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 数百年前から続く、一族同士の果てしなき戦い。

 彼等は戦わず負えない運命なのか……

 

 俺は、ある神社の鳥居の前に立って、鳥居を眺めていた。

「まさか、こんな形でここに来るなんてよ……」

「天元神社に最初に来た時の事覚えている?」

 覚えているさ、ここに俺の大事な物を預けているからな…俺達陣内に伝わる刀『正幸』を……ここに…

「ここの宮司さんの話だと…」

「信一さん、それは言わない約束です……」

「ごめん……」

 なんか思い出したくない…

「ん?あれは……」

 神社の庭を掃除している、巫女さんの服を着た咲耶がそこにいた。

「ようっ、天野遊びに来たぜ」

「陣内さんっ!帰ってきたんですね」

 咲耶は、俺に走り寄って来た。うん、なんか先日会ったように思えるけど、凄い久しぶりなんだよな……それじゃあもう行方不明になっているって事解るよな…

「行方不明になっていたと聞きましたので……」

「…俺は不死身だっ!いつもお前に付きまとわれても倒れない奴だからよ」

「……それでも、心配しました」

「サンキュー」

 

 そう言うと、咲耶は少し目に涙を浮かべて微笑んだ。

 

「水瀬さん……」

 そんな二人を、微笑ましく見ていた何者かが信一に声をかけて来る。

 白髪の老人で、この神社の宮司さんらしい。

「天野さん、ついに時が来てしまいました」

「そうですな、あの少年…すべての記憶が戻ったと見うけますな…」

「察しの通りで…本当はこの時を恐れていました」

 信一の表情が曇り、宮司はその表情を見て……

「じゃが、話しは聞くと申した……彼を連れて上がりなさい」

「解りました……事は、一刻を争います」

 

仮面ライダー・黒狼
第4章前編『呪縛』

 

 咲耶と宮司に連れられて…俺と信一さんは天元神社内に案内された。

 それで広い空間に連れて行かれ、俺と信一さんは宮司さんの前に敷かれた座布団の上に座った。しばらくして、咲耶が俺達の前にお茶の入った湯のみを運んできた。

「粗茶ですが」

「サンキューっ」

「ありがとうございます、咲耶さん……」

 そして、咲耶が出て行くと宮司は改まって、俺のほうを見た。

「話しの大体は水瀬さんから聞いております」

「……ネメシスが解るのか」

「今朝のニュースで、集団猟奇殺人事件の報道がされていました…それから聞いたんですか?」

「いや、私は…この街から感じられる負の気配を感じ取っているのです…とても恐ろしい感じ取ったことのないくらいの強い負が…借りにそれが……君の言うネメシスと言う組織とすれば、今朝の1000人の猟奇殺人事件も納得できるであろう…」

 俺と信一さんがここに来る前に、テレビでは…昨日起きたとんでもない事が報道されていた。

 それは……昨日の午後7時から24時にかけて、ここいらで何件をも猟奇殺人事件が多発した。通り魔的犯行と目されたもののその犯行には謎な点が多い事が解った。

 まず一つの謎は、殺され方だった。この事件の殺し方は…地域別にそれぞれ違う殺し方であり、全てが不可能犯罪という事だ…

 まず、一件目…俺達の住んでいる平山市から一番遠い上原市…ここは以前に植物園があったがある一件で閉鎖されていたが最近になって植物園がアミューズメントパークと代わりにオープンして、市内の人口が増えていた。その為にここが一番犠牲者が出て、その数は368人に昇った……。殺され方は、首を鋭利な刃物で切り落とされている無残な姿だった。

 同じ犯行で、犯人も同一人物だと思われた。が、時間差で言って犯行が不可能だった。

 例えば、一件目の犯行現場から次の犯行現場への距離は1k弱…そこまで行く時間は、普通の人でも走って5分ほどで、車でも2分ほどの移動時間。だが、そこまでの移動して犯行に至るまでの時間は31秒だったと言う。その31秒のうちに、暴走車が目撃された例も無い。その代わり人々の間で巨大な鳥が目撃されたとか…上空を飛ぶ翼長数メートルのコウモリが目撃されたとかと言う例もある。もちろんその目撃も未確認として処理された。ただ、上原市から数キロ離れた平原で上原市の殺しと同じ手口で死んでいる死体が発見された。これも、上原市の犯行と同一として…処理されその犯人の物と思われる殺人の死者は428人とされた。

