前だ…』
 一瞬で他のネメシスは殺された…残ったネメシスに牙王は獲物にしようとした。本来なら牙王の抹殺のために…ネメシスは運ばれてきた。が、ミイラ取りがミイラと化した…
 今の牙王に近づく者は…それこそ自殺行為に過ぎない…

 牙王の体から瘴気が吐き出される。ネメシスは触覚を伸ばし牙王を貫こうとしたが…牙王の瘴気で消し飛んだ。
『がぁ!』
『さっき…俺を貫いた触覚が、こうも呆気ないとはな、最終量産型怪人『ネメシス』と言ってもやはり、雑魚か!』
 そう吐き捨て、ネメシスに向かって走り寄り、拳を連続的に叩きつける。
バシバシバシ!
 その拳は速度を増し、牙王の拳が何発にも見える…生体ガトリングの連射力を利用した拳法『百烈拳』…百足がそもそも使ってた技だ。
 その技でネメシスを徹底的に壊した後、牙王は魔界の死者を召還した。
『出でよ…ゴーレム…』
 今まで牙王が召還していた『グレムリン』や『ゴーレム』ら魔界の使者は元々蟷螂の能力で、これらは前の主人である蟷螂に忠実だったが、牙王にとってはただ呼ばれるだけの存在だった。
『押さえ込め…ゴーレム』
 出現したゴーレムは、牙王に忠実に従いネメシスを後ろから押さえ込んだ。
『ぐが!』
『…てめぇだったな、そう言えば』
 綾音を貫いたのは…このネメシスである…こいつから綾音の血の匂いがしている。牙王の体から瘴気が吐き出され…それが一点に集中されていく。
『あいつは馬鹿だが……馬鹿なりにおもしれー奴だった、あいつは俺が『唯一殺せなかった人間』だ黒狼みたいな事言って、柄じゃねぇんだけどよ…あいつを殺そうとする奴は俺が殺してやる、ははははは!』
 牙王は高笑いをしながら大ジャンプをして、瘴気の塊と化して上空からキックを放った。
『最終極技!ポイズンブラスト!!』
『がぁぁーーーー!!!』
ズバァァーーーーーン!!
 キックと共に命中した瘴気はネメシスを押さえ込んでいるゴーレムまでも巻き込んで凄まじい破壊力とスピードで地面を抉って、牙王を立っているところから50メートルの地面と共に消滅させた。
『ふふふ、あはははははははは!!!』
 牙王の笑いが夜の静寂の中にこだました…


 その笑い声は、世紀末王の耳にも聞こえてきた。
『牙王……生きておったか…』
 今となっては使える存在だった奴も、脅威と化した……
 牙王がここに来るのも時間の問題、早急な手を考えなくては…と世紀末王は作戦の時は近いと判断した。


 人間体に戻った牙王は、眠っているであろう綾音の居る繭を見る…
「起きた頃には…全て夢だった……で片付けておくのが、人間のやり方だ。まあ起きた頃には俺の事なんて忘れてるだろうしな…」
 そう皮肉をもらしながら、牙王はそこを離れて…再び闇の中へと戻って行った。

 その後牙王が、人の優しさや温もりに触れる事はもう無い…いや、自分からしないだろう。なにせ人間の感情なんて自分をかき乱す物でしかない…自分には必要ない…

 だが、あの時だけ一瞬だけだが、牙王は人間の気持ちを持ったのは、事実だろう…そして二度と…この感じは味わえないだろうと…


 あの後、牙王の事件がニュースで報道されて、綾音の母が…綾音を探しに来た。警察の捜索部隊も乗り出して綾音の捜索が開始された。牙王の技による破壊自体は不発弾の爆発として処理され…それによる綾音が居たアパートは半壊してしまい…綾音の生命も絶望的だと思われた…
「綾音!綾音!」
「おかあ…さん…」
 綾音を包んでいた繭は消え去って…綾音は最初から倉庫の中で眠っていた形で見つかった。

 その後、綾音のした過ちは正当防衛と警察は見なして…今じゃ母と新しい生活を送っている。
だが、彼女が牙王のことをすっかり記憶から消えてしまっていた。彼女は時折だが…夢に涙を流している男が出て来ているのに気づいた、彼は何故泣いているのかさえ解らず…。
それで…町で背の高い男の人とすれ違うと…それを目で追ってしまうことも度々ある。
「また…なぜかな…」
 後姿が妙に懐かしい…、妙にあの男の後姿を反映させてしまう。その彼の事ももはや思い出せない。
いや思い出さないほうが幸せと言う事もあるかもしれない。

永遠に…



……

 夜の闇にまぎれるように、バイクに乗った男…牙王。
『けっ、そろそろ……終わりが近づいてる時かよ…』
 『王の戦い』の始まりと同時に全ての終わりが近づこうとしていた…月が満月へと近づいている…。
 満月になれば、世紀末王が奏でる人類に捧げる最終最後の曲目が演奏される時だろう。
 牙王は人類がどうなろうと関係ない、ただここまでやられて落とし前をつけないほど牙王も愚か者ではない。
『さて…行きますか』
 牙王専用マシン、『デスポイズン』を発進させ、牙王は次なる獲物を求め、走り去っていった。

 いつか流した涙に…永遠の別れを告げ…


 
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設定資料集

人物紹介

 綾音
とあるマンションの一室に住んでいる少女。見た目は小さいがこう見えても17歳。奇妙なですます語を使いこなす。12の時父を亡くして、14の時に母が再婚した男の家庭内暴力が激しく、苦しい生活をして高校にも行けなかったらしい。今年、彼女はその男をナイフで差したというが真実は、酒で半狂乱を起こした男が母に暴力を振るって怪我を負わせ、自分も犯そうとしたため、そばにあったナイフで刺したと言うが、その男自身も死んでいなく…しかも前科持ちだった為、『正当防衛』と言う事で処理され…あの後母と幸せに暮らしている。
(DOAあらず…(爆))

 最終量産型怪人『ネメシス(NEMESIS)』
能力 パンチ力10t キック力20t ジャンプ力90m 走力:100mを1秒
ゴキブリ型の量産型怪人。
ネメシス主力戦力は改造兵士レベル2(カスタムソルジャー)と量産型怪人の二つだったが、以前の戦闘による生産ラインが破壊され登録を抹消し、ネメシス量産型怪人シリーズだけとなり…潮時を感じた世紀末王が生産ラインを一つの生物に絞りその生産に全力を注いだ、懇親の量産型。ゴキブリの持つ、強固な装甲と飛行能力…餌に対する集団でのグループ戦法、どの攻撃にも対応できた生命力。そして人に生理的な恐怖を与えるその容姿は…人間にとって、まさに死神の二文字だろう。武器は、二本の触覚で強振動により槍のように標的を貫く。改造には世紀末王の細胞が使われているとか無いとか…
(容姿はDFのゴキブリ版…背中の装甲がDFより大きいです。)

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