太平洋沿岸…暗闇の海、一隻の高速船が水飛沫を上げて海の上を走っていた。船には黒い海賊幡が掲げられていた。
 彼等は、ネメシス蜘蛛第4中隊の中で柏木澄香率いる第13小隊である。彼等は戦闘員6名で構成されていて主に海のテロ活動をし、戦艦クラスならほんの数分で灰燼に帰し物資を盗み、退却する一撃離脱戦法を得意とすることから、彼等は『海賊』と呼ばれていた。
 今日、『海賊』は…上官である第4中隊少佐の依頼である客船を捕捉していた。

「船長っ!レーダーがターゲットを捕捉しました」
「隊長でしょっ!…まったく、割に合わない依頼ね、まあ…人攫いも手馴れたものだけど、今回の仕事は飛んだ貧乏籤ね〜」
「仕方ありませんっすよ、今回は南極までいくんですからね〜」
 操舵室の中では、一人の少女と二人の操舵員が話していた。彼女の名は柏木澄香…この小隊の隊長である。こう見えても、30過ぎである。
「まあいいわ、ギャラは南極支部で貰うって事で…いくわよっ!」
「アイアイサーっ!ブラックサイクロン発進準備、サイドカタパルトオープン」
「魚雷よりたちの悪い奴をくれてやるわ……豪(ごう)っ!出番よ」

 澄香の声が、船首のブラックサイクロンに跨る俺の耳に聞こえてくる。
「了解、ブラックサイクロン…水上移動モード…ターゲット捕捉」
『いい豪、今回の任務は人攫いよ…弾丸は全て麻酔弾にしてあるから、無理に殺さないこと…いいわね』
「了解した……」
『じゃあ、射出するわよ』
 ブラックサイクロンにエンジンをかけて、俺は目の前に見える船に向かってターゲットを定めた。
『いいわね、射出5秒前、3.2.1.射出っ!!』
ズォォォーーーーーッ!!
 大海原に、ドラッガー系バイクが走り出した。
「セタップ…」
 俺は海上でそう呟くと…体が変形して、体の人工皮膚が瞬時にはがれに青き装甲盤を身に付けた。全身を機械で埋めた俺は、作られた存在……過去の遺物、『ショッカーライダー・0式』

 もう一つの名は、仮面ライダーG0

仮面ライダー黒狼 外伝
 
仮面ライダーG0
特別編『生命の価値観』


南極海 AM:0:45

「船長っ、もうすぐ南極の港につきますぜっ!」
 船首にいた海賊のクルーが寝ていた隊長の澄香に大声で呼びかけると、澄香は飛び起きて……
「船長じゃなくて、隊長でしょっ!」
「うわっ、すんませんっ!」
「そうね、南極が近いから…こんなに寒いのね……防寒着を持ってきて」
「へっへい…」
 そう言うと、急ぎで船の中へと防寒着を取りに行った。それと入れ違いに背の高い青年が入ってきた。

「スミカ…メンテをしてくれ」
 澄香に俺は体のメンテナンスを頼みに来た。
「ああ、豪…そうね、解った」
 俺は仲間内で豪(ごう)と呼ばれている…俺を回収した組織は俺の事を、『ショッカーの遺産』と呼ばれるが、迎えてくれたこのチームだけは特に澄香は…俺をこの名で呼んでいる…名前は意味のあるものかどうか解らなかったが、識別しやすいのなら、それでいい…
「どうした?スミカ」
「あっ、うん……寒いかなって…」
「寒い?…」
 俺はそう呟くと、上着を脱いで澄香に被せてやった。
「あ、いいよ私は大丈夫だから、豪が寒いでしょ」
「俺は寒さを感じない……それにメンテナンスが必要なら、衣服は要らないだろう」
「そうね……ありがとう、豪…でも、全部脱ぐ事は無いわよ」
「何故だ?」
「女の私に言わせないでよ……」
 澄香は何故赤くなるのか、俺には理解できなかった。そして、俺は上半身の衣服を脱いで…横になった。澄香は俺の体を開いて、体のメンテナンスを始めた。
 外側は彼等、人間と同じ人工皮膚なのだが、内側は…彼等には無い機械で全て出来ている。
「うーん、あんな戦闘の後でも、人工知能の調子は良好…それに体の方も何処も以上は無い、『加速装置』使用後で予備の外装甲を着け返る以外…まったくの健康体よ」
「突然の強襲だ……『あの敵』の反応速度は異様だったからな…」
「感謝しなさいよ、ネメシスには『ショッカーの遺物』をメンテできる人なんて早々いないんだからね」
「ショッカーの…遺物……」
 俺はそう呟くと、澄香は申し訳なさそうな顔をして…
「ごめん、気分悪くした?」
「気分が悪い?どうしてだ……」
「豪って、ショッカーの遺物とか言われるの嫌いだったよね…ごめん……」
「嫌い……確かに、気分が悪いと言うのと同じ気持ちだ…だが、豪と言う名は嫌いではない……」
「そう、良かった……」
 澄香はそう言うと微笑んでくれた、人の感情ほど理解しがたい者はないが……彼女を見ていると、不思議と和むような気がする……これも感情と言う物だろうか…
「次はバッテリーの充電よ」
「解った……一時間ブレーカーを落とそう…」
「うん、おやすみ…豪」
 俺は、バッテリーの充電の為、ブレーカーを一時停止することにした。その事を人間では『眠る』と言うのだが…俺は機能停止と言うのは簡単に言って『死』だ……人にとって死はどう言う事なのか、これまで戦闘してきた俺でも未だに解らない。何故…人は人の死を悲しむのか……解らない…俺はそう思いながら……目を閉じ、ブレーカーを停止させた。