 そして、もう一件の殺人は川吉町で起きていて、その手口は鎖で首を絞められたような後がある事だ。その人数は205人…

 生田市…それから森高市で起こった殺人は192人、そして俺達の住む平山市は120人に及んだ。砂漠地帯や平原地帯の55人の死亡者、行方不明者をプラスすると、丁度1千人の死者に及んだ。その点から、組織的な反抗だと言う事が判明したが、それ以外はまったくの謎とされている。やはり、ネメシスの犯行に違いない…俺が仕留め損ねた蜘蛛野郎も……ちくしょうっ!黒狼をしっかり操る事が出来れば…

「俺が…ちっ!情けねぇ…」

「榊君……自虐的になってはいけない、君のせいでこんな事になったんじゃないんだから」

「だけどっ!奴等は、俺が目的で…人を何人も…」

「落ちつきなさい…主がどうこう言っても死者は蘇りはしません…」

「そうだけど……」

 あいつ等は、俺の力を利用しようとしているだけだ。

「陣内家に伝わる特殊能力を……利用しようとしている」

「何っ!」

 俺は驚いて立ち上がった。このじいさん……俺の心を読みやがった。さすがは天野のやろうなだけある。

「俺が、じんな…いや、盗賊団『死月』の生き残りって事もお見通しか」

「うむ…主があの盗賊団の唯一の生き残りと言うのは主の刀を預かった時に既に解った」

「なら、その盗賊団は俺が壊滅させたって事知ってるか?」

「なっ!何だとっ!?」

 俺の言葉に、じいさんは驚きの表情を浮かべる。

「………さすがに、これには驚くよな…そう、俺が死月を壊滅させた要因だ」

「主が、あの盗賊一家を壊滅させたのか……」

「榊君が…」

 思い出したくない記憶だが…俺が最初に忘れた記憶だ、自分がどこから来てなぜこの刀を持っていたのかを……そして、その記憶を抹消した理由を…

「これで、ハッキリしました。陣内家の古くから伝わる刀、名刀『正幸』は…後継者に選ばれた者しか抜く事ができんと、そして…刀を抜いた者こそが死月の次期頭首になれると…聞いた」

「ただ刀を抜くだけで!?」

「いや、その刀は……何1000年前からの代物で、完全に錆びついています。鞘も鉄製で錆びた刃がくっ付いて絶対に離れない…常人で抜くことは勿論、その錆びを落とす事も許されない…」

「そんな刀を抜くのは不可能ではないのですか!?」

「可能なのです……陣内家の特殊能力『方術』ならば…」

 信一さんは眉をしかめて、じいさんの話に聞き入っていた。

「盗賊一家『死月』や我等、陰陽道の者なら持てる術のことです、簡単に言えば超能力と言う事じゃな。ネメシスは主の特殊能力を狙って君を襲ってきたと言うわけか?」

「ああ……奴等に掴まった時に身にしみてわかったさ」

「そして、ネメシスはまだ主を探していると言うわけだな」

 

その頃、折田市のジグロ本社ビル

「いや、VR−19XXの提供ありがとうございます。空魔怪冶(そらまかいじ)社長」

 空軍の将校らしき人物と、スーツを着たサングラスをしたジグロ社の社長、空魔がビル内で向き合っている。

「いえ、あなたたちのお役にたてれば私としても安心ですよ…」

「しかし、あのような高性能機をどのようにして……是非ともお聞きしたい」

「ふっ……私の科学技術部は優秀ですからね…」

 そう言い、空魔は窓から空を見上げる。空は

「空はいい場所ですね、これが……いつか私の物になると思うと、楽しみになってきます。ですが……私は太陽が憎い…暗い夜の空が…私は好きです」

「は?」

「独り言ですので、お気にせず…所で将校殿、お一つご質問ですが」

 空魔は将校の首筋に手を当てて、不気味な笑顔で質問した。その視線は怪しくサングラス越しで赤く光っていた。

「将校殿は、血液型は何型ですかね……」

「び……B型ですが…」

「ほほう、B型とな…私好みですな」

 そう呟き、将校の首筋にその口付けしようとする。その唇には、鋭い牙が見え隠れしていた。

「しっ失礼します!」

 将校は慌てて、社長室から飛び出ていった。

 

「ふぅ……獲物を逃してしまったか、まあいいだろう。私の本当の獲物は今夜手に入るのだから」

 空魔は社長椅子に座り、電話機の受話器を持ち……

「私だ、今夜予定通り決行する。場所か?目星は大体ついている、それからVR−19XXの改造機はどうか…よかろう…くくくっ」

 社長室で、空魔の不気味な笑い声が木霊した。

 

 そして再び天元神社で

「そうだ、あいつらはまだ俺の力を必要としている」

「陣内家をたった一人で滅ぼした程の強大な力、それをネメシスは何の為に…」

「“人の命”さ……」

 俺の言葉に、じいさんの顔が引きつった。

「奴等は、今日のニュースにあるように、人を1000人も殺している。そして奴の言葉を聞いた『我と共に来い、そして我に一千人の人間の魂を…』と……奴等は人の魂を集めて何かをやろうとしている」

「なぜ、そんな事を……」

「人の魂とは、他の万物とは違う不思議な気を持っている、納得はできるな」

「………それは、俺達『死月』の目的と同じだった。刀で何人も人を殺し、その命を奪ってきた」

 俺は拳を握り締めて、床を叩きつけた。床の板にメコっとヒビが入る。

「そう、盗賊団『死月』は人の命を奪う盗賊団として昔から有名じゃった。そして我々天野はそれを退治する役目を持って、双方は敵対していました。もう500年前の話です」

「因縁……ですか…」

 信一さんの言葉でじいさんの表情が引きつるのは当然だ。

 戦いの歴史は、長く果てしない物だった。因縁は破滅と殺戮と言う結果しか生まずに、血塗られた歴史は500年も続き、今に至った。その敵同士だった双方が再び顔を合わせている。陰陽師と盗賊…いつ、互いはぶつかり合うかと言う瀬戸際だ…

「陣内…榊殿、主は自分の過去の罪から決別する為にその都度、記憶を消して行った。自分の家族を皆殺しにした時と……立花氏の死、そしてまた罪を重ねる気かね?」

「俺は二度と罪は重ねないからこうして出向いてんじゃねぇか物分りの悪いじじいだな」

「榊君……」

 俺は、信一さんが止めようとするが、俺は続ける。

「陣内が500年犯してきた、数々の罪……俺が起こした罪…償えるとしたらこれしかねぇ……太陽は落としちゃいけねぇんだ、ライダー達と立花さんから言われた言葉だ。その為には力と、時間が欲しい……」

「ライダー達?(美坂君が言ってた、仮面ライダーの事なのか…)」

「力と時間…か、それにはあの『正幸』が必要と言う事か…」

「ああ、ついでに…俺がもう少し生きられる時間も欲しい、奴等の顔に一発ぶち込むまで死んでも死にきれねぇ……それに」

「それに?……」

 秋子姉の顔が浮かんできた、ふぅ、つれねぇな……

「守りたい人がいる……それだけでも、俺が戦う理由は十分過ぎる」

 俺はその場に立ちあがり強く、頷いた。じいさんは立ちあがり…

「解った、それなら刀を返す…それに生きられる時間を作る事は不可能ではない、だが…」

「……だが?」

「外の咲耶と話してきなさい、自分の事を……それと水瀬さんあなたには少し来てもらいたい」

「私ですか?ええ構いませんが……」

 そう言ってじいさんは、信一さんを連れて奥のほうへと行ってしまった。なんか後ろめたい物を感じたのは気のせいか…

 とにかく、外の咲耶にちゃんと言わないとな……あいつが俺を追ってた理由ってやっぱ俺が陣内の者だからか……当然だな。俺達はある意味敵同士だから…

 

 俺は神社の庭に出て、咲耶を探す。お、いたいた…掃除しているな。

「天野っ!」

「あ…陣内さん…」

 なんだか、この呼び方だとなんだか嫌だな。

「天野、俺らあってから何ヶ月も立つよな」

「はい……」

「そろそろ、陣内さんじゃなくて、そろそろ榊って呼んで欲しいんだよ」

「………どうしてですか?」

 どうしてとくるか、この娘は…

「ダチだろがっ俺達……理由なんてねえよ」

「……そうですね、友達ですから。……榊…」

「おう、よろしく頼むぜ、咲耶っ!」

 

 