 ある組織の研究室…

「…ついに完成したぞ、ショッカーライダー0式…」
 ここはショッカーの研究室…そこには10体にも並ぶ、対ダブルライダー専用エース怪人、『ショッカーライダー』がカプセルに入れられていた。そして、その10体を見渡す不気味な老人と、普通の感じの白衣の男がいた。老人は、『死神博士』と言われるショッカーの大幹部だ。
「ライダー打倒の為に仮面ライダーを10体も作るとは…皮肉ですね、死神博士」
「そう言わざる追えない、我等はすでに怪人を数十体、幹部一人を憎きライダーに倒されていおるのだ、そこで生まれたのが10体のショッカーライダーと、この『0式』なのだ」
 そこには、ショッカーライダーとは構造が違う、一体の青いロボットが寝かされていた。
「改造人間ではなく、完璧な人造人間……『パーフェクトサイボーグ』ですか…」
 ショッカーライダーは、対ダブルライダー戦に用いられる量産型のライダーであり…仮面ライダーの要素と怪人の特殊能力を兼ね揃えている、高性能エース怪人である。
 だが、ここに眠る青いロボットは他の10体と比較しても全く似ても似付かない機体だった。銀色の2本の角が人の頭骨を思わせる頭部から伸び…体の全てが青い金属でできている…
「そう『0式』はそのプロトタイプ…すなわちとして製作され…完璧な戦闘マシーン完全なロボットとして作られた、人造人間だ…」
 死神博士は淡々と、この『0式』の能力について説明した。
「他のショッカーライダーは人間に脳改造を施し、ダブルライダーと体の外見、性能は殆ど同じに作られている。が、この『0式』は脳も人口的に作られている。改造時に『本郷 猛』から取った、脳波パターンをインプットした、人工知能を搭載して…それ以上に他のショッカーライダーとの相違点は内蔵されているシステムと装置じゃ」
「それは、この『超重力発生装置』ですか?」
「そうだが、お前は…超重力発生装置がどんな物か、わかっておるのか?」
「超重力発生装置……彼の胸の心臓部あたりに装備されて、周りの重力を反転させたり、また5トン以上の重力を形成する事も出来る」
 そう言うと、死神博士はにやりと嘲笑して青いロボットの胸を開き、その装置を見せる。
「やはり解ってはいない、この超重力発生装置はそのような甘い物ではない…これが爆発すると、半径10キロ四方は100t以上の超重力圏へと変えてしまう。ある意味こいつは核爆弾よりたちが悪い…」
「10キロ四方を重力圏に…」
「じゃが、この機能の他に…『0式』の性能はこの10体のショッカーライダーや、ダブルライダーなど比ではない……まさ…に…い強……ゃ………」
 その声は途切れ…また、暗闇が俺の目を覆った。