 地下室

「それでは、榊君は!話が違うのではないですか!」

「彼を救える手はこれしかないのです……残念ですが…」

「それでも、これはあんまりではないのですか!天野さんっ!」

 信一は宮司の襟元を掴んで鬼気迫る勢いで、聞いてくる。

「彼は……自分の運命と必死で戦おうと言うのに!」

 そう言うと、宮司は信一の腕を掴んで襟元から離し…

「その運命……この天野が受け継いでよろしいか…」

「何だって…」

 

再び榊視点

 

「やっぱ知ってたのか…俺の事」

「はい、私達の家系と陣内家の歴史はお爺様から聞かされて来ました…」

 だから、記憶喪失の俺を追っていたのか、記憶が蘇るのを恐れて…

「でも、記憶が戻っても…榊は変わらなくて、良かったです」

「なんだそりゃ…」

「記憶が戻ったら、榊はお爺様の言う通り残忍な盗賊になるかと思い、いつも監視してました」

「監視ねぇ…クソじじいが…んで、俺がその残忍な盗賊になったらどうするつもりだったんだ?」

「殺せ……と言われました」

 俯きながら咲耶は、悲しそうにそう言った。

「正直さ、俺が今の俺を保っているだけでも凄く意外なんだ…記憶が戻ったら、咲耶の言う通り、俺はその残忍で冷酷な盗賊の頃の自分に戻るんじゃないかって思っていた。だからよ、俺は記憶が戻るのを恐れたさ。だけど……今の俺が保てるのも、あの人達のおかげかな……」

「あの人達?」

「そう……立花のおやっさんと…ライダー達……」

 義理の親父と8人の先生って感じか、その人達から色々習ってきたからか。もうみんなどこに行ったのか解らない。あの人達には色々礼を言いたかったが…今となっては言えないな……

「いっぱい、いっぱい借りがあったのにな…礼が言えないんだよ」

「榊……」

「俺が空をよく眺める理由、わかるか?」

「……いえ」

 咲耶はきょとんとして俺の顔を覗く。俺は空に手をかざして……

「記憶が戻ってから、その理由がわかった……この空の向こうに、きっとライダー達が俺を見守ってんじゃないかって思ってな…子供だましでつまんねぇだろ」

「いえ…榊らしいです。ふふっ」

「何がおかしいんだよ」

「いえ、こうしていると…お爺様の話が嘘のような気がします」

「そうだな……陣内の歴史を考えると、こんなの異色だからな」

「………そう、ですね」

 咲耶は今度は赤くなって俯いた。

「……榊、最初はあなたを敵視してました。隙あれば殺そうと思ってました…ですが、あなたを見てました」

「……」

「見ていると、次第に敵意も消え…普段も何気に話しても面白くて、お爺様のお話が本当かどうか解らなくなりました…でも今はっきりと嘘だとわかりました…」

「……満更嘘でも無いかもしれないぜ」

「そんな事ありません、榊は…違います。…私は…そんな榊が……」

「どうした?咲耶……」

 俺が聞くと咲耶は更に赤くなってしまう。

「榊が…………」

「俺が…」

 丁度その時だった…

「榊君っ!ちょっといいかな」

 信一さんが俺を呼ぶ声がして、俺は立ちあがる。

「信一さん、すまねえ咲耶。話はまた今度にしようぜ!」

「……さっ榊…」

 俺は、咲耶が呼ぶ声も聞く事は無く、俺は信一さんの待つ地下室に入って行くことにした。

 

 この神社にこんな地下室があったとは…俺も予想だにしていなかった。

 ただ、俺は信一さんの案内でずっと地下の方へと進んで行った。

 ようやく最深部に到着すると、奥はここに来る以上に薄暗く…ろうそくの火に照らされたじいさんの姿が俺の目に入る。何より、寒い……夏だと言うのに…ここはかなり冷える。

「よう、じじい。俺の刀、返してくれるんだろうな…」

「ああ…刀を主のそばに返してやろう」

 ありがたいのかありがたくないのか、俺はまた人を何人も殺してきたあの戒めの刀を手にするのか……でもこれがないと秋子姉達を守れない。凄く複雑な心境だった。

「解った…ここにあるのか?」

「自分の手で取りに行くがよい」

「解った……」

 俺は、刀のある暗闇の奥の奥へと進んで行った。暗闇がズンと俺の背中に見えない重圧を加えているような感覚に襲われる。その時不意に信一さんの声が聞こえてきた。

「榊君、本当に…その刀が必要なんだね」

「はい、先祖にとっても俺にとっても曰く付きの刀ですが、奴等からみんなを守る為には、この刀が必要なんです」

「そう、だったら止める理由もないよ……」

 信一さんの表情にやはり後ろめたさを感じる俺…そういや、信一さんと始めてあった時俺、あの刀で信一さん斬ろうとしたっけ……その事が信一さんは気になるのか…

「大丈夫ですよ、刀取っても俺は俺っすよ!!」

 咲耶が言った言葉を俺は信一さんに言った。そう言うと、信一さんは前を向いて…

「気をつけて」

「はいっ!いってきます」

「奥の神棚に、主の刀は立ててある…そこまで行って取りに行くとよい」

 俺は、信一さんに手を振って重ったるしい暗闇の中に身を投じて行った。

(ごめん、榊君……)

 

 不思議だ、この空間…妙に広いそして深い……奥にある神棚が見えない。

 それにこの不気味なほどの威圧感…ん?妙だ……俺は横を向き、手を差し伸べる。

「壁が無い……」

 俺は後ろを振り返ってみた、信一さんとじじいの姿が見えない。

 まったくの暗闇だ……不思議な事はこれだけじゃない。暗いのに、俺の体しか見えないのだった。まさかっこれって…ちくしょう!

「陣内……榊……封印」

バシッ

 急に、闇が俺の腕に蛇のように巻き付いて、俺の体を段々縛り付けて行った。

「俺をはめやがったのか!くそじじい!」

「はめてはおらん……嘘もついてはおらん。主は刀のそばに返してやるといったのだ…これで文句はあるまい…」

 そして、闇が晴れて……、ろうそくを持ったじいさんと信一さんの姿が目に写った。

 ろうそくの火で今俺の状態がわかった。体中を鎖で雁字搦めにされていた。

 動こうとしても、鎖が食いこんで動ける状態じゃない。

「主はやはり危険分子…陣内…榊。その黒狼への変異も出来ぬ今、封印にはうってつけの時じゃ……」

「それ所じゃねえときに、なにボケたこといってやがる……」

「ネメシスか…そいつらの駆除なら我等天野の巫女である咲耶が変わって勤めてくれるであろう……」

 じいさんの表情にわずかながら笑みが見えた。

「咲耶を、奴らとの戦いに使うのか!?」

「咲耶は巫女としてわしより強い力を持った、わしが言えばあの子は喜んで君も殺すであろう……」

「なっ!!」

「天野さんっ!僕は、その為に了承したわけではない!」

 信一さん荒荒しくが言うと、じいさんは更に笑みを深くして…深い笑みを浮かべる。

「ふふふっ、陣内と天野の運命を聞いて、あなたもお分かりであろう……水瀬さん」

「あなたは何が目的だ……自分の孫を使ってまでやることは…」

「この世にはびこる、災いの元凶を我等の方術で排除する事だ……害虫を駆除する事…ネメシスを壊滅させるのも、陣内の元を断つのも前座にすぎん…」

「まさか、その災いの元凶って……」

「そうじゃ、人間!……この世に人間さえ生まれなければ、このような災いは起きなかったに違いない!」

 俺は、その言葉にカチンときた……

「んだとこら……ボケてんじゃねぇよクソじじい!これじゃあネメシスと同じじゃねえか!!」

「そう……盗賊団『死月』とも同じじゃ…主とも……同じなのじゃ」

「しかも、自分の孫の手を真っ赤な血で染める気か!それでもあいつの肉親かよ!!正気で言ってんのか!」

 俺の手のように、咲耶もあいつらの血で真っ赤に染まるなんて、俺は許さない!

「わしはいたって正気さ、あの子は本当によく出来た子じゃ……わしの言う事は何でも聞く……わしが死ねと言えば、あの子は喜んで死ぬ…」

 それじゃあ、咲耶はこのじじいの操り人形じゃねえか……

「ふざけんじゃねぇ!!この鎖解きやがれ!ぶっ殺してやる!!」

ガチャガチャ!