ジジッ…ジジッ…ドサッ

 地面にショッカーライダーの一体が、倒れこむ…そして、その頭を掴み引き千切る腕…
 それは…ショッカーライダーとは、相違する重い鉄の外装甲を身に纏った体、人の頭骨を思わせる頭部と、獲物を狙う爛々と光る赤い眼、そして二本の細い銀色の角…その姿はまさに…鋼鉄の鬼神その物だった。
「………」
『0式を誰か0式を止めろっ!!』
 男の声が、俺の耳に届く……地面には壊れたショッカーライダー2体が転がっていた。
「……」
ドドドドドドドドドドドッ!
 俺は、逃した一体を撃つ為に腕に備え付けてあった、ガトリングガンを見栄えなく撃ち放った。全弾命中して、ショッカーライダーの一体は物言わない鉄の塊と化した。
 全ての生きる者には、生命が存在する、倒したこの三体にも…生命という物が存在した、…だが…俺には、生命という物が存在しない。生命とは何だ、俺には……俺には、わからない…

 人間と言う生き物が………解らない…

 最後のショッカーライダーの一体が、俺にライダーキックを放ってきた。
「……」
ガシィィーーッ!!
 左腕で、その足を受けとめる…お前にも、生命は存在する。他の6体も同じだ…だが、俺には何もない…そう、俺は『生命のない器』…
バリバリバリッ!
 左腕の手の平に放電現象が起き…握っていたショッカーライダーの足は消失する。
「……」
 だが生命があるお前達は俺の問いには答えられない。俺とお前…同じように作られ、生まれた存在で、この差は激しい…だから、お前は弱いのか…
 両手を合わせ、一つにして…天に高く振り上げ…奴の頭に向かって一気に振り下ろす。
バキィィィーーッ!!
 奴の頭部はこの攻撃により頭部損傷し…機能を停止した…いや、死んだと言った方が正しいか……
 死…俺には意味のない言葉、いや…死がないんだ。『生命のない器』だから、機能停止してもそれは死とは言わない…

 だったら何故…俺は、産まれたんだ…






「はっ…」
 俺は、眼を開けて飛び起きた。
「どうしたの豪……汗だくよ」
 どうやら、充電中に人工皮膚の発汗装置がオーバーロードしたんだな、体がびしょ濡れだ。
「それより充電は終わったのか?」
「うん、バッチシよっ!でも、どうしたのよ魘されてたようだけど…悪い夢でも見たの」
「悪い……夢か…多分俺のメモリー(記憶)回路が誤作動を起しただけだ、他の行動に支障は無いだろう……」
 よりにもよって、あの時の情景が出てくるとは……
「まあ、それならいいんだけど…汗ふきなさいよ」
「解った…回路が凍り付かないようにしとく…」
 俺はそう言い、澄香からタオルを貰い体をふいた……何故あの時のメモリーの映像が出てくるのか、俺には疑問で仕方が無かった。やはり先ほどの戦闘が俺の回路に異常を…澄香はそれを夢と言うが…俺のはそんな大それた物じゃない……
「姉御っ!港が見えてきましたぜっ!」
「ほら、豪…港につくわよ」
「了解した……」


 俺達の部隊は港に付き…積荷を雪上トラックに移すと、ネメシス南極支部巨大プラントへ向けて走り出した。
 南極支部は、その物が量産型怪人を生産する巨大なプラントとなっている…言うならば、一つの怪人を多量に生産する事により、量産型怪人の低コスト化を狙った物だ。
 そして、南極支部では他にも様々な量産怪人を製造していると聞く。まさに南極プラントは…ネメシスの生命線みたいな物だ。生命線か……俺には関係無いが…

 雪上トラック内

「姉御、豪の奴はどうしたんすか?」
「豪なら、積荷の点検よ…自分からやると言ったから、大丈夫よ」
「そうっすね…でもなんで、積荷の点検なんてやろうと思ったんすかね、豪は…」
「…解らないわ、あの時の空白の時間何があったのか……しかもその後で謎の怪人に襲われ戦闘…豪にとってもあの事が気がかりなのよ」

 俺達が、南極プラントへと運ぶ積荷は…プラントで、怪人を作る為の主体となる人間を9名運んでいる。
 数時間前にある客船を襲った時に乗員を数名を生きたまま攫ったのだ。


……
………

数時間前:太平洋上
 船内

「レーダーもソナーも、異常なし…順調ですね、船長」
「ああ……このまま何も無く航海ができれば…」
 船長らしき人物がそう呟いた瞬間に…船内で急に爆発音が響き渡った。
ドドーーーンッ!!
 船内に警報が鳴り響き、夜で眠りについていた船員達が起きだした。
「何だっ!?何事だ!」
「解りません!船尾部分が何者かにより強襲されたと思われますっ!」
「何だと、レーダーやソナーは…まさか、ステルス機能搭載の高速船…」
 船長の顔に焦りが見え始める……そして
「船長っ!何かが、この船に向けて急速接近中!海面上を物凄いスピードで走ってきます!」
「やはり……海賊だっ!」

 海面上に波をたて、豪音を立てながら青い鬼神が船に向かって走ってきた。
「照準セット…グレネードランチャー発射」
 背中のバックパックに備え付けていた、グレネードランチャーを抜いて青い鋼鉄の鬼神…G0は船の船尾に向けて、引き金を引いた。
ズガンッ!!
 大口径の銃口が火を吹いた瞬間、船尾が爆音を豪かせ爆発した。
ドゴォォォォォォーーーーーンッ!!
「…船尾に着弾、約15分程で沈没予定…これより船内での工作活動に入る……」
 G0はグレネードランチャーをバックパックに戻すと、水上のバイクを船首部分までに移動させた。

「船尾部分が被弾し、燃料タンクが爆破した模様!」
「このままでは沈没してしまうぞっ!やむおえない…総員は、船を捨て、脱出活動に入れっ!」
 船長が内部無線で、船内に伝えるが…時既に遅し……船員は皆、G0の強襲にあっていた。数分も経たない内に…全員麻酔弾で眠らされていた。
ドサッ
 G0の足元に、船員の一人が倒れこんだ。
「……船員の92%を眠らせる事に成功、スミカ…そろそろ船内に潜入していいぞ、後2人だ…」
『解ったわ、…後何分ほどで沈没するの?』
「10分だ……その前に、船員の捕獲を頼む」
『ええっ』
「……」
 G0は通信を切る……それは、ゆっくりと足音を立てて来るのを気付いたからだ。
「……」
「ふふふ、久しいな0式」
「!?」
 『0式』と言う名を聞いて、G0は振り向くとそこには一人の男が立っていた、それが船員の一人だとは解ったがG0にはその男が何者なのか見覚えは無かった…だが、この男は自分の正式名称『ショッカーライダー0式』を知っている…
「ふふふ、わしの声に聞き覚えは無いか0式…」
 G0は無言に、バックパックに装備されたショットガンを抜き放った。
「貴様が実際に根眼史巣(ネメシス)に回収されていたとはな…正直、驚いたぞ」
「……」
ガチャッ
 G0は、ショットガンの弾を込め…その男に銃口を向けた。
「これも、何かの運命か…お前は開発当初から欠陥品だった……貴様は失敗作だっ!!」
ギュルンッ!
 その男の服は裂け…そこからイカの触手らしき物体が生え出た。
ズドムッ!
『ゲハッ!』
 G0はためらわずに、イカの化け物と化そうとしていた、その男にショットガンを放った。ショットガンから出た散弾は、イカの化け物に全て命中して、真っ赤な血を噴出した。
「……ターゲット、排除完了…これより帰還する」
 G0はイカの化け物の亡骸を踏みつけて、その場を後にしようとした、その時…
ピーピー
 G0に澄香から突然の、通信が入った。
『豪っ!レーダーが正体不明の影を捕らえたわ!こっちに猛スピードで突っ込んでくるっ!』
「………」
 G0は自分のレーダーを開くと、そこには…澄香の言う通りこちらに向かってくる何かをレーダーが捕らえていた。
「……航空機でもない…敵機の所属…及び正体…全て不明…」