 俺の左手首は熱くなり、変異の兆候を来す。だけど、鎖がやけに頑丈過ぎて解くどころかまたいっそう深く食い込んでくる。

「畜生!!」

「そう怒るな……貴様はすぐには殺さん、じわじわと飢えて死ぬがいいわ…」

「くっ!!」

 そう言って、じいさんは地下室の階段を上がろうとするが、その前を信一さんが塞いだ。

「信一さんっ!」

「彼の鎖を解いてくれませんか……解いてくれるまで、僕はここをどきません」

「ふっ、このわしと戦うというのか、優男……」

 そして、信一さんの表情がいっそう深く怒りに満ちてきて行くのを感じ取った。

「あなたは、もう少し話のわかる人だと思いました……でもここまで怒ったのは久しぶりです……」

スチャ…

 信一さんはじいさんの前にリボルバー系の拳銃を突き付ける。

「こう見えても、僕は格闘技と射撃を習ってまして……的は外さないつもりです」

「ふっ…わしも舐められた者だな」

「さあ、早く榊君の鎖を外してもらいましょう、その後は警察に出頭させていただきます。あなたから血の匂いがする……」

「あいにくじゃが、それはできん!」

ドゴッ!!

「くはっ!」

 信一さんの背後から、突然何かが現れ…首の根を打たれた。

「信一さんっ!!……お前…」

 俺の眼前に、もう一人の人物の顔が写ったと同時に…俺はじいさんに溝内に拳を食らい、意識を失った。失う直前……俺は、その人物の名を呼んだ……

 

「咲耶……」

 









 

 折田市ジグロ本社ビル地下

 ジグロ社の地下に、社長…空魔怪冶は5人の社員達を呼びつけた。

 空魔怪冶は、ガラス窓から覗く月を見上げ……

「今宵は、良い月夜だ、獲物を狩るのには絶好の機会だ……世紀末王様の命により、これより天野家を強襲する……」

「「「「「ははっ!」」」」」

「相手は、陣内家と500年戦いつづけた陰陽道…しかも黒狼も潜んでいるとも限らん…ぬかれば…蜘蛛の二の舞を踏む事になるであろう。だが…天野家の娘、彼女ほど世紀末王様のアルティメットコアを産むのに最適な母体と言える……黒狼と共に捕らえて、世紀末王様に捧げる…」

「「「「「ははっ!」」」」」

 そして、5人の内の一人が立ちあがり……

「蝙蝠様っ、VR−19XXの改造は終了しました。いつでも出撃できます」

「我等の勝利も確実と化したな……よし、黒!そなたが搭乗するが良い」

「はっ!有難き幸せ……」

「他の、赤、青、緑、銀の四人は私と続け!」

「「「「ははっ!」」」」

 四人は空魔怪冶に敬礼する。そして、地下室の天井が開き…暗闇に照らされた空が露になる。突風と共に空魔怪冶と五人のスーツを着た社員の姿は変わって行った。

 空魔怪冶はコウモリの化け物になり、他の五人はそれぞれ色違いの鴉(カラス)の化け物に変身する。

『私は、嬉しいよ……君達のような優秀な社員に囲まれて……。失敗は許されないが…常にエレガントさを保つのを忘れるな…』

『『『『はっ!』』』』

『黒、VR−19XX改は私の命があるまで待機!全員出撃……』

『かあぁぁっ!』

『かぁっ!』

『かぁぁぁぁーーーーっ!!』

『かあぁ!!』

 マント状の背中の羽を広げ、蝙蝠が羽ばたいて…その後から4人の鴉天狗が続いて飛び立った。そして、残された黒い鴉天狗は、後ろで蠢く銀翼の巨鳥に乗りこんだ。

『出撃準備……』

 

 暗い夜空の下……今、流血の決戦が今始まろうとしていた。

 

 

 ToBe

Continue
 

 

データ集

 

怪人集02

 

蝙蝠(こうもり)

主体 吸血大コウモリ

人間名 空魔怪冶(そらまかいじ)

身長 199センチ

体重 102キロ

パンチ力 93キロ

使用武器 スラッシュウイング

必殺技 真空団裂斬(空から高速で相手を斬りつける)

ネメシスの伍幹部怪人の内の一人、南米に生息する吸血大コウモリを主体に兵器開発会社ジグロの社長、空魔怪冶を改造した怪人。マント状の羽を羽ばたかせて、時速400キロの早さで空を飛ぶ事が出来る。急降下時には音速を超えることもあるらしい。その特性を生かして…急降下して敵を羽で首を跳ね飛ばす技も持って強力。また、上空3000メートルの高さをも飛べるように、肺と声帯を強化され、共鳴により超音波を吐く事ができ…敵にめまいを起こさせ、隙を与える能力もある。

主な量産型怪人は空を鳥類や空を飛べる動物系

 

 