 確実に…そして着実にそれは近づいていた。横向きの竜巻と共に…それは船に突っ込んできた。
ズガァァーーーン
 その竜巻は、船体をドリルのように貫き、G0の前に現れた。
「…あーあ、言わんこっちゃないよ、だから伝言板は僕の役目だって言ったのに…」
 悪魔の翼を広げた、黒い装甲を持つ謎の怪人はG0が倒したイカの化け物を見下ろして呆れたように、その言葉を漏らした。
「…何者だ」
「ん?ああ、君か……ネメシスに拾い上げられた、ショッカーライダー0式って、丁度いいや!」
「……なぜ、俺の事を知っている…」
「ある人物からの言伝でね…『早く会いたい』って…でも、会えるかな?その人と…」
 その黒い怪人は、G0に持っていた巨大な諸刃の剣の切っ先を向け言い放つ。
「その前に君は僕に殺されるんだから……」
「なにっ…」
 G0がショットガンを構えようとした直前に、それは凄まじい速さで斬りかかって来た。持っていたショットガンが真っ二つに割れ、G0はたじろぐも奴が入ってきた穴を出て甲板に踊り出た。
『豪っ!どうしたのっ!?』
「謎の敵と交戦状態に陥った…俺は奴を引き付ける、その間に…船内のターゲットを…」
「僕の名は『アラストル』、自分を殺す相手の名前くらい覚えておきなっ!!」
ガイィィーーーン!
 アラストルの剣を、G0は両腕でカバーし…剣をいなす。がアラストルは巧みな剣術と抜群の早さでG0を翻弄する。
「…ブラックサイクロン」
 G0は海上にある、ブラックサイクロンを呼ぶと…それに乗りこみ…右腕を座席のサイドに設置してあるオプションに入れ。
「…戦闘オプション、『高周波振動ブレード』」
ガチャ
 G0の右腕に武器オプションが装着され、引きぬくと高周波振動を起こす長い刃が出てくる。そして余った左腕でブラックサイクロンを海上で操縦して、船から離れる。
「ほう……面白いっ!こっちも行くよ」
 アラストルは背中から悪魔の翼を開き、船から離れて行くG0を追撃した。
 空には、どす黒い雲が立ち込め…その合間から絶え間ない放電が見える。時折海に、雷光が落ちる…豪音がする。雷雲だ…
「逃がさないよ、雷鳴波っ!!」
 アラストルは手首から、青い雷を発してG0の乗るブラックサイクロンを攻撃した。G0はその雷を避けながら、アラストルを徐々に船から引き離す。
「ふっ、ターゲットインサイト…自動操縦に切り替え…」
 G0はある程度の所でブラックサイクロンを反転させ逆にアラストルに向かって行く…左腕をアラストルに向け、腕に内蔵してあるガトリング砲をせり上げ、その弾丸をアラストルに向けて乱射した。
ズガガガガガガガッ!!
「くっ!!」
 ガトリング砲の弾丸をガードでしのいだアラストルは一瞬怯む…だが、気付いた時には目の前にG0がブラックサイクロンから飛びあがり、隙をついて間合いに入り込み、右腕のブレードを振り上げる。
「ちっ!」
ガイィィーーーンッ!
 アラストルの剣と、G0のブレードが交差して火花と豪音が鳴り響く。
「やってくれるな、G0…バイクから飛びあがって攻撃なんて…」
「……むっ!」
 アラストルはG0のブレードをいなすと、G0は海上に落下して行く…だがそれを見計らったかのように、ブラックサイクロンが後ろから回り込み、G0はタイミング良く飛び乗った。
「反応速度は向こうが上か……今のままだと勝気は薄い…」
「なめた真似をっ!!」
 アラストルは雷鳴波を撃ち、G0を追撃する…G0は回避しながらガトリング砲をアラストルに向かって撃つが、持ち前の反応性能を発揮したアラストルは、弾丸を紙一重で避け…雷鳴波を撃つ。
「…ん?」
 G0は前方の雷雲が、今にも凄まじい雷を放とうとしている事を確認する。G0はすぐにその雷雲が、いつ落雷を放つのか計算し始める。
「計算完了……雷雲の放電後、2秒で落雷が落ちる……合計…後7秒後」
 それを確認すると、ブラックサイクロンを反転させて、空を飛行するアラストルに向かって走らせた。
「何っ!?」
「…ターゲット、インサイト…加速装置作動…アフターアーマー脱着…」
ガキィン、ガキィィン!
 G0の腕と、両足の外装甲がはずれて…無駄な装甲がなくなり、軽量化されることで通常の3倍の運動性能と反応性能を発揮する。
ザッ!
「残り6秒……」
 G0の動きに合わせて、ブラックサイクロンも驚異的なスピードで水上を移動した。そして、勢いをつけ…G0はブラックサイクロンから飛ぶ。
「(後、5秒……)」
「何っ!?僕より早く間合いを詰めるなんてっ!!」
 アラストルの目の前に瞬時に現れ、ブレードを振り下ろす。とっさに剣でガードするアラストルだが、その剣は…勢いをつけたブレードにより真っ二つに折れ…アラストルの体を切り裂いた。
ガシュゥゥッ!
「ちぃぃっ!」
「(後…4秒!)」
 斬りつけられた、アラストルの肩を掴み…落下する衝撃を加え、何もない空へと投げ放った。アラストルは意外と軽く…遠くまで飛ばされた。
「3…2…1…王手(チェックメイト)」
ズガァァァァーーーーーーーーンッ!
 豪音と共に落ちた、落雷がアラストルを直撃して…海に落ちた。海水が一瞬青く光るが…それも消え…アラストルは海底へと沈んで行った。