量産型怪人(鴉天狗五人衆)

主体 カラス

人間名 (赤) 赤月 亮

    (青) 青葉智樹

    (緑) 緑川力也

    (銀) 銀 悠戸

    (黒) 黒沢俊夫

身長 平均190センチ(全員同じ背丈)

体重 平均79キロ

パンチ力 45キロ

使用武器 忍者武器

上官 蝙蝠

ネメシス五幹部、蝙蝠に配備された量産型怪人の五人衆。飛行能力と俊敏性を生かして作られててしかも鴉の特性でもある頭脳の良さで、人間体にもなれる量産型はこの五体しかいない。持ち前の頭脳の良さで、忍者武器を使いこなし上空からの攻撃が得意。識別する為に色違いの忍装束を着用する。ある戦隊がモデルらしいが……

 

あとがきたいーむ!!

 

ゲスト:北川 潤(なぜ)

 

どうもっ後書きタイムの時間がやってまいりました!

北川「おうっ!ゲストの北川 潤だぜっ!北川!北川っ!美坂のおじさんのモデルになったあのっ!」

はいはい、良かったですね。

北川「おうっ良かったぞ!それより今回は戦いそうで戦わなかったな……」

はい、書いてたら長引いてしまいまして……後編に持越しです。

北川「適当だなおい……」

………連れて行きなさい…

ショ「いいいぃぃーーー!!!」

北川「ぎゃーっ!何処に連れて行くんだぁ!このやろ離せぇぇーーー!!」

秋子さん、後の処理は任せます。

秋子「はい♪首領さんの解説の終わりの頃には出来あがっていると思いますので……」

んではっ!今回は、『黒狼』の時代背景について語りましょう。

 

実は、前回の解説で黒狼の世界観は『ダイダルの野望』のライダーエリアという事を説明しました。という事で、話の筋は『ダイダルの野望』のラストでライダー達が自分たちの次元に戻ったとき…「まだ何億もの脅威が」と言う言葉から、ダイダル戦後の修復されたライダーの次元でライダーが消えた時代の新時代ライダーという歴史の設定です。

 

プロローグ1であった、「20年前から榊君を引き取った5年前まで日本各地に急激に流行になった噂がありました……」と言う信一の台詞にあるように、ダイダル戦を含めてライダー次元の修復後もライダー達は戦っていたという事になります。

そこから、ライダー達が戦いつづけた激動の歴史を考えて見ました。『ダイダルの野望』で成し得なかった、ブラックRXとクライシス帝国との戦いや、未登場の他のライダー達との出会いなどもあったはずです。そこで、榊君が出会って8人の先生という事になったライダー達は……

 

1号、2号、V3、ライダーマン、が最初に榊君を助けたライダーです。

ブラックRXは、榊君を利用しようとしていたクライシス帝国を壊滅させました。

ここまでが『ダイダルの野望』にも登場したライダーです。

 

次は、榊君がおやっさん(立花氏)の所に引き取られてからの数年に新たに加わったのが、Xライダー、アマゾン、ストロンガー(もちタックルも)までです。

 

その後・デルザー軍団との戦いで、8人のライダーは永久に消えてしまった…

 

そしてライダー達が消えたのを見計らって出てきたのが超常破壊結社ネメシスを率いる世紀末王ドラゴノソードというわけです。

 

TVのストロンガーまで出演していたおやっさんがスカイライダーが始まってからいなくなったのは……こう言う理由だったのでしょう…

 

ともかく、黒狼の時代はクウガやアギトと言った独立した世界観のライダーではなく…昭和ライダーの次世代のライダーとして降り立っているわけです。

簡単に言えば、お父さんと子供と言う関係って事です。

 

秋子「首領さん、終わりました」

はっ早かったですね、どうでしょうか?

秋子「うーん、北川さんこのジャムお口に合わなかったようです。次はこの赤いジャムで試して見ますわ」

へっ!?あっ赤い……赤いジャム!?それの材料は…

秋子「企業秘密です、それでは……」

 

秋子退場

 

また行っちゃったよ……ん?これ、秋子さんのジャムだよな…

 









 

 水瀬家

名雪「ゆーいち…またY(ヤクト)団の人が倒れたって…」

祐一「今更、気にしてたら明日は笑って過ごせないぜ、名雪」

名雪「うん、そうだね」

 

秋子「♪♪」











北川「はらほろひれはれ…」

 

つづく

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