「目標…撃破確認……これより帰還する」
 G0はブラックサイクロンに飛び乗ると…澄香達の待つ海賊船へと引き返して行った。






「豪が倒したあれは、海底深く沈んだけど、明らかに別の組織の回し者のようね……それも、かなり手の込んだ改造をされている奴」
「意思を持っていましたし…雷を操っていましたね、あんな改造は、世紀末王様の融合改造くらいしないとむりですからね…」
 だけど澄香は…一つだけ可能なことをする人物を知っていた…それは豪に取っても関係深い男の事……
「できる人物が一人だけいたわ……」
「えっいるんすか?世紀末王様のような融合改造ができる人間が…」
「私の知る限りでは…ね、少なくとも彼が…豪…ショッカーライダー0式を作った生みの親って所かしら」
 『第参時極東内乱』以前その人物は人間の頃は、そのマッドな頭脳を屈して人間の体を捨て、改造人間となりその組織の大幹部となった。人間の頃、マッドサイエンティストと呼ばれ…組織に入り、その頭脳を生かし…人を冷酷な改造人間へと変えて行った。
「その男は…死神博士」


中篇へ…

設定資料集

仮面ライダーG0(正式名:ショッカーライダー0式)
能力 パンチ力9t(加速装置:5t) キック力30t(加速装置:20t) ジャンプ力50m(加速装置:200m)
固定武装 左腕内臓3連ガトリング砲 右腕内臓ニードルランチャー エンブレム内臓バルカン砲 10mm機関砲
武器オプション ショットガン グレネードランチャー 専用マシンガン 高周波振動ブレード 専用ミサイルランチャー
内臓システム 超重力発生装置 加速装置
必殺技 スパークフィンガー(左手の平の5本の指が放電現象を起こし、敵を粉砕したりマシンの誤作動を起したりする。50t)
    Gナックル(右手の拳に超重力を発生させ叩き込む。50t)
    ギガントハンマー(スパークフィンガーの力とGナックルの力を一つにして、一気に振り下ろして粉砕する技。100t)
 元々、ショッカーで作られたこの0式は…本来10体のショッカーライダーのコマンダー的存在だったが、機能の暴走によりショッカーライダーの内4体を撃破して、ショッカー幹部により本部の地下で凍結されていたが…ショッカー壊滅後、結成したてのネメシスの当時新兵だった澄香によって回収され、彼女の手により修復される。その後は『海賊』のメンバーに入り、その鬼神のごとき性能を7つの海で展開している。専用マシンは、ネメシスが回収した、ショッカーライダー用のサイクロン号を改修したブラックサイクロン。だが、G0の性能はまだまだ未知数な部分が多く…謎な部分が多い。


柏木澄香
 ネメシス蜘蛛第4中隊第13小隊『海賊』の小隊長で、階級は中尉。楽天的な性格でちゃらんぽらんな、20代くらいの女性だが、実は30代。長い経験からか戦略的にも戦術もエリートで、G0や他のメンバーと共に数々の功績を上げて、上層部も高く買っている。また、ショッカーのロボット工学もちょっとかじり…G0のメンテも彼女の仕事。趣味は、日本の恋愛ドラマを見ること…良く、船内のテレビにかじり付いて感動して涙している所を豪や他のクルーから度々、目撃されている。メンバーからは隊長と呼ばれたいが、船長だとか姉御とか呼ばれている事がしばしば。


後書き
 だーべさっ!
 DFに続く外伝第2段は、メカニック系のライダーです、このライダーは正統派でちゃーんとバイクに乗りますが、ロボットですのでやっぱゾルダばりの重武装になっちゃいました。
 ここでポイントは、G0君は他のライダーとは違い、改造人間ではなくキカイダーのような人造人間だという事です!それは、また私の勝手な妄想が作っちゃったのですが…
 だけど、キカイダーとの相違点は……『人間』と言うものが解らないのです。生命のないただの機械であるG0の葛藤は、続くと思います。

 さて、ここでポイントはもう一つ…この話しは黒狼劇場版の話しにふかーく繋がります、その証拠に、前編で登場したアラストルと言う敵や、今回の黒幕である人物…おっとそれは、この次でのお楽しみ!



Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!